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No.20752の一覧
[0] 林祐太の憂鬱 【涼宮ハルヒの憂鬱二次 オリ主 転生?物】[ホーグランド](2011/02/21 20:28)
[1] 一話[ホーグランド](2011/02/19 20:20)
[2] 二話[ホーグランド](2011/02/19 20:23)
[3] 三話[ホーグランド](2011/02/19 20:27)
[4] 四話[ホーグランド](2011/02/19 20:31)
[5] 五話[ホーグランド](2011/02/19 20:39)
[6] 六話[ホーグランド](2011/02/19 21:06)
[7] 七話[ホーグランド](2011/02/19 21:11)
[8] 八話[ホーグランド](2011/02/19 21:18)
[9] 九話[ホーグランド](2011/02/19 21:22)
[10] 十話[ホーグランド](2011/02/19 21:33)
[11] 十一話[ホーグランド](2011/02/19 21:37)
[12] 十二話[ホーグランド](2011/02/19 21:40)
[13] 十三話[ホーグランド](2011/02/19 21:53)
[14] 十四話[ホーグランド](2011/02/19 21:56)
[15] 十五話[ホーグランド](2011/02/19 22:00)
[16] 十六話[ホーグランド](2011/02/19 22:06)
[17] 十七話[ホーグランド](2011/02/19 22:12)
[18] 十八話[ホーグランド](2011/02/19 22:15)
[19] 十九話[ホーグランド](2011/02/19 22:16)
[20] 二十話[ホーグランド](2011/01/10 18:02)
[21] 二十一話[ホーグランド](2011/02/21 20:25)
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[20752] 十六話
Name: ホーグランド◆8fcc1abd ID:c9815b41 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/19 22:06
「ということは今回の事件は再構成された場合でもなくて、過去に戻ったという世界に喧嘩を売った状況になる。でもな、長門……」

 首を傾げる長門に、自分は今までずっとずっと胸の奥に燻っていた疑問をぶつけることにした。

「なんで、自分は5日後のことを覚えてるんだ?」

 いつもは自分の最終兵器である長門だが、さすがに世界の神秘まではカバーできなかったようだ。
 質問の言葉を聞いて、五秒ほど獲物を狙う猫のように止まった長門は言葉を待つ自分の目を凝視して首を振った。つまり、こいつでも分からないこともあるということだ。すこし安心するとともに残念な気持ちが湧き上がる。これで絶対的な答えというものを知ることは出来なくなった訳だ。

「……もし、あなたが過去に戻ってきたと知覚しているのであれば……」

 珍しく言葉を選ぶように喋る長門に違和感を覚える。今の今まで彼女の言葉は日本の誇れる鉄道のごとく、スムーズに口から流れ出ていたのにな。

「? 何だ、長門」

「過去に戻ることは今回で終わらせるべき」

 いつになく真剣そうな顔に、自分はただ圧倒されるだけであった。


 その後の話をしよう。

 あの過去に戻るなんてトンデモな経験をした自分であったが、これといった特別なことは無かった。
 それはそうである。なぜなら過去は一度経験した事がある訳で、何も新しいことは無かった。現国の課題を出し忘れたことぐらいだ。

 そして涼宮にあの催眠術を発表する日も結局、彼女に本格的な催眠術を掛けることは固辞した。確かに、興味がないと言ったらウソになる。が、自分はだからと言って自分から意気揚々と非日常に乗り込むような真似はしたくない。我らが団長じゃないんだ。自分は平平凡凡な日常を愛してるのさ。

 



 自分もそんな過去のタイムスリップ事件なんて忘れかけてきた、七月の中旬。太陽のあんちくしょうは今年の夏も頑張っちゃうぞ! と無駄に張りきり、自分たちを苦しめているのであった。
 ここはSOS団の部室、いつものように放課後集まってダラダラ過ごすという青春の浪費以外なにものでもない時間の使い方をしていた時、あいつの声が響いた。

