1998年・7月7日--- 北九州沿岸部周辺---『来たぞッ!!BETAだっ!!各自陣形を保ちながら防衛せよッ!!』『『『了解!!』』』海中から醜い姿を現すBETA。出た瞬間に帝国軍の一斉射撃が始まり、辺り周辺の海は、夥しくBETAの肉片が浮かび、血が混ざり、澄み切った海が毒々しく広がる。 上陸する要撃級や小型種は、帝国軍の放つ弾幕の餌食となり、残骸の壁が築かれていく。タケル達が斑鳩少佐達にいぢくられてたその日--重慶ハイヴに動きがあり、『東進』して来たとの報告が入った。朝鮮半島を渡り、そのまま海中から日本へと進行し、7日早朝に上陸した。『隊長、突撃級が現れて来ました!!』『各自突撃級に備えて、防衛せよッ!!今こそXM3の力を見せつけてやるんだッ!!』『『『了解!!』』』突撃級が海中から現れて全速力で進行する突進攻撃に備え、ある程度後退してから突撃級を待つ。 『今だッ!!突撃級の背後に回り込み、攻撃せよッ!!』『『『了解!!』』』帝国軍の第弐小隊--突撃前衛達が突撃級の背後に回り込み、攻撃を開始する。ある者は突撃砲で葬り、ある者は長刀や短刀で切り裂く 支援砲撃の雨の中、果敢にも、我が故郷・我が祖国を守護せんと奮戦する者達の姿を見て、他の者達も奮い立ち、それに応える。 同時刻・仙台---『香月博士、北九州沿岸部周辺でBETAとの戦闘が開始されました!!』「そう…遂に来たわね。」既に仙台まで避難して来た香月博士。『前回の世界』より、早めに仙台に避難して来た。 (念には念を入れないとね…。前回と同じように歴史が進むとは限らないわ…)『想定外』の事態に備えて、事前に先手を打っていた香月博士。そして万が一に備え、A-01や白銀夫妻のいる帝国軍第6大隊を出撃させずに、そばに置いていた。『香月博士、今正門前に博士宛ての『来客』が来てますが…?』「ハァ?こんな時に来客ですって?」突然の来客の訪問に唖然とする香月博士。 「誰よ、ソイツ?」『ええ…と、月詠家侍従の月島やちるという者です。なんでも白銀中尉からの預かり物を『鑑』という者に渡したいとか…』「月島やちる…ああ~…思い出したわ。白銀から鑑に渡し物…?まあいいわ、今鑑を連れて其方に向かうと伝えておいて頂戴。」『ハッ!!』伝令が敬礼して立ち去った後、通信を入れる。 「ああ、私よ。済まないけど鑑を私の所に連れて来て頂戴。その際護衛に白銀影行大尉と白銀楓中尉を付けてあと、私も正門前に向かうから、まりもを護衛に呼んで頂戴」ガチャリと受話器を置き、通信を切るそして、純夏・白銀夫妻・まりもが到着すると、説明をしてから正門前に向かう。 「しばらくぶりね。」「ハイ、しばらくぶりです、香月様そして鑑様、こちらがタケルさんからの『預かり物』で御座います。」「タケルちゃんからの…?」やちるから紙袋を貰い、封を開けると--- 『サンタウサギと純夏人形』が入っていた「えっ…サンタウサギと私の姿した人形…?」「誕生日プレゼントで御座います。…本来ならば、タケルさんから渡す予定でしたが…この様な緊急時になりまして、私がタケルさんから預かった物です不器用ながらも、タケルさんが手造りで作った人形で御座いますよ。」「タケルちゃんが…!!」ギュッと強く抱き締めながら感涙する純夏。まさか、タケルが手造りで人形を作るとは思わず、驚きながらも感動する「そうだっ!!タケルちゃんはっ!?」「……京都に残り、帝都防衛戦に参加すると聞いてます。」「そんな---」人形を貰い、感動する純夏だが、タケルが戦闘に参加すると聞いた瞬間、表情が曇り、不安感が襲ってくる。「---信じて待つのよ、純夏ちゃん」「おばさん…」「タケルは生きて帰ってくるわ…」純夏の肩に手を乗せて、説得する楓そして、純夏の肩に乗せた楓の手が小さく震えてた事を知り、コクリと首を縦に頷く「……うん、タケルちゃんが帰ってくるの…信じて待つよ…」「ありがとう…純夏ちゃん…」『信じる』と語った純夏に抱きつき、感謝する楓そんな姿を見守る影行と、無言でタケルを信じて待つ香月博士… (…白銀、死ぬんじゃないわよ…)京都の方向の空を見て、心の中で呟いていた… 数時間後・京都帝都城---- 『北九州沿岸部から侵攻して来たBETAが着々と進行しています!!北九州沿岸部に防衛に出撃している戦力は、未だに約八割以上が生存しています!!現在、光線級の確認は無し。しかし、現在要塞級が50を超える数が上陸しています!!』「…上陸して数時間経った現在で生存数が八割以上…もし、XM3が無かったら、ゾッとしたわね…」北九州沿岸部の状態を聞き、冷静に判断する椿。現在帝国軍・斯衛軍・極東国連軍に搭載したXM3は、約七・八割程度そして、主に九州・四国・本州・京都帝都城・白陵基地の五ヶ所にXM3搭載機を配置していた。 その結果、北九州沿岸部の生存数が約八割以上…『もしも、旧OSのままだったら…』の事を考えると、背筋がゾクリと悪寒が走る。しかし現在油断は出来ない状況戦いは始まったばかりだからだ---!! 「…………」無言で報告を聞くタケル。今は『その時』が来るまで、静かに身体を休める。 「タケルさん…タケルさんは怖くはないんですか…?」少し緊張する駿が、タケルに語ってくる緊張する駿の姿を見て、話し相手になる。「そりゃ怖いさ。…けど、それ以上に大切な人達や仲間達を失う方が怖い…だから、気合いを入れて戦うのさ。」「凄いや…タケルさん。」「駿だって、居るだろ?そういう人達は…」「ハイ、一応は…」『ハハハッ…』と苦笑いをする駿。「…元々ひ弱な僕を、勘当当然で親が入れたもので…」「…それはそれで凄い気はするが…」「…だから、『大事』な人達は居るんですけど、僕を『大事』とする人は、隊以外には居ないんです。ハハッ…情けない話…ですよね………ってイテテテッ!!?」しゅ-ん…と暗くなる駿だが、タケルが気合い(暴力という名の)を入れ直す。 「気合い注入だ、感謝しやがれあと莫迦な事言うな、隊以外にだって、お前の事大事に思う奴は居るだろうに。以前真那さん言ってただろ、『紅蓮大将や神野大将が絶賛してた』って。そういう風に評価しくれるって事は大事に思ってくれてると思うぞ?」落ち込む駿を説得するタケルそんな優しいタケルを見て、駿は『タケルさぁ~ん…!!』感動する。(それに親御さんだって…)タケルは知っている--- 以前、沙耶から聞いた話だが、駿の親御さんが、時折帝都城正門前近くでうろついてた所、椿と沙耶に見つかり話しを聞いた所、駿が大層心配でうろついてたそうだ。 (純夏にちゃんと、プレゼント渡ったかな…)今一番心配する相手、純夏の心配をするタケル純夏を守る意味でも--守り抜かねばならない。 (今度は絶対に---BETAから守ってやるからな…!!)掌をギュッと握り締めて、決意を固めるタケルだった…