1998年1月12日京都・帝都ーーーー 「着いたぞ、白銀」「ハア…予想はしてだけど…すげぇ」京都・帝都に到着したタケルと真耶仙台・第二帝都城で職務をしていた悠陽殿下の護衛をしながら京都・帝都城に帰ってきた その際、護衛の任を解かれ、今日は休日となった二人 そして今、到着した場所は『月詠邸』だった 「これでもか……ってぐらい…無駄にデカいな…」「失礼なそれに我が月詠家は五摂家に近い程位の高い名家なのだその存在を示す意味もあって、このように大きいのだ」「そっかぁ~…けど、一般人のオレには理解出来ないかも…」「仕方ない事だ貴様と頭の固い連中の考えでは、このように違うのだ」「はうあうあ~…オレ…ここの生活に慣れる事出来るのかな…」これからここが『住居』となる為、少し不安気味のタケル 緊張しながら月詠邸の中に入る 「ーーーーお帰りなさいませ、真耶様」待ち構えていたのは、真耶中尉の帰りを待っていた若い侍従玄関で我が主に頭を下げて礼をし、真耶中尉の荷物を持つ 「白銀、この者が我が家の侍従の『月島やちる』だこの家のわからない事があったら、聞くと良い」「あっ、ハイ白銀武です、これから御世話になりますオレの事は『白銀』でも『タケル』でも呼び捨てで結構ですよ」「わかりました、タケルさん呼び捨ては…ちょっと苦手なので『さん付け』しますね」お互いに軽い自己紹介をするタケルとやちる 「やちる、白銀の部屋の用意は出来たか?」「ハイ、ご要望通りに『一番狭い部屋』をご用意致しました」実は『住居』が決まった際、真耶に『デカくない部屋』を頼んでいたタケル 理由は簡単…『広過ぎたら落ち着かない』だそうだ「此方です、タケルさん」「うわぁ…」やちるの案内に着いて行くタケルと真耶すると『タタミ30畳程』の広い部屋に到着する 「…ここ…広いね…」「これでも一番『小さい部屋』ですよ?真耶様の部屋なんて『50畳』はありますよ?」「こ、コラやちるっ!?」真耶の部屋の大きさを暴露するやちる思わず慌ててしまう真耶 「ゴホン…白銀、貴様の身分が先程決まったぞ」「ハイ」「貴様は明日から『帝国斯衛軍第17大隊』の第1中隊に所属される事になった階級は中尉、貴様の中隊の隊長は大隊の隊長でもある『九條椿少佐』だ名前から聞いてわかる通り、九條様は五摂家の一人だ21歳という若いでありながらも、少佐になった御方だ、失礼の無いようにするのだぞ」「ハッ!!」タケルの身分と所属が公開されるそれに伴い、注意事項を説明されて、真耶に敬礼するタケル 「そうだ…先程光州作戦の報が入ってな…現在退却戦に異常は無しだそうだ」「ありがとうございます」光州作戦の報告を教えてもらい、少しホッとするタケル 「さてと…これから一休みをしたら街を案内するが、何処に寄りたい?」「まずは…服が欲しいな…」現在着ている斯衛軍の軍服以外には、この世界に渡った時の白陵学園の制服しか無い為、衣服が欲しかったタケル「そうだな…わかった、連れてってやる」「ありがとうございます」真耶に服屋に案内してもらう事に感謝する「ヤレヤレ…私は『赤』の家系だぞ?その私に『運転手』をさせるのは貴様ぐらいだぞ?」「アレ、家の運転手って居ないんですか?」「…一応居るが、既に出てるそれに…私は自分で運転したい性分でな…よほどの事で無い限り、運転手を使わん」「成る程…」『あはは~…』と苦笑いしながら複雑な気持ちになるタケル それから小休止をした後に街へ買い物に向かうタケルと真耶 「ふぅ…結構買ったなぁ…」服や下着を大量に購入したタケル『給料入ったら返します』という事で真耶中尉の支払いになった (うーん…カッコワリィな…今度お礼の品でも買っておくか…)ちょっとお礼をしようと考えていたタケルだが、後に騒ぎになる事はまだ知らない 「随分と早い買い物だな…量の割りには一時間以内とは…」「…俺からしたら、女性が時間かけ過ぎです…ひとつの買い物に数時間って…良くそんな長い時間かけれますね…?」『そうか?』と返答する真耶に軽く溜め息を吐くタケル 『アラ、貴女は月詠真耶中尉?』