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No.20952の一覧
[0] Muv-Luv 帝国戦記 第2部[samurai](2016/10/22 23:47)
[1] 序章 1話[samurai](2010/08/08 00:17)
[2] 序章 2話[samurai](2010/08/15 18:30)
[3] 前兆 1話[samurai](2010/08/18 23:14)
[4] 前兆 2話[samurai](2010/08/28 22:29)
[5] 前兆 3話[samurai](2010/09/04 01:00)
[6] 前兆 4話[samurai](2010/09/05 00:47)
[7] 本土防衛戦 西部戦線 1話[samurai](2010/09/19 01:46)
[8] 本土防衛戦 西部戦線 2話[samurai](2010/09/27 01:16)
[9] 本土防衛戦 西部戦線 3話[samurai](2010/10/04 00:25)
[10] 本土防衛戦 西部戦線 4話[samurai](2010/10/17 00:24)
[11] 本土防衛戦 西部戦線 5話[samurai](2010/10/24 00:34)
[12] 本土防衛戦 西部戦線 6話[samurai](2010/10/30 22:26)
[13] 本土防衛戦 京都防衛前哨戦 1話[samurai](2010/11/08 23:24)
[14] 本土防衛戦 京都防衛前哨戦 2話[samurai](2010/11/14 22:52)
[15] 本土防衛戦 京都防衛前哨戦 3話[samurai](2010/11/30 01:29)
[16] 本土防衛戦 京都防衛前哨戦 4話[samurai](2010/11/30 01:29)
[17] 本土防衛戦 京都防衛戦 1話[samurai](2010/12/05 23:51)
[18] 本土防衛戦 京都防衛戦 2話[samurai](2010/12/12 23:01)
[19] 本土防衛戦 京都防衛戦 3話[samurai](2010/12/25 01:07)
[20] 本土防衛戦 京都防衛戦 4話[samurai](2010/12/31 20:42)
[21] 本土防衛戦 京都防衛戦 5話[samurai](2011/01/05 22:42)
[22] 本土防衛戦 京都防衛戦 6話[samurai](2011/01/15 17:06)
[23] 本土防衛戦 京都防衛戦 7話[samurai](2011/01/24 23:10)
[24] 本土防衛戦 京都防衛戦 8話[samurai](2011/02/06 15:37)
[25] 本土防衛戦 京都防衛戦 9話 ~幕間~[samurai](2011/02/14 00:56)
[26] 本土防衛戦 京都防衛戦 10話[samurai](2011/02/20 23:38)
[27] 本土防衛戦 京都防衛戦 11話[samurai](2011/03/08 07:56)
[28] 本土防衛戦 京都防衛戦 12話[samurai](2011/03/22 22:45)
[29] 本土防衛戦 京都防衛戦 最終話[samurai](2011/03/30 00:48)
[30] 晦冥[samurai](2011/04/04 20:12)
[31] それぞれの冬 ~直衛と祥子~[samurai](2011/04/18 21:49)
[32] それぞれの冬 ~愛姫と圭介~[samurai](2011/04/24 23:16)
[33] それぞれの冬 ~緋色の時~[samurai](2011/05/16 22:43)
[34] 明星作戦前夜 黎明 1話[samurai](2011/06/02 22:42)
[35] 明星作戦前夜 黎明 2話[samurai](2011/06/09 00:41)
[36] 明星作戦前夜 黎明 3話[samurai](2011/06/26 18:08)
[37] 明星作戦前夜 黎明 4話[samurai](2011/07/03 20:50)
[38] 明星作戦前夜 黎明 5話[samurai](2011/07/10 20:56)
[39] 明星作戦前哨戦 1話[samurai](2011/07/18 21:49)
[40] 明星作戦前哨戦 2話[samurai](2011/07/27 06:53)
[41] 明星作戦 1話[samurai](2011/07/31 23:06)
[42] 明星作戦 2話[samurai](2011/08/12 00:18)
[43] 明星作戦 3話[samurai](2011/08/21 20:47)
[44] 明星作戦 4話[samurai](2011/09/04 20:43)
[45] 明星作戦 5話[samurai](2011/09/15 00:43)
[46] 明星作戦 6話[samurai](2011/09/19 23:52)
[47] 明星作戦 7話[samurai](2011/10/10 02:06)
[48] 明星作戦 8話[samurai](2011/10/16 11:02)
[49] 明星作戦 最終話[samurai](2011/10/24 22:40)
[50] 北嶺編 1話[samurai](2011/10/30 20:27)
[51] 北嶺編 2話[samurai](2011/11/06 12:18)
[52] 北嶺編 3話[samurai](2011/11/13 22:17)
[53] 北嶺編 4話[samurai](2011/11/21 00:26)
[54] 北嶺編 5話[samurai](2011/11/28 22:46)
[55] 北嶺編 6話[samurai](2011/12/18 13:03)
[56] 北嶺編 7話[samurai](2011/12/11 20:22)
[57] 北嶺編 8話[samurai](2011/12/18 13:12)
[58] 北嶺編 最終話[samurai](2011/12/24 03:52)
[59] 伏流 米国編 1話[samurai](2012/01/21 22:44)
[60] 伏流 米国編 2話[samurai](2012/01/30 23:51)
[61] 伏流 米国編 3話[samurai](2012/02/06 23:25)
[62] 伏流 米国編 4話[samurai](2012/02/16 23:27)
[63] 伏流 米国編 最終話【前編】[samurai](2012/02/20 20:00)
[64] 伏流 米国編 最終話【後編】[samurai](2012/02/20 20:01)
[65] 伏流 帝国編 序章[samurai](2012/02/28 02:50)
[66] 伏流 帝国編 1話[samurai](2012/03/08 20:11)
