1999年・10月15日「……たかいたかい~…」「キャッキャッ♪」霞が護を抱いて、『たかいたかい』をして遊ぶ。護も笑顔で喜び、霞に懐く。 「…可愛いです。」普段、あまり表情を出さない霞だが、護を前にして、いつも以上に笑顔を見せる。現在、タケルがまりもと一緒に純夏達訓練兵を教習していた その際、真耶が護を連れて、父親の働く姿を見せていた。 その時霞が『護を抱いてみたい』と申し出て、真耶は霞に護を渡し、遊んで貰っていた。 「今日の訓練はこれまでだ、解散。」「「「ありがとうございました!!」」」すると丁度訓練が終わると、全員が霞や護の下にやってくる。 「霞ちゃん霞ちゃん、私にも護ちゃん抱かせて♪」「ハイ、どうぞ…」霞から護を受け取り、優しく抱く純夏護の可愛さに純夏達訓練兵全員が萌えていた。 「護ちゃん、やっぱり可愛いよぉ~♪」「ウム、赤子はいつ見ても愛らしい。」「スミカスミカ~!!つぎわたしだよっ!!」「やれやれ…随分と人気者だな。」護を見てデレデレの純夏同じく護を見て、素直の感想をする唯依そして、護を抱きたくてウズウズしているイーニァそんな彼女達を見て、笑みを浮かべながら、真耶は我が子の人気を見て『蛙の子は蛙だな…』と心の中で呟く。「アラアラ、護ちゃんもいらっしゃてましたか。」「で、殿下!?全員、整列ッ!!」「け、敬礼ッ!!」突然の悠陽の登場に驚きながら、まりもは訓練兵全員に声をかける。その後すぐに唯依が敬礼の号令を出すが、護を抱いていた純夏は、アワアワしながら敬礼する際、頭にチョップする。「いたたた…」「大丈夫ですか、純夏さん…?」「だ…大丈夫です…。」「そうですか…それならば安心しました。」少し笑いながら純夏を心配する悠陽なんせ、『あの純夏のチョップ』だ…ぱんちで凄まじい威力だから、チョップも相当な威力だ……と悠陽は想像していたのは内緒だ。 「タケル様…真耶さん…ちょっと此方へ…少しお話があります。」悠陽に呼ばれ、少し離れた場所て内密な話をする二人「タケル様、実は先程決まった話なのですが…タケル様の所属する斯衛軍第17大隊に『一個中隊を追加する』事が決まりました。」「一個中隊を追加?何故また突然…?」悠陽の告げられた言葉に『ほへっ?』と唖然とするタケル 「これは、香月博士等と話し合った結果ですが、此度の訓練兵である篁・雨宮・伊隅・前島の四名をタケル様の居る所へ置こうという話になりました。現段階で既に正規衛士にも迫ってる実力者であるこの四人を、他の部隊へと散らすのは惜しいという意見がありました勿論、他の方々も今は検討中ですが、現段階では、タケル様の下で働いて貰おうと決まったのです。」「けど、まりかと正樹は帝国軍側だけど…?」「その点はご安心を…この二名については、私の方で理由を申し上げ、帝国軍側の方々に説得させます。そういう事で、タケル様には一個中隊を率いて貰いたい為、『大尉に昇格』して貰い、補佐として真耶さんについて貰いたいのです。」「は、ハァッ!?オレが中隊長!?」「わ、私がタケルの補佐ですか…?」「ハイ、真耶さんは丁度産休で休んでた為、その際斑鳩少佐にお願いした所、『月詠大尉のような実力者を手放すのは惜しいが、夫婦仲睦まじくしてもらう為、致し方無いです』…と申してましたよ?」「なぁっ!?」悠陽の言葉を聞いて真っ赤にしながら驚く真耶真耶をからかう伊織のセリフを聞いてタケルは『斑鳩少佐らしいなぁ…』と呟く「さて、真耶さんをからかうのは、此処までにして…今回の一個中隊増加には理由がありまして、タケル様が国連軍に一時的に出向した際、予定通り第17大隊も横浜基地で一時的に滞在致します。しかし、国際的問題や事情で第17大隊が踏み込めない戦場等が出た場合、タケル様や冥夜を助ける事が出来ませぬ…そんな時の為の保険として、タケル様に一個中隊を率いて国連軍に出向して貰いたいのです。そうすれば、タケル様率いてる一個中隊が出向している間は、A-01に属して貰う事で問題を解決したのです」「なる程…前回の『オリジナルハイヴ』の時みたいなケースを考えたのか…確かにそれならば戦力を大幅に下げる事は避けれる」「ハイ、香月博士も万が一の事も考え、優秀な者を少しでも手元に置こうと色々と考えていたようです。」