2000年・7月11日「う゛おおぉぉえ☆」「駄目だな~…これぐらいで吐いてたら、今のオレの教え子の訓練兵達に笑われるぞ~☆」「………………訓練兵にこれ……やらせてるのか?」「ウム。我が第207衛士訓練学校の『伝統』デスヨ。ちなみに戦術機適性検査の『伝統』は………最低これの倍よ。」「鬼畜だ………うぷっ!?」今日早速XM3の慣熟訓練をしていたツェルベルス大隊の面々。タケルとまりもが教官として。正樹・唯依・佳織・まりかの四人はまりもの下で手伝いをしていた。そして早速『伝統』の犠牲者となったブラウアー少尉はポリバケツのお世話になっていた。精鋭を誇るツェルベルス大隊だが、タケルの変態機動には驚愕し、ポリバケツのお世話になっているブラウアー少尉を見て、二・三歩下がって引いていた。「さあ…ブラウアー少尉…。第2ラウンド……逝きますよ。」「逝く!?」「だってやる前に『へっ、こんな慣熟訓練余裕でクリアしてやるぜっ!!』って言ったぢゃないですか♪やっぱり、言った以上余裕でクリアしないと駄目ですよ。」「俺の馬鹿……なんでそんな事言ったんだ…。」油断バリバリで言ってしまった自分を責めるブラウアー少尉ツェルベルス大隊の仲間達も涙を流しながら見守っている。けど、誰も助けようとはしない辺り、我が身が大事らしい。「……本当にシロガネ大尉の教え子は、コレを体験してるのかね…?」「ハイ…。俺達全員体験してます…。」「けど、さっきのアレ…まだ緩いよね。」「……ウム。」「………大変だったのだな。」ララーシュタイン大尉の疑問に素直に答える正樹・佳織・唯依その言葉を聞いて、正樹達に同情をしてしまう。『そーら、まだまだいくぞぉぉっ♪』『……………(ガクッ)』ノリノリのタケルの変態機動に絶望感タップリで項垂れるブラウアー少尉気を失わない辺り、衛士としてのプライドが支えていたようだ。―――――――――――――――――――――――――――――――――「さて、全員終わりましたね。」「…………」慣熟訓練を終えるタケル達元気タップリのタケルに対して、死屍累々のツェルベルス大隊の皆さん。流石にアイヒベルガー少佐とファーレンホルスト中尉とララーシュタイン大尉の三人だけは項垂れる程度で済んだ辺り、流石は実力者である。「今日はこれぐらいで終わりにしましょう。」「「「これぐらい!?」」」「えっ、何かおかしいですか?」「「「本気で不思議がってる!?」」」タケルの問題発言に驚く一同離れて見ていた正樹達からは同情の涙がホロリと流れていた…。「さてと…正樹、椿さん達に慣熟訓練が終了した事の連絡頼む。あと、霞にも連絡頼むな。オレと他の面々は…このポリバケツの処理とシミュレーター訓練の段取りをしてるよ。」「了解」タケルの指示に従い、敬礼したのち連絡しに向かう正樹すると、その会話を聞いていた者達が驚いていた。「シロガネ大尉…アレだけ動いてスグに訓練ですか?」「ん…君達は確か…フォイルナー少尉にファルケンマイヤー少尉・ヴィッツレーベン少尉?解散して休んだんじゃ…?」「…ちょっと忘れ物を取りに来たんです。」先程解散して、休息をしていた筈のツェルベルス大隊に所属するイルフリーデ達三人が、忘れ物を取りに戻ってきた。「元々シミュレーター訓練をする予定なんだ。だから今回の慣熟訓練も『それほど』厳しく無かったんだ。」「………アレで厳しく無いですか…。」タケルの言葉を聞いて、ゲンナリするヘルガローゼ他の二人も少し血の気が引いていた。「……出来れば見学…など宜しいですか?日本のインペリアルガードの戦いを見たいのですが…。」するとイルフリーデからの見学の案を出して来る。ちょっと驚いたタケルだが、意外にも返答には渋っていた。「いや、オレは構わないけど、あくまでもOKを出すのは椿少佐だからね。その件については、済まないけど、椿少佐の許可を得てくれないかな?」「わかりました。ちなみに…時間はまだ余裕あるでしょうか?」「時間に関しては大丈夫だよ。だから汗流して着替えてきな。」「ハッ、ありがとうございます。」タケルに敬礼をして退室するイルフリーデ達彼女達の頑張りに感心する。そして40分後――――――――「お待たせしました。」「ああ、来たかい…………って、随分と人数が増えたね…。」「あはは…。」イルフリーテの声を聞き振り向くと……随分…というか、ツェルベルス大隊全員が集まっていた。流石にこれにはタケルや椿もビックリする。「シャワー室で見学の話をしたら、段々人数が増えていって…。」「……最終的には大隊全員になったのね。」「……スミマセン。」言い出しっぺのイルフリーデも、苦笑いをしながら謝罪の言葉を言うしかなかった。「別に良いんだけど………その人数じゃ、モニター室は入れ「そんな事も有ろうかと、此処に都合の良い所に速攻で作ったモニターがあったりする♪」なんて都合の良いタイミングでっ!?」一度に大隊全員はモニター室は入らないと考えてたタケルだが、なんとまぁ………都合の良いタイミングで結城が緊急のモニターを数台作りやがった。「いやぁ~☆このセリフ…一度使ってみたかったんだよね~♪」「良くこのタイミングで…。」