「こ…これは…ッ!?」驚愕。その言葉だけ、強く表現出来る言葉だった。 回想---あの後、タケルはシミュレータールームに向かい、訓練の段取りをする。椿に今回の事を伝え、部隊全員に伝えるよう頼む。それと同時にナスターシャも、教室へ戻り、まりもや祷子達に今回の事を伝える。勿論、まりもの深い溜め息が漏れた事は言うまでもなかった。 そして午後1時---シミュレータールームには、第17大隊・ジャール大隊・207衛士訓練兵達が集合していた。 今回の訓練内容は『対人戦闘』つまり戦術機同士の戦いだった。 そして今回は特別に完成したばかりの『通信式管制ユニット』を使い、横浜基地にいるA‐01との対戦だった。 そしてA‐01側の部隊はヴァルキリーズ・オーディン隊の他に、影行・楓の居るシルバーチャリオッツ隊から2中隊を加えた混成部隊だった。 ステージは横浜基地の市街地跡演習場。ステージはアウェーだが、タケルと冥夜にとって『懐かしいステージ』だった。 第17大隊のCPは修行中の純夏A‐01側のCPはピアティフ中尉(ちなみにピアティフがタケルの姿を見た途端、頬が僅かに赤くなる。それを見た純夏は無言でタケルにレバーブローを放ち、一時はタケルが出撃不可能になる所だった。)そして、訓練が開始すると、其処は想像を絶する戦いだった。 まずはA‐01側の先陣は、ヴァルキリーズの『新・突撃前衛長』の速瀬水月と『ヴァルキリー・マム』の涼宮遙が搭乗する不知火・改と、オーディン隊の新・突撃前衛であり、『元ヴァルキリーズの突撃前衛長』の『甲斐真実大尉』が、異例のW突撃前衛長のエレメントを組んできた。 元々甲斐大尉は、ヴァルキリーズの突撃前衛長だったが、『光州作戦』で重傷を負い、一時戦場から引いていた。 しかし、彼女の不屈の精神で今年の1月に復帰し、リハビリを兼ねた訓練を地道に積んで来てた。そしてXM3にも慣れ、以前以上の腕前になった所で、香月博士との話の結果、ヴァルキリーズからオーディン隊に移転したのだ。 水月を突撃前衛長に推薦したのも彼女みちるは碓氷と同じく、最古参である甲斐大尉に突撃前衛長としてヴァルキリーズに復帰して欲しかったのだが、代わりに『水月を突撃前衛長として指導してやる』と言い、スパルタ指導で水月を鍛えていたのだ。 結果、水月は突撃前衛長として認められ、正式に決まった……のだが、水月からは『まりも大尉が狂犬なら、甲斐大尉は『番犬』よっ!!!』と…恐れられていた。 ちなみに彼女、まりも信者で、『狂犬二世』とも呼ばれた程スパルタな訓練をする人物だったりする。勿論その原因はまりもな為、まりもをどれだけ崇拝してるかわかる。『ヴァルキリー2、無様な姿を晒して撃墜したら、また鍛え直してやるから覚悟しろっ!!』『オーディン2こそ、白銀大尉にあっさり撃墜されないで下さいよ?』『相変わらず口だけは一人前だな。ヨシ、もし無様に撃墜されたらグランド100周だっ!!』『そちらこそ、私より早くに白銀大尉に撃墜されたら、『恥ずかしい思い出話』をして貰いますよ?』 『ヌゥ…良いだろう。』緊張感の無い話で盛り上がる二人だが--- 『バカモンッ!!』『ぷろっ!?』突如水月機にドロップキックを放つタケルの武御雷・羽鷲『勝手にオレを賭事に参加させるなっ!!』『何故それをっ!?』『んなモン、オープンチャンネル開いて、ギャアギャア騒げば聞こえるわっ!!』『あっ…そうだった。』うっかりオープンチャンネルを開いてた事を忘れてた水月元々囮役だった為、自分達の存在を知らせる為に開いていたのだが、ついつい…盛り上がってしまい、忘れていた『っていうか、狙うならアッチですよ、白銀大尉!!』『んなモン知るかぁぁっ!!』『グハッ!?』タケルの怒りのラリアートを喰らう水月機同乗している遙が『私悪くないのにぃ~』と涙を流すが、運が悪かったという事で一蓮托生で犠牲者となる。 