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No.19964の一覧
[0] 戦いの申し子(DBオリ主→ネギま!ニスレ目)[トッポ](2010/07/03 22:40)
[1] 挑戦[トッポ](2010/07/02 02:12)
[2] 乙女の戦い?其ノ壱[トッポ](2010/07/04 00:05)
[3] 乙女の戦い?其ノ弐[トッポ](2010/07/08 02:53)
[4] 乙女の戦い?其ノ参[トッポ](2010/07/09 23:53)
[5] 地下[トッポ](2010/07/10 08:13)
[6] アルビレオ=イマ[トッポ](2010/07/13 21:56)
[7] 麻帆良崩壊?[トッポ](2010/07/18 00:48)
[8] 南の島へ[トッポ](2010/07/18 18:41)
[9] if(TS注意!)[トッポ](2010/07/20 23:46)
[10] 本当の名前[トッポ](2010/07/22 01:12)
[11] 番外学園黙示録編[トッポ](2011/01/16 23:48)
[12] 動き[トッポ](2010/07/23 02:39)
[13] 悪魔再臨[トッポ](2010/07/26 02:23)
[14] 恐怖[トッポ](2010/07/29 08:51)
[15] シュークリーム[トッポ](2010/08/01 00:37)
[16] 覚悟の成り立ち[トッポ](2010/08/07 00:41)
[17] [トッポ](2010/08/07 20:56)
[18] 降り立った怪物[トッポ](2010/08/10 23:04)
[19] 秒読み開始[トッポ](2010/08/10 23:03)
[20] 邂逅[トッポ](2010/08/21 00:15)
[21] 真実と敗北と[トッポ](2010/08/23 23:30)
[22] 侵略者、襲来(修正)[トッポ](2010/08/24 00:39)
[23] 神精樹[トッポ](2010/08/27 22:34)
[24] 開幕、地球まるごと超決戦[トッポ](2010/09/02 03:19)
[25] 戦闘開始[トッポ](2010/09/03 01:30)
[26] 激闘必至[トッポ](2010/09/07 18:01)
[27] 発進[トッポ](2010/09/11 20:31)
[28] 見参[トッポ](2010/09/18 23:38)
[29] 激突[トッポ](2010/09/21 01:47)
[30] [トッポ](2010/09/24 00:08)
[31] 危機転々[トッポ](2010/10/03 01:13)
[32] 命運[トッポ](2010/10/03 13:07)
[34] 黄金の嵐[トッポ](2010/10/07 12:10)
[35] 決着[トッポ](2010/10/26 01:02)
[36] 変わり行く世界の中で[トッポ](2010/11/02 00:45)
[37] 変動[トッポ](2010/11/02 03:34)
[38] 学園祭[トッポ](2010/11/09 01:50)
[39] 近衛木乃香の憂鬱[トッポ](2010/11/24 00:44)
[40] バージル=ラカンの憂鬱[トッポ](2010/12/03 01:50)
[41] 修行開始[トッポ](2010/12/03 13:40)
[42] 修行開始、ラブコメ開始?[トッポ](2010/12/12 01:29)
[43] 知られざる窮地[トッポ](2010/12/21 02:32)
[44] 番外編聖夜とサイヤ[トッポ](2010/12/25 01:54)
[45] 明日菜、心の向こうに[トッポ](2011/01/07 22:44)
[46] 番外学園黙示録編ぱ〜と2[トッポ](2011/01/16 23:49)
[47] 迷走[トッポ](2011/01/27 23:37)
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[19964] シュークリーム
Name: トッポ◆9bbc37c8 ID:02bbade8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/01 00:37






言葉が見付からなかった。

目の前で起こった光景、自分達の敵だった者の亡骸。

首の上が弾け飛び、ヘルマンだった者の体は力なく地面へと倒れ付す。

頭部を無くしたその体は、首から血が溢れ出てくる。

ヘルマンが殺された。

ネギの村を焼き払った悪魔の軍勢の一人。

ネギにとっては仇と言ってもいい存在だった。

憎しみが無いと言えば嘘になる。

心の奥底では仇を討ちたいと叫んでいる自分がいる。

だが、その叫びはもう聞こえてこない。

仇である筈のヘルマンが、目の前で殺されたのだ。

何とも呆気なく、抵抗という抵抗も出来ずに。

圧倒的な力を前に、恐怖に支配されたまま死んでいった。

そして、ヘルマンを殺した張本人であるバージルは。

「ふん」

手にしたヘルマンの肉片を地面に落とし、グチャリと踏み潰した。

幾分か気分が晴れたのか、バージルの表情は最初に比べて狂気の色が薄れていた。

手についた血を無造作に振り拭い、ステージから去ろうとネギ達に背を向ける。

「……どうして」
「?」

何段か階段を上がった所で、声が聞こえた。

声が聞こえた方へ振り返ると、自分を見上げる様に佇む木乃香が、バージルに問い掛けてきた。

ネギから渡された布切れを身に纏うが、カタカタと震えている。

だが、それは寒さに対する震えではない。

目の前にいる化け物に対する恐怖が、木乃香の心の大半を占めていた。

どうして殺すの?

