1998年・1月9日「モグモグ……イチチッ…」目が覚め、すっかり『朝・昼飯兼晩ご飯』になってしまったタケル 傷がチクチク痛みを感じながらも根性で食べる「すっかり外が暗くなってやがる…オレ…鈍ってるのかな…」ちょっと不甲斐ない自分に反省するタケル身体を鍛え直そうと考えたりする (けど…1998年って事は…『光州作戦』や佐渡島や横浜にハイヴを建設した年だよな…)モグモグと食事しながら考えこむタケル(つー事は、この時はまだオレや純夏は無事に柊町で暮らしてるんだよな…)この時『まだ生きてる自分や鑑純夏』を心配するが、『何か良い手無いかなぁ~…』と脳をフル回転させる (…やっぱり『先生』に逢わないと始まらないか…悠陽に頼んでみるか…)『歴史を変える』には『香月夕呼』という人物が必要だと考えを改めて思う すると、丁度食事が終わると同時にドアからノックする音が聞こえて来る「ハイ、どちら様ですか?」「私だ」すると真耶中尉が部屋に入って来た 「随分と寝坊助だな、もう晩だぞ?」「グッ…面目無いです…」反論が出来ないでいるタケルを見てクスリと笑う真耶中尉 「さて、今夜は殿下と斉御司様と密会をしてもらう良かったな、白銀まだ眠っていたら『拳』が飛んでいたかも知れぬぞ?」「アハハハ…」冗談には見えなかったタケルは苦笑いをしながら嫌な冷や汗をダラダラと滝のように流す… 「斉御司様には、一通りの話はした勿論斉御司様は『半信半疑』で聞いてたがな」「…『半信半疑』って事は『少し』は『信じた』って事ですよね…?」タケルの問に『ああ、そうだ』と返答が帰って来る 「まず白銀の話の内容だが…『嘘』にしては、内容が『突拍子過ぎる』『嘘』をつくならば、もっと上手い『嘘』をつく次に『妄言』の可能性だが…『妄言』を言う奴が『俺を殴って下さい』などと言うのも変だしな…それに『妄言』にしては内容が弱いそれに話の内容も『出来事と結果だけ』で『中身』を喋ってない…これは『機密情報を隠蔽』を意味する事から『真実味』が有ると私は思う…ついでに言えば、白銀がスパイや暗殺者の可能性も皆無もし、白銀がスパイや暗殺者の類いならば…貴様はどうしようも無い程の『莫迦でマヌケな奴』だ…故にこの案も消える」「……なんか酷い言われようですね…」素直に喜べないでいるタケルを見て『良かったな、死罪は免れたぞ?』と冗談を言う真耶中尉 「それに我々の目の前で『光と共に現れる』のだ…普通に考えれば有り得ない出来事だ『未来から来ました』なんて事を言えば『多少』は信じてしまうぞ?」「なんか複雑な気持ちですね…」真耶中尉の説明を聞いて、だんだん落ち込んで来るタケル 「その真意を知る為に今回の密談が有るのだお二方に信用して貰うかは白銀次第だ」「ハイ、わかりました…」真耶中尉の言葉を聞き、覚悟を決めるタケルその真っ直ぐなタケルの表情を見て、『フッ…』と笑みを浮かべる真耶中尉… 「さて、話も此処までだいい加減、服を着替えるんだ」「服って……………………まさか…コレデスカ?」ベットから離れた場所の小さな机の上に『斯衛軍の軍服(黒)』が用意されていた「他に服が有るか?」「ソウデスヨネー…」仕方無しに服を着替えると…… 「グハッ……似合わねー…」鏡を見て素直な感想を言うタケル 「『馬子にも衣装』だな」「んがっ!?」真耶中尉の一言にショックを受けるタケル 「ホラ、さっさと行くぞっ!!」そのままタケルの腕を掴み、悠陽殿下達の居る部屋へと向かって行った…部屋を出て十数分後…殿下達が待つ部屋の前に到着するタケル達「ここだ、失礼無いようにな」「ハイ」「では行くぞ…失礼します殿下、月詠真那中尉只今参りました」頭を下げながら入室するタケル達中では、殿下と斉御司大佐が待っていた 「ご苦労様です、真耶さんようこそいらっしゃいました、『タケル様』」「…………?」なんとなく悠陽殿下のセリフに違和感を感じるタケル 「此方に居る御方が、五摂家の一人である斉御司兼嗣様だ」「私が斉御司家現当主であり、斯衛軍陸軍大佐の斉御司兼嗣だ済まないが君の自己紹介をしてくれないかね?」「ハッ、オレの名は白銀武と申します歳は18です」「ウム、元気の良い若者だ」はっきりと返答するタケルに好印象を感じる斉御司大佐「あと、此処には居ませんが、『もう一人』お呼びしてます少々遅れますが直に来るでしょう」「ハッ、わかりました」悠陽殿下の会話に返答を返すタケルすると斉御司大佐からタケルに話しかけて来る「…ところで、月詠中尉からは話を一通り聞いたが…はっきり言えば突拍子過ぎて困惑してる状態だ…」「…スミマセンでした」困惑している斉御司大佐に申し訳無い気分になり、素直に謝るタケル「あの…質問の前にスミマセンが…こちらからひとつ殿下に質問して宜しいでしょうか…?」