「……なんだかなぁ~…」つい、ポロリと本音を漏らす巽いつもは尊敬する教官なんだが、今のやりとりを見ると、ビミョーそうな表情でモニターを見る事になる。『まあ、都合が良い。元々白銀大尉を誘き出す囮だ。ヴァルキリー2を無様に倒してくれれば尚良しだ。』『な゛ぁ゛っ!?』『アンタら仲間だよね…?』早速仲間割れ(?)を起こす甲斐大尉と水月なんともビミョーな気持ちで戦闘開始する。 まず甲斐機が最初に白銀機に長刀で突撃し、白銀機の長刀と打ち合うと、一旦間合いを離し、再び斬り込む。 それと同時に、水月機も白銀機に長刀で斬り込む。『うおっ!?流石に突撃前衛長二人はキツいか!?』『まだまだァァッ!!』怒涛の水月機の攻撃を捌く白銀機水月機の背後から甲斐機が突撃砲で援護する。 (随分と苦戦しているな…?所詮は白銀大尉もこの程度か?)初めて対戦する甲斐大尉の感想いくら突撃前衛長が二人がかりとはいえ、此方が優位に立っている。 (ん…『優位』だと…?)その時、甲斐大尉は『違和感』を感じる。 何故優位なのだ---? 私と速瀬の二人でかかってるからか? 二人がかり…………………エレメント………!! 『まさか----ッ!!』『とある事』に気づく甲斐大尉そして--- 『ハアァァァッ!!』『チィッ!!』甲斐機の背後から奇襲攻撃をする『冥夜機』そして次々と現れて来る『突撃前衛達』『コイツはオレが貰ったァァッ!!』『クゥッ!?』『僕だって!!』『なんなのよ、これはっ!?』形勢逆転。先程まで『二対一』が『二対五』になってしまったのだ。 現れたのは、冥夜・真那・駿・孝志の四機。そう---最初のタケルの単騎突入は『囮』だった。 実は第17大隊も、狙われるのはタケルと予想し、あえてタケルを『囮役』として単騎突入させたのだ。そして釣れる相手は水月とそのエレメントそう考えて待っていたのだが、例のオープンチャンネルの会話で登場の仕方がド派手になってしまったのだ。 (迂闊だった…先程の速瀬の突っ込みで肝心な事を見失うとは…!!)最低限エレメントを組んで行動する事が基本だが、単騎で行動する時は『何かしらの理由』が無ければ単騎での行動は有り得ない事。 なのに白銀機は単騎で自分達に挑んで来たという事は----何かしらの『策』が有るという事---!! そして先程の白銀機とは違い、動きが違う。 『グウゥゥッ!!』『オオォォォッ!!』水月機から離れた白銀機が甲斐機に突撃する。(先程の動きとは全く違う!?やられた…先程の動きは『時間稼ぎ』かっ!!)先程までの動きが『時間稼ぎ』と気づく甲斐大尉この『策』を成立させる為に、ワザと動きを抑えていたと知る。 (しかし、腑に落ちない。何故私達を倒す為に、これだけの突撃前衛達が来るのだ?)そして新たに現れた疑問。自分達を倒すならば、白銀大尉のエレメントである冥夜中尉だけいれば良い。それでも不安ならば、あと一機追加すれば充分だ。 (他にも企みが有る…?)現状を考えれば、囮役とはいえ、自分達を失えば充分痛い損害になる。 ならば、当然援護は来る---!!! 『まさかっ!?』『おや?もしかしてバレました?』ニヤリと笑みを浮かべるタケル『策』は1つだけでは無かった--- 『ヴァルキリー2とオーディン2を早く助けるんだ!!』『了解!!』水月機と甲斐機の救出に向かうオーディン隊そして同伴として、楓率いる中隊もいた。『しかし…まさか向こうも白銀大尉を囮役にするとは…』『見事に作戦がカブったわね。』『全くです。』苦笑する碓氷と楓まさか向こう側も突撃前衛長を囮役にするとは予想外だった。 『此方は突撃前衛長二人に対して、向こう側は突撃前衛長三人とそのエレメント…長時間は持たな『オーディン8・9、動力部大破、機能停止。』---何っ!?』 『いつの間『シルバー10・12、機関部大破、機能停止。』--なんですって!?』突然の仲間の撃墜の報告に戸惑い、足を止める。 『敵の反応は無かったぞ!?』