そんな思いの籠った木乃香の視線に対し、バージルは。

「奴は折角楽しみにしていた俺のシュークリームを台無しにしやがった。ただそれだけだ」
「「「っ!?」」」

アッサリと、さも当然に答えるバージルに、木乃香だけではなくネギ達も絶句し、目を見開かせる。

シュークリーム?

あの洋菓子の?

それが台無しにされただけで殺したと言うのか?

信じられない、信じたくない。

それだけの理由でここまでの惨劇を生み出したバージルを、木乃香は目尻に涙を貯めて、何か訴える様な目付きで睨み付けていた。

水牢から解放された朝倉や夕映は、木乃香と対峙するバージルにガタガタと体を震わせている。

小太郎は眠らされていた千鶴を介抱し、様子を眺め。

明日菜は刹那と気絶しているのどかに駆け寄り、ネギは木乃香をバージルか引きら離そうと彼女の下へ走り出そうとした。

その時。

「「っ!?」」

上空から突然一人の人物が飛来し、それに続く様に十数人の人影がバージルを囲んだ。

学園長である近右衛門を筆頭に、学園に赴任している魔法先生全員が、バージルを中心に円陣を組んでいた。

そうそうたる顔触れ、高音といった魔法生徒はいないが、それでも軍の一個大隊にも匹敵する精鋭部隊が集っている。

その中には瀬流彦といったネギの良く知る人物も含まれていた。

「……何だ?」

バージルはギロリと目付きを鋭くさせ、辺りの魔法教師を見渡す。

目の合った魔法教師の何人かはバージルの放つ威圧感に耐えきれず、気絶している者もいる。

腕の立つ者は何とか堪えてはいるが、額に汗を滲み出して気を保つだけで精一杯。

攻撃してくる訳でも無い魔法教師に、バージルは収まり掛けていた苛立ちを募らせた。

その時。

「少々、やり過ぎじゃよ。バージル君」

魔法教師達の間から、近右衛門と高畑が姿を現す。

「やり過ぎ?」
「そう、君にとってはいつも通りでも、我々にとっては異端過ぎる。強大過ぎる力は災いを呼ぶぞい?」
「だから?」
「これまで、儂等は君の要望に幾度となく応えてきた。もう少し自重と言うのを覚えて欲しい」
「…………」
「ネギ君達や孫を守ってくれた事には感謝しよう。……だがしかし、もしそれが叶わないと言うのなら、大変不本意ではあるが……」
「ごちゃごちゃと……」
「む?」
「ごちゃごちゃごちゃごちゃと、鬱陶しい」
「「「っ!?」」」

