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No.20752の一覧
[0] 林祐太の憂鬱 【涼宮ハルヒの憂鬱二次 オリ主 転生?物】[ホーグランド](2011/02/21 20:28)
[1] 一話[ホーグランド](2011/02/19 20:20)
[2] 二話[ホーグランド](2011/02/19 20:23)
[3] 三話[ホーグランド](2011/02/19 20:27)
[4] 四話[ホーグランド](2011/02/19 20:31)
[5] 五話[ホーグランド](2011/02/19 20:39)
[6] 六話[ホーグランド](2011/02/19 21:06)
[7] 七話[ホーグランド](2011/02/19 21:11)
[8] 八話[ホーグランド](2011/02/19 21:18)
[9] 九話[ホーグランド](2011/02/19 21:22)
[10] 十話[ホーグランド](2011/02/19 21:33)
[11] 十一話[ホーグランド](2011/02/19 21:37)
[12] 十二話[ホーグランド](2011/02/19 21:40)
[13] 十三話[ホーグランド](2011/02/19 21:53)
[14] 十四話[ホーグランド](2011/02/19 21:56)
[15] 十五話[ホーグランド](2011/02/19 22:00)
[16] 十六話[ホーグランド](2011/02/19 22:06)
[17] 十七話[ホーグランド](2011/02/19 22:12)
[18] 十八話[ホーグランド](2011/02/19 22:15)
[19] 十九話[ホーグランド](2011/02/19 22:16)
[20] 二十話[ホーグランド](2011/01/10 18:02)
[21] 二十一話[ホーグランド](2011/02/21 20:25)
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[20752] 三話
Name: ホーグランド◆8fcc1abd ID:07b38125 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/19 20:27
 二度目の高校生活が始まって、早一か月が過ぎようとしていた。当初は色々な不安要素が、そりゃあもういっぱい満杯だったので、内心びくびくしてたもんだが、人間の慣れっていうのは怖いね。もうこの通り平然と寝坊をしてしまうほど自分は緩みきっているのであった。

 目の前には、先ほどから自己主張が激しい目覚まし時計。彼が言うには、すでに一限開始時間なんかとっくに過ぎている。自分は彼を親の敵のように睨むが、やっぱり指し示す時間は変わらない。

 しゃあない。二限目から出るか。一限はたしか体育だから、なんとかごまかせるだろう。

 そう考えて、いつものルーチンワークを開始するのであった。








 「京子さん、行ってきまーす!」

 靴ひもを結び終わった後、家をゆっくりとでる。いつもは割とギリギリに出るのでこんなに余裕を持って出ることはない。

 ここから高校へは徒歩15分ほどである。近いって言うには遠すぎて、遠いというには近い距離。ま、今日はゆっくりと行きますかな。


 しばらく歩くと、ふと何やら嫌な予感がする。見られているような、そんな感じ。お風呂で感じるあの感じ。

「ニャー」

 右の方から何やら猫の声が聞こえてきた。右端には塀の上にいる黒い猫。余談であるが自分は犬派である。別に猫が嫌いって訳じゃないが。

 ははーん、こいつがさっきの視線の正体か。時間を見ると、まだ二限には早い。ふむ、ちょっと遊んでいくか。

 そろーりと、電信柱のうらに隠れた奴を追いかける。んー、慣れてないのかな?

 近づいて見ると、ほんと真黒である。毛並みがいいってことは、飼い猫かもしれん。それか、通いネコか。

「みゃー」

 ん?


「みゃー」「みゃー」「みゃー」

 んん?



「みゃー」「みゃー」「ニャー」「みゃー」「みゃー」「みゃー」「みゃー」「ニャー」「ニャー」「みゃー」「みゃー」「みゃー」


 大行進。まさに大行進と呼ぶに値する行進だった。

 いつの間にか増えた黒猫達は、目の前をぞろぞろと、まるでわが子を殺されたオウムのように、自分の前を横断していく。

 正直、見ていて気持ちいいもんじゃなかった。というかキモかった。カマキリの幼虫の孵化を見ている感じである。


 二分もすると、彼らは居なくなってしまった。そこに残されたのはボーとした自分だけ。

「い、今のは何だったんだろう?」

 そう一人でごちてしまうほど、自分は混乱していたのだろう。気を取り戻して、一歩歩こうとすると、

『ブチッ!』

 と、何やら命綱かキレたような音がした。

 音の原因は真下、靴ひもが切れたのである。


 


 そして、今日が自分の命日になることを確信した。














 二限目から授業に参加したが、常に迫りくる悪寒とは裏腹に何事もなく過ぎて行った。自分としては、校門にニクソン・ステイシーが居てバトルぐらいの意気込みでいたのだが。

 本番は放課後からであった。

 最後のチャイムとともに、みんなの雰囲気があの独特の感じに変わる。もう、帰ろう。マッハで GO HOME! と準備している自分に、嫌な声が聞こえてきた。

「おーい! 林!」

 この声は、涼宮の手下と学校に認知されて近しいキョンじゃないか!

