2000年・4月6日 京都・帝都城---- 「これで今日の訓練は終了する。解散!!」椿の号令で今日の訓練を終了する事になる第17大隊 「ふぅ~…着替える前に一息つくか…」「私も休憩に入るわ。」「私もだ。」訓練で疲れ、小休止をするタケル・まりも・冥夜シミュレータールームのそばにある休憩所で一息つけようと向かうと… 「タケル達も小休止か?」「孝志さん達もっすか?」「ああ、シャワーを浴びる前に、一息つきたくてな。」先に小休止を取っていた孝志と政弘が自販機から合成珈琲を買って飲んでいた。「あれ?椿さんは?」「今真那と一緒にシミュレーターのデータを取りに行ってるよ。」「へぇ~…そばに居なくて良いんですか、『旦那様』」「うっせ。まだ籍しか入れてねぇよ。…つーか、先に籍入れてから結婚式挙げるのは、お前と同じだろ。」「まぁね」例のプロポーズから、数日後に籍を入れた孝志 『崇宰』から『九條』に変わり、今は既に椿の家で暮らしていた。 本来ならば、すぐにでも式を挙げたかったのだが、今の京都で挙げるにはまだ復興してなく、とりあえず先に『婿養子』として、籍を入れる事になった。 仙台や東京等で結婚式を挙げる案もあったのだが、『生まれ育った、この京都で挙げたい』という理由と『京都を元気づけさせる為にも』という理由もあり、とりあえず籍だけは入れて、椿と夫婦になったのだ。 勿論『五摂家』という家柄の問題があるから反対した者達も居たのだが、予想外にも、『五摂家』の現当主を含めた人間達は、『別にいいではないか』という全員一致の答えを出し、問題をアッサリクリアした。 最大の理由は、前・政威大将軍である、煌武院雷電の力である 五摂家最大の権力者であり、前・政威大将軍という肩書きの持ち主の雷電が真っ先に賛成した事が原因だ。 無論、昔の雷電ならば、反対したのだが、タケルや周りの人間達の影響もあり、雷電の考え方が変わっていったのだ。 そのおかげもあり、孝志達の件は通り、籍を入れる事が出来た。ちなみに、今回の影の功労者は、実はタケルだったりする タケルは密かに雷電と会い、今回の先に籍を入れる事に説得していた。当初は雷電も、先に籍を入れる事には賛成だったものの、素直に『ハイ』と言えない事情もあり、悩んでいた。 そんな時、タケルがある策に出る。 『お願いします、どうか許可を下ろして下さい。』『ウム…しかし『許可してくれたら、義爺さんが悠陽と冥夜の最初の赤ちゃんの名前決めて良いから(悠陽と冥夜の許可アリ)』任せるがよいっ!!!必ず!!絶対に!!!説得してみせるぞぉぉぉぉぉっ!!!!』 ----こうして、雷電の努力により(?)孝志達の件の問題は解決したのだった。 「あら、孝志達まだ居たの?」「まーな、ちょっと小休止だよ。」「そう、なら丁度良かったわ。」「「「??」」」シミュレータールームから、椿と真那がタケル達の下に来る。すると『丁度良かった』と呟き、その理由を告げる。 「実は今連絡があって、殿下が呼んでるそうなの。」「悠陽が?」「ええ。ただ、今すぐではなく一時間後によ。集合場所は第60番ハンガーに部隊全員が集合よ。」「全員?しかも第60番ハンガーって確か…」「ハイ、確かエルヴィンさんが今開発に使ってるハンガーな筈…」集合場所に頭を傾げるタケル達。予想外な場所な為、誰一人理由が思いつかなかった。 「そういう訳だから、早めにシャワーを浴びて準備した方が良いわよ?」「わかった。それじゃ、さっさと汗流すかぁ~。」孝志の一言で小休止を終えるタケル達そして一時間後--- 「あれ?お前達、なんでこんな所に居るんだ?」「あ、白銀大尉、お疲れ様です。」シャワーを浴び、汗を流し、着替えた後、集合場所に到着すると、何故かナスターシャ達が第60番ハンガーに居た。 「実は、一時間前に連絡があって、殿下が直々にお話があると…」「お前達もか!?」「…一体…どういう事かしら…?」祷子の言葉を聞き、戸惑うタケルとまりも教え子まで集合をかけて、一体何を話すのか少々不安になる。 「お待たせ致しました、皆様。」「…ッ!!