回想の続き―――『白銀さんは、このBETAの居ない世界から飛ばされて、『BETAの居る世界』にループしました…。勿論、白銀さんは軍隊経験等無く、『一般人』でした…。この意味…わかりますよね…。』『うん…この世界の人達にしたら、私達のいた世界は『地獄』だよ…。』『そうです…ですが白銀さんは香月博士と出会い、拾われる事になります。そして、珠瀬さん達がいた『207B分隊』に入隊する事になりました…。』社の話を真剣に聞く私達…。一般人だった白銀が207B分隊に入隊したは良いが、みんなの足を引っ張る存在だったらしい…。ちょっと意外だったけど、仕方ないか…この頃の白銀は一般人だったんだから…。なんとか、総戦技演習も辛うじてクリアして合格を得た207B分隊しかし、その後が白銀の本領発揮だったらしい。『白銀さんは、元の世界で『バルジャーノン』というゲームを得意としてました…。そしてそれは、私達の知るシミュレーター用の管制ユニットによる戦術機のシミュレーター訓練と殆ど同じで、それを良く遊んでた結果、衛士としての才能を開花させる事になりました。』『それじゃ、白銀の機動特性って…!!』『ハイ、この世界で遊んでいた『娯楽』から得た物です。ちょっと言い方を変えれば、白銀さんはこの世界で『結果的に』戦術機のシミュレーター訓練を『数年間』鍛えた……とも言えるのです。』『とは~…。』『まさか…娯楽から生まれた才能とはね…。』流石にこれは予想外過ぎる。誰だってあの才能を娯楽で得た物とは思わないよ…『更に言うならば…XM3の『コンボやキャンセル・先行入力』は、この世界のゲームから持ってきた産物なんです。そして、この世界の人間で、こういったゲームが得意な人ならば、誰でも出来る機能でした。それを白銀さんは香月博士に話した結果XM3が誕生したのです。』『ええぇっ!!』『嘘…XM3も娯楽から生まれた物なの…?』予想外過ぎる発言が連発して、呆然とする私達けど、そのXM3も完成したのは、私達の世界に来てから創られたらしい。そういう意味では私達の世界は運が良かったのかもしれない。そしてその後、様々な事件が発生したらしい。中でも『HSST襲撃事件』は驚いた。なんせ、その事件を防いだのが、まだ訓練兵の珠瀬さんだったからだ。超音速で飛来する爆薬ビチビチ積まれたHSSTを『試作1200mmOTHキャノン』というマッハ5を超える弾速を誇る超弩級な水平砲で撃ち落としたらしい…凄過ぎだよ…。当の珠瀬さんは―――『わわわ…私…そんなとんでもない事したんですかーーーッ!!』『ハイ、白銀さん曰く『その瞬間タマが『極東一のスナイパー』が決定的になった瞬間』…だったそうです。』『……そうだね、珠瀬さんの狙撃って半端じゃないからなぁ~…。伊隅大尉達も『珠瀬の長距離射撃を回避する事は至難の業』だって言ってたもの。』『はうぅぅ~~~っ!!』また顔が真っ赤っかになる珠瀬さん…けど、本当の事だから諦めて貰おう。その後も事件は起きたらしいけど……最後には絶望的な事件が起きた。それが『オルタネイティヴ5の発動』らしい。オルタネイティヴ5…人類10万人を選別して、宇宙に逃げる作戦。そして、地球に残された人類は最終決戦を起こすそしてその方法が……G弾の大量爆撃による殲滅。少なくとも白銀は2005年頃までは生存してたらしいしかし、BETAは生存してたらしく、白銀は…戦死したらしい。そこで白銀の『一度目の世界』は終わった。けど、『物語』はまだやっと半分。そしてここからが『物語の本番』『白銀さんは、再びループして『二度目の世界』に来ました。そしてその『二度目の世界』こそが、私達の知る住んでいた世界です…。』再びBETAの居る世界にループした白銀は、再び横浜基地に訪れた。しかし、前回と違って『一度目の世界』で鍛えた肉体や記憶を継承し、何より『未来の歴史』や『半導体150億個を手のひらサイズ』という情報のジョーカーまであった。 そしてそれを知った香月博士は白銀と協力関係となったらしい。