「並列…世界だって…?」「ハイ」タケルの一言に唖然とする結城普段なら信じたりはしないが、今この光景を見て、困惑する自分ではあるものの、どうしてかは否定出来なかった。「あのさ…催眠術とか、夢とかでもないんだよね?」「違います。その証拠に純夏にやられた痛みがあるでしょう?幻や思い込みにしたって、ここ迄リアルでは無いと思いますが?」「…だよねぇ。」催眠術等の可能性を出してみたが、全てタケルに否定される。「並列世界…とか言ったよね?一体どういう事か、どうしてこんな事をしたか教えてくれない?」「ハイ、少し長くなりますが、良いですよね?」「勿論だよ。」結城の質問に対して答えるタケルただ、時間が無い為、タケルが結城を背負い、下山しながら語り出す。そして、香月博士から許可された範囲の事を説明する。(オルタネイティヴ4の内容は秘密)タケルが元々このBETAのいないのどかな世界の出身であること、そして数度並列世界を飛んだ事を告白する。一度目は、香月博士が計画するオルタネイティヴ4が失敗し、オルタネイティヴ5が発動世界にG弾を撃ち、世界の半分が死の大地と化した事そしてタケルは数年後に戦死した事を告白する。二度目は未来を変えようと決意し、香月博士と共に計画する結果とすれば、佐渡島・オリジナルハイヴを攻略に成功する。しかし、代償として大切な人達を大勢失った事。そして、今回ーーーーーー今回は大切な人達の命も救おうと立ち上がり、今に至る事を話した。「ーーーーーーそっかぁ…白銀君が特別な意味が分かったよ。確かに未来という情報があるならば、それは計り知れないアドバンテージが有るね。」「信じてくれるんですか?」「うーん…素直な気持ちで言えば、半信半疑って所かな?けど、柊町や語ってた時の白銀君の顔を見たら…ね。」とりあえず結城にある程度信用してもらう事に成功した。しかし、結城の表情は少しばかり悲痛な表情を浮かべる。(語ってた時の白銀君の顔は…とてもじゃないけど、嘘を語ってた顔じゃない。とても暗く…まるで絶望のドン底に堕ちた死人のような顔だよ。)簡略化したとはいえ、絶望的な記憶を思い出し、語った事により、表情に出ていたタケルその表情は、結城だけではなく、晴子や美琴も見ており、心を痛めていた。(もしかして…私が死んだ事も少し関係してる……よね…ヤッパリ。)(…タケルがあんな表情する所…初めて見た…。)なるべく表情に出さないように頑張る晴子と美琴だが、やはり無理して表情に出さないようにしてた為か、タケルにバレてしまう。「済まんな、美琴・柏木。雰囲気暗くしちまってゴメン。」「そんな事ないよ、タケル」「…ゴメンね…白銀」「そんな顔するなって、ホラ麓が見えてきたぜ。」雰囲気を盛り上げようと話を変えるタケル麓に辿り着くと、小さなコンビニを見つける。「とりあえず、中で少し買い物しようか。」「えっ、なんで?」「一応変装しないとマズイだろ?この世界の自分に出会ったら、どんな事になるか分からんからな。」「あ、そっかぁ。」タケルがコンビニで買い物をする事に質問する美琴理由を述べると、『なる程』と納得し、晴子も『流石だねぇ』と感心する。そして、コンビニの中で帽子・サングラスやメガネ、あとはコーヒーやサンドイッチ等の飲食を少し買う。買ってきた帽子やサングラスを装着し、簡単な変装を完了する。そしてーータケルはコーヒーを飲みながら、レシートを見る。「日付は…2002年3月2日…って、もうすぐで卒業の時期じゃねーか。」「白銀、何見てるの?」「ん?レシートだよ。この世界の日付を確認しないといけないからな。」「なんでぇ?」「次来る時にこの日付を目安にしないと駄目なんだよ。」「そっか、検討違いな日付に来ても意味ないからね~。」レシートを確認するタケルに近寄り、質問する晴子その理由を聞き、納得する。「さてと…これからどうするかな…。」「どうするって、夕呼に連絡取るんじゃないの?」「そうなんですけど、まだこの世界が柏木が来た事のある世界とは限らないから、確証するモノが欲しいんですよ。それにこの時期卒業シーズンが近いから、学校にも行けませんし、電話してもし万が一違う世界だったりしたら、イタズラだと思われるかもしれませんしね。」