[67] 伏流 帝国編 2話[samurai](2012/03/17 00:19)
[68] 伏流 帝国編 3話[samurai](2012/03/24 23:14)
[69] 伏流 帝国編 4話[samurai](2012/03/31 13:00)
[70] 伏流 帝国編 5話[samurai](2012/04/15 00:13)
[71] 伏流 帝国編 6話[samurai](2012/04/22 22:14)
[72] 伏流 帝国編 7話[samurai](2012/04/30 18:53)
[73] 伏流 帝国編 8話[samurai](2012/05/21 00:11)
[74] 伏流 帝国編 9話[samurai](2012/05/29 22:25)
[75] 伏流 帝国編 10話[samurai](2012/06/06 23:04)
[76] 伏流 帝国編 最終話[samurai](2012/06/19 23:03)
[77] 予兆 序章[samurai](2012/07/03 00:36)
[78] 予兆 1話[samurai](2012/07/08 23:09)
[79] 予兆 2話[samurai](2012/07/21 02:30)
[80] 予兆 3話[samurai](2012/08/25 03:01)
[81] 暗き波濤 1話[samurai](2012/09/13 21:00)
[82] 暗き波濤 2話[samurai](2012/09/23 15:56)
[83] 暗き波濤 3話[samurai](2012/10/08 00:02)
[84] 暗き波濤 4話[samurai](2012/11/05 01:09)
[85] 暗き波濤 5話[samurai](2012/11/19 23:16)
[86] 暗き波濤 6話[samurai](2012/12/04 21:52)
[87] 暗き波濤 7話[samurai](2012/12/27 20:53)
[88] 暗き波濤 8話[samurai](2012/12/30 21:44)
[89] 暗き波濤 9話[samurai](2013/02/17 13:21)
[90] 暗き波濤 10話[samurai](2013/03/02 08:43)
[91] 暗き波濤 11話[samurai](2013/03/13 00:27)
[92] 暗き波濤 最終話[samurai](2013/04/07 01:18)
[93] 前夜 1話[samurai](2013/05/18 09:39)
[94] 前夜 2話[samurai](2013/06/23 23:39)
[95] 前夜 3話[samurai](2013/07/31 00:02)
[96] 前夜 4話[samiurai](2013/09/08 23:24)
[97] 前夜 最終話(前篇)[samiurai](2013/10/20 22:17)
[98] 前夜 最終話(後篇)[samiurai](2013/11/30 21:03)
[99] クーデター編 騒擾 1話[samiurai](2013/12/29 18:58)
[100] クーデター編 騒擾 2話[samiurai](2014/02/15 22:44)
[101] クーデター編 騒擾 3話[samiurai](2014/03/23 22:19)
[102] クーデター編 騒擾 4話[samiurai](2014/05/04 13:32)
[103] クーデター編 騒擾 5話[samiurai](2014/06/15 22:17)
[104] クーデター編 騒擾 6話[samiurai](2014/07/28 21:35)
[105] クーデター編 騒擾 7話[samiurai](2014/09/07 20:50)
[106] クーデター編 動乱 1話[samurai](2014/12/07 18:01)
[107] クーデター編 動乱 2話[samiurai](2015/01/27 22:37)
[108] クーデター編 動乱 3話[samiurai](2015/03/08 20:28)
[109] クーデター編 動乱 4話[samiurai](2015/04/20 01:45)
[110] クーデター編 最終話[samiurai](2015/05/30 21:59)
[111] 其の間 1話[samiurai](2015/07/21 01:19)
[112] 其の間 2話[samiurai](2015/09/07 20:58)
[113] 其の間 3話[samiurai](2015/10/30 21:55)
[114] 佐渡島 征途 前話[samurai](2016/10/22 23:48)
[115] 佐渡島 征途 1話[samiurai](2016/10/22 23:47)
[116] 佐渡島 征途 2話[samurai](2016/12/18 19:41)
[117] 佐渡島 征途 3話[samurai](2017/01/30 23:35)
[118] 佐渡島 征途 4話[samurai](2017/03/26 20:58)
[120] 佐渡島 征途 5話[samurai](2017/04/29 20:35)
[121] 佐渡島 征途 6話[samurai](2017/06/01 21:55)
[122] 佐渡島 征途 7話[samurai](2017/08/06 19:39)
[123] 佐渡島 征途 8話[samurai](2017/09/10 19:47)
[124] 佐渡島 征途 9話[samurai](2017/12/03 20:05)
[125] 佐渡島 征途 10話[samurai](2018/04/07 20:48)
[126] 幕間~その一瞬~[samurai](2018/09/09 00:51)
[127] 幕間2~彼は誰時~[samurai](2019/01/06 21:49)
[128] 横浜基地防衛戦 第1話[samurai](2019/04/29 18:47)
[129] 横浜基地防衛戦 第2話[samurai](2020/02/11 23:54)
[130] 横浜基地防衛戦 第3話[samurai](2020/08/16 19:37)
[131] 横浜基地防衛戦 第4話[samurai](2020/12/28 21:44)
[132] 終章 前夜[samurai](2021/03/06 15:22)
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[20952] 序章 2話
Name: samurai◆b1983cf3 ID:3fa3f4a1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/15 18:30
1998年4月4日 1830 日本帝国 東京府


