現在―――「……って事があったんだ。」「…はぁ……まさか『元の世界』に行ってたとはねぇ…。」「……流石に予想外。」「って割には、ビミョーな反応だね…。」晴子の話を聞き、ため息を吐く千鶴しかし、相変わらず彩峰のビミョーな無表情に空気がブレイカーされる。「その後、香月先生と悠陽さんに協力して貰って、ループする事に成功したんです。」「良く出来たわね。それに、どうやって二人を信用させたの?」「それは社さんの能力で信用して貰いました。」「能力…ああ、リーディングやプロジェクションね?」「そう、それで『社さん』がリーディングとかを使って証明したの。それで香月先生や御剣さんに協力して貰って、『転移装置』を作って貰ったの。まぁ……一か八かの賭けだったけどね。」タマや晴子の説明を聞いて納得する千鶴達しかし、晴子の軽い雰囲気にちょっと呆れ気味になってしまう。(まあ…『アレ』は喋ってないけど、教える訳にはいかないしね…。)(ゴメンなさい、みんな…これは絶対に教えられないんだ…。)実は先程二人は『とある話』だけ省いていた。しかし、それは重大な秘密故に語る事が出来なかった。その秘密とは――― (『純夏さんの秘密』だけは話せないんです…ゴメンナサイ。)『純夏の秘密』―――それは『00ユニット』の事だった――― 実は先程の説明では、純夏の事は『桜花作戦』の時に参加・そして死亡した事しか語らなかった。しかし、実際は霞から全てを聞いていたが、霞から『香月博士や白銀さんや私以外には喋らないで下さい。』と念入りに口止めされていた。(とはいえ、A‐01が00ユニット素体候補の部隊という秘密は二人は知らない。)そして、これを知ってる事で『BETAの居る世界』で香月博士にループした事を信用してもらい、香月博士の計画に参加して貰う為の『手札の一つ』として教えて貰っていた。「ねぇ、実は香月博士や白銀に会って事情を説明したいんだけど…会えるかな?」「白銀は会えるけど、香月博士は、今横浜基地に…「香月先生なら、今帝都に居るよ?」…鎧衣、それ本当?」香月博士とタケルに会えないか頼む晴子最初は香月博士は居ないと言う所だったが、美琴の発言で両者に会えるとわかる。「本当だよ。昨日から香月博士が帝都城に来てるって、タケルから聞いてたから間違いないよ。」「そう、なら確かね。けど――」「……ちなみに、何故白銀に会ったの?」「えっ?」自分一人だけタケルに会いに行った事に嫉妬する千鶴と慧。笑顔で美琴を捕獲して、黒いオーラをバリバリ放つ。「何故……私達も誘ってくれなかったのかしら…。」「……一人で会いに行くの…ズルい。」「ちちち…違うよぉ~!!ちゃんと用事があったんだよぉ~!!」「「へぇ~…何の用事?(かしら?)」」「かか…霞さんに呼ばれたんだってば~!!」「社に?」霞に呼ばれてた事を説明する美琴嫉妬のドス黒いオーラは鎮まり、美琴の話を聞く千鶴と慧。ちなみに……タマは二人のドス黒いオーラにビビり、ガクガクブルブルと部屋の隅っこで震えていた。「実は霞から『テストパイロット』を頼まれたんだ。…と言っても、タケルの代わりなんだけどねぇ~…。」「テストパイロット?なんで鎧衣に頼んだの?」「うん、実は霞さんの話によると、皇帝陛下がお忍びで帝都城に来てたらしいんだ。」「こ、皇帝陛下がっ!?」「うん、それでタケルが自分の部隊の所に案内とかしてて、手が離せない状態だったんだって。そして、本当はタケルの代わりに第17大隊のメンバーに頼もうとしたらしいんだけど…。」「……皇帝陛下が居たから、無理だったと…。」「うん、そうなんだ。」美琴の説明を聞いて納得する千鶴達美琴も千鶴と慧が納得してくれた為、ホッと安心する。「…ところで、何のテストパイロットをしたの…?」「うーん……まぁ、みんななら教えても大丈夫か。どっちみち、近々みんなにもテストパイロットを頼む予定だったみたいだし。」「私達にも?」「うん!!けど、他の人達には内緒だよ?まだ一部の人以外には公開してない新開発だからね。」「わかったわ。」美琴の忠告に同意する千鶴達。そして少し小さな声で千鶴達に教える。(実はね…今、XM3の改良版を開発してるんだ。)((((ええっ!!?))))(エ…XM3の…改良版ですってっ!!?)流石に予想外な内容に驚きを隠せない千鶴達。美琴はその驚く姿を見て『エヘヘ…☆』と喜ぶ。(うん、従来のXM3の機能を向上させて、尚且つ新機能を追加したのが新開発中の『XM3‐EXTRA』なんだ。)