2000年・7月14日戦闘から1日が過ぎた。基地内にある、休憩室の一角に車椅子に座ったタケルと、車椅子を押す役として霞がイルフリーデ・ヘルガローゼ・ルナテレジアの三人と談話していた。「大丈夫ですか、シロガネ大尉?」「身体中ひしひしと痛いけど、大丈夫だよ。」車椅子に乗るタケルの容態に心配するイルフリーデ。他の二人も同意見で、タケルを心配そうに見ている。昨日、戦闘で墜落したタケルだが、軽い全身打撲と頭部に浅い怪我で済み、数日間は車椅子生活をする事になった。因みに車椅子を押すポジションは霞がガッチリとゲットし、勝利した。敗者の皆さん達は羨ましそうな視線で見送ったとか…。「ウーム…欧州の地まで来て墜落とは…少し情けないなぁ…。」部隊内の被害は自分の墜落以外は軽度…とは言えないが、それ程酷い損害はなかった為安堵するものの、自分だけ墜落してしまった為、ちょっと落ち込みながら反省する。「シロガネ大尉、そんな事は無い。シロガネ大尉が奮戦してくれたお陰で、母艦級を撃破する事が出来、尚且つこの地と多くの人間が救われたのです。墜落した事など、誰一人責めたり侮辱する者など居ません。」しかし、ヘルガローゼがそれを否定し、昨日のタケルの活躍を褒め称える。-----結果として、昨日の戦闘は、稀にみる大勝利だった。様々な要因はあるが、一番目立ったのは母艦級の出現により絶体絶命の危機を乗り越えた事である。もし、母艦級撃破に失敗していれば、大勢の命と戦力が失い、このドーバー基地も壊滅し、BETAに占領されていた事は容易に想像が出来る。無論、新たに現れた母艦級の存在により、頭を悩ます問題が増えはしたものの、今は戦闘に勝利した事に喜んでいた。「シロガネ大尉、身体は大丈夫かね?」「ララーシュタイン大尉…それに皆さんまで。」すると、タケル達の後方からララーシュタイン大尉が声をかけてくる。その更に後ろには、アイヒベルガー少佐やジークリンデ中尉・ブリギッテ中尉がタケルを心配そうな表情で現れる。「あの速度での墜落した時は流石に肝を冷やしたぞ。」「あはは…恥ずかしい限りです。」「あの音速機動の事も気になるが、それより身体の容態は?」心配しながらタケルの容態を聞くアイヒベルガー少佐「意外と軽いですよ。全身打撲と頭部に軽い切り傷程度後遺症とかの心配も無いので、しばらくは安静しないといけないので、滞在中の訓練の指導は無理そうです。」「…それはなりよりだ…。」ホッと安心するアイヒベルガー少佐他の面々も安心してか、表情が明るくなる。『おお~い、カスミ~♪』すると、ブラウアー少尉を筆頭にツェルベルス大隊のメンバー達が『荷物』を手にしながら走って此方に来る。「ふぅ~…探したぜカスミ。」「皆さん…一体どう…ップ」『カスミにプレゼントだよっ♪』すると、霞に大きなウサギの人形を渡す女性隊員余りの大きさに霞の顔が埋まってしまう。しかし、顔を出した霞の表情は、幸せそうな表情になっていた。「これは…一体…?」「昨日約束したろ?カスミに『プレゼントする』って。本当はカスミと一緒に買い物したかったんだけど、シロガネ大尉の看護してたろ?だからとりあえずプレゼントを先に買って来ようって話になったんだゆよ。」『勿論一緒にお出かけする話は無くなってないから安心してね。』「皆さん…ありがとうございます…。」感激の涙を滲ませる霞その涙を拭って、満遍な笑みを浮かべる。「ウム、やはり可憐な少女はああやって笑顔であるべきだな。些か表情が少ない為、心配はしたか…無用のようだな。」その様子を見て笑みを浮かべるタケル達一行ララーシュタイン大尉も自慢のヒゲをピョンピョンいぢくりながら、霞の笑顔を見て一抹の不安を取り除く。その意見に無言で傾くイルフリーデ達自分達はこの笑顔を守る為に戦っている事を再確認し、『報酬』である極上の笑顔を見て、自分達も笑みを浮かべる。「白銀大尉~」「ん、正樹か。どうかしたのか?」それから数分後、正樹と唯依がタケルの下に小走りで来る。アイヒベルガー少佐達に敬礼し、それから用件を話す。「今、横浜基地から連絡がありまして、今日の1800頃に白銀少佐と大尉(楓)が来るそうです。用件は、白銀大尉の護衛と戦闘時の白銀大尉の代理だそうです。まぁ…これは『建て前』みたいで、本音は白銀大尉の事が心配で来るみたいですよ?」「…多分、母さん絡みだな。」内容を聞き、苦笑いをするタケル。大方楓が暴走気味になって、仕方無く理由付けて此方に来るのだろうと考える。楓もやはりタケルには甘い親バカなのだ。「あと……余談ですが…。通信中、香月博士の後ろから…純夏の声と、『ふぁんとむ』らしき閃光がちらついたりして…。」「『私もタケルちゃんの所にい~き~た~い~~っ!!』…ってセリフと共に、ドッカンドッカンってスッゴい音響いてましたから…。…何人『ぱんち』や『ふぁんとむ』の餌食になったんだか…。」「……なんか、胃がキリキリしてきた…。」唯依と正樹の話を聞いて、胃が痛みだすタケル遥か彼方の横浜基地で暴れる純夏の姿が良くわかる為か、不安と犠牲になった人達への申し訳ない気持ちで胃を痛めてしまう。「……その際、もしかしたら純夏も来るかもしれないと…。」「…多分来るな…。」「ですよねぇ~…。」純夏も来る可能性を考え、『オレ…欧州の 地でも飛ぶのかな…?』…などと考えてしまう。皮肉にも、唯依や正樹も全く同じ考えだったりする。そて、タケルの後ろに居た霞も『…………ふぁいとです、白銀さん…。』と、ぬいぐるみを抱きながらガッツポーズをとって励ます。…ぶっちゃけ、逆効果だったりするのだが…。あとがき久し振りです、騎士王です。去年の7月…ぐらいかな…?前話から久しく投稿しました。今まで放置して、読者の皆様に誠にすみませんでした。今まで投稿しなかった理由は、騎士王の実の父親がくも膜下で倒れてしまう事が有りました。その為、いきなりの一人暮らしと父親の世話(入院・転院の手続き・市役所での手続き等々…)忙しい日々だった為、投稿出来る時間がありませんでした。今現在は、そういった手続き等は無くなり、時間が少し出来たので、少しづつ書いてました。そんな時に、尊敬してるテンパさんの復活や、読者様達の暖かい書き込み、あとPS3のマブラヴオルタネイティヴのプレイで、再び火が灯しました。投稿する期間は相変わらず不定期ですが、これからも頑張りたいと思います。今回は短い話になりましたので、御了承下さい。