関西での部隊受け入れ準備がひと段落し、こっちに戻って報告やら何やらの雑務をこなした後で、昨日から3日間の休暇が貰えた。
考えてみれば昨年末に師団が九州へ緊急移動して以来、全く休みと言うモノが無かったものな。
九州から選抜されて半島へ。 半島で撤退戦を戦って、対馬経由でまた九州へ。 その後、一旦関東へ戻ってからまた関西へ。
4カ月以上働き詰だったのだ。 休暇くらい貰っても、バチは当たらないと思う。


(もっともこうやって、実家に帰っているのは俺と、同じ東京の永野くらいか。 
圭介は名古屋、愛姫は仙台、緋色は京都、古村は・・・確か金沢か。
行って帰ってくる事は十分出来るけど、慌ただしいからあの4人は今回、帰省を見送ったな・・・)

家の縁側でぼんやりとそんな事を考えながら、随分暗くなってきた夕暮時の空を眺めていた。 
で、無意識に煙草の箱を手にとって、煙草の一服でも・・・

「直ちゃん! 小さい子供がいるんだから! 煙草は止めて頂戴って言っているでしょ!?」

唐突に横から煙草を奪われ、あっという間に灰皿に・・・ はあ、自由に吸えないってもの、不自由な家だよな。

「姉さん、せめて縁側でホタル族位させてよ・・・」

「ダメです! それに直ちゃんも衛士なのでしょ? 煙草は肺にも悪いし、体力も落ちるのよ!?」

「あ、いや、これは軍専用の、ちょっと特殊な煙草で・・・ 別に肺に悪い訳でも、体力が落ちる訳でも・・・」

「ダメです!」

眉を顰めて、ちょっと頬を膨らまし加減でお説教モードに突入しそうな、我が姉上。
こうなったら最後、ちょっとうんざりする位にお小言が飛び出してくるのは、ガキの頃からの経験上判っている。
だけどそれを回避する程度には、貴女の弟は人生経験を積んでいるのですよ。

「・・・あ~っと、そろそろ夕飯時だよな? チビ達、ちょっと呼んで来るわ」

「あ! 直ちゃん!」

そのまま縁側から雪駄を引っかけて、カラン、コロン、と玄関口へ。
後ろで姉貴が何やかやと言っているけど、無視。 あの人、昔から俺へのお小言が好きだったからな。

家の前の道をちょっと行って、途中で何度か曲がった先に小さな公園が有る。
俺自身は子供の頃は主に横浜で過ごしたし(記憶に無い程の幼少時分は、大阪と福岡だ)、中学の2年からは名古屋だったから、ここは正直馴染みが無い。
大体がこの実家へは、訓練校在校中と卒業時に1回づつ、そして欧州へ出発する前に1回。 帝国軍に復帰後は、3回位しか帰っていない。

(・・・考えてみれば、俺って『故郷』ってものが無いのか・・・?)