「えっ……貴女様はッ!?」すると、背後から声を掛けられ振り向くと、長い黒髪をした綺麗な女性がいた 「これは『九條様』!!!気がつかなくてスミマセンでしたっ!!」「良いのよ、今日は休日で暫く振りのプライベートを楽しんでるのだから」ビシッと敬礼する真耶タケルも慌てて敬礼するが、その姿を見られてクスクス笑う九條 「君は…確か白銀武中尉ね私は貴方の上官になる、帝国斯衛軍第17大隊所属の『九條椿少佐』よ私の中隊に入るとは…ついて無いわね♪」「ハッ?」いきなり『運が無い』と言われてポカンとするタケル 「私の中隊の副隊長はね…私の妹に当たる『九條沙耶大尉』が居るの沙耶は規律に厳しいから大変よ」「丁度良い機会だ、白銀…その貴様の『馴れ馴れしい』性格を直して貰うと良い」「酷っ!?」真耶にいじくられるタケルその姿を見て再びクスクスと笑う椿「白銀中尉、貴方の事は聞いてるわ特殊任務で極東国連軍と帝国軍の共同開発計画に参加してると聞いてますそして衛士としても優秀で、あの『極東の魔女』とまで呼ばれてる香月夕呼博士に『天才衛士』と呼ばれてるみたいですね」「め、滅相も御座いませんっ!?」なんかベタ誉めされてる事に戸惑うタケル心の中で『先生の仕業だな…』と悟る 「ところで……白銀中尉」「なっ、なんでしょうか!?」ジロジロと椿に見られて戸惑うタケル 「貴方…………………月詠真耶中尉の……『彼氏』?それとも『婚約者』?」「「………………………………………………………………………ハイ?」」椿の質問にフリーズするタケルと真耶 そして、早くに復活するタケル「ななななななな…………なんですか、イキナリッ!?」「えっ?だって、月詠真耶中尉の家に『同棲』してるのでしょう?『彼氏』とか『婚約者』って噂が我が大隊の中で広まってますよ?」「だだだ…誰から聞きました?」復活した真耶が椿に質問するとーーーー 「私は沙耶からだけど…噂を流したのは誰かは知らないわ」「…間違い無く先生だ……」噂を流した人物を断定したタケルタケルの頭の中では、香月博士がステキな笑みを浮かべながら親指をビシッと立ててる姿を想像する そして、後に犯人が誰か分かったが、タケルの予想通り香月博士が噂を流した張本人だったりする「アラ、違うの?」「違います……ただの居候です」「残念だなぁ…明日白銀中尉の『お祝い』の為に買い物したのに……」「ええっ!?」椿の一言に驚愕するタケルと真耶 『冗談よ冗談♪』と二人をからかう椿「とりあえず私はこれから買い物の続きがあるからお邪魔するわ明日から頑張りましょう、白銀中尉」「ハ、ハイ…」手を振りながら椿と別れるタケル達… 「月詠中尉…帰りませんか……?」「……………そうだな…帰ろう」車に乗って月詠邸に帰る二人…家に帰ってからも、ずーん…と落ち込んでいた二人だった…「お帰りなさい…………どうなさいましたか、お二方?」玄関で二人の帰りを迎えるやちるだが、うなだれてるタケルと真耶の姿を見て『どうしたのかしら?』と首を横に傾げる 「違う意味で疲れた……」「ああ……そうだな…」先程の『婚約者事件』でどっと疲れが襲ってきた二人 「白銀…貴様が香月博士の事を言った意味が…今になって……よ~くわかったぞ…」「そうですか……けどまだ甘いですよ…このまま終わらせる先生な訳が無いですから…」「……………………………そうか…」ガクリと力が抜ける真耶その身をもって、香月博士の『イタズラ』の恐ろしさを理解する 「白銀…心の底から尊敬する…このような事を毎度被害にあっても、香月博士に着いて行ける貴様を凄いと思う…」「ハハハ…慣れましたから…ハァ…」深い溜め息を吐くタケル事情を知らないやちるは『何の事でしょうか…?』と益々困惑する 「月詠中尉、スミマセンが電話を貸して下さい」「ん…良いが、何処にかけるのだ?」