 そう、やっぱり涼宮の声であった。

「よーし、みんな集まったわね」

 口ぶりからすると、彼女はみんなが集まるのを待っていたようであるが、実際は涼宮が最後に遅れてやって来たのである。今日はいつもより特別な日、会議の日であった。わざわざそれを自分自身で決めたのに、その日に遅れてくるとはさすが涼宮ハルヒ、唯我独尊を体現したような女である。

「ミクルちゃん、夏と言えば、何を連想する?」

「へぇ? な、夏ですか?」

 メイド姿の(もう完全に慣れた)朝比奈さんが、団長の唐突な質問に狼狽する。うろたえる朝比奈さんも実にいい。

「えーと、盂蘭盆会ですか……?」

 と、何やらやたら古風な答えを出す朝比奈さん。未来人の知識に隙は無い。

「ウランボン……? まあ、いいわ。夏と言えば夏休みよ! これ、世界の常識ね!」

 一学生と世界を同一視するという、大層な事を軽々とやってのけた涼宮は止まらない。再び朝比奈さんに向かって第二問を繰り出す。

「まあいいわ、じゃあ夏休みと言えば?」

 カチコチと口で効果音を出しながら時計を見つめる涼宮に、朝比奈さんは慌てて答えた。

「う、海?」

「うーん、近付いてきたけど」

 涼宮がいつまでも連想ゲームの様な事をしているので、隣のキョンがなんかもう涼宮を睨めつけている。何やら分からないが、SOS団の空気が最悪です。
 その空気にいたたまれなくなった自分はその問答に横やりを入れる。

「合宿……じゃないか?」

 自分の答えに、ありがとうございますと感謝の意を朝比奈さんがこっちに目で伝えてくる。うん、やっぱりいいことをすると気分がいいね。

「そう! 合宿よ、合宿! さすが林!」

 一人涼宮が盛り上がる中、自分は怪しくなってきた原作知識を掘り返す。
 今回も多分、原作であったイベントであろう。原作では、勿論であるが一人称で進むし主人公はキョンだ。七夕ラプソディなんか自分の好きな話はキョン自身でしか、体験できない……と思う。であるからして、自分がどうのこうの出来るものでないはずだ。

 大体、どこかの魔法使いのいる話であったり、こんなはずじゃなかったりするような世界でもない。ここは彼女ら以外の、一般の人にとっては普通のあるべき世界だ。誰も死にはしないし、基本ハッピーエンドだ。
 なら、原作を知ってるなんてどんなメリットがあるというのだろう。結局、自分が手をだすというのは、規定の路線から外れる事。電車が脱線してしまうことだ。そんな事をすれば高確率で不幸な事になるんじゃないのか?

 今回のことだってそうだ。殺人事件なんか起きやしない。精々、彼女らの水着姿でも眺めますかな。
 なんて考えて鼻が伸びきっていたからであろうか。話を聞いていなかった自分は、涼宮の大きな自分を呼ぶ声で現実に引き戻された。

 どうやら、原作通り古泉のエセ親戚の別荘に、三泊四日のSOS団合宿を行うことになったらしい。ブスっとした顔をしたキョンと、相変わらずの古泉の顔が対照的だ。
 
「おい、何を企んでやがる」

 大喜びの女性群をしり目に、男ども三人は部室の隅に集まる。キョンが古泉に不機嫌な顔で問うも彼の顔は曖昧に笑ったままだ。

「林はどうなんだ? 何か知ってるか?」

 古泉から何も答えが得られないと、こんどは自分の方に話を振ってきた。古泉をちらりと見ると、顔は笑っていやがるが、目がスーと細くなるのが見えた。こいつ、やっぱり試してやがる。

 はぁと溜息をついて、自分は原作でいう『クローズドサークル』のくだりを話そうとした。話そうと口を開きかけて、ふと考える。自分がここでネタばらしをすればどうなるか?

 ……バカらしい。自分で電車を脱線させてどうする。文字通り暴走機関車になるだけだ。そんなことをして何の得がある?