強いて言えば、4歳から13歳まで過ごした横浜がそうか。 1駅向うの街に軍の横浜基地が有ったな、そう言えば―――今は国連軍が接収しているけど。
そんな事を漠然と考えながら、ブラブラと公園まで辿り着いた。 何人かの子供が無心に遊んでいる。

「―――おおい、お前達、そろそろ晩飯だぞー」

その声に何人かが振り向く。
まだ遊び足りなさそうな小さな子供達。 まだ早いよ! とでも言いたそうな表情だ。

「叔父ちゃん! まだ遊ぶー!」
「こっち、こっち!」

―――子供は元気だ。

「ん・・・ もうダメ、晩ご飯の時間だよ。 いいのかぁ? 良い子にしてないと、お母さんに言いつけるぞぉ? ご飯無くなっちゃうぞぉ?」

このセリフはテキメンだな。 ちび助達の遊ぶ手が、一斉に止まったものな。

「さ、帰るぞ? もうご飯出来てるしな?」

―――うん!

子供は現金なものだ。 まだ遊ぶと言った口が、もう「ご飯、何ー?」ときたもんだ。 いや、純真で素直と言うべきか。
駆けっこで走り去っていくのは、姉さんと兄貴の子供達。 俺の甥っこ達と姪っ子達。 まだ8歳から3歳の小さな子供達。
まとわりついて来る子供達の相手をしながら、家に戻る。 この子達の未来には何が用意されているのだろうか?
俺達の様な、果てしないBETAとの絶望的な戦いだけだろうか? それとも、別の何か心躍る未来が現れるのだろうか。

―――願わくば、せめて平安が有りますように。

そう願わずにいられなかった。











夜も更けて、子供は寝る時間だと言う事で、チビ達は客間に押し込まれて寝ている。
今残っているのは俺と両親に姉。 そして兄と義姉。 姉の旦那は仕事の都合で来る事が出来なかった。

元々は、花見にかこつけて親戚一同が押し寄せてきた、と言うのが事の真相の、今回の集まり。
子供の学校の始業式もまだだし(春休み中だ)、丁度土日が重なった。 しかしそれ程大きく無い実家にこの人数、ちょっと無理が無いか?
瑞希姉貴の所に、直武兄貴の所の家族、それに親と俺。 大人が6人に子供も6人。 我が実家の人口密度は今日、非常に高すぎだったのだ。

「まあ、良いじゃないか。 久々に会えたんだし」

そう言って兄貴が横からお猪口を差しだした。

「ん・・・ 兄貴、今はどこに居るんだ?」

「俺か? 今は1艦隊だよ、『青葉』の主計長だ」

―――第1艦隊の重巡『青葉』。 第9戦隊の中核か。
兄貴も艦隊と陸上のお役所とを(海軍も、れっきとしたお役所組織だ)、交互に勤務で大変だな。 その都度、勤務地移動で家族は引っ越しだし。

「だったら、今の母港は?」

「ああ、呉(広島県呉軍港)だ。 今回はタイミング良く横須賀に入港していてな。 ちょっとしたドックでの改修工事中だ」

「義姉さんや子供達は、このままこっちに疎開するのだろう?」

「渋っていたがな、ようやく説得した。 なに、ここの近所だ。 親爺もお袋も居るし、あいつの実家も近いしな」

呉のある広島県は、全域に行政戒厳令が発令されている。
恐らく近い将来、対BETA最前線になると予想される九州。 その側面策源地として重要度が増している場所だ。
政府は軍からの突き上げもあって、大急ぎで九州・山陰・山陽地方の疎開計画を推し進めているが、はっきり言って捗々しくない。

「そうか。 なら、ひとまずは安心か。 後は姉さんは・・・」

「姉さんは大丈夫だろう。 今年になって、東京府の厚生局に転勤になった。 義兄さんは昨年からこっちに単身赴任中だったしな」

―――そうか、それは良かった。 って、どうして俺には知らされてないんだ?

「その頃はお前、前線だっただろう? それに帰ってからも、あっちこっちと飛び回っていたしな。
それより直衛、お前は18師団だったな? 確か、畿内防衛に代わるのだったか?」

「うん。 今月末には、向うに全部隊が移動するよ。 俺と、叔父貴の所の直秋も」

従弟の直秋―――周防直秋陸軍少尉は、俺と同じ18師団の所属だ。
あいつも、なんだかんだで初陣もこなして、『死の8分』も乗り越えて少しは経験を積んだ。
身内が同じ中隊だと私情が入るかもと思い、愛姫の中隊に転出させたが・・・ 正解だったようだな。

当時、人員に空きが有った他の中隊は祥子の所と、緋色の所が有ったけど。 真っ先に祥子の中隊は除外した。
別に彼女の中隊指揮官としての技量が、どうこう言う訳じゃない。 ただ、直秋は俺と祥子の関係は知っているし、直秋が俺の従弟と言う事は皆が知っていたから。

それじゃ、愛姫と緋色も同じじゃないか、って事だけど。 緋色は生真面目な所が有る分、彼女の部下達は良い加減に力が抜けている連中が多い。
精神的に余裕が有ると言うのか、性格と言うか。 直秋じゃ、ちょっと中隊長相手に委縮しそうな気がした。

