「ウオォォォッ!!」全速力でゲートに向かう突入部隊先に各部隊の突撃前衛達が道を切り開く為、前に出る。 その最前列には、タケル・駿のエレメントと、ヴァルキリーズの水月&遙と『遠坂明日香中尉』が奮戦していた。 「やるじゃない、速瀬・涼宮けど『突撃前衛長』の道はまだまだ険しいわよ?」「まだまだですよ、遠坂中尉。あと、あんまりゆっくりしてたら置いていきますよ?」「ほぅ…いい度胸ね…なら、速瀬達はゲート到着までに、私より弾数を残してなかったら、罰ゲームを受けて貰うわよ。…そうねぇ…貴女達の罰ゲームは…みんなの目の前で鳴海に『愛の告白』して貰うわよ?」「ええっ!!?」「ぐぬぬっ…相変わらず良い性格してますわね…。」遠坂中尉の罰ゲームの内容に少し怯む水月と遙すると… 「なら、明日香の罰ゲームはみんなの前で『今までフラれた話』をするのはどう?」「な゛あ゛っ!!?」「ナイス支援です、『牧村中尉』!!」 すると、突然同じ突撃前衛の『牧村薫中尉』の発言に驚愕する遠坂中尉「薫ッ!!いきなり何言うのよッ!!」「いや、賭けるからには同等なモノじゃないと不公平でしょ?だから二人の愛の告白に同等な賭けるモノったら、明日香の失恋話でしょう?」良い感じに笑顔で答える薫その腹黒い姿をモニターで見た水月は『この人やっぱり宗像や香月博士と同種ね…』と心の中で呟く「水月、前方10時方向に要撃級60が迫って来るよ!!」「任せてッ!!」装備を長刀に変更して、邪魔な要撃級を悉く斬り伏せる水月機 要撃級の先頭三体の首を切り落とし、後から続く要撃級の攻撃を回避し、低めの倒立反転で要撃級の背後に廻り、後方から次々と切り裂く。 その際、背後から来る要撃級を遙が担架に装備している突撃砲で撃退する。 「ナイス支援よ、遙」「ありがと、水月けど油断は禁物だよ。」「わかってるわ。」初めての実戦で上手く連携を決めていく水月と遙その後ろから、明日香と薫が要撃級を撃退した後、水月達と合流する。 「さあ、要撃級を全部倒した事だし、ゲートに向かうわよっ!!」「えっ!?もう全部倒したんですか!?」「そりゃあ倒すでしょう…私達だけじゃないんだから…。」「…涼宮…オレ達の事忘れてただろ…」「し、白銀中尉!?」既に要撃級を殲滅した事に驚く遙明日香の言葉の後に、タケルが続いて通信に参加する。 実は、水月達が奮戦していた時、タケル達第17大隊の突撃前衛達と第16大隊の崇宰隼人少佐率いる突撃前衛達が、残りの要撃級を撃退していた。 タケルに関しては、いつものように孝志と競い合いながら、要撃級を撃破していたもんだから、結果、瞬殺だった。 「ちぇ~。今回の勝負は引き分けか~…」「仕方ないッスよ。これだけ精鋭の突撃前衛達が居ますからね。しかも、五摂家まで居る豪華版二度と無いんじゃないですか?」「だな。」談話しながらも戦闘を続けながらゲートへと向かうタケルと孝志二人を先頭にして、次々と行く道を邪魔するBETAを殲滅する。 タケルは機動力を武器にして、孝志は長刀を二刀流にして最低限の戦闘をしながら前進する。 「----凄い…」「あれが…白銀中尉の実戦での戦い…」タケルの戦う姿を見て驚愕する遙と水月シミュレーター訓練の時とは違い、鋭い動きを見せる。無論、シミュレーター訓練とはいえ、本気で挑んでいるが、実戦でのタケルの戦いは、シミュレーター訓練時とは比べ物にならない程の強さを見せ付けていた。 「ヴァルキリー0から、ヴァルキリー5・ヴァルキリー・マム…どうだ、イグニス10の実戦での強さは?」すると、まりもから通信が入り、タケルの戦闘の感想を水月・遙に質問する。 「凄い……これ以外に言葉が見つかりません…。」「初めて白銀中尉の実戦を見ましたが…想像以上です。」