「自分ちですよ多分純夏とか親が心配してるだろうし……先生からも許可は貰ってますから大丈夫ですよ」「む…そうか、わかったやちる、電話の場所まで案内してやってくれ」「わかりましたささっ、此方ですタケルさん」やちるに電話機の場所まで案内して貰う 「ありがとうございます、やちるさん」「はい、それではごゆっくり…」電話機の場所まで案内すると、真耶の場所まで戻るやちる 「さてと…」ポチポチと自分の家の番号を押していくタケル… するとーーー 『…モシモシ………』「純夏か?」『タケルちゃん!?今何処に居るのっ!?』受話器を取ったのは純夏で、タケルの声を聴いた途端元気が出て来る 「今京都の帝都だ」『え、ええぇぇぇっ!?な…なんでまた京都に……?』「いや、ちょっと厄介事に巻き込まれてな…その際、斯衛軍の人に助けられたんだ」『嘘は言ってないぞ…』と心の中で呟くタケル…けどやはり、純夏に対して罪悪感があった 『もっ、もう大丈夫なの…?』「大丈夫だけど、ちょっと機密事項の事知ってしまったから、そのまま斯衛軍に入隊する事になっちまった」『ええぇぇぇっ!?けどタケルちゃんまだ16歳になってないじゃん!?』「まあな、だから訓練兵として学んでから斯衛軍に入る事になってるんだだから、暫くは帰れないんだ」『そ、そんなぁ…』帰れない事が知ると、テンションが下がる純夏 「安心しろって…任務とかで近くへ来たら、寄るからよ」『…うん、手紙や電話も頂戴ね…』「わかった、だから元気だせよ、元気無い純夏なんて『純夏らしく無い』ぞ?」『…うんっ!!』少し元気を取り戻した純夏にホッとするタケル 「そういえば、オヤジ達は俺が居なくなった事知ってるのか?」『うん…知ってるよおばさんなんて、凄い心配してたよ?』「そうか…それで、オヤジと母さんは今何処に?」『今は基地の『帝国陸軍白陵基地』に戻ってるよ?』「白陵基地に?(オヤジ達…帝国軍だったのか…)」純夏から重要な情報を得て、少し考えるタケル 「そうか…わかったオヤジ達にはオレが元気にしてる事言ってくれな」『うん、わかったよ…元気でね、タケルちゃん』「ああ、純夏もな」受話器を置いて電話を切るタケルそして、直ぐに電話をかけ直す 『こちら『帝国陸軍白陵基地』ですが…』「スミマセン、そちらにいる香月博士に連絡をしたいのですが…」『お名前を教えて下さい』「帝国斯衛軍の白銀武中尉です」『わかりました、暫くお待ち下さい』帝国陸軍白陵基地に居る香月博士に連絡を入れるタケル… すると、香月博士に電話が繋がる『モシモシ、何の用?』「先生、スミマセンが…」タケルは香月博士に事情を話す… 『成る程…アンタの両親がこの基地に所属してるのね…』「ハイ…それで先生に話が有るんですけど…」『何?』「オヤジ達に『説明』してくれませんか…?」『…成る程…そういう事ね…』タケルの言いたい事を悟る香月博士 『確かにこのままでいたら怪しまれるし、アンタに逢っても怪しまれる…会っても会わなくても何かしらと厄介事になる可能性があるか…』「ハイ、ですから…オヤジ達には説明して欲しいんです」『…それは『此方側』に入れるって事よね…?』「…ハイ」言葉を重くしながらも返答を返すタケル 『…そうね、今は不安要素を増やしたくは無いわ…こちらから説明しておくけど…その時はアンタも立ち会いなさいじゃないと説明が出来ないわあと、アンタの戸籍だけど、アンタの生まれた年数と年齢を改竄しておいたわ勿論、城内省のデータベースも殿下に頼んで、改竄したわ』「わかりましたありがとうございます、先生」礼を言うタケルだが、『その代わり、借り一つよ?』と不安な一言を言う香月博士 「そういえば…先生…まだ変な噂流しましたね…」『フフフッ…何の事かしらねぇ~♪』『このあくまめっ!!』と心の中で叫ぶタケル しかし、そんな心の叫びは届かないまま『ぢゃあねぇ~♪』と通話を切られる 「………先生め」静かに受話器を置くタケル… 「終わったようだな」「あ、ありがとうございます」すると、私服に着替えた真耶が近づいて来た「これから食事になるから、着替えたら来ると良い」「わかりました」先程教えて貰った部屋に移動して、買ったばかりの私服に着替えるタケル 「これからだな…頑張るぞっ!!」窓から見える夕陽に決意を決めるタケルだった…