で、最後に残ったのが愛姫だ。 結局、彼女の下が一番良いと思った。 
余計に気に掛けず、肩を張らず、あいつを伸ばしてくれる。 愛姫なら最適だと判断して、編入を申し入れた。

『―――その代わり、扱くよ?』

そう言って笑っていたっけな、愛姫の奴。


「畿内防衛か・・・ 九州程には直接脅威は受けていない。 が、最終防衛線でも有るな。
今となっては、鉄原ハイヴからの侵攻はほぼ確約された様なものだ。 重慶ハイヴのBETAも最近、活発化している。 気を付けろよ?」

「そこら辺で下手を打つような、柔な実戦経験はしていない。 それより、そっちこそ下手を打つなよ?
打撃重巡だろう? 『青葉』は。 戦艦と一緒になって、対地艦砲射撃の主役だ。 光線属種にやられるなよ?」

「戦術機乗りのお前よりは、マシだろうさ」

―――それでも、渤海湾で爆沈した戦艦『陸奥』の様な例も、有るんだけどな・・・

「兄貴、あんたがやられたら、義姉さんと子供達はどうなる? 頼むから、気を付けてくれ」

「・・・お前も判っている筈だ、直衛。 戦場での生死など、天秤の両端。 傾くのはほんの少しだ。
当然、帝国軍人として任務に最善を尽くす事は義務だ。 天秤を生に傾ける努力もな。 だが傾くのはほんの少し、ほんの一瞬だ」

―――その一瞬で、さっきまで元気に隣で戦っていた戦友や上官、部下があっさりと死んでしまう。
兄貴も俺も、今まで散々そう言う場面に直面してきた。 だが、それでも言いたかった。

「それは知っている、判っている。 今まで散々、そんな場面を見てきた。 それでもな、兄貴。 あんたは長男で、妻子が有るんだ。 頼むよ・・・」


「直武? それに直ちゃんも。 何を暗い顔をしているの?」

「あなた、それに直衛さん、頂いたお茶菓子が有るの。 こんな時分になんですけど、お茶を入れましたわ」

―――姉さんと義姉さんが、こっちを訝しげに見ている。 向うじゃ、親爺とお袋も。

「ああ、判った。 貰うよ」

「有難う、義姉さん。 何でも無いよ、姉さん」

拙い、拙い。 危なかった。
軍人になってこの方、帰省で何が気を使うかって、家族に戦場の『匂い』を感じさせない事だった。
兄貴となら良い、同じ軍人同士だ。 『この間、やられてなぁ』 『戦争だ、それも仕方ないさ』、と、軍人同士の乾いた会話で済む。
だが、他の家族だとこうはいかない。 これは兄貴も同様の様だ。 そうだろう、あの戦場を家族に感づかせる事は無い。 
内心、不安で一杯になっていて、息子の、夫の変化を感じ取ろうとする家族を不安にさせる事は、絶対に駄目だ。


菓子を頬張って、それをお茶で流し込んでいると、姉さんが妙に神妙な表情で聞いてきた。

「あのね、直ちゃん。 姉さん、聞きたい事があるのよ?」

「聞きたい事? 何だい・・・?」

「あのね、綾森大尉、綾森祥子大尉って、どんな女性なの?」

「ぶっ!?」

な、なんで祥子の名前が・・・!?

「あのね、長門君っていたわよね? ほら、直ちゃんのお友達で、一緒に衛士訓練校に行った子よ」

「あ、ああ・・・」

そして、どうして圭介が?

「先月・・・ いえ、先々月だったかしら、立川方面に仕事で行った帰りに、軍人さんに声を掛けられてね。
誰かと思ったら、長門君だったのよ。 懐かしかったわぁ・・・ 中学の頃、良くウチに遊びに来てたものね」

「う、うん、そうだね・・・」

確かに、圭介の所属する14師団の駐屯地は立川だ。
外出でその辺をうろうろしていても不思議じゃ無い。
だけど、そこから話がどう繋がる!?

「懐かしくて、色々とお話させて貰ったの。 そうしたら、その女性の名前が彼からね・・・」

―――あの野郎め・・・

兄貴はそっぽを向いている。 
義姉さんは可笑しそうに、笑いを堪えている―――兄貴から聞いているな?

