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No.2104の一覧
[0] マブラヴ~鎮魂歌~[うり坊](2006/09/19 12:40)
[1] Re:マブラヴ~鎮魂歌~プロローグ[うり坊](2007/01/11 20:40)
[2] Re[2]:マブラヴ~鎮魂歌~第一話[うり坊](2007/03/23 21:10)
[3] Re[3]:マブラヴ~鎮魂歌~第二話[うり坊](2007/01/11 20:42)
[4] Re:マブラヴ~鎮魂歌~社霞の考察[うり坊](2006/09/19 12:51)
[5] Re[2]:マブラヴ~鎮魂歌~社霞の考察[うり坊](2006/09/19 12:51)
[6] Re[4]:マブラヴ~鎮魂歌~第三話[うり坊](2007/01/11 20:43)
[7] Re[5]:マブラヴ~鎮魂歌~第四話[うり坊](2007/03/23 21:17)
[8] Re[6]:マブラヴ~鎮魂歌~第五話[うり坊](2007/03/23 21:21)
[9] Re[7]:マブラヴ~鎮魂歌~第六話[うり坊](2007/01/11 21:38)
[10] Re[8]:マブラヴ~鎮魂歌~第七話『BETA上陸』[うり坊](2007/03/23 21:23)
[11] Re[9]:マブラヴ~鎮魂歌~第八話『BETA上陸』[うり坊](2007/03/23 21:25)
[12] Re[10]:マブラヴ~鎮魂歌~第九話[うり坊](2007/01/11 21:41)
[13] Re[11]:マブラヴ~鎮魂歌~第十話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/03/23 21:29)
[14] Re[12]:マブラヴ~鎮魂歌~第十一話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/03/23 21:32)
[15] Re[13]:マブラヴ~鎮魂歌~第十二話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/01/23 17:04)
[16] Re[14]:マブラヴ~鎮魂歌~第十三話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/01/23 17:07)
[17] Re[15]:マブラヴ~鎮魂歌~第十四話『南国休暇編』[うり坊](2007/02/02 15:58)
[18] Re[16]:マブラヴ~鎮魂歌~第十五話[うり坊](2007/03/21 05:55)
[19] Re[17]:マブラヴ~鎮魂歌~第十六話[うり坊](2007/03/26 10:55)
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[2104] Re[9]:マブラヴ~鎮魂歌~第八話『BETA上陸』
Name: うり坊 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/03/23 21:25
同時刻
新潟県、御神楽岳
横浜基地所属、A-01部隊

『ヴァルキリー全機、所定位置に着きました。』
副隊長の水代から報告があがる。
この山岳地帯を利用してBETAを迎え撃つ予定だ。
「よし、全機、警戒を怠るな」
『『『『『『『『『『了解ッ!』』』』』』』』』』
『こちらヴァルキリーマム、BETAの予想進路に変更なし、15分後に接触予定』
「ヴァルキリー1、了解」


福島県、旧西会津IC、戦闘指揮車

「こちらヴァルキリーマム、BETAの予想進路に変更なし、15分後に接触予定」
『ヴァルキリー1、了解』
「頑張ってね……」
仲間の成功を祈る
私にはそれぐらいしかできないのだから……

今回の作戦はBETAの捕獲

過去、オルタネイティヴⅡではBETAの捕獲作戦が行われた。
その際には大規模な戦力の投下と大勢の死者を出した。
それを今回、我々A-01が行う、たった戦術機一個中隊でだ。
「BETA残数は約250、小型と中型の一個中隊規模です。」
A-01ならその程度の数ならば平気だろう
今回の任務には要塞級などの大型種はいない予定である。
先程の帝国軍とBETAの戦闘の目的は大型種を殲滅させる事である。
本当は捕獲したいところだが、無傷で大型種の捕獲には一体につき一個中隊が必要がある。
だがA-01は補充要員が殆どない特殊部隊、故に大型種の捕獲は断念せざるを得ない。
あと注意するのは中型種の要撃級と突撃級ぐらいである。
「追撃中の帝国軍を撤退させてください」
「了解」
帝国軍には悪いが、これから始まる作戦は極秘裏に行う必要な為、介入される訳にはいかない
故に彼らには『ステージ』からは降りて貰わないといけない。
「中尉、高崎観測基地と秩父観測基地で妙な通信が行われています。」
「妙な通信?」