美琴が詳しく説明すると、千鶴達の顔が唖然とする表情になり、そのテストパイロットをしてたという事もあり、自慢するように語る。「ズルい……何故鎧衣だけ?」「ボクの場合、元の世界からループして来たから、ディレイ(遅延)の入力とか良く知ってるからね。いやぁ~…良くタケルと『銅拳』やったなぁ~…☆」「『銅拳』って、あの格闘ゲームの?」「うん、晴子さんもやったの?」「いや、私や珠瀬さんは『バルジャーノン』だけしかやらなかったな~…。」元の世界で格闘ゲームをしていた為、選ばれた事を明かす美琴。その事に羨ましそうに見つめる千鶴達を他に、美琴と晴子が『バルジャーノン』の話題に盛り上がる。「ゴホン、とりあえず白銀に会いましょう。静さん、居ますか?」「此処に。」「うわあぁぁっ!?だっ、誰ですかぁーーっ!?」「落ち着いて、珠瀬この人は私の護衛に付いてくれてる静さんよ。」「初めまして。紅蓮静と申します。」「静さんは斯衛軍第1師団所属の中佐なの。以前、私の護衛が全滅した際に助けてくれた一人でね、それ以来から私を護衛してくれてるの。」「ふぇえぇ…忍者かと思った…。」突然の静登場に驚くタマと晴子他の三人は最早慣れてしまったが、タマの一言を聞いて『静さんだから…』と内心納得していた。「スミマセンが、白銀と香月博士に連絡をお願いしたいのですが…。」「わかりました。では、父上に連絡をしましょう。」すると、スッ…と消える静その姿を見て『やっぱり忍者…だよ…』と呟くタマそれから10分後。再び静が現れ、『今から月詠邸に参りましょう。』と連絡を受け、寮から出る6人… そして―――― 「久し振りねぇ、二人共。元気な姿を見れて嬉しいわ。」「お久しぶりです、香月博士。」「お久しぶりです。」月詠邸に向かうと、丁度良く香月博士が居間で茶を飲んで居た。護衛として影行と楓も同伴していた。「随分早かったですね。」「そりゃ早いわよ。だって、私が連絡を受けた時には既に此処に居たもの。ここの食事は美味しいからねぇ~、京都来たからには、ここの食事を食べない訳にはいかないのよ。」「アラアラ嬉しい事言ってくれますねぇ~☆ご褒美にようかんあげちゃいましょう~。」やちるの手料理目的に月詠邸に訪れていた香月博士自分の料理を誉められて、秘蔵のようかんを差し出すやちる実に嬉しそうだ。「白銀は今帝都城から来るから、ちょっと待ってなさい。」「わかりました。」タケルはまだ不在だった為、暫く待つ事になる。そして10分後―――― 「ただいまっ!!って―――うおっ!!」タケル・真耶・冥夜が月詠邸に帰って来る同伴として、霞も来る玄関から慌て走って来るタケルだが、居間に入ると同時に丁度凹み部分に足をつまづき、豪快にコケる。勿論おっきいちゃぶ台の角に頭部強打はお約束。「流石は…白銀ね…。こんなお約束的な登場をするなんて…やるわね…。もう…ダメ…アーハッハッハッ♪」「………別に狙った訳じゃありません。」腹を抱えながら、タケルに向かって親指をグッと立てる香月博士爆笑するのを堪えてるが…やはり我慢出来ず、爆笑する。「白銀、久し振り~♪」「タケルさん…。」「二人共…久し振りだな。」いつも通りに接する晴子タマは久し振りの再会に涙を滲ませながら喜ぶ。そんな二人の姿を見て、笑顔で迎えるタケル。それからタケルの部屋へ移り、本題に入る。「さて、感動の再会をした所で、話をするわよ。」「ハイ」晴子は今までの経緯を説明する。流石に元の世界に一時期居た事には驚くタケルと香月博士だが、元の世界にいる霞も『二度目の世界』からループしていて、幸せそうに生活していた事を知り、喜ぶタケルそして、その霞から様々な秘密を聞き、妖しく笑みを浮かべる香月博士勿論、みんなの居る前で00ユニットの秘密を喋る訳にもいかない為、それだけは喋らないでいた。「なかなか面白い話ね。けど私もループしてたから良いけど、そうじゃなかったら、どうやって説得したの?」「えーと…ひとつはここでは明かせない秘密なので、言えません。」「なんでよ?」「社さんから『香月博士とタケルさんと自分以外には喋らないで欲しい』って言われました…。」「……成る程、なら仕方ないわね。それじゃ『喋れる秘密』とやらを教えてくれないかしら?」晴子とタマの説明でかなりの機密情報と理解し何より、聞く事をやめる香月博士その代わりに明かせる『手札』を出せと問い質すと―――「これです。」