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No.20752の一覧
[0] 林祐太の憂鬱 【涼宮ハルヒの憂鬱二次 オリ主 転生?物】[ホーグランド](2011/02/21 20:28)
[1] 一話[ホーグランド](2011/02/19 20:20)
[2] 二話[ホーグランド](2011/02/19 20:23)
[3] 三話[ホーグランド](2011/02/19 20:27)
[4] 四話[ホーグランド](2011/02/19 20:31)
[5] 五話[ホーグランド](2011/02/19 20:39)
[6] 六話[ホーグランド](2011/02/19 21:06)
[7] 七話[ホーグランド](2011/02/19 21:11)
[8] 八話[ホーグランド](2011/02/19 21:18)
[9] 九話[ホーグランド](2011/02/19 21:22)
[10] 十話[ホーグランド](2011/02/19 21:33)
[11] 十一話[ホーグランド](2011/02/19 21:37)
[12] 十二話[ホーグランド](2011/02/19 21:40)
[13] 十三話[ホーグランド](2011/02/19 21:53)
[14] 十四話[ホーグランド](2011/02/19 21:56)
[15] 十五話[ホーグランド](2011/02/19 22:00)
[16] 十六話[ホーグランド](2011/02/19 22:06)
[17] 十七話[ホーグランド](2011/02/19 22:12)
[18] 十八話[ホーグランド](2011/02/19 22:15)
[19] 十九話[ホーグランド](2011/02/19 22:16)
[20] 二十話[ホーグランド](2011/01/10 18:02)
[21] 二十一話[ホーグランド](2011/02/21 20:25)
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[20752] 十二話
Name: ホーグランド◆8fcc1abd ID:07b38125 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/19 21:40
 翌日、原作では朝倉襲撃事件が起きるはずだったんだが、もうすでにそのイベントフラグは折ってしまったので起きることはない。

 それよりも、だ。キョンの印象が変わってきていることについての方が問題だ。
 キョンは不思議について疑っているような節がある。さて、これが原作のストーリーに関係があるか否か。

 最後、不機嫌なハルヒに連れられて、結界の中に彼は連れられる。しかし、キョンが元の世界を選んで、キスをすることで世界は元に戻ることができるのだ。

 
 あ、でも古泉の超能力を使うを見るか。ということは、キョンも世界を作り直す時には、すでに不思議を信じてるってことか。なんだ、原作と相違なんか無いんじゃないか。

 つまり、このままほっておけば、世界が作り直されることはない、と。

 ……しかし待てよ、こんな目の前にある情報だけで判断してもいいのだろうか。

 バタフライ・エフェクトという言葉もある。ひと羽ばたきで台風が起きるんだ。いないはずの一人の人間が居たらどうなるか。地球オワタになる可能性だってある。

 原作の方々はそのキスということに関して、かなり婉曲的なヒントしか与えなかった。
 例えば、それが白雪姫だったり、スリーピングビューティーだったりするのだ。何故、直接「キスせぃ!」と言ってやらなかったのか。そのことが不思議でならなかった。

 しかし、この後の来るべき未来のことを一ミリでも知っていれば、即座にこの考えを改めていただろう。

 一言で言うと、後悔したのである。




 翌日の放課後、朝倉が習い事(そんなのをしてるとは初めて知ったが)で一緒に帰れないことを拝んで本当にすまなそうに謝る朝倉がすごく可愛い、うん。

 あー、えー、まぁ、SOS団の活動の後に、キョンと帰ることになった。その帰り道の途中。

「なぁ、林」

「ああ? 何だ?」

「いやな、もしみんなの妄想がホントだったらどうするって話よ」

「妄想? ああ、超能力とかのあれね。え? ホントだったらって、そうだな……面白いと思うよ」

「面白い?」

 キョンが首を傾げる。

「ああ。お前だって小さい頃、怪人が出てきたり、それを倒すヒーローになりたいとか思ったろ?」

「まあな」

「そいつと同じだって」

 自分は前髪をいじりながら、そう答える。これは自分の本心だ。つまり、UFOも幽霊も居たら面白いなと思う程度であり、別に賛成否定どっちでもないという極普通の考え方である。
 日本じゃ圧倒的多数かと思われるこの考えを自分も持っていた。この世界に来るというネッシーにも負けない非日常な出来事も経験したあとの自分でさえ同じような考えを持っている。