涼宮茜side

心臓の鼓動が速くなる。
ついに初めての実戦だ。
『死の八分』、それを乗り越えれば……いや、乗り越える。
私はその為に訓練してきたのだ。
『涼宮少尉、肩の力を抜いてリラックスよ。額のシワが凄いわよ?』
「は、はい」
先任の水代葵大尉からの通信だ。
彼女はこの伊隅ヴァルキリーズの№2、副隊長である。
私は水代大尉からリラックスするように促される。
そんなに張り詰めた顔をしていたのだろうか?
『大丈夫よ。この日の為に頑張って訓練してきたのでしょう?』
「ありがとうございます。水代大尉」
そうだ。207訓練部隊の時から頑張ってここまで来たのだ。
この日、この瞬間、今までの訓練の成果を出す時である。
『そろそろ作戦が始まるわ。』
「はい・・!」
それと同時に通信が入る。
『よく聞け!初めてBETAと戦う新米共!我々の任務はBETAの捕獲だ。それ故、所持するのは対BETA捕縛兵器(*1)だけだ。』
『普通の任務であれば殺傷能力の高い兵装でBETAと戦うのが当然だ。しかし……我々、A-01は『普通』とは違う。特殊任務を行う部隊だ。そこらの甘ちゃん部隊とは大違いだという事は肝に銘じておけ……いいなッ!』
『『『『了解!』』』』
「了解!」
『まずフェイズ1は全機、一斉にALMランチャーを発射だ。重金属雲の発生を確認次第、フェイズ2へ移行だ。フェイズ2は光線級の捕獲を最優先だ。そしてフェイズ3はB小隊による攻撃で敵の集団を分散、続いてC小隊が装備している対BETA捕獲用狙撃銃で孤立したBETA共を撃て、A小隊は陽動だ。気を抜くなよ』
するとレーダーの隅にレッドマーカーが1つ映った。
それと同時に警報が鳴り響く。コード991発令、BETAの出現だ。
マーカーやがて2つ、3つ……どんどん増えてくる。既に百を越している。
不知火の望遠レンズでBETAの姿を確かめる。
そこに撃つるのは醜悪な化け物集団の行軍である。
前衛は突撃級、後方は要撃級と展開している。おそらく更に後方には小型種や光線級がいる筈だ。
―これがBETA……これが人類の敵……!
資料や教本で何度も見た事があるが、初めて肉眼で見るBETAに背筋に嫌な汗を掻き、手にも汗が滲み出る。
―水代大尉の言葉を思い出せ……私はこの日の為に訓練してきたのよ。絶対にやれる!
必死に己に言い聞かせる。焦っては死に繋がる。
冷静を取り戻し、BETAを睨む
『来たな……作戦開始ッ!』
「…………私はアンタ達なんかに負けないッ!」
お姉ちゃんの為に……!
そして………あの人の為にも私は死ぬ訳にはいかない!



合図と共に一斉にVLSからALMが撃ち出されるが空を貫く光の槍によってALMは蒸発して重金属雲を発生させる。
重金属雲の発生と共にファイズ2へ移行、最優先目標は光線級、その数は21体
速瀬中尉率いる突撃前衛のB小隊はスタンブレードを振るいながらBETAを蹴散らしていく
「邪魔よッ!この私の前に立ちはだかるなんて良い度胸ね!」
スタンブレードの高圧電流により麻痺を起こすBETAを無視しながら更に前へと進む
これまで相手にしたのは突撃級と要撃級だけ
それには理由がある。
「見えたッ!ヴァルキリー3からC小隊へッ!目標は6体、繰り返す!目標は6体だッ!」
次の照射を準備している小型の光線級がそこにいた。
光線級はB小隊に狙いをつけている。
「全機、二機連携を組んで横へ飛んでBETAを盾にしろッ!」
仲間を盾にとられてしまってはレーザーを照射する事ができない。
B小隊に注意を逸らしている隙にC小隊がB小隊の創った『回廊』のまえに並ぶ