二人の言葉を聞いて『そうか…』と呟くまりも「良いか、実戦とシミュレーター訓練との違い…それは、『背負うモノ』の違いだ。所詮、シミュレーター訓練と実戦では、天と地の差がある。そして、例えシミュレーター訓練で仲間を失っても、実際に死ぬ訳ではない…だが、実戦は違う。一度死ねば、そこで終わり、二度と会う事は出来ない。その為、衛士の背中にのしかかる『重責とプレッシャー』はシミュレーター訓練で体験する事は出来ない。一つ間違えば、仲間達を失う事に繋がる。」かつて---自分も体験した悲劇を語るまりも教え子に、そのような悲劇をさせまいと説明する。かつて--自分がまだ新米衛士だった事、大切な仲間達を失った。まだ少尉だった自分が中隊長に任命され、自分の背中にのしかかる重責とプレッシャーに潰されそうにもなった。仲間達の支えもあって、潰されずに済んだが『九-六作戦』では、自分以外の仲間達は全滅し、自分だけが助かった。その後、仲間達の犠牲をバネにして、大尉まで登りつめ、教導隊に所属してた自分に、香月博士からの教官の誘いが来て、帝国陸軍から国連軍に転属した。そんな自分の体験を告白し、教え子であるA-01や冥夜は沈黙する。「…勿論、他にも色々な要因はある…。だが、白銀中尉は過去に失った仲間達の意志を背負い、今お前達教え子や他の仲間達を『護る』為、様々な重圧を受けながらも戦ってるのだ…。」自分と重なるタケルを見て、その気持ちや強い理由を理解してるまりも「守れなかった仲間達の分まで生き抜いて---守れなかった仲間達の分まで戦い続け---守れなかった仲間達の分まで意志を受け継いで---自分にとって、大切なモノを『護る』為に戦ってるのだ。」「「「----ッ!!」」」「そんな『理由』を…『決意や覚悟』を持ってるからこそ、白銀中尉は強いのだ。だからこそ、シミュレーター訓練時なんかと違い、実力以上の強さを出せるのだ。」まりもの言葉により、タケルの強さを理解するA-01達… そして、タケルを目標としている水月や孝之の眼差しに変化の兆しが現れてくる。 「臆病でも構わない---勇敢だと言われなくてもいい。それでも何十年でも生き抜いて、ひとりでも多くの人を守って欲しい。そして、最後の最後に人としての強さを見せてくれれば、それで良いのよ」「神宮司大尉…」まりもの一言に一瞬、驚きはするが、それがまりもの『決意』と知るすると、みちるが会話に入って来る「忘れたのか、速瀬?我が隊規を言ってみろ。」「あ…」みちるの一言に思い出す水月同時に遙や孝之・慎二も思い出す「『死力を尽くして任務へあたれ生ある限り最善を尽くせ決して犬死にするな』」「そうだ、それが我々A-01の隊規であり…神宮司大尉から受け継いだ言葉だ。この言葉を決して忘れるな、心に深く刻んでおけ。」「ハッ!!」表情が変わる水月そして、遙達にもその言葉が伝わり、心に刻み込む。すると突然、遙の下に警報が鳴り響く「えっ…嘘…?ヴァルキリーマムから突入部隊全機へ!!目的地であるゲート付近から旅団規模のBETAが出現!!現在我々にめがけて進行中!!その数……五千!?」「「「「!!!?」」」」その圧倒的な数に驚愕し、一度足を止める突撃前衛部隊 「拙いな…一度本隊と合流する為、速度を落としつつ進行を再開する。本隊と合流した後、BETAとの戦闘を控えつつゲートへと突入する!!」「「「了解!!」」」突撃前衛部隊の隊長である隼人少佐が指示を出し、速度を抑えつつ進行を再開する。「伊織、なるべく合流するように速度を速めてくれこのままだと、旅団規模のBETAに巻き込まれる。」「わかった。出来る限り速度を速める。ヴァルキリー1・オーディン1・イグニス1済まないか、進行速度を上げるぞ!!」「「「了解!!」」」