「あ、綾森大尉? ・・・良い人だよ? 衛士としては歴戦だし、中隊長としても実戦経験豊富だし、部下の面倒見も良い人だし・・・」

「もう! そうじゃなくてね。 姉さんが聞きたいのは、『女性として、どんな女性なの?』って事よ!」

―――恨む、今度こそ恨むぞ、圭介・・・

「あ~・・・ ま、何と言うか・・・ 綺麗な人、だね、うん。 温厚で優しい人だし、よく気がつく人・・・かな?」

「確か、年上だとか?」

「うん、1歳年上」

「で、直ちゃんの好きな人ね?」

「う・・・ そう、だけど・・・」

「その女性も、直ちゃんの事が好きなのね?」

「まあ・・・ うん」

ああ、親の目が痛い。
親爺、意外そうな目で見るな。
兄貴、なんだ、その面白そうな目は!?
義姉さん、微笑んでないで、助けて下さいよ・・・!
母さん・・・ あ、駄目だ・・・

「直衛、母さん初耳だわ。 どうして話してくれないの、そんな良いお話。 
で、ちゃんと紹介してくれるのよね? そのお嬢さん」

「・・・ハイ・・・」

「年貢の納め時だな、直衛。 海軍じゃな、『中尉には婚約者がいてしかるべきだ、大尉は結婚しているべきだ』って言ってな」

「・・・むぅ・・・」

悔しい、悔しいが、兄貴に反論できない。
母と姉は、もう勝手に盛り上がっている。 
義姉も、『じゃあ、私にも義妹が出来るのですね』なんて言っているし。 まだ早いよ!


「・・・7人目の孫の顔は、何時見せてくれるのかな?」

親爺、アンタが一番ズレているよ・・・












1998年4月8日 2200 神奈川県 鎌倉


「あっはっは! そりゃ、悪かったな! でも、今まで一言も話して無かった、お前の自業自得だ、直衛!」

グラス片手に、そうのたまって笑い飛ばすのは、目前の圭介。
ここは鎌倉の俺の下宿。 もっとも、もうじき引き払う予定なのだが。

今夜は祥子が駐屯地当直司令なので不在、俺は非直。 
独り寂しく寝るとするか、そう思っていた矢先、14師団の圭介から連絡が有った。

『暇か? 暇だよな? そっち行くから、ツマミ用意しておけよ』

暇と端から決めつけてやがる。 
もし祥子がいたらどうしたんだろうか? そう思って聞いてみたら・・・

『その時は、お前とじゃ無く、綾森さんと飲むよ』、だと? 良い度胸だ・・・

先日、国際便(国連公用便)が届いた中に、懐かしい欧州の連中からの便りが有った。
ファビオにギュゼル、ミン・メイ、その他の連中、アルトマイエル少佐からも―――翠華からの便りは、随分と落ち着いた文面だった。
懐かしさに思わず郷愁に近いモノを感じたな。 都合1年半ほどとは言え、共に背を預け合って戦い、共に笑い、共に泣いた連中だった。

そんな感傷に浸っていたら、圭介から連絡が有ったのだ。 あいつの所には、同じ中隊だった連中からスコッチ・ウィスキーが送られてきたという。
そこで昔の思い出と、先に逝った連中をツマミに(何せ、俺達を残して先に逝きやがったんだ)、今や宝石並みに貴重品の、天然スコッチ・ウィスキーを楽しもうと。
大いに賛成しながらも、ファビオやフローレス、同じ中隊の男連中の気遣いの無さに歎息したものだ。

勤務を終えて2時間後、14師団の駐屯する立川から鎌倉までやって来た圭介を駅前で拾い、最近見つけた旨い店で軽く夕食をとる。
その後、下宿へ帰ってからこうして2人、飲み続けている訳だ。

「とうとう年貢の納め時か、直衛、お前も。 でもま、良いんじゃないか? 訓練校を卒業して丸6年、今年で7年目。 俺達も大尉の2年目だ。
同期で生き残っている連中の半数近くは、身を固めた。 このご時世だ、結婚するにも、子供を残すにも、早いって事は無いさ・・・」

「・・・結婚に、子供か、実感が全然湧かない。 そう言えば、久賀は先月だったな」

「ああ、お前は軍務で忙しくて欠席だと伝えておいた。 笑っていた、『周防に先んじてやったぞ』、ってな」

「まさかあいつに先を越されるとは、思ってもみなかった・・・」

九州の師団にいる同期の久賀直人大尉から便りが来たのは、半島撤退戦終了直後の2月だった。

『結婚するぞ』

その一言だけ。 いや、驚いたと言ったらなかった。
相手は同じ師団の通信科の中尉だそうだ。 堅物で通していたあいつがと、久賀を知る皆は一様に驚いたモノだ。
そして先月、籍を入れて簡単ながらも、身内と仲間内だけの式を挙げた。 
どうやら半年以上も前に決まっていた話だそうだが、時節柄とあいつ自身の意外にシャイなところが、連絡遅延に繋がったと言う事らしい。
俺と愛姫、それに永野は偶々、軍務で予定が合わずに欠席。 圭介と緋色、それから古村が出席した―――祝電は打っておいたけどな。