「キョン、クローズドサークルって知ってるか?」

「いや、何だクローズドサークルって?」

「直訳すると『閉鎖空間』ってところですかね」

 と、いきなり古泉が話に入ってきた。いつもの仮面をかぶっているところを見ると、自分の答えは正解だったのだろう。そこからはキョンに古泉が何故、涼宮の提案に乗ったかなどを話した。おおむね原作通りだ。
 古泉の言う通り、今回は機関が合宿を通して涼宮を満足させるための、言ったら芝居の様なものだ。つまり、涼宮は夏休みに何か特別な事が起こることを期待している。下手すると、どこかの山にツチノコ狩りにみんなでハイキング! なんて想像するだけでもうんざりするような合宿を強行しかねない。それならばいっそ、機関側で彼女の欲望を満たすように一芝居打ってはどうか……というのが古泉の説明した合宿案である。

 おおむね、というか殆ど原作の通りだ。ときどき、ちらりとこちらを窺うような古泉の視線も、機関とやらの芝居が自分の『原作』通りなのかを確認しているのであろう。いけすかない野郎だ。

「お前の言いたいことは分かった。ハルヒを満足させるために、こんな大掛かりな事を平気でやる暇な機関とやらがいるのも了解した」

 キョンが、古泉に向かっていう。

「その上で聞こう。正気か?」

 そんな厳しい言葉にも、古泉は動じずいつもの笑みを浮かべて、山をかけずり回るより一高校生として夏の浜辺で遊んでみたいと思うのは変でしょうか? なんてのたまった。
 キョンと自分はその、いつもらしからぬ古泉の言葉にビシッと固まる。そんな自分たちの様子に、フフッと笑った古泉が印象的であった。





 トントン拍子で合宿の日程は決まり、当日となった。時間が過ぎるのが早く感じるのは、自分自身が精神年齢で40歳をゆうに超しているからであろうか?
 
 集合は港のフェリー乗り場。久々に嗅ぐ潮の匂いが気持ちいい。自分はいつもの癖で集合時間の一時間ほど前に集合場所に到着していたのであった。これも団長様に罰金されないための処世術である。
 当然、SOS団の面々はまだ集合していないようで、辺りは閑散としている。持ち物の確認などをしていると、次にやってきたのは古泉であた。

「林さん、おはようございます」

「おう、古泉。早いな」

 と、目を向けるといつもの笑顔にカジュアルな服装の古泉が立っていた。
 その後、少し気まずい沈黙が二人を包む。世間話でも話をむけようと口を開きかけたが、古泉の言葉に遮られた。

「……この合宿も、あなたの『原作』通りなんでしょうか?」

「ああ。もう細部までは分からないが、大筋ではあってるよ」

 その答えを聞いた古泉は、笑顔を浮かべて言った。

「そうですか、安心しました」

「安心?」

 安心とはどういうことだろうか? そんな気持ちが顔に出たのか、古泉は話を続ける。

「……機関には、あなたのことを話していません」

「なっ!」

 予想外の答えに、心臓が飛びあがるような気持ちがする。何故、今この事を言いだす理由も分からなかったが、古泉はとっくの昔に機関とやらに報告していたと思っていたからだ。

「フフッ、意外そうな顔をしていますね」

「当たり前だ。もうとっくに自分のことは報告されたと思っていたからな」

「おや、あなたらしくありませんね。あなたは自分の価値を分かっていないようです」

「価値?」

 価値? 機関にとってか?
 
「そうです。あなたの言う原作がホントであれば、それは機関が欲している情報の中でも、もっとも欲しいだろう情報の一種です」

 古泉は面白そうな顔でこちらを見ながら説明口調で話し続ける。古泉が理解していて、自分が理解できていない。この状況がとても歯がゆかった。

「考えてもみてください。僕たち機関の欲している状況は、今の世界がこのまま存続しつづけること。ならば『安牌』ともいえるあなたの原作の情報は喉から手が出るほど欲しい」

 古泉の説明に、改めて自分の迂闊さに気付いた。そうだ、その通り機関とやらは自分の知識を知れば猛烈に手に入れたがるだろう。勿論、なりふり構わず、だ。得体も知れない機関に記憶を狙われる日々なんて、涼宮みたく非日常が好きな奇特な奴らならいざしらず、自分のような凡人としてはいい迷惑だ。
 ぞわっとする背筋に、気づいたのかいないのか、古泉は、だから話さなかったんです、と締めくくった。

 古泉は何故、そんな機関が欲しがるような情報を隠したんだ? わざわざ危険を冒してまで? 意図的に情報を隠したとなれば、古泉といえども何らかの罰でも受けるんじゃないか?