先手を打つ香月博士の考えに脱帽する真耶だが、タケルは『流石は先生だな…』と関心していた。「そっか…ところで四人と冥夜と真耶さんはわかったけど、他のメンバーは誰なんだ?」「ハイ、冥夜の護衛も兼ねて真那さんを付けようと考えてます。他には、『白』の武家の神代・戎・巴の三家が、来期の訓練兵に入隊予定なので、卒業次第入隊させる予定です。」「げっ、まさか…あの三バカも鍛えるのか…?」「三バカ…?この三家の者達は実に優秀な者達と聞いてますが…?」「『こっちの世界』ではな。『元の世界』では、ど~しょうもないぐらいバカな三人でな~…そんな事もあって、オレがアイツ等に付けた渾名なんだ。」「そうでしたか…しかし、流石に三人に失礼な呼び方なので、止めた方が良いですよ、タケル様」 悠陽の注意に素直に『わかったよ』と答えるタケルしかし、内心『…大丈夫なのか…マジで…』と来期の訓練兵教育に不安になっていた。 「けど、大丈夫なのでしょうか…?第1中隊の突撃前衛ばかり抜けては戦力が大幅に落ちるのでは…?」「それについては大丈夫ですわ真那さんに関しては、今すぐ第1中隊を抜ける訳ではありません。真那さんがタケル様の部隊に移る時は、先程の三家も一緒に入るので、少なくとも、来年迄は椿さんの居る第1中隊の突撃前衛長を勤めて貰います。抜けた分は補充しますし、それにタケル様のエレメントを組んでいらっしゃる五十嵐少尉も、メキメキと成長しているようで、いずれは彼に突撃前衛長を勤めて貰おうと考えてます。その間は、同じ部隊として、真那さんに教育して貰う予定ですが、タケル様もどうかご協力をお願い致しますわ。」「勿論だ。駿は俺の弟みたいな奴だからな。駿の為なら、全力で協力するぜっ!!」笑顔で了承するタケル『駿の為なら』と強い絆を見せるタケルに悠陽と真耶は、まるで本当の『兄弟』のように見え、笑みを浮かべる。 「中隊結成する時期は、純夏さん達訓練兵が卒業と同時に行います。その際、タケル様は部隊長でありながら、突撃前衛長を勤めて貰います。タケル様のエレメントには冥夜を、真耶さんはタケル様の副官として、本来部隊長が着くポジションである右翼迎撃後衛に着いて貰います。このポジション設定は、タケル様の持ち味を最大限に生かせる処置であり、また『欠点』である指揮能力をカバーする為、真耶さんを右翼迎撃後衛に着ける事で欠点を補うようにした設定ですわ。」『なる程…』と納得する真耶だが、タケルは未熟な指揮能力を『欠点』と呼ばれ、グウの音も出ない程落ち込む。勿論、体育座りをしながら『のの字』を床に書いてだ。 「他のメンバーはまだ決まってませんので、決まり次第、連絡を入れます。」「ハッ!!」「………りょうかい。」「タケル様…そんなに落ち込まないで下さい…。」未だに復活しないタケルを見て、流石に申し訳なさそうにする悠陽すると---- 「だぁーー☆」「ぷろッ!?」すると突然、護が乗った手押しのカートがタケルに激突する。護は笑顔でキャッキャッと手を叩き笑うが、タケルは後頭部に痛恨の一撃を喰らい、でっっかいタンコブを作る。「タケルちゃん、大丈夫!?」「だいじょばない…」「どうしたのだ、一体…?」「ウン、護ちゃんがね、突然泣いたから、『オシメかなぁ~?』って思って、カートに乗せた途端、護ちゃん、私の腕蹴ってカートに乗って走ったんだよ。そしたら、偶々タケルちゃんに激突して、やっと止まったって訳。…多分だけど…カートに乗る為に泣いたような気がする…」「まさか…まだ赤子だぞ…?」カートから降ろし、護を抱きながら純夏の予想に否定する真耶しかし---「ウン、けどね真耶さん…護ちゃん…『タケルちゃんの子供』だよ…?」「………………………………説得力のある一言だな…。」『タケルの子』と聞いた途端、複雑な気持ちを持ちながらも、説得力のあり過ぎる言葉に納得するしかなかった真耶悠陽もその一言に納得し、『…流石はタケル様の子ですわ』と呟く。