『ど、どういう事だっ!?』全機が停止し、全方位を警戒する。 『オーディン5(孝之)からオーディン1へ…大尉………もしかして『アレ』ぢゃね?』『『アレ』とはなんだ!?』『いや、つい最近にも………ヴァルキリーズで同じ事あった……よね?』すると鳴海機から今の状況を以前ヴァルキリーズも体験したと報告する。………その際、孝之の表情が真っ青になって、不知火・改ごとブルブルガタガタ…と震えていた。『……やっぱりそう思うか、孝之?』『……他に何かあるんなら、教えてくれ。』『………ゴメン、無いわ…。』同じくオーディン7である慎二も敵の正体を把握し………恐怖で不知火・改ごとガタガタブルブルと震えていた。 『…………白旗…上げたい気持ちなんですけど…。』漸く碓氷も敵の正体に気づく。勿論碓氷機の不知火・改も恐怖で震えている。『誰なの、オーディン1!?』楓が敵の正体を尋ねると--- 『敵の正体は…………………まりも大尉が乗る天狼一機です。』『はっ!?』敵の正体を楓に報告する碓氷涙を流しながら『狂犬』の恐怖をジワジワと味わっていた。『だから、あの人にステルス機能付けたら駄目だってっ!!』『ス、ステルスだとっ!?』『元がYF‐23ですからねぇ…』『ハハハ…水月達ガウラヤマシイヤ………』恐怖のあまり、怯える孝之と壊れかかる慎二まりもの乗る機体にステルス機能が付いてると知り、背筋に悪寒がはしる楓そして--- 『ウフフッ…♪楽しませてね、碓氷☆』『『『キタ-----ッ!!』』』恐怖の根元・まりもが操る天狼がきゅぴーん☆と赤く眼光を光らせながら現れた。『ウ…ウォオォォッ!!』『あっ、コラ、シルバー28突っ込んだら駄目っ!!』シルバー28が天狼に無謀にも突っ込む。………ちなみにシルバー28は昨年のまりもとタケルの教え子で、まりもの恐怖は身に染みている為の暴走だったりする。 『甘~いわよっ♪』『な゛っ!?』突撃砲を乱射しながら接近するシルバー28しかし天狼はひらりひらりと余裕綽々に回避し、シルバー28との距離が200程縮むと、倒立反転で他の弾を回避する 『クソォォ…なっ!?』『フフフッ♪』だか、シルバー28とて負けじと一旦バックステップで後退し、倒立反転中の天狼に狙撃するが、あろうことか倒立反転中にキャンセルして、横にあった廃ビルを蹴飛ばし、同時に全力の噴射跳躍で一気にシルバー28の懐に入り、特殊近接戦短刀で機関部を一刺しする。『まだまだよっ!!』『『『へっ?』』』シルバー28を撃破すると同時に、ガチャンと天狼の右肩部の『リヴァイヴ・ボックス』が開き、姿を現したのは---前回大好評(?)だったキャニスター弾のミサイルコンテナだった。『イグニス11(まりも)フォックス3!!』『逃げろぉぉぉっ!!』放たれる狂気の閃光。拡散するミサイルは炸裂し、戦術機に致命的損傷を与え、次々と撃破する。 孝之や慎二あたりは涙流しながら回避する但し---此処に『例外』が有るとは、まりもすら気づかなかった。 『ウォオォォッ!!!』『え…ええぇぇぇっ!?』ただ一機、一歩も後退せずに次々とミサイルを『撃墜』していく不知火・改が存在した四丁ある内の二丁の突撃砲には、キャニスター弾を装備していた120mm滑空砲があり、炸裂する前のミサイルを撃ち抜き、仲間達の被害を最小限に防いでいた。 そして同時に、ガンマウントに装着されている突撃砲で、自身を襲うであろうミサイルを可能な限り撃ち落とし、回避を含め、ひたすら『前進』あるのみだった。 その機体の搭乗者の名は、白銀楓大尉あの『天才衛士』・白銀武の母であった。流石にこの非常識には、まりもも驚愕し、一旦後退して間合いを広げる。だが--- 『あら、良いのかしら?私相手に間合いを広げて?』『---しまっ!!』後退した事を『悪手』と悟るまりも。すぐに間合いを詰めようとするが、遅かった。 『---ッ!!』天狼に激しい振動が襲う。 