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No.20752の一覧
[0] 林祐太の憂鬱 【涼宮ハルヒの憂鬱二次 オリ主 転生?物】[ホーグランド](2011/02/21 20:28)
[1] 一話[ホーグランド](2011/02/19 20:20)
[2] 二話[ホーグランド](2011/02/19 20:23)
[3] 三話[ホーグランド](2011/02/19 20:27)
[4] 四話[ホーグランド](2011/02/19 20:31)
[5] 五話[ホーグランド](2011/02/19 20:39)
[6] 六話[ホーグランド](2011/02/19 21:06)
[7] 七話[ホーグランド](2011/02/19 21:11)
[8] 八話[ホーグランド](2011/02/19 21:18)
[9] 九話[ホーグランド](2011/02/19 21:22)
[10] 十話[ホーグランド](2011/02/19 21:33)
[11] 十一話[ホーグランド](2011/02/19 21:37)
[12] 十二話[ホーグランド](2011/02/19 21:40)
[13] 十三話[ホーグランド](2011/02/19 21:53)
[14] 十四話[ホーグランド](2011/02/19 21:56)
[15] 十五話[ホーグランド](2011/02/19 22:00)
[16] 十六話[ホーグランド](2011/02/19 22:06)
[17] 十七話[ホーグランド](2011/02/19 22:12)
[18] 十八話[ホーグランド](2011/02/19 22:15)
[19] 十九話[ホーグランド](2011/02/19 22:16)
[20] 二十話[ホーグランド](2011/01/10 18:02)
[21] 二十一話[ホーグランド](2011/02/21 20:25)
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[20752] 一話
Name: ホーグランド◆8fcc1abd ID:07b38125 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/19 20:20
 『国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった』 というのは雪国という小説を知らない人でも知っているような有名な文だ。
 この名文は、唐突な感じがするかもしれない。考えてもみて欲しい、トンネルを抜けた先が真っ白な銀世界、視覚的にもさぞかし綺麗な光景であろう。

 トンネルというのは何かと何かをつなぐ分岐点、境目の役割を持つ。いや、人間が勝手にそう想像してしまうのだろうか。某ジブリの神隠し的な映画でもトンネルが重要なファクターであったような気がする。

 お話の冒頭でこうも長々と『トンネル』なんてものについて長々と語ってしまったが、許してほしい。何故なら、かく言う自分もそのトンネルで人生がまるっと、きっかり180度変わってしまった人間の一人なのだから。














「ついに高校か……」

 と呟く自分は、着ているというより着られているといったほうがふさわしいだろう、まだ着なれない新品の制服を着て坂を上っている最中であった。これから三年間、通うことになる学校はこの長い坂の先にある。おそらく、というか確実に学内では『地獄坂』と呼ばれているに違いないその坂は、高級住宅街の間をくねくねと蛇行して続いていた。今、自分の息が上がっているのはコイツの所為に他ならない。

 周りには同じく新しい制服を身に纏った、初々しい生徒たちが見える。入学式と書かれた、あのお決まりの看板の前で親らしき人と写真を撮っている人も見えた。
 親は先に行ってるらしいし、さっさとこの退屈なイベントを終わらせよう。そして帰って本でも読もう。そうすれば、そこにはいつもの怠惰な日常が広がっているはずだ。所詮、新生活なんてそんなものであろうよ。
 そう考えていると、後ろから聞きたくもない声が聞こえてきた。

「おーい、林!」

 仕方がなしに振り返ると、そこにはワックスでコテコテの髪をした生徒……そして自分と同じ制服。つまり、同じ新入生ってことだ。

「チッ、……なんだよ、谷口」

「何だと言われればお前の親友、谷口様だろうが。ケッ、なんだよ一緒に行こうって言ったのによ」

「お前と一緒に登校……? お前はどうせ新入生のランク付けとか、早速するつもりなんだろ」

「さっすが俺の親友、よくわかってんじゃねぇか! 今のところだな……」

「はいはい、それは後で聞くから。とりあえずクラス発表でも見に行こうぜ。こんなとこに突っ立てたら邪魔になっちまう」

「おお、それもそうだな。で、だな……」

 隣で今まで見てきた女子を勝手にランク付けしているバカは谷口。同じ中学で友達をやっていた奴だ。親友ってほどでもない、多分。
 うるさい隣を無視しながら、クラスが展示してある区画に向かう。そこはやっぱり、見に来た生徒たちが集まっていて人だかりができていた。