「………グスン。」「…ヨシヨシ…泣かない泣かない…。」「だいじょうぶ、タケル?」いぢけるタケルの頭をナデナデする霞と慰めるイーニァそんな自分を、より一層悲しい気持ちになるタケル「コラ、護。お父上にこのような事をしたら駄目ですよ。」「だぁ…。」おいたをした護に厳しく叱る真耶赤子故に手は上げないが、その険しい表情を見て理解してか、苦々しい表情で答える護勿論、他の者達も真耶の表情を見てブルブルと震えたのは言うまでもない。 『フフフ…流石はシロガネタケルの息子だ…将来は父を超える優秀な衛士になる事は間違いない。』「誰だッ!?」突如何処からもなく声をかけられ、その場に居る全ての者が驚き、辺りを見渡す。しかし、周りには人影が見えない… 突然の事で、即座にタケル・真耶・まりもは悠陽を護衛し、真耶は霞に護を預け、腰に帯刀していた小太刀を装備する。 タケルも腰に帯刀していた日本刀・飛燕神楽を持ち、いつでも抜刀出来るように柄を握る。 『安心したまえ、別に誰かを襲う訳ではない。』「なんだと…?何処にいやが…………………………………………なんですと?」ふと気付くタケルタケルから前方2m程先に、不自然な『大きなダンボール』がポツンと置かれていた。他の者達はダンボールの存在には気づかず、辺りをキョロキョロと見渡す。「…まさか」手に持っていた飛燕神楽を納刀し、ダンボールの前まで移動し、カパッと持ち上げると…「やぁ、シロガネタケル。君ならば、私を見つける事が出来ると思ったよ。」「……なにやってるんッスか…?」ダンボールの中から『鎧衣左近』が現れた。 その事にタケル以外の全員が時間停止状態になる「………鎧衣課長…何故ダンボールの中から…?」復活した真耶が鎧衣課長に何故ダンボールの中に入っていたかを聞くと、『ハッハッハッ☆』と素敵な笑みを持って答える。「いや、以前シロガネタケルから『伝説のスニーキングアイテム』としてダンボールを教えて貰ってね…話によれば、某傭兵『蛇』が愛用する隠密性能抜群のアイテムだと聞いた時は、全力で否定したのだが…いざ、試しにやってみると…いやはや…ダンボールの能力の素晴らしさを知ったよ。」「試したって…何処で?」「とある米軍基地で…」「ぶっつけ本番かいっ!!」「いやぁ…あの緊張感は今までに無いモノだったよ…思わず、自分がまだ未熟な頃を思い出したよ。だが、お陰で作戦は成功したよ。」「アンタな…」『明星作戦』の影でダンボールで侵入し、作戦成功に導いていた事に驚愕する一部の者達(タケル様…これは一体どういう事でしょうか…?)(いや、以前会った時に冗談で『元の世界』のとある話をした事があるんだけど…まぢでやるとは…。)(とある話?)(いや、とあるゲームで『蛇』の名前を持つ主人公が、サバイバルをする際、ダンボールを使って隠密行動をして侵入するんだけど…まさか本当にやるとは思わなかった…。)タケルの話を聞いて唖然とする真耶と悠陽…しかし、実際にやり、実に高い効果的を発揮したダンボールによる隠密性能を使いこなす鎧衣課長に関心と同時に、ビミョーな気持ちで素直に喜べないタケル「さて、シロガネタケルに話があるのだが…神宮司軍曹、済まないが私は殿下とシロガネタケルに話があるのだが、御退去願いたいのだが…」「---ッ!!わかりました、全員退去するぞ。」「「「了解!!」」」機密情報を話すと悟り、訓練兵を連れて退室するまりも退室する際、悠陽に敬礼をしてから退室する 「私は殿下の護衛として同席したいのだが、宜しいかな、鎧衣課長?」「ええ、勿論。此度の話は私個人的な話だから大丈夫だよ。」「個人的な話?」予想外な展開に少し驚くタケル達 「ときにシロガネタケルよ。娘の『美琴』に会ったかね?」「美琴?いや、まだですけど…第一、何処に居るかもわからんし、大体にしてアイツを見つける事自体至難の業ですよ…。」「そうか、済まないがシロガネタケル…一度美琴に会って貰えないかね?」「はいっ?」鎧衣課長の突然の発言に戸惑うタケル…こうして、美琴との『再会』が決まったのだった…