「鞄?何入ってるの?」晴子が出したのは、少し大きめなバック。中身は、パソコン・外付けハードディスク・メモリーチップ数枚と…ゲームガイが二台が入ってた。「うおっ!?ゲームガイじゃないかっ!!いやぁ~…懐かしいなぁ~♪」「向こうの社が『白銀さんの気分転換に』って渡されたんだよ。勿論中身は白銀が大好きそうなソフトを、数枚持って来たよ。」「こっ、これは『銅拳5』!!こっちはバルジャーノンの最新版ぢゃねぇかっ!?これは新発売間近だった『タクニカル王がっ!?』に『ハイパー炉没斗タクティスX』じゃねぇかっ!?」「社と悠陽さん…こっちでいう殿下が選んでくれたソフトだよ。」「そうか~♪大切にするよ。」(向こうの私…ないすふぁいんぷれいです…。)タケルの好みそうなソフトを用意してくれた事に感謝し、側にいた霞の頭をナデナデする。自分ではないが、元の世界の自分のおかげで、タケルから頭をナデナデしてもらい、元の世界の自分に感謝する。「そっちのパソコンとハードディスクは、元の世界の社がループした際に一緒に持ってきたデータが入ってるそうです。後は元の世界の香月先生が『最新の因果率量子論の根本的理論』も入れてくれたそうです。」「なんですって!?」晴子の言葉に驚き、開いてみると、確かに『因果率量子論の根本的理論』が入っていた。そしてそのページを一旦閉じて、他のデータを調べると… 「あら、これ…佐渡島ハイヴから桜花作戦までの戦闘データじゃない。……そういえば、前にデータのコピーが紛失したって一時期騒いでた時があったわね…。成る程…あの頃に社はループしたのね…。」ふと前の世界の出来事を思い出す香月博士霞からの贈り物に笑みを浮かべ、『やるじゃない。』と小さな声で呟く。「成る程、確かにこれならば交渉材料にはなる…けど、信用して貰うにはまだ足りないわよ?」「後は社にリーディングして証明して貰うしかありませんね~。」「全く…そんな事じゃ、以前の白銀みたく利用されるわよ?」「うっ…精進致します。」まだ甘い晴子に警告を入れる香月博士流石の晴子も苦い表情を浮かべながら、その言葉を受け止める。「まあ、確かにこのデータがあれば、今後の作戦に対策が出来るわ。アンタ達の参入で戦力アップにした訳だし、榊達同様の扱いにするわ。」「ありがとうございますっ!!」「柏木、アンタはもしかすると場合によっては、鎧衣と一緒で任務に付いて貰う事があるかもしれないから、そのつもりでいて。」「了解しました。」「アンタは家柄とかは普通の家系だから色々と使い勝手が良いわ。場合によっては即戦場に連れていけれるしね。」あれこれと晴子を使う気満々の香月博士『うわあぁぁ…なんかこき使われそう…。』と嫌な予感をバリバリしていた。「さて、私はもう良いわ。白銀…遠慮なくヤっちゃいなさい♪」「イエッサー」「「ハイ?」」すると何故かタケルから嫌な笑みを浮かべ、晴子とタマに近寄る。そして何故か冥夜も晴子の背後に移動し、ポンと晴子の肩に乗せる手の握力が徐々に強くなる。「み、御剣…肩がちょっと痛いかな~?」「気のせいだ、それより柏木…私に『余裕が足りない』とか言っておいて、逝くのはどういった理由か聞きたいのだが…?」「あはは…あっ、あれは…その…。」「なに、今宵は充分に時間はある。じっくりと説明をしてもらおうか…?」『二度目の世界』で晴子に『余裕が無い』と言われた事を問う冥夜だが、そのセリフを言ってからKIAになってしまったもんだから、ひじょーに言いづらい晴子だが…冥夜の黒いオーラがユラユラと放ってるものだから、更に恐怖度は上がる。「タァァマァァァ…!!」「痛っ…!!いたいれふぅ、たへるさぁ~ふ(痛いですぅ、タケルさぁ~ん。)」「俺がどれだけ悲しんだか…わかってるのかっ!!」「ごご…ごへんなふぁ~ふぃ(ごご…ごめんなさぁ~い)」桜花作戦での悲しみを告げるタケルタマも自分の死で悲しませた事を知り、謝るが……タケルに頬を両側から引っ張られてる状態な為、うまく謝る事が出来ないでいた。「あと、今日はタマパパに親バカストロベリートークにひじょーに疲れる結果になったんだ…その鬱憤…晴らさせて貰うぞ。」「パ…パパァァッ!!」父・玄丞斎のせいで、お仕置きのレベルがアップしてしまうタマ 後に玄丞斎に会ったタマが『パパの…バカァァッ!!』…と言われてしまい、玄丞斎はショックの余り発作を起こし、1週間程緊急入院する結果になる…。