「ヨシ、みんな集まったな。」解隊式を終えて、教室に集まる純夏達タケルとまりもは黒板の前に立ち、説明を始める。 「これより、皆様方新任少尉殿達の部隊配属の説明を始めたいと思います。」部隊配属の説明を始めるまりも既に解隊式を終えた純夏達はまりもより上官になった為、敬語を使う。勿論純夏達はまりもに敬語を使われ、複雑な気持ちになるが、恩師の言葉を真剣な表情で聞く。 「まずは、国連軍組である宗像少尉・鑑少尉・ビャーチェノワ少尉・シェスチナ少尉の四名は、香月博士直属の特殊任務部隊に所属する事になります。部隊名は訳あってこの場では言えませんが、宗像少尉は、とある中隊に所属する事になります。但し、鑑少尉とビャーチェノワ少尉・シェスチナ少尉は香月博士の特殊任務を請け負って貰う為、宗像少尉と同じ所属にはなりますが、部隊には配属されません。詳しい話は直接香月博士から説明がありますので、御了承下さい。」「「「「ハッ!!」」」」まりもの説明を聞き、敬礼をしながら返事を返す美冴・純夏・クリスカ・イーニァ上官になっても、恩師には頭が上がらないのは皆同じだった。 「次に帝国軍組の配置ですが…お二人共、帝国軍第7戦術機甲大隊・『銀の戦車隊』シルバー・チャリオッツ隊に所属する事になりました。」「ちなみにこの部隊、オレの両親が率いてる部隊でな、オヤジが部隊長で母さんが副隊長だ。」『『えっ?』』影行の部隊に配属される事になり、驚く二人 タケルの両親の部隊と知り、やや緊張気味になる。 「お二方の実力は正にエース級特に白銀楓中尉の実力は抜きん出て、狙撃による高機動戦闘に関しては、極東一と言っても過言ではないでしょう。」まりもの説明を聞き、『流石は白銀中尉の親御さんだな…』と納得してしまう唯依達。 「最後に斯衛軍組ですが、皆様は『白銀大尉』が所属する部隊、斯衛軍第17大隊へ入隊致します。」「「「「『えっ!?』」」」」タケルと同じ部隊に所属する事に驚く斯衛軍組「あの…神宮司軍曹…白銀『大尉』とは一体…?」そして、美冴が違う意味で驚き、まりもに質問する。 「白銀大尉はXM3を始め、不知火・改のテストパイロットでの功績・『本土侵攻戦』や『明星作戦』での活躍により、今回の解隊式に合わせて大尉に昇進致しました。」タケルの功績を聞き、驚愕する唯依達純夏・クリスカ・イーニァは知っていたが、改めてタケルの功績を聞き、その凄さに驚いていた。「篁少尉・雨宮少尉・前島少尉・伊隅少尉の四名は、今回新たに作られた中隊に所属する事が決まった。中隊長はオレで、副隊長が真耶大尉だ。」「えっ?」「作られた…中隊?」タケルの説明を聞いて驚く唯依達四人。まりもすら、新しく作った中隊の事を知らない為、驚く。「…何故神宮司軍曹が驚くんですか?」「いや、私はその話は知らないモノで…」「また先生の仕業か…」香月博士のイタズラに頭を抱えるタケル気持ちを切り替えて、説明をする。 「実は今回第17大隊で部隊拡大を計画があって、まず最初に一個中隊を作る事になったんだ。そして、近い将来に一時的に国連軍に所属し、様々な特殊任務を行う為、今回中隊を創ったんだ。」「国連軍に…?」「ああ、しかも先生直属の特殊任務部隊にだ。」「「「「「!!?」」」」」国連軍に一時的に所属し、しかも香月博士の直属部隊に所属する事に驚く唯依・佳織・正樹・まりか「…白銀大尉…博士の特殊任務部隊に一時的に所属する理由って、もしかして…」「ハイ、神宮司軍曹が思ってる通りです。この先、様々な問題がかなり発生します。しかも、国を絡んだ問題ならば、場合によっては帝国軍・斯衛軍が参加する事が出来ないかもしれません。しかし、国連軍…しかも先生の直属部隊なら、超合法的な手段で様々な問題もクリア出来るので、本来参加出来ない戦場でも、参加する事が可能になるんです。ですから悠…殿下と先生が話し合った結果、第17大隊を拡大し、その一部を特殊任務部隊に一時的に所属する事で、少しでも戦力を上げる事が出来るようにしたんです。こうすれば、いざ戦力が欲しい時にオレの部隊を通して帝国軍・斯衛軍の参加を可能にしたんです。」「成る程…確かにそれならば国を絡んだ問題もクリア出来る…それならば『理由』なんて幾らでも作る事が出来る…」そして『一時的に所属する理由』に気づいたまりもはタケルの説明を聞き、『成る程…』と理解する。「それに、大尉は殿下の『許嫁』という肩書きもある『護衛の為』と理由を作って参加する事も出来る…」「ぐっ…正解だ、宗像…恐らく、それも利用する事もあって、オレを部隊長にしたんだろ。じゃなかったら、真耶大尉が部隊長になって、オレが突撃前衛長になってる筈だからな。」