「そういえば…『不知火・改』が正式名称なんですか?」「一応決定はしてないけど、ほぼ決まりよ。やっぱり不知火は『不知火』で良いのよ」「なんつ~…適当な理由で…」香月博士の適当な理由にタケルは呆れながら突っ込みを入れる。 『一応、『飛燕』とか『剣舞』とか『火群』とかあったけど、パッとしないから却下したわ』と事実を追加する香月博士。「現在、不知火・改は帝国軍だけではなく、斯衛軍の主力戦術機の一つとして考えてます。現在、開発中の武御雷は素晴らしい性能ですが、整備性を度外視した機体な為、国外での運用は困難な問題と、ケタ違いのコストの高さ故に、年間30機程度という問題で、全ての斯衛軍には渡らないのが現実です。そこで、そのカバーとして、不知火・改を導入する事で、斯衛軍の戦力の底上げにも繋がると考えてます。不知火・改のコストは、まだ不知火よりは、高めですが、それでもまだ現実的なコストです。そしてこれにより、斯衛軍の国外での運用は可能となり、尚且つ整備にも困らないという利点もありますので、わざわざ斯衛軍から帝国軍に転属して、大陸で戦う…という事もしないで済みますので、場合によっては、戦力を維持したまま大陸で戦う事も可能です。」エルヴィンの説明を聞いて、唸る巌谷中佐。確かにそうすれば、戦力の分散や慣れない衛士達とのチームプレーの心配は無くなる。 「…確かに良い話だが、もし不知火・改を作るとして、年間どれだけ製作出来るのだ?」「…確かに、武御雷に比べれば多いですが、一から作るのであれば、年間200機~300機程度ですが、現存する不知火を改造するならば、一から作るよりは、早く終わります。」紅蓮大将の質問にエルヴィンは大凡な答えを出し、紅蓮大将を納得させる。 そんな事で、不知火・改の題だけで三時間をも時間を使い、とりあえず不知火・改の会話を終了するその後、新兵器の電磁投射砲の開発状況を香月博士が公開すると、全員が驚愕し、唖然とする そして--- 「あと---現在、まだ開発は行ってませんが…新しい戦術機の開発を考えてます」「新しい…戦術機?」「ハイ、正確に言うならば、『特別機』です。今は--白銀専用機の『対ハイヴ突入機』と考えてくれれば良いと思います。」「えっ!?オレ専用機!?」突然の発言に全員がどよめきだす。当のタケルや、同じ所属のエルヴィンすら知らない事だった。 「これは、いずれ来るであろう『オリジナルハイヴ攻略』を目的とした考えで、その際…白銀はハイヴに突入する予定です。」「「「----ッ!!」」」『オリジナルハイヴ攻略』の言葉に驚愕するエルヴィン・紅蓮・巌谷の三人タケルはこの時『オルタネイティヴ4関連』の事だと悟る。 「この計画は、私が進めている、オルタネイティヴ4計画に関わっており、尚且つ白銀はこの計画に深く関わっている者。そして、その計画の完遂には『オリジナルハイヴ攻略成功』に関わってるのです。その際、白銀の存在は絶対不可欠であり、その白銀の完全な『全力機動』を操るには…戦術機を新開発をする必要があります。」「ど、どういう事かね!?先程の不知火・改はその為に創ったのでは無いのかね?」香月博士の発言を聞き、巌谷中佐が疑問をぶつける。 すると、香月博士は白銀の隣まで近づき、説明する。 「…実は、不知火・改を開発してる最中に判明した事ですが…現在、白銀の衛士としての成長は急上昇してます。これも、紅蓮大将や神野大将を始め、巌谷中佐や五摂家の御子息達のおかげで急上昇してます…異常な程にね……このままだど、数年後には、白銀の全力機動に耐えられる戦術機は…無いのかも知れません。」その言葉を聞き、全員が絶句する。当のタケルや、発言している香月博士すら、驚いているのだ。「今は不知火・改や、後々完成する武御雷でも構いませんが…少なくとも、現在は瑞鶴・撃震の二機はもう白銀の全力機動を出す事は無理でしょう…出せば…機体が壊れる危険性が高いからです。」「それって、元々の問題の関節部の蓄積の問題なんですか…?」「そんな生易しいモノじゃ無いわ。確かにXM3を搭載し、紅蓮大将や神野大将のおかげで、機体に溜まる蓄積ダメージは減っている。けど同時に、撃震や瑞鶴では、最早白銀の操縦に追いつけないでいるの…無理に全力機動を行えば、機体が破損する可能性がある…それ故に、白銀には『特別機』を創る必要が出て来たって訳しかも…武御雷や不知火・改を『超える機体』をね…」最早誰一人言葉を発する者は居なくなり、口をパクパクとする。 「現在はまだ取りかかってませんが、今度の機体は、白銀に合った機体、『機動力に特化した機体』を目的として製作したいと思います。勿論、接近戦闘などの方も忘れてません…そこで今回、不知火・改が完成し、ロールアウトした際は、『特別機製作』に開発を進めたいと思います。」香月博士の発言に全員が度肝を抜かれ、とりあえず『特別機』の開発に関しては、保留にするという事で、今回の会議は終了した… そして、未だ尚、会議室にはタケルと香月博士と紅蓮大将の三人が残っていた。 「いやはや…まさか白銀専用機とは…流石に度肝を抜かれましたな…」「けど、先程の話は真実。実は、この事は『前の世界』でも、それらしいデータは有ったの。その際は、バグだと思ってたけど…今回の世界で、それがハッキリわかりました。コレを無視すれば、オルタネイティヴ4に影響が出て来るかも知れません…今の内に、手を打つ事が最善かと思います。」紅蓮大将と香月博士のやりとりを聞きながら唖然としているタケル…未だに自分に『特別機』が与えられる予定な事に戸惑いを隠せないでいた。 「あっ、早々、白銀速瀬達が『総戦技演習』をクリアしたわ。勿論涼宮に怪我は無し、無事に事を進めたわ。この調子でいけば、『本土上陸』が終わった後…大体早くても10月ぐらいには『解隊式』を迎えるわ。そして…次は宗像・鑑と…クリスカ・イーニァにも訓練兵として受けて貰うわ。」「クリスカとイーニァもですか!?」涼宮遙の事故を回避した事に安堵するタケルだが、その後の次期訓練兵のメンバーにクリスカ・イーニァが入ってた為、驚く。 香月博士の話によると、『戦術機の訓練は受けてるけど、まだ体力的に問題あるから、一度訓練兵で鍛えた方が良いわその方が鑑の『護衛』にもなるし…』…らしい そして--- 「あっ、そうだ。今度恋愛原子核を大爆発する時は、まりもも参加させなさいよ?このままだどまりも、誰とも結ばれる事が出来ないから、既成事実作ってまりもを嫁に貰いなさい。」最後の最後でとんでもない発言にズッコけるタケルと紅蓮大将だった…。