本隊の隊長である伊織少佐の指示に従い、速度を上げる各部隊。 突撃前衛部隊と合流した後、進行して来るBETA群を迂回しながらゲートへと向かうが--- 「チィ!!避けきれねぇっ!!」「突撃級は回避出来たが、要撃級や戦車級の群れがこっちへと向かって来るぞ!!」 可能な限りの速度でBETA群を回避しようと試みるが、どうしても回避しきれないでいたこのままでは戦闘は必至---各部隊、BETAとの戦闘に備え、武器を構えると---「各部隊戦闘に---」『此処は私達に任せてゲートへと迎えッ!!』「「「えっ!?」」」突如、タケル達の目の前には、帝国軍の不知火・改が単騎で迎撃する!! 「タケルッ!!早くゲートへと向かいなさい!!」「か、母さん!?」単騎で現れた機体--タケルの母・楓であった。 「タケルの進む道を…邪魔するなっ!!」タケル達突入部隊を護衛しながらBETAを次々と撃破していく楓その後すぐに、父・影行達率いる大隊・『銀の戦車』シルバーチャリオッツ隊が参戦する!! 「イグニス10、此処は我々に任せろ。突入部隊には毛程の傷も付けさせん!!」「親父…」「お前達の晴れ舞台の花道は、誰にも汚させん!!」「済まない…親父…ッ!!」タケル達突入部隊はそのままゲートへと向かい、影行達は突入部隊を護衛しながらゲートまで同行する『無事か、イグニス10』「アナタ達は…!?」『此処は我々に任せてくれ、あともう少ししたら、彩峰准将率いる帝都防衛軍が合流するから、此方の心配は無用だ。』「ありがとうございます…巌谷中佐」援軍の巌谷中佐率いる帝国軍戦術機甲連隊が参戦し、一気にBETA群を押し上げていく。 「ハアァァァァッ!!」縦横無尽に現れるBETA相手に怯まず、必殺でBETAを貫く楓の狙撃必要最低限の攻撃で最大限に生かし、要撃級は頭部に突撃砲二・三発打ち込み、戦車級は滑空砲や『120mm拡散砲』で殲滅する遠く離れてる場所に存在する数少ない要塞級も、滑空砲の射程距離ギリギリからの狙撃で仕留めていく!! タケル程ではないものの、機動力を生かした動きでBETAを翻弄し、BETA達の屍を築いていく。 「やれやれ…この『じゃじゃ馬』の手綱を引くのは本当に苦労するよ。」「影行さんっ!!…んもぅ…この歳で『じゃじゃ馬』は無いでしょう?」「しかし、他に言葉が見つからん。単騎で旅団規模のBETAを相手にするなんて、母さんと………タケルしか知らん。」「ちょと待てぃぃっ!!何時オレが旅団規模のBETAに単騎で突撃した!?」「『本土侵攻戦』で、光線級退治する際、単騎で挑んだんだろ?ならするさ。」「んがっ!?」父・影行の一言に何も言えないタケル楓も顔を真っ赤にしながらBETAを撃破していく。 「タケル---この戦いが終わったら、一緒に酒を飲むぞ」「酒は苦手なんだけどなぁ…まあ、親父の頼みなら仕方ないっか。」他愛もない会話をして、お互いに生き抜く事を約束するタケルと影行約束を交わした後すぐにタケル達突入部隊はゲートに突入成功する。 「さて…このゲートを絶対に死守するぞ!!突入部隊の後方は我々が守るのだ!!」『『「「了解!!」」』』巌谷中佐の号令に猛々しく答える影行達迫って来るBETA群を全力で反撃をする。あとがき---しばらくぶりです、騎士王です。今回はいつもよりちょいと少なめです、ご了承ください。m(_ _)m今回のオリジナルキャラクターのヴァルキリーズメンバー『遠坂明日香中尉』と『牧村薫中尉』の登場です。二人はみちると同期という設定です。同じ訓練兵時代を過ごした仲で突撃前衛にポジションしてます。二人は突撃前衛長ではありません。ヴァルキリーズは前回の戦闘で(光州作戦で重傷)突撃前衛長を不在、但し小隊長としては代理として薫が小隊長代理をしてる設定です。