1998年・8月未明琵琶湖運河-- 『ジョリーロジャース1より各機へ現在京都では、インペリアルロイヤルガードを中心に京都防衛線にて防衛中だ。我々は敵側面を強襲、民間人の避難の時間稼ぎを行う。』『『『ラジャー!!』』』琵琶湖運河を進軍する戦術機母艦セオドラ・ルーズヴェルトの甲板上に、アメリカ海軍の精鋭部隊・ジョリーロジャース隊が姿を現し、夜がまだ暗い中、出撃する。 『俺達が着くまでにジャップ達生き残ってるのか?』『なにやら新型の戦術機を開発したらしいわよ?確か…『タイプ98シラヌイ・カスタム』とか言ったかしら…?』『へぇ~…使えるのかい、その戦術機?』『さあ?』と答える女性衛士それに対し、下品な笑い声で不知火・改を侮辱する男性衛士達。 『呑気な話は其処までだ。--そろそろ戦場に到着するぞっ!!』隊長に注意を言われ、笑い声は止まり、『衛士』としての顔になる。---そして彼等は目撃する。彼等が侮辱していた日本の衛士達の強さを-- 不知火・改の性能を見て、絶句する。 『---これは夢…なのか?』ポツリと隊長が口を漏らす。しかし、目の前で繰り広げられてるのは、自分達より遥か上を行く戦術機の技術見た事の無いアクロバットな機動を行い、目の前のBETA達を殲滅する姿は、ゾクリとする程勇ましく、実用的な戦い方だった。 自分達とは全く異なる戦い方を見て、ジョリーロジャース隊達は唖然とするしかなかった。 『な…なんだよ、この動き…本当にジャップ達の動きなのか?』『F-4Jですら、あの動き…我々のF-14D(トムキャット)すら上回ると言うのかっ!?』先程の侮辱してた時とは違い、その高い戦術機機動を見て、自分達の日本人に対する考えが、木っ端微塵に打ち砕かれる。そして--- 『な、なんだあの戦術機は!?』『あれはタイプ94…いや違う…』そこで見たモノは、激戦地で縦横無尽に舞う戦術機不知火とは違う似た機体を見て、ふと気付く。 『あれがタイプ98…シラヌイ・カスタム…!!』その一言で全機が沈黙する。先程使い物になるのかと莫迦にしていた自分達が恥ずかしくなる程高性能で、『自分達の搭乗するF-14Dでは足元に及ばないのでは?』とまで、見てわかる程だった。その中、白銀に輝く不知火・改を見て、更に驚愕する。 『ウソだろ…ウソだと言ってくれよ…光線級がレーザー照射をしてるのに関わらす…すべてかわして、大空を飛んでやがる…』光線級のレーザー照射をすべて回避し、光線級達を殲滅する白銀の不知火・改開いた口が塞がらずに、唖然としていた。 『馬鹿野郎ッ!!ボケッとしてないで、戦闘に集中しやがれっ!!』『『『ラ、ラジャー!!』』』隊長に怒鳴られ、戦闘に集中するジョリーロジャース隊 (…我々は日本という国を見誤っていた…日本は弱小国では無い…我等が考えてる以上に技術が進化している!!)先程まで日本に暴言を言っていた自分達が恥ずかしく思い、同時に日本に対する考えを改めている隊長 (もしかすると…この防衛戦…勝てるかも知れない…)そして、この日京都防衛線は、最後まで持ちこたえ、京都帝都城を防衛する事に成功する。 しかし、同時にこの数日後、米国は日本から全軍撤退し、日米安保条約を一方的に破棄する事になる。 その最大の理由は--佐渡島が陥落し、佐渡島ハイヴが建設された事が理由だった。タケル達が重慶ハイヴから来るBETA達と戦ってた時、鉄原ハイヴから進軍して来たBETA達が佐渡島を落とし、ハイヴを建設したのだ。 重慶ハイヴのBETA群程ではないにしろ、数万規模のBETA群により、佐渡島は善戦虚しく敗北し、撤退するしかなかった そしてその事から、京都帝都城を一度離れ、仙台の第二帝都に移る事を決定する。 そして、同時に政威大将軍としての『復権』を宣言し、より一丸と結束力を強める事になる。1998年・8月10日仙台・第二帝都城---「…これで先に進む事になりましたね…」「ハイ、殿下の復権に伴い、御剣の『身代わり』の件も解決しました。後は、横浜での戦いにどれだけBETA群を削る事が出来るか…これで『明星作戦』の成否に関わります」謁見の間にて、悠陽殿下を始めとして、紅蓮大将・神野大将・斉御司大佐の他に、香月博士が密談していた。 予定より早く、冥夜の『身代わり』の件は解決し、身分も『御剣』のままだが、事実上『煌武院悠陽の双子の妹』と名乗る事が出来るのだ。勿論、契約上将軍職にはなる事は出来ないが、衛士として戦う事は出来るのだ。 「しかし…冥夜の件は良いのですが…明星作戦時に、G弾を撃ち込まれるのは…気分的にも良い感じはしません」「其方の件に関しては…此方にお任せを…それより殿下…例の『一夫多妻制』の法案については…?」「えっ…?そちらなら、問題無く何時でも改正する事が出来ますわ、ただ、このような時でしたから、出来なかったのですが…」「なら、今が丁度良い時期でしょう直ぐに改正しましょう。」ウキウキ気分の香月博士だが、何故か複雑そうな顔の悠陽殿下 「どうか致しましたか、殿下?」「…実は、一夫多妻制に改正する事自体は問題無いのですが…改正するには『条件』がありまして…」「条件?」「改正と同時に誰かを『複数婚』をしないといけないのです。つまり、タケル様を『婿』として結婚させるならば…私や冥夜はまだ16才を迎えて無い為、『結婚が出来ない』のです。」「ああ~…そういう事ですか…」納得する香月博士悠陽殿下の考えでは、一夫多妻制の初の夫婦としては『自分や冥夜を含めて、タケルと婚儀する事』だったのだが、改正の条件として、誰かを複数婚をさせる事に成ったのだ しかし、自分や冥夜はまだ結婚が可能になる16才には至っておらず、泣く泣く来年の16才の誕生日辺りを狙おうと考えてたのだ。 そして、出た結論は-- 「我慢して下さい、殿下すべては白銀の為です。」ガーン!!と衝撃を受ける悠陽殿下『そんな…』と落ち込む殿下を慰める紅蓮大将 「何故其処までして、一夫多妻制を急がれるのですか…?」「--実は…」理由を述べる香月博士その内容に驚愕し、何故其処まで『白銀ハーレム計画』に力を入れるかを知る。 「…そうでしたか…てっきりワシは香月博士のイタズラかと思ってました…」「同じ意見じゃ」「…さすがにへこむわね…」斉御司大佐と神野大将の一言に、さすがにへこむ香月博士。「致し方ありません。タケル様に関わる事でしたら…我慢するしか無いのですね…」「その代わりに、『許嫁』とか『婚約者』と名乗ってはどうでしょうか?」「まあ…香月博士ったら…(ポッ)」「一応、此度の戦いが終わった後辺りにでも改正しましょう。幸い、結婚可能な者が『二人』がいますし、丁度良いかと」『でびるふぇいす』になる香月博士『二人』について心当たりがある紅蓮大将は、二人に対して、同情するしかなかった。