射線は出来た。

B小隊の『目的』はC小隊が装備する狙撃銃の射線確保である。
突撃級や要撃級の壁がある限り、狙撃銃で光線級を撃つ事は不可能だ。
その為に突撃前衛が強引にでも突進する必要があった。
「C小隊、撃ち方始め」
水代大尉の号令と共にC小隊の狙撃銃から麻酔弾が放たれる。
障害物の無い射線
麻酔弾はまずは4体の光線級の体に撃ち込まれる。
「次弾装填、撃て」
二度目の射撃
残りの2体も命中する。
最初に命中した4体の光線級はその場に崩れる様に倒れこむ
その直ぐに残りも倒れる。
「次、10時方向の7体」
既にB小隊が『回廊』を作っている最中である。
A小隊はその『回廊』に他のBETAが入らないように陽動、牽制を行っている。
『水代大尉、存分に撃ってください』
「第三射、撃て」
先程と同じく、弾は4体の光線級に命中した。
だが残りの三体がこちらに『目』を向けていた。
ソレの気付いた水代は叫ぶ

「全機緊急回避ッ!」

C小隊の不知火がその場を離れると同時に数本のレーザーが通る。
この作戦では味方の射線確保が出来るが、裏を返せば敵も『同じ』なのだ。
BETAの排除された『回廊』には仲間はいない。光線級にとっては射線上にいる戦術機は格好の獲物なのだ。
それ故に迅速な行動が必要となる。
だが小型の光線級のレーザー充填速度は速い、一瞬の油断が生死に繋がる。

「それで私達を穿てなかった事を後悔しなさい」

回避行動を取りながらも水代機の不知火の狙撃銃からは数発の麻酔弾が放たれる。
三体の光線級に撃ち込まれ、ゆっくりとその場に倒れる
これが極東国連軍、№2のスナイパーの実力である。
回避行動しながら確実に標的を射る事ができるのは彼女ぐらいだろう。

「フェイズ3に移行する!」
伊隅みちるの言葉と共にA,B小隊が突撃砲を構える。
狙うは小型種だ。
突撃砲にはゴム弾が装弾されている。
殺さずに捕獲するには劣化ウラン弾では無理なのでゴムを使用している。
だがゴムだからといってその威力は馬鹿に出来ない
戦術機の突撃砲から放たれるゴム弾なのだ。当たれば人間なら即死だろう
だがBETAならば即死することはないが効果覿面である。
その証拠に撃たれたBETAは痙攣を起こしている。
「よし、A小隊はこいつらを囲め」
孤立した小型のBETAの一群は囲まれ、ゴム弾のシャワーを受ける。
そしてトドメは120mm滑空砲に装弾されているワイヤーネットで小型種を一気に捕獲する。
要撃級や突撃級のBETAはC小隊が相手にしているのでこちらには来ない
そして、その方法で次々とBETAを捕まえていく
既に帝国軍との戦闘で消耗しているBETAを捕まえるのは容易い事である。




伊隅side

捕獲開始から30分が経過した。
BETAの残数は30を切った。残りも時間の問題、作戦は順調である。
するとHQから通信が入る。
『こ・らヴ・ルキ…マ・!……!地………から……出現の可…………す!』
「こちらヴァルキリー1、ノイズが酷くて聞き取れない」
山岳地帯か重金属雲の残留のせいなのだろうか、通信がうまく繋がらない。
『至急……!……BETA……!……いそ………!その……さい!』
「こちらヴァルキリー1!BETAがどうした!」
だが通信からノイズだけしか聞こえない。
再度、呼びかけるが結果は同じである。
だが最後の通信のBETAの単語が出てきた事に不安を感じる。
BETAの一団はここにくるまでに帝国軍が大半片付けている。

―まさか新手か?