「それそうと圭介、そう言うお前はどうなんだ? 
昔からそうだ、お前って結構、女関係は派手そうに見えてその実、身が固い。 
いや、結構身構える」

―――ふん、これ位は言ってやっても良いだろう。

「いい加減、誰かに決めたらどうだ? 圭介、お前の言った通りだ。 このご時世、特に衛士の俺達は、いつ、どこであっさり死ぬか判らない。
別に子供を残すとか、親を安心させるとか、そんな道徳的な事は言わん。 でもなぁ、想う相手がいるなら、お前も考えろよ・・・」

カラン―――グラスの中の氷がぶつかって透明な音を立てる。
琥珀色のその色と、氷で屈折した色彩を楽しむ様に見ていると、その輝り乱れた様が何とも切なさを感じる。

今度の休日、関西に移動する前に実家に祥子を紹介する事にした。
事の顛末を聞いた彼女は、最初驚き、事の次第に呆れ、そして、ちょっとはにかみながらも喜んでくれた。 
もっとも最近は、俺の実家に行く事に、じわじわと緊張を覚えてきたようだけど・・・

でも丁度良いかもしれない。 知り合って6年、付き合い始めて5年。 俺は今年で24歳になる。 祥子は25歳、もう大人の女性だ。
出来れば関西に行く前に、彼女の実家にも挨拶に行きたい。 いずれは言わなきゃならないだろうな―――『お嬢さんを、私に下さい』、と言う、あれだ。
それを考えると俺も緊張する。 果たして彼女の実家はどう思うか? 娘の相手に、軍での花形とはいえ、戦死率も尋常じゃ無い衛士が、となれば・・・


「・・・知っているか? 直衛。 緋色な、あいつ、誰に惚れていると思う?」

「何だ? 藪から棒に・・・ 緋色? 知らん、あいつはそう言う事、殆ど話さないだろう?」

「ああ、そうだな。 俺も直に本人から聞いていない、愛姫から相談された」

「愛姫から? ああ、あの2人は親友同士だしな。 で? 誰だ、緋色の意中の相手は?」

生真面目で、多少融通の効かない所は有るが、それでも歴戦の衛士で指揮官としての腕も確か、部下の面倒見も結構良い。
それにかなりの美人だ。 見た目少し硬質な美形だが、気取った所は無く、気さくな一面も持っている。
実のところ、緋色はかなりの人気が有る・・・

「宇賀神少佐だ、ウチの師団の」

「・・・なっ!? 宇賀神少佐だって!?」

宇賀神勇吾少佐―――14師団、141戦術機甲連隊第3大隊長。 広江中佐がまだ少佐だった頃、93年当時に第1中隊長を務めていた。
確かあの頃は・・・ ああ、緋色は宇賀神さんの中隊だったな・・・
でもあの人は広江中佐と同い年、俺達より9歳年長の今年で33歳になるのか。 未だ独身だが、理由は聞いた事が無かった。

「緋色の生い立ちは、知っているな?」

「聞いた事が有る」

本当の生まれは、山吹の色を許された家格の武家の家、だが妾腹。 生まれて直ぐに京都の商家に養女に出された。
その後、中学に上がる頃だったかに、実家に戻されて・・・

「少し、人間不信がかっていたな、最初の頃は。 気付かない連中も多かったが、すんなりあいつの中に入っていけたのは、愛姫くらいだった」

新任の頃の緋色か。 余りそう言う事は考えた事は無かったが・・・ そう言えば、突っ込んだ会話は無かったかも知れない。

「そんな訳で、特に男関係は全くの初な奴だった―――おい、何だ? その目は。 
にやけるな、直衛! ああ、そうだよ! あいつの最初の『男』は、俺だったよ!
でもなあ、男と違って、女はそんな事余り関係無いみたいだよな? そうじゃない例も有るぞ? 綾森さんなんか、そうだよなぁ?」

「やかましい、それより緋色の事だ」

「ああ、そうだったな。 そんなあいつが、長年まじかで見てきた『男』が、宇賀神さんだよ。
最初は中隊員として。 中尉に昇進してからは小隊長として、宇賀神中隊長を。 大尉になってからは、宇賀神少佐の大隊で中隊長だった、去年までな。
都合4年だ。 4年間、あいつは宇賀神さんの元で、あの人を見続けてきた。 あの人の背中をな」

俺達の知らない、『空白の時間』か。 
その頃の俺達―――俺と、圭介、それに久賀の3人は、国連軍に出向していた。

「・・・同時に、相手に父性的な感情も、求めているんじゃないか?」

「否定はしない、愛姫もそう言っている。 でも良いじゃないか? それであいつが生き残ろうと思えるのなら」

―――確か、血の繋がらない義妹がいるとか聞いた。 昔の養家の娘で、縁の切れた今でも妹の様に気にかけていると。
その義妹が安心して暮らせる様になれば良いと、その為に戦いたいと、その義妹の笑う笑顔が見たいのだと。
その緋色が、本当に個人的な、自分自身の欲求の為に生き残りたいと思えるのなら・・・