「いやね、多分こんな事もあるんじゃないかな~とは思ってたし、夕呼も『宣伝に使えるからやってね~☆』と、現金なお願い迄されたからね。」「お見通しですかい…。」結城と香月博士の予想が当たり、利用する所に呆れ気味に関心するタケル他のメンバーも苦笑いしていたりする。「……まあ、これならば画面は小さいですが、全員見る事が出来ますね。」「ありがとうございます。」予想外な結城の行動だったが、そのお陰でツェルベルス大隊全員がシミュレーター訓練を見学する事が出来、大隊全員から感謝の言葉を贈られる。「霞、今回のステージは?」「…今回のステージは、『明星作戦』です。皆さんが攻略したハイヴですが、その壮絶な圧倒的な物量のBETAの戦力は侮れません。ですから、横浜ハイヴのデータを使い、『佐渡島ハイヴ』を想定した訓練をしたいと思います。」「成る程、横浜ハイヴのデータを使った仮想・佐渡島ハイヴ攻略か。確かに、いずれは落とさねばならぬハイヴだ。今からシミュレーター訓練をしておかねば後手に廻るかもしれない。」 「けど、いくらウチの大隊が横浜ハイヴ攻略に成功した部隊って言っても、それはいろんな部隊や支援があったからこその事だよな?シミュレーター訓練とはいえ、その辺の設定とかもあるの?」霞の訓練内容を聞き、納得する政弘しかし孝志が疑問点に対して質問すると――――「それについては大丈夫。こっちのシミュレーター機にも『通信式管制ユニット』を付けたからね。京都の帝都や横浜基地と通信して、より実戦に近い環境に出来るよ。」「まぢでっ!?」「まぢです。帝都では第16斯衛大隊にジャール大隊が、横浜基地ではヴァルキリーズとオーディン隊あとシルバーチャリオッツ隊が待機しているよ。」「なんつー大がかりな訓練だよ…。」「いやね、偶々こっちに来たついでだから、今回の訓練を急遽決めただけだったりするんだよね。」日本にいる並み居る実力者達との合同訓練と知り、驚くタケル達しかし、意外にもそれは突発的な事だったりする。「ちなみに遠距離通信によるラグの時間差は修正してるから安心して大丈夫だよ。」「……良くこの短時間でまぁ…。」「この『天才』を舐めたら駄目だよ、白銀君戦術機以外にだって発揮するよ。………主にイタズラの方に。」「駄目ぢゃんっ!!」「あと、連れてきた整備兵やここの整備兵のお陰だよ。…彼等の死は無駄にしないよ…。」「屍と化してるっ!?」「最近の若い子は根性と体力が無いよね~。」そしてどれだけの急ピッチな作業をさせたのか、影で整備兵達の屍が死屍累々としていた。勿論、力果てただけで本当に死んではいなのだが………結城だけはピンピンしている辺り、とんでもない体力と根性である。「……九條少佐」「……なんでしょうか…?」「日本では、このような暴走は……当たり前なのか?」「全てでは無いのですが………主に帝都と横浜基地では日常茶飯事ですね。」「……そうか。」流石のアイヒベルガー少佐も結城のはっちゃけぶりを見て困惑する。そんな事を質問された為、椿も恥ずかしそうに答える。(しかし―――この者達は、フェイズ2とはいえ、ハイヴを攻略している。しかも聞けば、この部隊はハイヴ内突入したにも関わらず、戦死者がゼロと聞く。)しかし、内心では鋭い視線でタケル達を観察するアイヒベルガー少佐ハイヴ内突入部隊で死亡者ゼロという偉業を成し遂げた部隊の一つ。そして世界初の人類の手でハイヴを落とした国・日本そして未だに、直ぐそばには佐渡島ハイヴが健在するにも関わらず、強かにも生きるその姿に驚かされていた。(この者達の強さとは一体…。このシミュレーター訓練を見てわかるだろうか…?)自分達も故郷を奪われ、そして今住むこの大地でさえ、奪われるかもしれない危機ある意味日本と同じ状態なのだが、未だに防衛線を押し上げる事は叶わない。確かに日本とは条件が違うとはいえ、一時期は国内に2つのハイヴが存在したのだ。それだけでも、その驚異度は計り知れない。(彼等と我々の違い…見極めさせて貰おう。)その眼光は正に『狼王』に相応しい鋭い視線を向けていた。すると、アイヒベルガーの背中に優しく触れる感覚を感じ取る。「少佐…。余り固くなりますと、他の者逹にまで緊張を与えますよ。」「むっ。…済まない、中尉」「余り無理に背負わないで下さい。我々も側に居るのですから、頼って下さい。」「……ありがとう、感謝する。」ジークリンデの言葉を聞き、肩の力を抜くアイヒベルガー少佐その優しく柔らかい笑顔の彼女に見抜かれ、少し苦笑しながら感謝の言葉を告げる。「そろそろ始まるよ~♪準備は良いかな~?」暢気な声で確認を取る結城その返答に対し、参加者全員が笑顔でOKを出す。そして――――――「3…2…1…ミッションスタート。」霞のカウントと同時に始まるシミュレーター訓練そして疑似世界だが、あの『明星作戦』を再び体験するタケル達だった…。あとがき―――――――しばらくぶりです、騎士王です。コンチクショーーー(泣)夜勤が忙しくてネタ考える時間も書く時間もねぇ……orz毎度毎度更新遅れてスミマセン…。今回はいつもより短めになりましたのでご了承下さい。追伸、ジークリンデとアイヒベルガーの二人がお互いの呼び方って…これで良かったでしたっけ…?違うなら教えて下さい、修正致します。