可能性はある。BETAの行動は予測不可能なのだ。
周囲をサーチするがいるのは先程のBETAだけだ。
新たなBETAの姿はどこにも見当たらない
全てのセンサーを確かめる。
微弱であるが振動が感知さている。
震度はマグニチュード1弱である。
だがここは地震大国の日本だ。なんら不思議はないと思う。
それに戦術機が歩くだけでも振動は感知される。
震度はマグニチュード2強、さっきの倍はある。
―妙だな……振動が大きくなっている。それではまるで………

気付いたときは遅かった。モニターに記されている震度計の震度は『7』だった。

「いかん!急いでここから『きゃあああああッ!!?』
「水代ッ!!?」
突如、地面から這い出た突撃級の猛進を避ける事が叶わず、水代の機体は大きく吹き飛ばされ機体は無惨に転がっていく。
機体の三分の一はその衝撃に大きく拉げてしまっている。
しかも地面から突撃級だけではなく要撃級や小型種までもが次々と這い出てくる。
幸いだったのはその中に光線級が含まれていなかった事ぐらいである。
そして先程の感知した振動はBETAが地中を掘り進む音だったのだ。
「水代ッ!応答しろッ!」
返事は返ってこないが彼女のバイタルは生きている。
だが気絶してしまっている。
危険だ。これではBETAに嬲り殺しになってしまう。
「ヴァルキリー1よりHQ!応答せよ!」

『こちらヴァルキリーマム!』

HQと通信が繋がった。やはり重金属雲の残留影響だった様だ。
「ヴァルキリー2の機関を遠隔操作にて停止を求む!」
「了解、ヴァルキリー2の機関を停止する。」
奴等の行動原理は高性能コンピューターを積んだ戦術機を襲う。
戦術機の機関を停止すれば搭載されているコンピューターも停止する。戦術機は唯の鉄の塊と化す、そうなれば狙われる確立は幾分かは軽くなる。
が、それはあくまでも予防策に過ぎない。襲われる順位を一位から二位に変わった程度である。
この作戦を少しでも早く終わらせるのが彼女の生死を分ける。
「宗像ッ!キサマにC小隊の指揮権を渡す!いいなッ!」
『了解!』
彼女ならその役に勤まる筈である。
だが戦況は厳しい
C小隊の狙撃銃が4つから3つに減った。それだけでも戦力の大幅な減退である。
それに最初の戦闘で新米達は疲弊してきている。このままでは時間の問題だ。
これが先任と新米の『差』だ。
だが新米達のリーダである涼宮遥の妹、涼宮茜は懸命にも奮戦している。
―流石は突撃前衛長を目指すだけはあるが……突っ込み過ぎだ。ヒヤヒヤするな……
確かにその通りである。水代を慕っていた彼女はその報復なのか、BETAに幾度もアタックをしている。
「涼宮ッ!前に出すぎだ!死にたいのかッ!一度下がれッ!」
『ッ!了解……』
機体は一旦下がるが、あの状態ではまた前に出てしまうだろう
―涼宮茜は突撃前衛には向かんな……土壇場では冷静な判断が欠如している。
「……ヴァルキリー1よりヴァルキリー全機へ、作戦は先程と同じだ。」
『『『『『『『了解』』』』』』』
同じ様にBETAの群れをバラバラに孤立させ、各個捕獲させていく
「ヴァルキリー11!そいつらの尻を叩いてやれッ!」
BETAを追い込み、待ち伏せしているヴァルキリー11に命令するが返事は返ってこない。
「ヴァルキリー11!どうした!返事をしろッ!」
再度、交信するが返事がこない。
『大尉ッ!ヴァルキリー11が要塞級にッ!』