けど、予想通り香月博士の方が何枚も上手だったらしいけどねあとは私達が良く知る歴史を辿るそしてそれこそが『歴史の変更』した結果らしい。一度目の世界に起きた事件を回避する事で、『オルタネイティヴ5』を弱体化する事に成功したらしい。けど…その後が問題だった。歴史を変更した為、それに匹敵する事件が起きた。それが…『12・5事件』…クーデター事件だった…。そして、その後『トライアル事件』が起こり……神宮司軍曹が亡くなった。白銀は自分を責め続けた。自分が歴史を変えてしまった結果、恩師を死なせてしまったと…。その悲しみと重圧の結果、一度は逃げてしまった白銀…けど、そこに待ち受けていたのは…更なる地獄だった。自分が逃げて元の世界に逃げた結果、元の世界の『神宮司先生』が殺され、白銀に想いをよせる人達からは…記憶や想い等が失う結果になった。そして…更には鑑も重傷を負う結果になった。そして、それが自分自身に原因があると知る事になる。けど、元の世界の『香月先生』に喝を入れられ、再び戦う決意を取り戻す白銀そして、元の世界で起きた事象を解決するには、ループした原因を探りだし、解決する事にあると教えられる。そして『覚悟』を持った白銀は、再び私達が居た世界に戻るそして、その覚悟を見せた結果、香月博士から本当の意味で『仲間』として迎えられた。『……白銀さんを軽蔑しますか…?』『…出来ないよ、そんな事…。私達には想像出来ないぐらい、苦しんだんだもの…。』『私も珠瀬さんと同意見。白銀は自分が歴史を変えた結果、神宮司軍曹を死なせたと責任を感じて責め続けたんだもの…その苦悩や重圧は、私達がわかる事なんて出来ないよ…。』『ハイ…白銀さんはとても優しい人です…。自分の目の前で殺され、守れなかった事やその結末を導いてしまった責任で苦しみました…。けど、帰ってきた白銀さんは、覚悟を背負い、前に進みました…。』『凄いよね…白銀…』『ハイ…。』その後は私も良く知る歴史を辿る事になる。白銀は珠瀬さん達より遅めに『伊隅ヴァルキリーズ』に入隊する事になる。そして…… 『この後……大きな事件が立て続きに来ます。そして、最初に来たのが---』『……甲21号作戦…だね…?』『ハイ……結果をいえば、『一応攻略は成功』しました…『佐渡島の消滅』という結果で…。』『佐渡島の消滅!?それ、どういう事!?』流石に予想外な結末に驚く私らしくない事に興奮してしまい、質問してしまう。『柏木さんが亡くなった後…伊隅大尉は自分の退路を絶たれた事を知り、ある決断をしました…。それは…自分ごと凄乃皇弐型を爆破させる事でした。』『―――ッ!!!』『そして結果、G弾20発分の爆発で佐渡島を消滅しました…けど、それは日本を救う結果につながりました。』『ど、どういう事…?』『…実はね…柏木さんが亡くなった後、BETAが南下してね…本土に向かってた事がわかったの…。』『ええぇっ!?』『けど、伊隅大尉が凄乃皇弐型を爆破したおかげで、本土上陸は阻止する結果になったの。そして、後に甲21号作戦に参加していた月詠中尉達第19警備小隊がね…伊隅大尉の事を『救国の英雄』って呼んでくれたの…。』『そう…なんだ…。』伊隅大尉が亡くなった事に強くショックを受ける事になる。『自分を…責めないで下さい。』『ん…ありがとう…社』ヤバいな…ちょっとだけど…白銀の気持ちがわかった気がする…。あの時、私がやられなければ、伊隅大尉は―――そんな強い気持ちが襲って来る。『そして、その後に待ち受けていたのは、12月29日深夜に起きた事件『横浜基地防衛戦』です。佐渡島から難を逃れた4万を越えるBETA群が横浜基地を襲撃しました。』『な…なんだってっ!?』僅か一週間以内に横浜基地が襲撃されてた事を知り、驚愕する。『12・5事件』『甲21号作戦』と立て続けに続いた為、帝国軍は帝都の防衛に精一杯だったらしく、横浜基地の自軍の戦力のみで戦う事になった。伊隅ヴァルキリーズは速瀬中尉が受け継ぐ事になり、速瀬中尉のポジションを白銀が受け継ぐ事になった。そして、BETAを迎え撃つ横浜基地だが、予想外な事態が起きた。