全員…敬礼ッ!!」すると悠陽登場に気づき、椿の号令と共に敬礼するタケル達無論、ナスターシャ達訓練兵も椿の号令で敬礼をする。そして、悠陽の後ろには、護衛の紅蓮大将・神野大将と、エルヴィン・結城の四名が待機していた。「お忙しい所、集まって頂き、誠にありがとうございます。今回の集合は訳あって一部の者達のみの公開となります。ただ、この情報が漏れましても、責める事は無いので、ご安心下さい。」悠陽の説明を聞き、機密性の低い話と理解するタケル達ナスターシャ達も、少し安心し、気が楽になる。 「此度呼び出した理由は幾つかありまして、椿さん率いる第17大隊と、タケル様とまりもさんの教え子である訓練兵達を集合をかけました。」「その理由とは?」 「ハイ、まずは…エルヴィンさん、お願いします。」「ハイ、お任せ下さい。」悠陽の説明を聞き、椿が質問をすると、悠陽の後ろで待機していたエルヴィンが前に出て説明をする。「まずは…遂に…遂に完成したよ…シロガネ大尉…!!」「か、完成!?」「ウム、我が祖国では、理不尽な理由で表舞台に立つ事が出来なかった『我が子』が…遂に…遂に…!!」「---って、まさかッ!!」嬉しさ一杯で涙を流しながら説明するエルヴィンそして、その意味を理解し、驚愕するタケル 「ああ、そうとも!!『YF-23・ブラックウィドウ』の改良機が完成したのだよっ!!」「「「「----ッ!!」」」」エルヴィンの言葉に全員が驚愕するあの『高価な鉄屑』と呼ばれた幻の戦術機・ブラックウィドウが改良機として完成し、この帝都あると知り、驚きを隠せないでいた。 「あの日---エドワーズ基地の屋外駐機ガントリーで無惨な姿で曝されていた我が子を見て、一体どれだけ悔やみ、悔し涙を流したか…。…しかし!!再び表舞台に立つチャンスが現れた時は、どれだけ歓喜し、以前以上に我が子を創る事が出来た…。」辛い過去を思い出し、一時苦痛な表情を浮かべるエルヴィンしかし、すぐさま歓喜の表情に変わり、タケルの下へ歩み、手を握り締め、感謝する。 「ありがとう…シロガネ大尉…。君という人物に出逢えなかったら、今の私や我が子も無かった…。本当に…ありがとう…。」「い、いえ、エルヴィンさん呼んだの先生ですし…」「勿論コウヅキ博士のおかげでもあるが…やはりキミの存在が大きい。」「えっ…オレ?」予想外の言葉に戸惑うタケル… 「あの時---コウヅキ博士から送られてきた、シロガネ大尉の戦術機映像を見せて貰ったあの日--あの映像を見て、私に『光』を与え、活力を与えてくれた例え、それがコウヅキ博士の引き抜きの策とわかってても、キミという人物に惹かれ、日本に来た事は間違いない事実。そして、キミから様々な案を出され、新開発をし、そして我が子…YF-23まで改良機として表舞台に出すきっかけを作ってくれたのだ…今ハッキリ言えるよ…キミを求めて日本に来た事は間違いではなかったと…!!」「エルヴィンさん…」エルヴィンの話を聞き、嬉しさで少し照れるタケルそして、そんなタケルを見て『おおっ…!!』とみんなの声が響く。 「エルヴィンさん、そろそろ自慢の『我が子』の御披露目をしてくれませんか?」「おおっ…!!スミマセンでした、殿下。では…みんな、頼む!!」悠陽の一言で我を取り戻すエルヴィンそして、整備兵のみんなに声をかけ、その姿を現す。 「こ…これがYF-23・ブラックウィドウの改良機…!?」「正式には『YF-23J改・天狼』が正式名称だ。そして、この機体に搭乗するのは----」現れた機体・『YF-23J改・天狼』淡い蒼のカラーを纏いながら現れ、言葉を失い魅了される そして、そんな機体の搭乗する者の前に---エルヴィンは告げる。 「シロガネ・マリモ貴女がこの子を『専用機』として使って下さい。貴女の期待以上に応えれるように創った機体です。存分に暴れて下さい。」「「「「えっ!!?」」」」「え…ええぇぇぇぇぇぇっ!!?わわわわ…私がっ!?」天狼の搭乗者として告げられたのは、なんとまりも予想外な事に周りはおろか、本人ですら戸惑い、ハンガー中に声が響く。