「要塞級だと!?」

ヴァルキリー11は要塞級に背後から衝角によって貫かれ、吊り上げられていた。
管制ユニットに穴が穿たれている。あれでは中の者は即死だ。
衝角が引き抜かれ機体はそのまま前に倒れる。
『大尉ッ!あの穴から次々と出てきます!』
襲撃の際に開けられた『穴』から続々と這い出てくる。
その数10
あってはならない『事態』だ。
「くッ!?」
想定外の要塞級の集団出現
要塞級を仕留めるのはこの突撃砲では不可能だ。
『ああッ!?大尉!や、やつらに囲まれました!助けてくださいッ!!』
一機の不知火が要塞級に包囲されている。
前に出過ぎて孤立してしまったのだろう。
「待っていろッ!」
『く、来るなッ!!』
包囲された不知火は突撃砲を撃つが要塞級には効果はない。
装弾は『対BETA捕縛武器』それも小型種限定の突撃砲、そんなモノが要塞級相手に通じる筈がない。
だが搭乗者は混乱していてそんな判断も出来ずにいた。
「宗像ッ!周囲の要塞級を撃て!」
『駄目です!先程から何度も要塞級に撃っていますが効果ありません!』
宗像機から幾度なく撃たれる麻酔弾は要塞級に全て命中するがヤツは平気に活動を続けている。
対BETA用麻酔銃が要塞級には効かない。あの巨体だ、おそらくは麻酔の量が足りないのだろう。
そもそも、今回の任務では大型種である要塞級の捕獲は企画していなかったのだ。
当初の腹積もりでは帝国軍の戦術機師団の攻撃により、要塞級は『全て』撃破している筈だった。
地上にいた要塞級は『全て』撃破に成功した。だが………『地下』から侵攻していた要塞級は撃破できなかったのだ。
「HQ!装弾変更の許可を!」
こうなったら要塞級は仕留めるほかない。
もしもの場合に通常弾は腕部のアシストアーム内に収納している。
だが、許可無く装弾の変更は命令違反である。
『こちらヴァルキリーマム、装弾変更の許可を認める。捕獲したBETA以外は全て排除せよ』
「全機!装弾を変更しろ!先に要塞級を駆逐するぞ!」
だが既に時遅し
要塞級に囲まれていた一機の不知火は無数の衝角によって貫かれ、見るも無残な姿へと変わっていた。
機体から煙が吹き出る。要塞級の衝角から分泌される溶解液によって機体の金属が蒸発しているのだ。
もし、運良く生きていてもあのガスでは生きていられまい。
「くッ!!」
歯軋りをする。
自分がもっと早くに弾装交換の命令をしていればこんな事にはならなかったと思う。

「うおおおおおおおおッ!!!」

吼える。
噴射跳躍をして要塞級の真上から足の関節を狙って突撃砲の36mmを集中的に叩き込む
さすがの要塞級も『真上』には衝角を伸ばす事は出来ない。
関節の破壊により、要塞級はその巨大な体を維持する事が叶わずに崩れる様に倒れる。
そして要塞級の背中に着地してトドメに動けずにもがく要塞級の頭を120mm滑空砲で吹き飛ばし、新たな獲物の元へと跳ぶ
周りの者は戦いながらもその光景に息を呑む
国連色である水色はたちどころにBETAの返り血に染め上げられた。
そして血に染まったカメラアイは鈍く光り輝き、その見た目はまさに『鬼』である。

「キサマら……!楽に死ねると思うなッ!」


そして………その数十分後、要塞級の全てを掃討する事に成功し、残るBETAも撃破された。
現在は捕獲した小型種と中型種を一箇所に集めている最中である。
「……戦闘終了、各小隊損害報告しろ」
『C小隊、水代機、中破、パイロットは意識不明の重体です。』
『B小隊、佐藤機、土方機、大破、両名ともKIAと認定します。』
KIA(Killed In Action)=戦闘行動中における死亡である。
被害は水代と新任の二人、その内、生き残ったのは水代だけだ。
全滅だってありうる事態だった。この程度で済んだのは良い方かもしれないが……
それでも代償は大きい。副隊長の水代が抜けてしまうのは痛いことである。
「……恨むのなら私を恨め…………」
亡くなった二人に言葉を掛ける。
だが……彼女達は恨むことすら出来ないのだ。
「涼宮……」
同期の仲間を二人も失った彼女の表情は暗かった。
泣かずに、唯、じっと仲間の残骸を見詰めている。
泣けばどれ程楽になるのか…………それは私が良く知っている。
だが彼女の性格上、この場で泣く事はない。泣くのなら人知れずに泣くのだ。
―彼女のケアは速瀬がしてくれるだろう。
―全て……私の責任だ。
秘話通信のコールが掛かる。
『ごくろうだったわね……』
「はッ!」
この作戦を命じた張本人、香月夕呼からの通信だ。
『……二人亡くしてしまったわね……』
「はい……」
無表情な香月だが身近な彼女なら今の香月は無理をしているのが分かった。
辛いのは自分だけではない。彼女も同じ心境なのだ。
『……帰還して頂戴、そこにいるBETAは回収部隊が回収するわ』
「了解」

ガンッ!!