「あいつらしいと言えば、あいつらしい。 普段から実家の事を引き合いに出される事を、嫌っていたからな。
どうであれ、山吹の家格の武家の姫さんだ、あいつは。 そのあいつが、いくら有能とは言え、それも士官学校出じゃ無い人とか・・・」

宇賀神少佐は、士官学校卒業生では無く、衛士訓練校の卒業生だ。

「別に、実家への当てつけとか、そんな所まで考えて無いだろう。 そもそも、そんな考えが出来る女じゃないさ。
正真正銘、惚れているらしい。 本人がそれをどこまで自覚しているのかは、怪しい限りだけどな」

―――それも酷い言い草だ。 
だけど、あの生一本の女だ、確かにその懸念は有るな。 だけど、その前に・・・

「・・・『最初の男』のお役目、ご苦労さん。 乾杯だ」

「・・・嫌な言い方、する奴だな」

それでも笑いながら、グラスを合わす。
カチン、と良い音がする。

「で? 延々と緋色の話で引っ張って、そこがお前の話にどう繋がるんだ?」

「・・・だから、俺はそんな、他人の事ばかり気遣っているあの馬鹿を、放っておけない」

「馬鹿は酷いな・・・ 俺も冗談で口にするが、あいつは機転も利くし、よく気がつくし、思い遣りも有る、佳い女だ」

「直衛、お前の口から聞くとはなぁ」

ちょっと意外そうな、苦笑じみた声で圭介が言う。
そうか、圭介がな、あいつとな―――お節介同士、案外合うかもな。

殺伐とした戦場が、俺達の青春だった。 それしか知らない、知る機会が無かった。
それでも―――それでも、俺達はその中に慰めを見出してきた。 それを糧に戦ってきた、生き抜いてきた。
主義や信条なんかとは違う。 誇りや矜持とも違う。 俺達が人として生きんが為の。 人の為に生きんが為の。

「・・・さっさと口説け」

「難敵だ、作戦が必要だ」

「支援はしてやる、だけど突撃は自分でやれ」

「言われなくともな」










1998年4月21日 1730 東京 深川


東京の下町、深川辺りはまだ昔の掘り割り後が、ホンの少し残っているんだな。
周りの風景を見ながら、無意識にそんな事を考えていた。


「そう、そんな事が有ったの」

彼女の実家にお邪魔した帰り道の道すがら、祥子に話した。
圭介の事、緋色の事、愛姫の事。 彼女にとっても長年共に苦楽を共にしてきた、仲の良い後任達だ。

「でも、緋色は別に不思議じゃ無かったわよ?」

「・・・そうなのか?」

「ええ、彼女は気付いていないでしょうけど・・・」

そう言って言葉を切った祥子が、思い出したようにクスクスと笑う。

「宇賀神少佐の前に居る時はね、彼女、とても気を遣っているの。 気張っているのじゃなくって、身だしなみとかね。
本人は無意識だと思うし、周りに気付かれていないと思っているのでしょうけれど。 でも、私も麻衣子も沙雪も、みんな気付いていたわ」

・・・げに、恐ろしきは女の勘。

「愛姫ちゃんからもね、ぼかしてだけれど相談受けたわ。 でも彼女自身の事も、上手くいけばいいわね」

華やかに笑う祥子の笑顔を見ていると、何かひとつ、肩の荷が降りた感じだった。
俺も祥子も、互いの実家に紹介された。 概ね、印象は悪くなかったと思う(実家の母と姉は、祥子を気に入った様だ)

だけど俺自身はまだ、ちゃんとした言葉を彼女に告げる勇気が無い。 まだどこかで、躊躇している自分が居る。
彼女は俺の生きる理由で、俺は彼女の生きる理由。 それは変わらない、そう信じているし、確信している。
だけど、今の祖国を取り巻く暗雲の様なものを、俺も感じている。 どうしてもまだ、切り出せずにいる。

「・・・小心者って訳か」

「え? 何か言った?」

呟いた声を聞かれた様だ。 全く、情けないな。

「いいや、何でも。 まだ帰隊時間には間が有るし、どこかで食事でもして行くか」

嬉しそうに頷く彼女を見ていると、やっぱり俺が、俺の中であれこれ後付けの理由を付けているだけなんだよなと、そう思う。

(もう少し、もう少し待ってくれないか? ごめんな・・・)

内心でそう謝って、彼女と共に歩きだす。
ずっと共に歩いてゆきたい、そう願いながら。




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