BETAが初めて『陽動戦術』を使ったのだ。そして、その結果…横浜基地内に侵入を許してしまう。そして、その結果―――速瀬中尉と涼宮中尉の死亡―――そして、宗像中尉・風間少尉と…茜が重傷を負う結果になった。ただ、茜はまだ宗像中尉や風間少尉に比べればまだ軽い方で、すぐに意識を取り戻したらしい。茜が無事だったのは嬉しいけど、速瀬中尉と涼宮中尉の死亡は強いショックを受けた。『そして…横浜基地防衛戦のすぐ後に、とある作戦名が発令されました。そして、それこそが…人類が全てを賭けた一大決戦でした…。』『それは一体…?』横浜基地が襲撃された後にすぐに起きた事件そして―――その時、珠瀬さんの口から告げられた。『『桜花作戦』…。作戦内容は…オリジナルハイヴ攻略そして…その作戦で私が死んだんだよ…。』『オ…オリジナルハイヴ攻略っ!!』『ハイ…そしてオリジナルハイヴに突入する決戦部隊は……生き残った伊隅ヴァルキリーズである、榊さん・御剣さん・彩峰さん・珠瀬さん・鎧衣さん・白銀さん・純夏さんに…そして私です。そして、色々な事が起こり、オリジナルハイヴにはこの8人のみで挑む事になりました。』『は……8人だけっ!!?』コクリと頷く社と珠瀬さん…たった8人だけで挑むなんて、自殺行為だよ…。理由を問うと、どうやら突入前にBETAが『対応』した為、AL弾頭を撃ち落とさなかった為、地上部隊は全滅重金属雲が不完全な為、軌道降下部隊も光線級に撃ち落とされ全滅。生き残ったのは、『凄乃皇四型』と五機の武御雷に搭乗していた白銀達だけだった。そんな絶望的状況に白銀達は挑み、なんとオリジナルハイヴを攻略に成功した。けど――その代償は大きかった。オリジナルハイヴの生存者は……白銀と社の二人だけ。他のメンバーは…白銀を助けようと想いを貫いた結果、死亡した。けど、その想いを貫いたおかげで、白銀や社は生き残り、オリジナルハイヴを攻略する事に繋がった。そして、その後は人類に希望の光を与え、『白銀武の物語』は幕を閉じた。話が終わると、私達三人は涙を流していた。『そんな壮絶な事を体験してたんだね…白銀は…。本当に…凄いよ…。』『ハイ……その後は、この世界に戻り、記憶等を失った状態で安息……いえ、波瀾万丈な日々を過ごしてます。』確かにね~。安息…とは言えないぐらいハチャメチャな1日だったし、波瀾万丈で合ってる。けど、白銀はもう戦う事は無い―――そう思った矢先、社の表情が曇る。『けど…恐らくですが…白銀さんの物語は…終わって無いと思います。…いえ…再び『再開した』と言った方が正しいのかもしれません。』『『ええぇっ!!』』そんな…白銀の戦いは終わったんじゃないの?『恐らく…白銀さんは納得しなかったんだと思います。例え世界を救えても、共に笑いあえる皆さんが居ない事に…。そして、その結末が『最良の未来』とは認めたく無いんだと思います…。』『し、白銀がまたループしたって証拠は有るの?』そう訪ねると―――社は私達を見つめる『証拠…とは言いきれませんが…柏木さんや珠瀬さんがループした事が関連してるのかもしれません…。原因はわかりませんが、多分『みんなを救いたい』という気持ちで白銀さんはループし、そして白銀さんに想いを寄せてた珠瀬さんもループされた原因に繋がったと思われますが…柏木さんの場合は…ちょっとわかりませんが、もしかすると、『何か強い想い』が偶々白銀さんのループに引っ張られる結果になったんだと思われます。白銀さんは『因果導体』だった経緯がありますし…その可能性は捨てれません。』すると、社は私と珠瀬さんの手を掴むと―――震えながら、私達に頭を下げる。『お願い致します…白銀さんを…助けてあげて下さい。多分…今回は私は直接助ける事は出来ません…白銀さんは…良く無茶をします…そして今…自分自身を責め続ける筈です…ですから…』大粒な涙を流しながら、私達に頼む社――― その姿を…私達は心を射たれてしまう。『白銀さんを…助けて下さい…。』万感の想いを込めて、私達に託す社だった…。