「急用だから、帰る! じゃ!」

 急いで帰ろうとする自分の肩を、ぐっと掴むキョン。

「まあ、待て。五分、五分だけでいいんだ。ちょっとついて来てくれよ」

 振り返るな……振り返るな、……飲み込まれるぞ……

「ダメだ! 妹が急病で入院したんだ!」

「お前、一人っ子だろ!?」

「じ、じゃあ、あれだ! 京子さんが跳ねられた!」

「じゃあって何だよ!」

 くそ、やっぱりボスは最後に来るものらしい。せっかく今日はキョンと間とって、休憩時間はトイレに籠ってたのに! 便所飯なんて初めて食ったぞ!

 万力のような力で肩が徐々に引っ張られる。ああ、ダメだ、この展開は……


 その後、およそ十分にもわたる激闘を繰り広げた自分たちだが、ついには折れた。

「ぜー、ぜー、で、なんだ、何しにどこに連れられて行くんだ」

「ぜー、ああ、ちょっと文学部にな」

「おい、キョン! この目を見ろ!」

 全力で目をそらすキョン。


 その時である。二人の攻防を興味深そうに見ていた生徒たちも居なくなった放課後の教室に、大きな扉開く音が響いた。

「キョン! まだなの!? もう、三十分もたつわよ!」

「げげっ!涼宮!?」

 そこには二人を、新しいおもちゃを見つけた子供の様な、まったくもっていい笑顔を浮かべた涼宮が立っていた。












 ドナドナと聞こえそうである。今、文学部の部室の前に居るのだが、何故だか外で待たされている。

 先ほど、涼宮が古泉らしき青年を連れて入ったから、今頃紹介でもしているのであろう。「宇宙人や、未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」なんて声が中から聞こえてくる。

 その後少したってから、入りなさいーと涼宮の声が聞こえた。

 ハハッ、どうしようもないな、こりゃ。

 勢いよく、ドアを開けた。



 部室の中は、思ったよりも広かった。

 中央にはよく体育館にあるような机が二台、横に並べてある。机の奥の方には『団長』と書かれた三角のアレと部屋には不釣り合いに真新しいパソコン。ここには居ないパソ研部長を偲ぶ。

 奥の方に涼宮がふんぞり返って自分の方を見ている。後ろのキョンは無言で目の前に手を合わせ、ごめんなさいをしていた。

 さらにその奥の部屋の隅に、そのウサギの様な眼をめいいっぱい広げてこちらを見つめる長門。この驚愕に満ちた顔を見るのは最初で最後なんだろうなと思う。

 彼女はメガネをかけたままだから、まだあの戦闘前ってことだ。小柄な体で整った小動物の様な顔。確かに、笑えば大抵の男は比護欲にかられてときめいてしまうだろう。

 右手には、これまた驚くメイド姿の……これが朝比奈さんなんだろうな。手を口に当て、まぁ、と驚くその姿もどこか上品だ。

 うん、可愛い。あの谷口が語っていただけの事はある。メイド姿もバッチシだ。

 さて、最後のSOS団団員、古泉。自分より五センチほど高い背の青年だ。顔は切って貼ったような笑顔が崩れてないが、眼はその驚きで少し見開いている。

 うん、皆さん、かなり驚いているよね。

「あのね、私最近思っていたの。SOS団のマスコットをみくるちゃん一人に背おわせるのは、酷だってね」

 いきなり朗々とした語りぐちで語り出す涼宮。未だみんなの硬直はとけていない。

「だからね、もう一人のマスコットが我がSOS団に必要だと思っていたの。こいつはこんなぼったいメガネをつけてるけど……」

 つかつかと涼宮が近寄ってくる。後ずさる自分。徐々に距離が詰まっていく。

『カチャ』

 
 あ……



「ほら」

「ほう」

「まぁ」

 上から、涼宮、古泉、朝比奈さんである。止めてくれ! そんな小さな子犬を見るような目で見ないで!

「ね! 見てよこの子の顔! メガネをとったらこんな可愛い顔なんて、うーん、ベタだわ、いい! すごくいい!」

 そうなのである。この世界の自分は顔が……こう……かわいいのだ。もうね、諦めましたよ。幼稚園の頃まで、いや小学校高学年でもどっちかって言うと、呼び方お嬢ちゃんだったからね。平凡な昔の顔が、懐かしい。

 小さい頃は、やはり周りの子供たちとの話が合う訳もなく、いつも本を読んでいたもんだった。そのせいか、視力がハヤブサのごとく急降下。これ幸いとメガネと伸ばした髪で何とか顔を隠したんだが、まさかこう来るとは。

「もう決定。林! あんたSOS団に入りなさい!」

 後ろを見ると、キョンがもうジャンピング土下座しそうな、そりゃあもう申し訳なさそうな顔。ばらしたのはお前か! キョン相手に目で遺憾の意を示す。

(ちょ、お前何ばらしとんねん!)