「……なるほどな。そういう考えもあるわけか」

「キョンもそうだろ?」

「……そう、かな」

 キョンが心の奥底ではこういう非日常を望んでたことは知っている。というか、ほぼ全員そうじゃないのか。中二病は誰にでも訪れる通過儀礼だと思うのだが。

「もうしかしたら、さ」

「なんだ?」

 今この時を逃せば、自分がキョンにヒントを与えるのが難しくなってしまう。ここでヒントを与えないとと思い、自分は最悪の選択をしてしまう。

「キョン、お前が主人公かもしれないぜ?」

「主人公?」
 
 キョンがすっとボケた声を上げる。

「そう主人公。周りには、未来人、宇宙人、超能力者と話題にはことかかさない豪華なフルメンバーだ。そして、一般ピープルであるキョン。ほら冷静に考えてみろよ、誰が主人公よ」

「……俺か」

「まあ、当たり前だよな。そして自分では気づかないけれど、とんでもない存在の涼宮ハルヒ。こいつはヒロイン役な訳だ」

「……」

 キョンは苦虫をかみつぶした様な顔をしていた。

「そして、物語の終盤。二人に訪れる最大の試練。何があるかどうかは知らんが、どうせ今までのスケール的に『世界がヤバい!』みたいな感じなんだろうよ。
 そして、その解決方法は!」

 ここでためる。いきなりの身振り手振りを交えた自分の壮大な語りにキョンは無関心を装いつつしっかりと聞いているようだ。

「キス、だよ」

「キス!?」

 思わずのけ反るキョン。

「ああそうだ。それもマウス・トゥ・マウスだ。そして、世界に平穏が……」

「訪れるわけあるか!?」

 怒鳴るキョン。やれやれ、ツッコミ役も大変だ。

 これがいじる楽しさなのかと、新しい境地を開拓しつつある自分にキョンが興奮気味に食ってかかる。

「その一般人が主人公っていうなら、お前もそうじゃないか!?」

「ああ、その通りだね」

 苦笑しながら答える。そう、その考えでいくと、自分も主人公の素質を持っていることになる。しかし、自分は本当の意味で一般人ではない。

 けど、どこか今までの話の展開だって物語染みてるし、主人公のような気もしないでもない。しかし、どこかずれたような感覚もある。
 ……やめだやめだ。この考えは思いつめてはいけない気がする。

「ま、ただの戯言だよ」

 まだキョンは何か言いたげな顔だったが、軽く無視して歩き続ける。生徒がまばらな地獄坂からは綺麗な夕日がはっきり見える。

 こんな夕日が見れるような世界が壊れなければいいな、と思いながら帰路を二人で急ぐのであった。




 翌日、いつも通りに学校生活は過ぎて行った。朝倉の襲撃がない所為で涼宮が朝倉のマンションに突撃するイベントも起きず、特に何も起きない普通の日であった。
 キョンが昼休みの後、いつもとは違う、何やら探るような目をしていたが、何があったのだろうか?