「いいいい…一体どういう事ですかっ!!?」「実は、以前からマリモの衛士としての成長の速さに、私は勿論、イワヤ中佐やコウヅキ博士すら驚いてました。余りの成長に、実力では第17大隊のトップ3(タケル・孝志・椿)を脅かす程に成長してました。そして、その成長の速さは、シロガネ大尉程では無いものの、いずれは機体の問題にブチ当たると考え、今回のYF-23の改良機開発が始まったのです。」「…なる程、確かに最近のまりもちゃんの成長って、びっくりする程だったよな…」「ああ、確かに。『明星作戦』の時、一番そう思える程スゲェ活躍だったからな…」「私も最近負け越してますし…これは確かに揺るがない事実ですね…」「はうっ!?」タケル・孝志・椿のベタ誉めの評価を貰い、真っ赤に照れるまりもちょっと離れた場所で、教え子達が尊敬な眼差しで見てたりする。「天狼の性能は、従来のYF-23を上回る事に成功しました。但し『専用機』故に、コストは高く、生産性に関しては度外視してますので、大量生産化は現段階では無理です。但し、整備性に関しては、武御雷よりは良いので、その点に関しては、まだマシでしょう。」エルヴィンの説明を聞き、『ほほぅ…』『なる程…』と呟く声が漏れてくる。「性能は文句なしの出来前に仕上がりました。現段階では、武御雷はおろか、シロガネ大尉の不知火・改ですら凌駕する性能です。現時点では、『日本最強の機体』と言っても過言ではありません。」「そそ、そんな機体を私に…!?」「ハイ、この機体は『貴女に合わせた機体』です。マリモ大尉の最大の武器でもある『地上戦』に特化した機体に仕上げてます。主脚走行を主とする『走破性』如何なる変則的アクロバットにも充分耐えられる『柔軟性と耐久性』そしてラプターや武御雷をも上回る『接近戦闘や機動砲撃戦闘』それらを合わせた機体がYF-23J改・天狼です。」「す…凄い…」エルヴィンの説明を聞き、さすがのまりもも天狼の性能に唖然とする。 「勿論、元々のウリの一つである『ステルス機能』も健在。これ自体の性能は上がってませんが、元々ラプターのステルスより上回ってるので、ご安心を。」「ご安心をって…其処まで凄い機体を…私が…?」さすがのまりもも、予想外な展開に頭を抱え、軽く目眩を起こす。 すかさずタケルとそばにいたまりかが支え、他の者達は複雑な気持ちで合掌する。 「あとで調整とかするから、まりも…逃げないでねー♪」「結城君の鬼ぃぃっ!!」そして目をキラキラさせながら、まりもをいぢくる結城涙目になりがら、いきなりのしかかるプレッシャーに『タケルゥゥ…』と珍しく弱気な姿を見せる。「マリモ大尉が嬉し泣きしてる所ですが…次に進みたいと思います。」「嬉し泣きじゃないっ!!」「ハッハッハッ☆照れない照れない♪さて---」天狼が完成し、はっちゃけるエルヴィン泣きながら否定するまりもをいぢくりながら華麗にスルーし、話を進める辺り、香月博士や結城辺りに感化されたと見える。 「2月に正式配備された武御雷の改良機『type00改 武御雷・羽鷲』が完成致しました。」「「「!!!!?」」」「もう改良機ですかっ!?」武御雷が正式配備されたばかりに、もう改良機が完成された事に驚愕する椿達「ハイ。元々武御雷の試作機の時点で数機殿下から頂き、改良機を開発したのが始まりでした。元々の武御雷の性能に不知火・改のような機動性を足し、尚且つ整備性・生産性を向上化させたのが、羽鷲の性能です。通常の武御雷との違いは『純日本製と新・日本製』の違いです。」「新・日本製?」「ハイ。『純日本製』は、あくまでも日本の技術のみの事。しかし、『新・日本製』は、『純日本製』のこだわりを捨て、他国の技術などを学び、其処から独自に創り出した事を言います。今まで日本の技術は『純日本製』という鎖国的な考えがあった為、技術の向上が乏しかったのです。本来ならば、米・英・露・独などの国の技術を学び、其処から新たな日本製を創る事に頑として拒否してたのです。」「そこでエルヴィンさんが、富嶽重工・河崎重工・光菱重工・遠田技研と幾度となく話し合い、結果四社共互いに手を取り合ったのです。