うーん…と唸るタケルと結城。すると、美琴が何か思いついたかのように、声をかける。「ねぇねぇ晴子さん?」「な~に?」「晴子さんと壬姫さんが居た事のある世界って、香月先生と霞さん以外に誰が関わっていたの?」「関わってたって、ループ関連の事?それなら、御剣と殿下と、月詠さん二人と神代さん達三人だよ。」晴子の返答に満足したのか、まんべんな笑みを浮かべる美琴そしてニコニコしながらタケルに言う。「タケル~タケルの家に電話してみなよ~。少なくとも、神代さん達には連絡取れる筈だよ?」「おおっ!?ナイスアイデアだ美琴!」美琴助言に感謝しつつ、コンビニに設置してある公衆電話から、自分の家に電話をする。『ハイ、モシモシぃ~?白銀ですけど?』「その声は…戎か?」『ゲッ…タケル様ですかぁ?』「ゲッって何だよ…。」電話に出たのは戎だったが、思わず出た言葉にツッコむ。「まぁ、いいや。今そばに真那さんか真耶さんのどちらか居るか?」『そばって訳ではないですけど、屋敷の方に真耶様が居ますけどぉ?』「なら、大至急連絡が取りたい。あと『ループしたタケル』って言ってくれると助かる。」『わかり…ま……した…………………えええぇぇぇぇっ!!?』タケルの言葉に時間差で驚く戎その声は離れていた結城達すら耳を塞ぐ程の大音量だったりする。『ななな…なんでタケル様がその事を…?』「だって、本人だもん。」『えええぇぇぇぇっ!?』再び大声で驚く戎電話の向こう側で神代達が『どうしだのっ!!?』『今度は何をやらかしたのっ!?』などという声が聞こえてくる。「済まないんだけどさ…時間が余裕が余りある訳じゃないから、急いで欲しいんだけど。」『わわわ…わかりましたわぁ~(急いで真耶様に連絡入れて呼んでですぅ~!!)』(な、なんだよいきなり?)(大至急ですぅ~!!タケル様からの緊急の電話ですぅ~!!)(わ、わかったから落ち着けって…。)電話の向こうで何やら面白い事が起きている事に容易に想像出来るタケル達そして、居場所を伝えて一旦電話を切る。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「どうしたのだ、戎?タケル様からの緊急の電話と聞いたが?」「真耶様ッ!?」一方、タケルの家に居る戎達。神代が携帯電話で真耶を呼び出し、数分後に真耶がタケルの家にやってくる。「じじじ…実は…。」「落ち着け、戎」余りの出来事にパニックてる戎を一睨みでおさめるが…今度は恐怖でプルプルと怯えていた。「実は…。」戎の話を聞いて驚愕の表情を浮かべる真耶神代・巴は驚愕し過ぎてカチコチに固まる。「それでタケル様は今何処に!?」「冥夜様達が通ってる白陵柊のそばにある、山の麓のコンビニに、タケル様を含めて四人が居るそうですぅ~。」「……ならば、ここか。」真耶が地図を開き、場所を見つける。「私がタケル様達を迎えに行く。神代は真那に連絡をとって、夕陽様達を連れて来て貰うように連絡を、巴は香月様と霞様に連絡をとり、迎えに行って貰うわ。戎は屋敷に戻って、タケル様達を迎え入れる用意をしなさい。」「「「ハイ、わかりましたぁ~!」」」バビュンと、即行動をする神代達そして真那も急いでタケル達を迎えに行く。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「ん?あれは…。」電話を切ってから十数分後、タケル達の前にひじょーーーに長い車が止まりだす。「……………何、この無駄なぐらい長いリムジンは…。」「ハハハ…懐かしいな…。」60mリムジンを見て、呆気にとられる結城と久し振りに見て苦笑いするタケル。すると、リムジンの扉が開かれ、真耶が出て来る。「ーーーーータケル様……ですよね…?」「ハハハ…懐かしいな…その呼び方。」成長したタケルを見てか、涙腺を緩ませる真耶懐かしい呼び方で迎えられ、タケルは笑顔で答えーーー「ただいま……で、良いのかな?」「……お帰りなさいませ、タケル様…。」タケルの言葉で涙腺が崩れ、涙を流しながらも、頭を下げながら迎える真耶だった…。