 昼休み、ああ、思い出した。大人朝比奈さんに出会ったんだっけな。会いたかった気もしないでもない。

「何ー、何を考えてるのー?」

 隣には朝倉。今日もSOS団の集合は無いようで、無事朝倉と一緒に帰ることができているのであった。

「いや、大人の朝比奈さんに会いたかった……と?」

 最後まで言い切ることができなかったのは、隣の朝倉の顔が急速に無表情になったからだ。

「朝倉さん?」

 問いかけるも、返事もない。ただのしかばねのようだ。

「……大人の朝比奈さんって、朝比奈ミクルの異次元同位体……?」

 この子怖い……無表情で感情もなく問うその姿がどこかのターミネーターを彷彿とさせる。

「は、はい、その通りです……」

「そう……そんなにあの胸がいいのね」

「む、胸!?」

 どこに着地するんだよ!? と突っ込めずに嫌な汗をかく。冷や汗が止まらない。

「……胸部の…情報を……改ざんすれば……」

 ぶつぶつと呟くその言葉に不安を覚えざるを得ない。そんなことに力を使っていいのだろうか。
 この流れを断ち切るために、自分はある提案をすることにした。

「あ、ああ! 朝倉さん! 明日、鍋パーティーをしようよ!」

「…Dに……、ん? 何?」

「鍋パーティー! そうだよ、ちょっとていうかだいぶ季節外れだけどほら、今日明日と京子さんが町内会の旅行で居ないし、夜ご飯どうしようか迷ってたんだよ!」

 その暗く濁っていた目にハイライトが戻り出す。

「鍋パーティー?」

「そうだよ、鍋パ! ははは、楽しみだなぁ、朝倉の得意料理!」

 ようやく普段の朝倉に戻り出した。パアーとその顔が喜色満面になっていく。

「そう!? 鍋パーティーか……、ちょっと食材が足りないかなぁ、買いに行かなくちゃ!」

「楽しみだなぁ! そうそう! ご近所さんの、ほら、長門とかも誘ってさ!」

「長門さん?」

 どこにスイッチがあるのかわからないが、今の言葉はそのスイッチを押したようで、またもやその瞳から光が失われる。

「……実は…貧乳好き?…情報を……改ざんすれば」

「……はあ」

 もう知ったこっちゃねぇ。元に戻すのをあきらめた自分は不気味に呟く朝倉の隣をゆっくりと歩く。

 どうしろっていうんだよ。その日の夕焼けはどこか滲んで見えた、そんな気がした。



 いつもの所で別れた自分は、家の前に黒塗りのいかにも高そうな車が止まっているのを見つけた。

 訝しげにその車に近づくと、その後ろの席の窓が自分を前にして開く。そこには笑みを浮かべた古泉と不機嫌そうなキョンが居た。

「いやあ、ちょうどよかったですよ」

 自分にその黒塗りの車へ乗車を進めながら、古泉は言う。

「何がちょうどいいんだ?」

「あなたの家が留守だったので、いつ帰宅なさるのかわからなかったんです」

「なるほど」

 自分はこの後、晩御飯の買い出しにいかないといけないから時間は大丈夫か、と古泉に聞くと

「大丈夫です。すぐ終わります」

 との返事が返ってきた。

 黒塗りの車はキョンと古泉、そして自分が後ろに乗っても窮屈な思いをしないぐらい、その幅は広かった。
 車はどこかの高速に乗り、窓の景色は後ろ方へすっ飛んでいく。高速の橙色の灯に照らされたキョンがまず、口を開いた。

「超能力を見せるのに、遠出する必要があるのか」 

 と当然の疑問を隣の古泉にぶつけた。

「そうです。我々が能力を発揮するためには、少々特別な空間にいなければなりませんので」

 とにこやかな顔を崩さず古泉はさらりと返す。

「その超能力とやらは、どんなもんなんだ?」

 そんな自分の質問にも

「行けばわかります」

 と取り付くしまもない。

 これは、このまま拉致監禁されそうと思っても仕方がないと思う。自分はこの後の展開を知っているから平然としてられるが、普通は目的地ぐらい知りたがるんじゃないのか。
 そうか、こいつら普通じゃなかったなと、勝手に結論を得た自分の耳にキョンの声が聞こえてて来た。

「まだハルヒを神様だと思っているのか」

「人間原理という言葉はご存知ですか」

「ご存知でない」

 あなたは、という古泉の目がこちらを向く。

「ご存知です」

 そう答えると古泉はカエルを踏みつけたような声を出して笑った。古泉を挟む二人の顔が少し歪む。

「……ふふ、失敬、すみません。人間原理というのは、『宇宙があるべき姿をしているのは、人間が観察したから』という考え方です」

 怪訝そうな顔をするキョン。その顔を満足そうに古泉は眺めたあと、話を続ける。

「短く言うと、我観測する故に宇宙あり、といった感じですかね」

 とここから人間原理を引きあいに出した涼宮ハルヒが神である証明を古泉が行っていく。ところどころキョンが合いの手を入れながらそれは続いて行った。

 そうして、その話がキョンがこのSOS団の原因というところまで話は進み、そろそろ自分の瞼が本格的に重力と戦い出したころ、古泉は話を自分に振ってきた。そのにやにやとした笑みとともに。

「林さん。あなたに聞きたいことがある」

「なんだ?」

 ここで何か原作であったっけ? その拙い記憶を必死に掘り返していると思いがけないところからその質問は襲ってきた。

「あなたは何なのですか?」

「何って……人間?」

 その答えに違いますよと苦笑しながら再びの疑問を投げかける。

「一般的でない部分……、つまり普通で無い所ですよ」

「ああ、それは俺も思っていた」

 向こうのキョンも同意する。

 
「いやいや、自分はホント、どこから見ても、普通もいいところの男子高校生ですよ」

「大丈夫だって。誰にもばらしやしないから」

 うんうんと二人ともうなずく。だから、おれは一般ピープルだって。

「……古泉の、その機関だったか。そいつで調べたんだろ? 結果はどうだったんだよ」

 その言葉に少し考えるようにして、古泉はこう答えた。

「そうですね、林祐太はどこから見ても、おかしいところはありませんでした」

「だろぉ」

 ほら、言った通りじゃねえか。

 ……待てよ、その機関がシロだって判断したなら、それに重ねて自分を疑う理由があるのか? どこかで自分が普通じゃないってことを確信してる?