「くそッ!」
通信が切れると同時に管制ユニットの内壁を強く叩く
強化装備で叩いても手は痛くないが……彼女の心が痛い
自分の判断の甘さで二人を失い、さらには親しい人物までもが重体となった。
「私は……!なんて無力なんだ……」
自分の無力さ知る。
戦術機に自分のスキル最大限に引き出してもコレだ。
もっと……もっと戦術機を上手く使いこなせなければならない。
いや、それでも駄目だ。
もっと……もっと『別の何か』があればと思う。
しかし……そんな夢の様な代物は存在しない。
そう、『今』は………………


~to be Continued~
備考

(*1)対BETA捕獲武器
オルタネイティヴⅡにて開発された対BETA捕獲武器を香月夕呼が更なら改造を施した代物である。
尚、これらの兵器を準備できたのは『社霞』の持ってきたディスクに書かれていた『予定事項』であった為、準備が出来た。
スタンブレード
『形状は長刀と変わらないが刃を潰しているので斬る事は不可能、しかし刃の部分が接触する事により、高圧電流を流れる仕組みである。主に中型の要撃級、突撃級に効果的である。』
特殊合金製ワイヤーネット
『特殊合金のワイヤーと特別な編み方で造られた網。闘士級、兵士級の小型種には有効であるが戦車級には通用しない。(網が噛み千切られる為)』
突撃砲(100mm滑空砲内にワイヤーネット弾、36mmチェーンガンの装弾はゴム弾)
『ワイヤーネット弾は集団の小型種に向けて撃つのが効果的、36mmに装填されているのはゴム弾であるがその威力は侮れない。大木を薙ぎ倒す程の威力である。小型種の動きを止める使用される。』
・狙撃銃(麻酔弾)
『スタンブレードによって動けなくなった中型種を確実に捕獲する為に麻酔弾を装弾している。当初は突撃砲に装弾する予定だったが麻酔弾の単価は高く、特殊な製造の為に時間が要する為、捕獲作戦までに弾数を十分に揃える事が出来なかった。用意できたのは2000発、それらはC小隊の狙撃銃を用いて運用する事となる。』


A-01部隊
・A小隊
伊隅みちる
涼宮茜(後にC小隊へ異動)
築地
他一名

・B小隊
速瀬水月
他三名

・C小隊
水代葵
宗像美冴
風間梼子
柏木晴子
後書き

オルタネイティヴⅡや新潟に上陸したBETAの一群を捕獲したのですから対BETA武器があっても不思議ではないかと………思います。
上記のゴム弾………本当に効果あるのか微妙ですね………人間なら骨が粉々、或いは火薬の威力により貫通しますが、BETA相手にはどこまで通用するのでしょうか?でも兵士級は人間から作られているらしいので効果あるかも?いや、そもそもBETAの内部構造ってどうなっているの?骨はあるのか?
それと今回の要塞級の登場(強襲)、オルタ本編のトライアル時には出現しませんでしたから捕獲はしていないのかと思います。故に突如の出現により伊隅さん達は焦ってしまいました。特に新米のお二人(オリジナル:土方、佐藤)は翻弄されてしまい撃破


『アカネマニアックス』から剛田城二と『君がいた季節』から伊隅まりかさん、『螺旋回廊』から水代葵さんの御登場です。

剛田城二に関してはアニメ版とマブラヴデュリエストしか知りません(汗
本当はもっと熱血馬鹿なんですが妙にシリアスな部分があるような………
彼の今後の出番はあります。

伊隅まりかは御存知の通り伊隅姉妹三女です。
アナザーストーリ『継承』では本土の第二防衛線に配属しているようですので登場させてみました。(階級は中尉)
『他人の気持ちを考えすぎて積極的な行動を取ることが苦手』………とプロフィールがあるのですか本作では積極的ですね(汗
今後の出番は不明です。目標は四姉妹、全員出演?

『螺旋回廊』からお越しの水代葵、アージュマニアックス~伊隅四姉妹最期の日~では伊隅みちると同じ大学に在籍、大学院の先輩です。
本作では副隊長を務めています。突撃級の猛進により重体、帝都の病院に運ばれヴァルキリーズから脱退、副隊長任を速瀬水月に譲りました。
現状では本編と同じように1名重体、2名死亡との事だったので書いてみました。


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