「流石は香月博士…ですか…」そして美冴がもう一つの理由を言い、正解する。タケルも苦い表情をしながら『先生だからな…』と諦めてる。 「…という事で、篁少尉・雨宮少尉・前島少尉・伊隅少尉の四名はオレの部隊に所属し、残った二人は九條椿少佐率いてる第17大隊第1中隊に配属される事になった。」『九條…様の部隊…』『気を引き締めなきゃ…』ゴクリと息を呑む二人五摂家がゴロゴロといる部隊に配属される事に緊張と責任感がのしかかる。 「という事で、配属の説明は終わりだ。次は所属先の軍服等を配布するから、名前を言われた順に取りに来い。最初は…宗像少尉」「ハイッ!!」部隊配属の説明を終わらせ、配属先の軍服や強化装備を配布する。最初は美冴から始まり、次々と配り、全員に配布する。「ふぁあぁ~…おはよ~みんな~…ふぁ…。」配布を終えると、突然扉が開き、欠伸をしながら香月博士が入って来る。 勿論みんなの注目の的になり、タケルとまりもは力が抜けて机に頭を『ゴンッ!!』とぶつける。 「何やってるの、白銀・まりも?二人揃って仲良く机に頭をぶつけるなんて…。」「先生の登場の仕方に力が抜けて頭をぶつけたんですよ…。」「真面目に進行してたのに…」「仕方無いでしょうこちとら3日振りの熟睡した後なんだから、欠伸ぐらいいいぢゃない。」少し頬を赤らめながら言い訳をする香月博士流石に少し恥ずかしかったようだ… 「先生…せっかくだから、新任少尉達に一言言って下さい…。」「ええぇ~…そんな固っくるしいの面倒くさいからパス。」「夕…博士ッ!!」面倒くさそうに祝いの言葉をパスする香月博士思わず『夕呼ッ!!』と言いそうになるまりもの後ろでは、少しショックを受けて、落ちこむ純夏達の姿があった。 「仕方無いわねぇ~…。みんな、卒業おめでとう。まあ、白銀とまりもが鍛えたんだから、卒業出来て当たり前だけど……この先、今まで学んできた事をひとつでも無駄にすれば、二人の顔に泥を塗るだけじゃなく、アンタ達や先任達の命も無くなる事をその身に刻み込んでおきなさい。」先程までとは変わって、鋭い表情で激を飛ばす香月博士しかし、それは新任少尉達の為を思っての事だった。 「この先、必ずアンタ達の前に様々な困難や試練が待ち構えてる。けど、決して恐れてはならない例え逃げ出しても、辛い現実から逃げ出す事は出来ないわ。迷い・苦しみ・絶望したならば---周りを良く見てみなさい…。」様々な気持ちや思いを込めて、表情を笑みに変えて呟く。「アンタ達は決して『独り』じゃないわ。助けあえる仲間達がいるわ。支えてくれる先任達や恩師がいるわ。そして…常にそばにいてくれる愛する者がいるわ…。それらがある限り、アンタ達が迷っても、苦しんでも、絶望しても---必ず助けてくれるわ…。そして、その恩を忘れずに、いつか…返してあげなさい…そうすれば、どんな困難や試練を乗り越える事が出来るわ。」「「「「ハイッ!!」」」」香月博士の言葉に感動し、大きな声で返事を返す純夏達。まりもも友の言葉に感動し、喜ぶと--- 「ハイ、終わり。さて、昼ご飯でも食べに行こうかしら~♪」これである。せっかくの感動の場面がぶち壊しになり、純夏達全員が机に頭を強打する。まりもも跪いて『せっかく良い雰囲気だったのに…』と落ち込みながら呟き、唯一タケルだけは『やっぱりな…』と予想していた…。 「あっ、そうそう。来年の1月頃に、私を含めた国連軍は横浜に引っ越すわ。場所は…白陵基地があった場所よ帝国軍第7戦術機甲大隊も一緒について来るから忘れないように。」「「「「!!!!」」」」「あと、白銀・まりもアンタ達は同じ時期に殿下と一緒に京都に帰るから、そこで来期の訓練兵を鍛えて頂戴。勿論篁達斯衛軍も一緒に行くから忘れないように。」「「「ハッ!!」」」香月博士の報告に驚きながらも、敬礼する唯依達新任少尉『だから敬礼はいらないって言ってるでしょう~』と香月博士は苦い表情をしながら呟く。 「先生、以前東京って言ってませんでしたっけ?」「ええ、言ったわ。けど、報告によれば京都の帝都は防衛が成功したおかげで、被害は至って軽く済んだみたいだから、首都を移す必要が無くなったの現在、本土奪還戦は大方奪還に成功して、中国・四国地方と九州の一部まで防衛線を上げてるわ。その為、京都では斉御司大佐を筆頭とた先遣隊が首都としての機能を復活させる為、全力で復興中よ。」ちょっと予想外にも京都に帰還出来る事に驚くタケルまりもや純夏達は、東京に首都が移る話やら、京都の帝都が復興出来るだの突然の話に茫然とするしか無かった。その後『私、お昼食べに行くから、じゃあね~♪』と立ち去る香月博士を見て、最早力が入らないタケル達こうして、タケル達の波瀾万丈な1日は終えたのだった…