「……どうして、情報を隠してくれたんだ?」

「うーん、僕自身でもよく分かっていないんですが……」

 考え込む古泉。この時だけは、いつもの仮面の下にある素顔が見れたような気がした。

「僕は今の、SOS団が案外気にいってるんですよ。勿論、あなたを含めたSOS団をね」

 ポカーンとする自分に何時もの笑顔でそういった古泉は、悔しいがかなりキテいた。自分が女の子であれば、一発で惚れているだろうほどに。





 

 そうこうして二人で話していると、集合時間内にSOS団は全員集合した。

「さあ、SOS団合宿の始まりよ!」

 と早くも元気いっぱいなのが、団長である涼宮ハルヒ。たぶん、昨日は楽しみすぎて眠れなかったんじゃないかと邪推してしまうほどのハイパワーだ。
 予定としては、フェリー乗り場から、二等席である程度大きい港まで移動する。そこで一度降りて、古泉の親戚という機関の人の船に乗り換える。そこから30分程走らせると、そこは楽しい楽しい無人島というわけだ。無論、館の形が十角形とか、真っ赤だったりとかしないし、無人島に伝わる奇妙なわらべ歌だとかも一切ない。涼宮が悔しがっていたが、ないもんはない。

 フェリーの大きさに「何でこんな大きな船が浮いてるんですか~?」なんて可愛い質問をしてたり、フェリー途中で気分が悪くなったりと朝比奈さんを見てて飽きなかったが、特に何か特別なことがある訳もなく、SOS団御一行は順調に旅路を消化していった。
 自分はさっきの古泉の話をよく考えてみたりと、頭は忙しく動いていたのであるが、キョンおごりの弁当を食べると、朝早く起きたのが祟ったのかキョンと一緒にぐっすり寝入ってしまった。正直、フェリーに乗っている間の記憶がない。

「着いたわよ! 起きなさい、キョン!」

 との大きな声で目覚めた自分とキョンだが、眠気まなこをこすりながら次の乗り場へと向かう。
 フェリーを降りると、そこには執事とメイドがいた。もうTHE執事とも言える格好で、周囲から浮きまくっていた。ここはどこのアキハバラですか?

「やあ、新川さん。お久しぶりです。おや、そちらの方は……?」

「森です」

 お辞儀をする森さん。違和感を感じるのは、この明らかな場違いな雰囲気を醸し出す二人からだろうか?
 古泉と執事&メイドは周囲の視線もなんのその、朗らかに挨拶を交わし、SOS団に紹介する。二人と自己紹介を軽くし合いながら次の乗り場へと向かう。
 
 そこはこじんまりとした桟橋であった。思っていたのより小さい。が、そこに止めてあるのは、映画などでよくみる個人所有としては大きめのクルーザーであった。白い浜、青い空とトロピカルが似合いそうなクルーザーだ。
 乗り込むと中は洋風の豪華な客室も完備してあり、かなり快適に過ごせそうだった。これも機関とやらの所有物なのであろうか?

「……すっげーな、林」

「……自分もここまでとは想像していなかったよ」

 記憶とのギャップに戸惑いながらも、クルーザーはSOS団一行を乗せて無人島に向かう。不安と期待の入り混じったSOS団合宿はまだ始まらない。



<作者コメ>
孤島症候群です。いやあ、いろいろ荒がありそうですが見切り発車です。いちいち描写していると話が全然進まないので飛ばし気味です。


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