武御雷自体は富嶽重工と遠田技研の開発ですが、羽鷲に関しては四社結集した開発でもあるのです。」羽鷲の開発までの険しい道程を説明するエルヴィンと悠陽自分達の知らない所で様々な開発を進めていた事に絶句する一同「武御雷・羽鷲は特別な機体故に数に限りが有りますそれ故に武御雷の開発はそのまま続け、別々に開発したのです。」「特別な機体?」「ハイ、羽鷲は『対ハイヴ攻略』に特化した機体で、性能自体が飛び抜けてます。元々武御雷自体が高い性能だったので、其処に不知火・改のような機動性を加えてしまえば、操れる衛士が限定されてしまうのです。」「それは…つまり---」「---ハイ、椿さんの予想通り羽鷲は第17大隊に配備する予定です。」「「「!!!!」」」「そして、羽鷲は第四中隊…つまりシロガネ大尉の部隊を初めに配備する予定です」「なっ!?」「嘘…!?」悠陽とエルヴィンの説明を聞き、驚愕の連続を体験する椿達そして、まさか先任達を置いて、新任である自分達に羽鷲が当たる事に驚愕する唯依達。 「無論、是には理由が有ります。」「理由…とは何でしょうか…殿下?」流石に戸惑う唯依だが、悠陽の言葉を聞き、質問する。「来年度の話ですが…タケル様を始め、第17大隊は横浜基地に一時的に出向致します。そして第四中隊に関しては、一時的に国連軍の香月博士の直属部隊に属します。コレは、香月博士の進める計画にタケル様が深く関わってる為、一時的に香月博士の直属部隊に属する事になります。」「「「「なっ!!!?」」」」「そしてその計画とは、詳しい話は重要機密情報故にこの場では語れませんが、日本は勿論、『世界』の命運すら関わる計画…とだけ申しときます。」「「「「---ッ!!!」」」」「それ故に第四中隊には優先的に、まりもさんを除いた他の方は全員武御雷・羽鷲に搭乗して貰います。」悠陽の口から語られる重要な話に、唯依達新任は勿論、この事を知らない第17大隊のメンバーも絶句するしかなかった。 「あの…殿下に質問です…。」「何でしょうか、前島少尉?」すると、絶句するメンバーの中から唯一早くに復帰した正樹が質問をする。 「横浜基地に一時的に出向する事はわかりました。しかし、何故香月博士の直属部隊に属するのが、我々第四中隊だけなのでしょうか?」「ハイ、勿論それには理由が有ります。本来ならば、香月博士の直属部隊に属する事無くても良いのですが、計画を進める時にどうしても国柄の問題が発生してしまいます。そして第17大隊は我が日本が誇るべき斯衛軍に属する部隊…つまり、場合によっては、国の問題で出撃出来ない戦場が発生する事があるのです。」「「「!!!」」」「その為の処置として、タケル様の第四中隊を香月博士の直属部隊に一時的に属する事にしたのです。こうすれば、万が一国の問題が出ても参加出来ますし、タケル様や冥夜が参加するという事は『護衛』という理由を付けて本来出撃する事が出来ない戦場でも出撃出来る『名目』が出来るのです。」悠陽の言葉を聞き、『おおっ!!!』と歓声が出てくる 「タケル様や冥夜は『政威大将軍の夫と妹』という名目が有ります。もし、護衛を拒否し、万が一タケル様や冥夜に何かあった場合、その責任を追求されるのは拒否した国に有ります。そうなれば国際問題に発展しますから、否応無しに『護衛』を許可するしか無いのです。」「な、成る程…」「その為に香月博士の直属部隊に属するのです。」「納得しました。御説明ありがとうございます!!」悠陽の説明を聞き、納得する正樹そして同時に他の者達にも納得のいく理由だった。 「あの…スミマセン殿下。ご質問が有ります。」「貴女は…確か…」「白銀大尉達に御教授受けさせて貰ってるナスターシャ・イヴァノワ訓練兵です!!」「そうでした、ナスターシャさんでしたね。純夏さんやタケル様から聴いております。」「こ、光栄で御座います!!」すると今度はナスターシャが悠陽に質問をする。「それで、ナスターシャさんのご質問は一体何でしょうか?」