近右衛門からの警告に対し、苛立ちを更に募らせたバージルは氣を解放し、魔法教師や木乃香を吹き飛ばす。

「きゃぁぁぁっ!!」
「木乃香さん!」

後ろに控えていたネギが木乃香を抱き抱え、障壁を張りながら後ろに下がる。

それ以外の魔法教師は壁や地面に叩き付けられて気を失い、戦闘不能状態となっている。

それにも何とか堪えられたのは、学園長である近右衛門を覗いて僅か二人。

高畑=T=タカミチと葛葉刀子。

幾人か立ち上がろうとする者もいるが、それでも戦える状態ではなかった。

高畑や刀子、近右衛門ですらも異様な威圧感に圧され、その場から動く事が困難となっていた。

「まさか、ここまで力を付けていたとは……」

最初に見掛けた時は、学園の総力を上げれば何とか撃退出来ると思っていた。

だが、今のバージルはあの時とは違う。

身に纏う雰囲気、佇まい、身のこなしからして以前よりも明らかに力を増している。

それも前よりも遥かに、桁違いに。

「おい、何をボーッとしている」
「っ!」
「殺るのか、殺らないのか、ハッキリしろ。此方はまだ苛々が収まってないんだ」

不愉快に、不機嫌そうに眉を寄せてその苛立ちを露にするバージル。

全身に気を纏い、拳を握り締め、臨戦体勢に入った時。

「そこまでだ」
「?」

近右衛門の背後から聞こえる声に視線を向けると、そこには小袋を片手に隣に茶々丸を従えたエヴァンジェリンが仁王立ちで佇んでいた。

「何の用だ闇の福音、お前も俺と殺り合いに来たのか?」
「忘れたのか? 今の私は最弱状態。お前の相手をした所で1秒も持たんさ」

それでは何の為に。

バージルがそう呟く前に、エヴァンジェリンから投げ渡された小袋をキャッチする。

何だと思い袋の開け口を開くと。

「こ、これは!?」

そこには、潰された筈のシュークリームが五つ程入っていた。

自分が心底食べたかったものを前に、バージルは先程まで放っていた殺気を消し、目を輝かせている。

「私は彼処のシュークリーム店の常連でな、時たま赴いては多少のオマケを付けてくれるんだ。少ないとは思うが、それで我慢しろ」

エヴァンジェリンの話を聞く前に、バージルはシュークリームを頬張る。

口の中にジンワリと広がる甘味。

待ち焦がれていた味に、バージルは頬張った一個を良く噛み、そして味わった。

軈てゴクリと喉を鳴らし、バージルはニパーッと至福に満ちた笑顔を見せる。

それを目の当たりにした近右衛門やネギ、明日菜達は恐怖を感じた。

あれ程憤怒に満ちていた顔から一変、年相応の無邪気を見せるバージルに、その場にいる誰もが悪寒を感じ、その身を震わせた。

命を何の躊躇いもなく奪うバージルと、年相応の子供らしさを見せるバージル。

一体、どちらが本当のバージルなのか、木乃香は分からなくなっていた。

そして、バージルがシュークリームを五つ全て平らげるとそれなりに満足したのか、一気に大人しくなり近右衛門の横を通り過ぎてステージから去っていく。

バージルが去り、辺りが静寂に包まれる中、エヴァンジェリンの溜め息が響き渡る。

「全く、唯でさえ気が立っているアイツに更に刺激を与える様な真似をしてどうする。そんな判断も出来なくなったのか耄碌爺」
「いやー、すまんの。助かったわい」
「しかも奴は京都で近衛木乃香を守り、大鬼神を打ち破った英雄だぞ」
「重ねてすまんの。何せ彼の放つ氣が異常でな、こちらも無意識にピリピリしてしまったようじゃわい」

額から溢れる大粒の汗を拭い、近右衛門は苦笑いを浮かべながら髭を擦る。

そんな近右衛門に、エヴァンジェリンは呆れた様に溜め息を漏らし、非難じみた視線で睨み付ける。

ヤレヤレと肩を竦め、エヴァンジェリンはステージの方へと視線を向ける。

既に茶々丸が朝倉と夕映を介抱しているが、二人の表情は青白く変質していた。

ガタガタと体を震わせ、視点の定まっていない瞳は、まるで悪夢を見ていたかのようだ。

いや、実際に悪夢だったのだろう。

目の前で、敵とは言え一度は言葉を交わした人達が無惨に殺された。

人間ではなかったが、それでも彼等は言葉を話し、表情を見せ、まるで自分達と変わらない存在に思えた。

それなのに、殺された。

無惨に、呆気なく。

腕を引き千切り、蒸発させ、爆殺し、頭を潰す。

漫画やアニメでしか見られない光景が目の前で起こり、二人の心に深い傷痕が刻まれていた。

「…………」

正直、エヴァンジェリンもバージルに彼処までの残虐性があるとは思えなかった。

だが、実際にそれは起こり、ネギ達の心に爪痕を刻み込んだ。

未だに恐怖感が消えず、震え続けている朝倉と夕映。

二人を見たエヴァンジェリンはフゥッと溜め息を溢し、記憶を消した方が良いなと呟いた。











「一体、何が起こっていル?」

麻帆良大学工学部研究棟の一室。

ネギが担任する3−Aの生徒で、学園が創設されて以来初となる天才、超鈴音が難しい表情で窓から見える景色を眺めていた。

「エヴァンジェリンの時とイイ京都の時とイイ……」
そして今回。

特に今回のヘルマン伯爵の襲撃は自分の“知っている”ものとは明らかに違う結末を迎えた。

自分の知っている“過去”とは違う事に、超はどこか焦った表情で学園の街並みを見下ろす。

「エヴァンジェリン、スクナ、そしてヘルマン。この事件全てにある少年が関与しているのは明白」

学園を見下ろしていると、超の視界にある人物の姿を捉える。

その人物を目の当たりにすると、超は目を細めて窓から背を向ける。

「……知らない」

あんな存在、自分は知らない。

確かに、物事には絶対など存在しない。

様々な因子が絡み合い、決まっていた未来を覆す事は充分あり得る。

だが、彼は何だ?

自分達とは明らかに異なる存在、世界からかけ離れた因子。

彼というたった一つの不確かな因子の為に、これから起きる出来事が全く予想予測出来ない。

「……バージル=ラカンか、私の計画を完遂させるには彼の攻略は不可欠か」

そう呟く超の瞳には、揺るがない決意が秘められ。

その手には、一つの懐中時計がキラリと怪しく光っていた。














〜あとがき〜
今回は若干短めです。
しかも話が全く進んでないし!

すみません。

……本編とは全く関係ありませんが、ACERの発売が1ヶ月過ぎました!

めっさ楽しみです!


……PS3持ってないけど。
そして最近またifが書きたいなと思ったり……。


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