「……今日の昼」

 おもむろに口を開くキョン。その表情からは何も読みとることはできない。

「未来の朝比奈さんに出会ったんだが」

「おい! そんな大事なことなんで言ってくれなかったんだよ!」

 一応、自分は一般人でまだ不思議には疑いを持っている人物、という設定である。そんな重要なことを隠されていたら怒るに違いない。

「その大人の朝比奈さんが言ってたんだが『林祐太には気をつけろ』だとさ」

 その言葉を聞いた時、この車内の空気が一気に下がった気がした。

 隣の古泉はいつもの仮面をなぐり捨てて、目を向いてこちらを凝視してるし、キョンの顔も不機嫌なままだ。

 自分はというと当然、このイレギュラーに混乱していた。

 何だ、その言葉は。『林祐太には気をつけろ』だぁ? 白雪姫じゃなかったのかよ! そして、平穏とは程遠いその言葉。未来の朝比奈さんを小一時間と言わず問い詰めたい。
 混乱する気持ちを無理やり落ちつけて、とりあえず言葉をつぐむ。

「……未来の朝比奈さんには驚いたが、まあいい。それよりも、その言葉だが全く身に覚えもないし、自分は一般人だ」

「もうしかしたら、機関でも調べきれない何か、とか」

 古泉がここ一番でいらんことをほざく。キョンの胡散臭げなその視線はもうMAXだ。

 その後の車内の空気は最悪だった。そしてそれは目的の場所まで続く。

「……着きました」

 そこは地方都市のいわゆる交差点と呼ばれる場所であった。さすが都会だけあって、その交差点にはたくさんの人が行きかっていた。

 そして始まる古泉の説明。半分説明を聞き流していると、眼を瞑れとの指示が。素直にその指示に従う。

 手を引かれて、進むこと数歩。一歩歩くごとに周りの喧騒の波が引いて行くことを感じながら、何も聞こえなくなると目をあけてもいいとの声がした。
 目を開ける。そこには色調がすべてどんよりと曇った世界が広がっていた。
 
『……』

 あっけにとられる自分たち二人に満足したのか、古泉の演技かかった説明が始まる。その声はこの気持ち悪いほど静かな世界の中でよく響いた。

「ここが閉鎖空間です」

 古泉は歩きながら説明を続ける。

「ここが、ほら。交差点の真ん中がちょうど境界線になっている訳です。ここに入れるのも僕たち超能力者の能力なんですよ」

 恐る恐る突き出した手に、なるほど何やらやわらか硬い感触が伝わる。ある程度は力を入れれば押せるだろうが、いずれ入らなくなるだろう。 

 その後も古泉の説明は続く。歩きながら、その足は近くのビルに向かっているようだ。そのビルの階段は薄暗く、先行する古泉の足さえ見えなくなりそうになる始末だった。
 屋上に到着する。そこからは、この半径五キロにも及ぶ閉鎖空間が一望できそうであった。そして、そこから何やらどでかい人型の怪獣が見えた。

 隣のキョンがその景色に圧倒される気配がする。自分も話で聞くのと実際見るのは違うもんだと目の前に広がる非日常に驚きを隠せずにいた。

 コバルトブルーの巨人。たった一言で済ませられるその光景は、自分の目を疑うには十分なインパクトを持っていた。

「あんな大きさだと、自重に耐えかねて潰れるはずなんですがね。ほら、重力がないようにふるまってます」

 指し示すその先には、今その腕によって壊されていくビルがあった。巨人は元気にその青白く輝く腕を振り回している。
 目を凝らすと、その巨人の周りをコバエのように飛んでいるオレンジ色のなにやら球体が見えた。

「そろそろ僕も行かなければ」

 そういうと古泉は先ほど見つけた物体らと同じ様な色を体の周りにまとう。オーラらしきものを纏った彼はこれまた地球の重力にケンカを売るような加速度でひゅんと飛んで行ってしまった。
 残されるのは、唖然とした一般人二人組。あまりのことに声が出ない。

 どうやら戦っているらしいのは遠目から見ててもわかった。どんどん巨人の腕やらが切り離されていく。
 勝ちを収めたらしい彼らはぐるぐるとそれぞれが解散するかのように四方八方に飛び去っていく。もちろん、こちらに帰ってくるオレンジは古泉であった。

「どうでしょうか。僕が超能力者だと信じていただけましたでしょうか?」

 そうにこやかに問う彼にうなずくしかない二人であった。





<作者コメ>
今回は難産でした。伏線をはりつつ、次回で一巻は完結です。いつ回収されるやら。
十三話と決まりのいい数字でいったん完結できそうでうれしいです。
感想、まだまだ待ってます。


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