先程ミサイルを放った右肩部のリヴァイヴ・ボックスが、突如破壊される。『イグニス11、右肩部中破!!』『なっ…なんて狙撃だ…!?』危険を察知し、即座に回避行動を取った天狼スピードに関しては、現時点で日本最強の速さを持つ天狼の回避速度に追いつき、右肩部を中破したのだ。 『あら、良く回避したわね。』挑発するようにオープンチャンネルで会話する楓『良い動きよ、まりもさん。あのまま回避しなければ---機関部を貫いてたわよ。』『----ッ!!』楓の一言にゾクリと背筋に悪寒が走るまりも相手は『あのタケルの母』なのだ。子が『天才衛士』ならば、親とて『天才』だとしても、おかしくは無いのだ。『……親子揃ってチートってヤツですか…?』『私からしたら、タケルのは予想外よ。けど---親としてまだまだ負けられないわ。』苦笑いをしながら楓に接近戦を挑むまりもその挑戦にあえて答え、砲撃による接近戦をする楓 その壮絶な戦いにただ唖然としている碓氷達。 『オーディン1!!此処は私に任せて、私の部隊連れて先に行きなさいっ!!』『---ッ!!了解!!オーディン1から各機へ、シルバー2(楓)を置いて全機先に進むぞっ!!』『『『りょ、了解!!』』』楓の一言で目を覚ます碓氷そして碓氷の号令と共に再び進軍する。『あら、狙わないの?』『貴女を前にして狙う事なんて出来ませんよ…。』『良い判断よ。しかし…まさか此処まで作戦が『カブる』とはねぇ…。』『カブる?』楓の言葉にピクリと反応するまりもすると--- 『ええ、貴女達が突撃前衛長を囮にして貴女が救出部隊を奇襲攻撃する作戦…そのまんま此方の作戦と『同じ』なのよ。』『え、ええぇぇぇっ!?それじゃ…!!』『そうよ、今頃影行さん達の部隊が其方の部隊に奇襲してる頃よ♪』驚愕の事実に絶句するまりも 『そしてもうひとつ…』『もうひとつ…?』『母親や子供がチートならば---父親がチートでもおかしくは無いわよ♪』『え、ええぇぇぇっ!!?』一方、同時刻----『ヌゥゥッ!!』『流石だね、真耶ちゃん。オレの奇襲を防げるとは大したモノだ。』A‐01側の救出部隊に備え、伏兵として隠密していた真耶・真那の部隊が、突如影行の部隊に奇襲攻撃を受け、被害を出していた。 『よもや奇襲攻撃を受けるとは…』『隠密・奇襲・伏兵は得意科目でね。『銀の狼達』シルバー・ウルブスなんて呼び名も付いた程だよ。』『『銀の狼達』シルバー・ウルブス…確か、対人戦に優れた部隊と聞き覚えがあります。まさか義父上の部隊とは…』『まあ、その呼び名は元々の由来は『前の部隊名』なんだけどね。まさか未だに呼ばれるとは、その頃は思わなかったよ。』苦笑する影行だが、その言葉に疑問を感じる真那達 激しい戦いを繰り広げながらも、会話を続ける。『…以前の…部隊名…?』『そっ。この『銀の戦車』シルバー・チャリオッツはね、以前いた『銀の狼達』シルバー・ウルブスのメンバーで作った部隊でね。今じゃ、その生き残りはオレを含めた5人しか居ないんだけどね。』『何処に居たか聞いて宜しいですか?』真耶の問いに対し、苦笑いをしながら答える。 『皇帝陛下直属守護部隊だよ。』『『なっ---ッ!?』』影行の言葉に絶句する二人そして、その一瞬の隙を見逃す影行ではなかった---!! 『隙アリだよ。』『しまっ…グウゥゥッ!!』一瞬の隙を突かれた真那機の左肘部に短刀を突き刺す影行そのせいもあり、真那機の武御雷・羽鷲の左腕の機能を奪われる。 『中尉から離れろっ!!』『おっと、危ない。』篁機と雨宮機が援護で長刀での攻撃を仕掛けるが、軽々としゃがんで回避し、再び短刀を装備と同時に短距離跳躍、篁機と雨宮機の機関部に一突きする。 『駄目だよ、篁君と雨宮君…だったね?救出する際そんな風に長刀で攻撃したら、こんな風にやられるよ?』『莫迦な…!?』『嘘…?』一瞬で撃破され、悪夢のような感覚を覚える唯依と佳織その後すぐに前島機とまりか機が突撃砲で攻撃する。