(すまん! 林! 不覚にも、パソ研部長と同じ目に……)

(さらに許せん! このユダが! 大きかったか!?)

(やわらか硬かった!)

(……MIKURUフォルダで手を打ってやる)

(……林!)

 男同士の友情を深めている中、涼宮はさらに話を進める。まさに唯我独尊。ブッダ先生も涙目だろう。

「じゃあ、みんな! 自己紹介して」

「ちょ、ちょっと待て。SOS団って、何? 何をするの?」

 実は知ってるけどな!

 基本路線として、転生者なんてもんは隠すこととした。理由とすれば、まず目に見えた証拠がない。そしてめんどくさいからだ。

「さっきも言っんだけど……、うーん、ま、確認のためにも復唱は必要よね。じゃあみんな! 私の後に続いて!」

「宇宙人、未来人、超能力者とかを探しだして、遊ぶ!」

『宇宙人、未来人、超能力者とかを探しだして、遊ぶ!』

 
 新興宗教か。

「じゃあ、自己紹介ね。私は涼宮ハルヒ。泣く子も黙る団長よ!」

 知ってます。

「では、次は僕ですね。九組の古泉一樹です。よろしくお願いします」

 知ってます。

「次は私ですね。えーと二年の朝比奈みくるです。林君でしたっけ? これからもお願いしますね」

 萌え。

「……長門有希」

 一言。

「もうこれで六人も揃ったわね。一人だぶったけどこれで学校も文句なく活動できるわ!」

 その後、ドタバタと、古泉君と学校案内にいってくるわと言って出て行ってしまった。

 残された四人。キョンはやれやれと溜息を洩らし、長門は一ミリも動かない。朝比奈さんはおろおろとしている。

「……なあ、キョン」

「なんだ」

「自分は何でここにいるんだろうな?」

「……」

 き、気まずい。なんだこれ、すっごい疎外感を感じる。下手にみんなの事を知ってるおかげで、話題が出にくい。

「あの~、林君ってキョン君と同じクラスなんですか?」

 ちょんと首をかしげながら、朝比奈さんが聞いてくる。かわいすぎてなんか正面から見れないから不思議なもんだ。

「え、ええ。キョンとはよく昼飯とか一緒に食べてますよ。後、涼宮も同じクラスです」

「へー、そうなんですか」


 会 話 終 了 誰か、だれか助けてくれ!


「そ、そういえば長門さんだっけ? ここ文学部の部室だけど勝手につかっちゃていいのかな?」

 彼女は目線を本から話さずに、

「……大丈夫」

 一言で返された。鋭い、鋭すぎるリターンだぜ。どこかの王子様も真っ青だ。

 

 ああ、この空気が続くなんてどんな罰ゲームだ。

 そうだ、この空気から逃げよう。思い立ったら即決断、カバンを下げて、同じ様な事を思ったキョンと帰る用意をしていると、どうやら長門が何やら彼にわたしているようだった。


 帰り道、まだ始まったばかりの運動クラブの掛け声をBGMにキョンと一緒に帰る。途中まで帰り道は一緒なのだ。『涼宮係』と目されてた頃から、さりげなく一緒に帰るのを避けてたんだが、もう関係ない。そのうち子分2号なんてよばれるんだろう。

「そう言えばさっき、何をもらったの?」

「ん? ああ、長門のか。えーとな……」

 ごそごそとカバンの中をキョンが探って、出てきたのはコテコテのSFハードカバーだった。

「へー、面白そうじゃん」

「お前はそうかも知れんが、俺はこんなの読めねえよ」

「ちょっと貸してみ。……あれ」

 そこには、何やらワープロ染みた文字が書いてある栞が挟まっていた。

『午後7時。光陽園駅前公園にて待つ。二人で来て。』

 と書いてあるのを二人で首をかしげる。

「これは……長門のか?」

「まあ、状況的にそうだろうね。どうする? 自分としてはどっちでもいいんだけど」

 顔ではどうでもよさそうな顔をしていたと思うがが、内心はかなり混乱していた。

 二人? どういうことだ? ここでいきなりの原作乖離に少し戸惑うが、すぐに思い直す。最大のイレギュラーがここにいるじゃないか。

「どうしようかね」

「……晴れて涼宮一味になったわけだが、あの転校生は別として他の二人はどうなんだ?」

 恨みがましくキョンを見つめる。

「うっ、悪かったよ、埋め合わせはちゃんとするから、メガネをつけてくれ! ……朝比奈さんはあれだな。可愛いマスコット。その一言に尽きる。でも、たぶんいい先輩だよ」

「ふーん。それはよかったけど。


 ……でかかったな」

「ああ、お茶を入れる時とかに、胸が……」

「言うな、野暮になる」

「……ああ」


 その後、再び集まる事を約束して自分達は別れたのだった。


 


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