「ハイ、今まで聞いたお話は大変驚く内容ばかりでしたが、私達訓練兵にはまだ関わらない内容です。殿下とこうしてお話出来る事自体大変な名誉ですが……一体我々訓練兵が此処に居る理由は何でしょうか…?」 ナスターシャの疑問にタケル達全員が同じように思っていた。 「ハイ、その事については結城さんから説明が有ります。結城さん、お願いします。」「ハイ、任せて下さい。」ナスターシャの疑問についての返答が結城が答える。 結城登場に些か不安を持つタケル達だが、意外にもマトモな答えだった。 「実は新しい練習機に君達が搭乗する事が決まったんだ。」「「「はっ?」」」「新しい…練習機ですか…?」予想外な言葉に唖然するナスターシャ達 「うん。実はね、前回の訓練兵卒業した新任達が、不知火・改に搭乗した際、色々と問題があったんだ。」「問題…ですか…?」「そっ。不知火・改は、そのスペックは勿論、機動性は更に通常の不知火を超えてるからね。そのせいもあって、不知火・改を扱うのに時間かかかったと声が出て来たんだ。」結城の説明を聞き『成る程』と納得するタケル達「前回の白銀君の教え子達は、なんつーか…シゴキ?拷問?みたいな鍛え方したおかげで、問題は起きなかったみたいだけど…流石に日本中の訓練兵にそんな事したら…間違い無く潰れる。」「「「え゛っ?」」」「大変だよ~…白銀君やまりものシゴキは…俺も結構イタズラキツい事するけど…あれは………………………一種のイジメ?そんな感想が出て来る程キツい。」「「失礼なっ!!!」」結城の言葉を聞いて、嫌な汗がダラダラと流れてくるナスターシャ達当のタケルとまりもは、顔を真っ赤にして否定はするが、そのそばで去年まで教えを受けていた唯依達が『アレは……………………キツいってモンじゃなかった…。』と涙しながら心の中で呟く。 「特に戦術機適性検査…大変だよ~…なんせ白銀君の『変態機動に複座する事』だからねぇ~…ちなみに白銀君のO・SHI・O・KI・は『白銀君の全力変態機動~お仕置き編』だからねぇ…アレは現役の凄腕衛士すら…殺レルヨ?」結城の言葉を聴いたナスターシャ達は一気にガタガタブルブルと震えだす。同時に唯依達もトラウマを思い出したかのように、『コワイヨコワイヨ…』と涙しながら震えていた。 「タケル…お前…訓練兵にそれは…酷くね?」「孝志さんっ!?」「多分…今の俺でも…トラウマになるかもしれん…」「政弘さんまでっ!?」「篁少尉…大変だったな…」「真那さんまでっ!?」仲間達から批判されてしまい、追い込まれるタケル……といっても、それが理由でシゴキを止めるタケルとまりもではないので、第17大隊の隊員全員がナスターシャ達に合掌する。「そんな理由で、新しい練習機を創る事になったんだ。まあ、新しい練習機って言っても、吹雪同様に不知火・改を訓練に必要の無い程度に削り落とすだけだから、そんなに時間はかからないから、その時はテストパイロットを兼ねて搭乗してもらうよ。」「「「はっ、ハイ!!」」」返答を返し、ビシッと敬礼するナスターシャ達だが、残念なからタケルとまりものシゴキは逃れられないので、『可哀相に…』と心の中で同情する結城 そして、ひと通り説明が終わり、全員が『終わり』だと思った矢先、悠陽が口を開く。 この事には、護衛の紅蓮大将・神野大将を始め、結城・エルヴィンですら知らない事の為驚く。「この事は別に機密情報ではないのでご安心して聞いて下さい。」「な、なんでしょうか…?」みょーに緊張感が張り詰めた空気になり、ゴクリと息をのみながら無言で待つと… 「実は---この度、私に『初めての赤子』を身ごもる事が出来ました☆」「「「はっ?」」」「タケル様…遂に私にもタケル様の『赤子』が宿りましたわ♪」「なんですとぉぉぉぉっ!!?」 最後の最後でとんでもない爆弾発言をする悠陽そして--- 「イィィッヤッホォォォッ♪悠陽タンに…赤子が…遂に初曾孫ゲットしたぞぉぉぉっ!!」先に悠陽から赤子の報告を受けていた雷電が、子供のようにハシャぐ姿があった…そして、その手には…既に考えていた『曾孫の名前リスト』のノートが五冊程握られていた…。