『おっと、流石にコレは無理だね。』 前島機とまりか機の狙撃を逆噴射制動をして回避、その後即座に廃ビルに隠れる。 『オレは楓やタケルみたいに正面から突撃なんて真似出来ないからね。自分の得意科目でやらせて貰うよ。』『何を言いますか…皇帝陛下の直属部隊と言えば、歴戦の猛者達が揃う部隊と聞いております。その部隊出身であれば、我等程度など正面からでも戦える筈です。』『それは過大評価だよ、真那中尉。オレはその中の下っ端風情だから、大した実力は無いよ。』『御謙遜を…。』廃ビルに隠れる影行機を攻撃する真那機片腕を失いながらも、自分も廃ビルに隠れながら狙撃戦で応戦する。 『何故、名誉ある皇帝陛下の直属部隊を離れ、帝国軍に移ったのですか?』『まあ…その…色々あってね。ちょっとした『きっかけ』で部隊を離れる事になったんだ。』真耶の問いに対して、何故か顔を赤らめる影行流石の真耶や真那も、その影行の表情に『?』と頭を傾げる。 『まぁ、そのおかげでタケルが生まれる事になったから、今となっては良い選択をしたと言えるよ。』『--ッ!?そうでしたか…。』そして直属部隊を離れた事で、タケルが誕生した事に繋がっていたと語る影行その表情に偽りは無いと悟り、真耶は笑みを浮かべる。 『まあ、そんな事もあ--『チェストォォォッ!!』もげっ!?』イイ話をしてる最中に、上空からタケル機の『踵落とし』が綺麗に入り、影行機の頭部が破壊される。 『コラ、タケル!!人がイイ話してる最中に攻撃するとは何事かっ!!』『莫迦野郎!!訓練してる最中にだべって隙だらけなヤツが悪いだろっ!!』『人がせっかく『昔の思い出ヒストリー・タケル誕生編』を語ってた時に!!』『何恥ずかしい事をしてるの!?』セリフと裏腹に、激しい戦闘を繰り広げている白銀親子。頭部を破壊されてメインカメラなどを破損したものの、サブカメラやセンサーを頼りにして戦う影行機 頭部を失っても激しい攻撃を仕掛ける影行機に対して、一番の武器である機動特性を生かし、アクロバットで翻弄しながら影行機を追い詰めるタケル機。………せっかくの燃えるバトルが台無しである。現在---- 「どうですか、ラトロワ中佐?」「殿下…いえ、驚くばかりで言葉を失ってました。」タケル達のシミュレーター訓練を終え、深い溜め息を吐くラトロワその際悠陽が近寄り、質問すると、素直な感想を告げる。 「まぁ……所々の会話などは置いといて…XM3の実用性や性能の高さは驚くしかありません。確かにあれほどの動きを可能とするならば、『奇跡のOS』というのも頷けます。」「おわかり頂き幸いですわ。」はっちゃけた部分を置いといて、XM3の性能の感想を告げるラトロワ流石に戸惑いの表情は未だに隠せられなかった。 「そして衛士達の腕も驚きました。…我々は日本を過小評価していたようです。」そして日本の衛士のレベルにも驚き、考えを改める。 「幾らXM3が優秀でも、操る衛士が未熟なら意味は無い、宝の持ち腐れだ。しかし、シロガネ・タケルを始めとして、他の衛士達の実力は高い。まだ未熟な衛士ですら、正規の衛士以上の実力を持っている。」「御理解して頂き、誠にありがとうございます。」衛士としてのレベルの高さも理解し、素直に告げるラトロワ他のジャール大隊の連中をチラリと覗くと、絶句したまま固まっていた。「如何なさいますか、ラトロワ中佐?XM3を付けてみますか?」「ハイ、是非とも宜しくお願い致します。」悠陽の問いに頭を下げて交渉を成立するラトロワ悠陽も内心ホッとして、タケル達を迎えるのであった…。あとがき----- しばらくぶりです、騎士王です 今回は新キャラの『甲斐真実』が出ました。そして気づいた人がいると思いますが楓の階級が大尉になりました。(影行も少佐に昇格)甲斐の設定は次回しますのでお待ち下さいm(_ _)m 追伸・今回のシミュレーター訓練…あのまま細かく書いたら五話ぐらいかかりそうだった…orz