「谷口よ」

「であの黒髪の……、なんだよ」

「頑張って見てきてくれないか」

「はぁ? なんでだよ」

「お前の姉ちゃんに拉致らそうになったあの件、それと去年の合コンのセッティングの件、それと……」

「わかった、わかったよ! 分かったからもうやめてくれ。あーあ、はいはい、林先生には頭が上がりませんよー」

「分かればよろしい」

 谷口は自分に多くの借りがある。これもある種の打算と保険というべき物なのだが、これについては追々語ることになるかもしれない。

 壁の様な人だかりに突進していく谷口。

 実を言うと、このクラス発表は自分の今後決めるといっても過言ではない。いや、普通の人とはその意味合いが違うのだ。自分にとってこのクラス分けは文字通り人生を決める、それほどの意味合いを持っていた。

 人に揉まれて、新品の制服を滅茶苦茶にした谷口が満身創痍で出てくる。

「御苦労。で、どうだったよ?」

「聞いて喜べ! 俺とお前は同じクラスだぜ!」

 その言葉を聞いた自分は唇をギュっと噛んで空を見上げる。心の中で多分そうなるだろうと薄くは思っていたが、外れて欲しいという願いはこの世界の神様は聞きいれてくれなかったようだ。

 空には雲ひとつない快晴。雲量はゼロだ。全く、自分の心模様とは全くの正反対。

「く……、ちくしょー!」

「な、なんだなんだ林! そんなに俺と同じなのが嫌なのか!?」

 慌てふためく谷口を見て思う。自分も、ついにこんなバカげたお話の登場人物の一人か、と。











 先ほどの奇行を説明するには、ちょっと過去に戻る必要がある。かれこれ十五年前ほど前の話。

 当時、自分は二十六歳のサラリーマンであった。やっと自分にも部下ができ、仕事が楽しくなってきた頃だ。社内恋愛をすること約四年。社内ではいつ、自分達が結婚するか賭けが行われていたらしいが、まあそれは置いておこう。

 つまり、自分は晴れてその付き合ってた彼女と結婚することになったのだ。

 順風満帆。そんな言葉が似合う、平凡ながらも幸せな人生であった。そうであったはずだ。

 だがしかし、そんな自分に大きな人生の転換期がやってきたのである。そう、結婚なんてもんが霞むほどに。

 あれは彼女の実家に結婚のあいさつに行く予定で、東北の方に列車で向かっていた時だ。例に漏れなく自分はかなり緊張していた。その所為かあまりその時の事を思い出すことができない。
 挨拶はどうするのか。やっぱり娘さんをください、というのか。そんな事をつらつらと考えていた気がする。

 変化は突然やってきた。列車がトンネルをくぐっていて車内が真っ暗になった時だ。すごく長いトンネルだな、なんて思っていた自分だが、まず最初に平行感覚がおかしくなった。続いて今度は聴覚。そして、最後にどこかに放り出されるような感覚。

 自分は雪国を見ることなく、気を失ったのだ。



 そして次に気づくと、変な感覚とともに強烈な眠気。

 その後、凡人らしく色々悩んだり怒りを覚えたりしたのだが、そこは割愛しよう。思い出したくもないし。

 そこからは混乱の連続であった。何故なら自分がいきなり他の人間、それも赤ちゃんになっていたのだから。

 似たような小説、話も知識としては知っていたが、聞くのと実際自分の身に降りかかるのは違う。まるっきり違う。

 そして思ったさ。これは何の冗談だ、ってね。

 成長して確認したこと。

 その一。

 ここが、魔法をぶっ放すようなイカれた世界でも、土器作ってるような大昔でもなく、我らが愛する現代日本であったということ。そして、正確には自分が生まれたのと同じ年。トンネルでのあの日の二十六年前であるということ。

 その二。

 自分は自分ではない。

 何を当たり前のことをと思うかもしれない。しかし、ただ単に過去に戻ったのではないか、と期待していた自分はそこまでおかしくもないのではなかろうか。

 平凡を絵に書いたような顔だったが、それなりに愛着を持っていたのだ。名前が前と違うのはすぐに分かったが、顔は……、いや顔も比較的早期に元の顔とは違うと確信できた。理由はまた後にでも。

 その三。

 この世界がそう、どこかの小説なりどっかのお話の中じゃないかということ。この手の小説では、どこか他の物語に入ってしまうのが王道だからだ。

 これについては比較的後期に分かった事だが、その時の自分の衝撃は計り知れないものがあった。

 小学生の頃、地図帳で冬木やら海鳴やら探したが、やはりそんなものも載ってもいなかった。うちの家族もちょっと過保護なところがあったが、比較的常識人たちである。魔術なり剣なんか微塵も感じさせない、素晴らしく普通な人達であった。

 おかしいと思いだしたのは中学に入った頃である。まず、東中という名前。ちょこっと、そう少しだけ。心に引っかかるものがあったのだ。
 それが確信に変わるのは、彼女の名前を直接聞いた時であった。そう、あの有名な一度聴いたら忘れないような、そんな名前。

 




  彼女―――そう、涼宮ハルヒ、その人だった。








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