「私にですか?…勿論宜しいですが…兼嗣殿…宜しいでしょうか…?」「ハッ、殿下にお任せします」「有り難う御座います」殿下と斉御司大佐に深々と頭を下げるタケル 「殿下…何故オレの事を『タケル様』とお呼びになるのでしょうか…?」「…そうですな、その事に関しては、私も月詠中尉も気になる所です」「殿下は…過去に白銀に会った事が有るのですか…?」タケルの質問…『タケル様』と呼ぶ事に違和感を感じていたタケル達 「オレの事を『タケル様』と呼ぶのは元の世界の殿下…御剣悠陽とメイド長の月詠真那さんと月詠真耶さん…あとは3バカの巴・戎・神代の三人…この六名のみがオレの事を『タケル様』と呼んでました…しかし、二度目の世界では、殿下はオレの事を『白銀』とお呼びになってましたこの世界で出逢って間もないオレに『タケル様』と呼ぶのは何故でしょうか…?」先程の違和感---悠陽殿下の『タケル様』が気になっていたタケル何故出逢ったばかりなのに『タケル様』と呼ばれるのか…悠陽殿下に問いただす 「そうですね…わかりました実はタケル様と出逢ったあの時---光と一緒に現れたタケル様を見た瞬間---私の頭の中に見覚えの無い『記憶』が流れて来ました…」「記憶…ですか…?」「ハイ…見覚えの無い公園で『幼い姿の私と冥夜とタケル様』が砂場で遊んでた記憶と…今ぐらいのタケル様と同じように成長した私が仲の良い関係になりながら、冥夜や御親友達に囲まれてる記憶が流れて来ました…その際、私が『タケル様』と呼ぶシーンが流れてきて、あの時はつい呟いたのです…」「記憶の流出…もしかして…」悠陽殿下の説明を聞き、ある仮説が浮かぶ (もしかすると…元の世界の悠陽の記憶がループの際流出して、この世界の悠陽に記憶が流れて来たのか…?)「白銀、何かわかったのか?」考え込むタケルに真耶中尉が訪ねてくる 「いや、恐らくは『元の世界の御剣悠陽の記憶』が流出して、この世界の殿下に流れて来たんでしょう原因は…恐らくはオレのループによる事だと思います」「そうか…では、殿下のお身体には影響は…?」「無いでしょうただ、莫大な量の記憶が流れて来たのなら、強い頭痛は来ますが、今の内容だけの記憶量ならば、頭痛も無いでしょう有ってもチクッとする程度です」「そうか…それを聞いて安心した」タケルの説明を聞いて一安心する真耶中尉 「なる程…しかし、何故今でも『タケル様』とお呼びになるのでしょうか、殿下?」ふと、疑問に思った事を質問する斉御司大佐するとーーー 「…何故だが、『タケル様』と呼びたい気持ちになりましたので、つい…」「「「えっ?」」」「大丈夫です、他の者が居る時は『白銀』と呼びますのでご安心をそれ以外の時は『タケル様』とお呼びますので…」「「「ええっ!?」」」悠陽殿下の反応に思わずハモる三人 「で、では斉御司大佐な、何かご質問が有りませんか?」「ウ、ウム……では…」なんとかこのビミョーな空気から出ようと話題を変えるタケル斉御司大佐も戸惑いながら、タケルに質問をする「白銀武よ、貴殿は『未来』から来たと聞いたが…済まないが、何か『納得出来る証明』を提示してくれないかな…?」 「…と、言いますと…?」「君が『別の世界』から来たという話は信じよう…現に我等の目の前でいきなり光と共に現れたのだ…その事に関しては信じようだが、『未来から来た』というならば、我々が信ずるに値する事を教えて欲しいのだ…」「信じる事に値する内容か…」うーん……と腕を組ながら考えるタケルすると…ふとある事を思い出す 「そういえば…『光州作戦』って聞いた事ありますか…?」「聞いた事も何も、今現在『光州作戦』は発動してるぞ?」「ええっ!?」斉御司大佐の一言で驚愕するタケル 「大変だっ!!今すぐ手を打たないと大変な事に…!!」「どういう事だね…!?」「実は、この光州作戦は、後に『光州作戦の悲劇』と呼ばれる事になり、結果…『彩峰中将』が死罪となり、後に起きる帝都での『12・5事件』のクーデター事件の引き金にもなるんです!!」「な…なんだとっ!!」タケルの語る『歴史』を聞き驚愕する三人