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No.19953の一覧
[0] 新たな未来をつかむため(現実→転生・原作知識あり)※かなりチートあり[ディープ・アイ](2010/07/01 18:19)
[1] プロローグ[ディープ・アイ](2010/07/01 22:07)
[2] 1話[ディープ・アイ](2010/07/06 14:00)
[3] 2話[ディープ・アイ](2010/07/09 00:28)
[4] 3話[ディープ・アイ](2010/07/14 00:07)
[5] 3.5話[ディープ・アイ](2010/07/17 15:18)
[6] 4話[ディープ・アイ](2010/07/25 22:58)
[7] 4.5話(前編)[ディープ・アイ](2010/07/30 23:32)
[8] 4.5話(後編)[ディープ・アイ](2010/07/31 21:51)
[9] 5話(前編)[ディープ・アイ](2010/08/02 14:49)
[11] 5話(後編)[ディープ・アイ](2010/08/05 00:44)
[12] 6話(1)[ディープ・アイ](2010/08/09 01:59)
[13] 6話(2)[ディープ](2010/12/08 21:54)
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[19953] 3.5話
Name: ディープ・アイ◆b169de4a ID:a7e4b7e3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/17 15:18

 いつからだろうか、ぼくが『オレ』になったのは……? 言葉を理解できるようになってきたときだったかな。
 あれを思い出したとき……いや『オレ』から受け取ったときは、大変だったな。あの時の苦しみ、悲しみ、あの娘の「またね」っていうときの泣き顔……そういったの全部が頭ん中にあふれ出てきて、泣きじゃくったんだっけ。ちょうどそばにはあいつがいて……思わず抱きついたんだよな……あの時はマジで恥ずかしかった。

 でもいいよな、お互いまだ自分で歩けるようになり始めた時だったし。

 そういえば、最近夢を見るのだ。オレが『オレ』としてあいつや生真面目な委員長、一匹狼な女の子。猫みたいな少女、『オレ』の家に突然押しかけてきた双子のお嬢様たち……そして飛び級制度で転校してきた銀髪の少女。
 彼女らと起こす、普通には絶対に起きないような、でもとんでもなく楽しい日々の夢。

 きっとそれは夢じゃないんだろう。『オレたち』と『彼女たち』が掴み取った平和(にちじょう)なんだろう。


 だけど……その平和を掴み取れたとしても『オレたち』の心の中にあったのだろう。『あのとき、ああしていれば』『あのとき、気付いてさえいれば』という想いが……。たとえそれが、譲れない想いを託し、散って逝った人たちの誇りを傷つけるものであると判っていても……。

だからそういった全ての『想い』を『オレたち』は『オレ』に託したのだろう。

 世界を救えなくてもいい。ただ、導いてくれた先達を、ともに戦う戦友の背中を、そして『全ての世界』でオレの隣にいて、いっつもバカみたいにほほ笑んでる『あいつ』を守ってくれ、と。

 だったら、やってやろうじゃねえか! 『オレたち』にとっては過去でも、オレにとっては未来なんだ。過去は変えられなくても、未来を変えちゃダメなんてことは無いよな!

「すみか、オレ絶対に“えいし”になるんだ!」

 だからオレは、あいつの誕生日の夜。珍しく晴れた夜空、光り輝く天の川、そして星の川を挟んで輝くベガ(織姫)とアルタイル(彦星)を見つめ、隣にいるあいつに宣言した。

「えいし……? えいしってロボットにのって、べーたとたたかうひと?」
「ロボットじゃなくて、せんじゅつきだよ。ああ、それですみかや、みんなをまもるんだ!」
「ほんと、たけるちゃん? じゃあわたしも“えいし”になってたけるちゃんをまもる!」
「すみかはいいんだよ!」
「やだ! たけるちゃんといっしょがいいの!! それにわたしのほうがオネエサンなんだよ」

 まったくこいつは。どこの世界だろうが一緒なんだな。ま、それはオレも同じか。でも「いっしょがいい」か……。
 ああ、そうだよ。オレも純夏、お前とずっと一緒にいたい。あいつ等なんかに渡してたまるもんか……壊されてたまるか!
 唇とアホ毛を尖らせ睨む純夏を見つめ、改めて決意していると

「おーい、武。そろそろ帰るぞ。母さんたちが純夏ちゃんの誕生日を祝う料理を作って待ってるんだから。ほら純夏ちゃんも」

 少し離れたところで見守っていた父さんが帰るよう声をかけた。無理を言って連れてきてもらった手前、素直に従う。
 純夏と手を繋ぎ(子どもだし、いいよな?)父さんと三人で丘へと行く道を戻り、帝国軍横浜白稜基地の正門付近に出る。
 門の前には当直の衛兵二人が機銃を携え立っていた。そのうちの一人が父さんに声をかける。

「あ、お帰りですか?」

 丘に登るときに「どちらへ?」と声をかけた壮年の衛兵だった。

「ええ、もう小さな子たちには遅い時間になってきましたから。それに妻たちが久しぶりに天然物で料理を作って待ってますから」
「へー天然物ですか? 何かのお祝いで?」
「ええ。この娘、お隣りさんの娘さんなんですが、今日が誕生日でして」
「そうなんですか、お嬢ちゃんいくつになったんだい?」

 もう一人の若手の衛兵が、しゃがんで純夏に尋ねる。

「さんさいになったんだよ!」

 その問いかけに純夏は満面の笑みで、オレと手を繋いでいない方の手で指を三本伸ばして答える。

「三才か、おめでとうお嬢ちゃん」
「うん、ありがとう、へーたいさん! あ、そうだへーたいさん!」
「うん、どうしたんだい?」
「“えいし”ってどうやったらなれるの?」

 純夏の、その無邪気な質問に一瞬、若手の衛兵の顔が強張る。おそらく彼は衛兵適性で落ちて衛兵をしているのだろう。

「衛士はね、誰にだってなれるものじゃないんだ。ただ、なりたいって気持ちを持ち続けたらお嬢ちゃんでもなれるかもしれない。まずは友達といっぱい遊んで元気な体を作ることだね」

 答えを躊躇する若手に代わって、壮年の衛兵が純夏の質問にそう答えた。

「うん、わかった! ……あ、でもわたしせんじゅつきってどんなロボットかしらないや。たけるちゃんは、しってる?」
「えっ……て、テレビではなんかいか、みたことあるけど……」

 ……やべぇ、一瞬乗って戦ったことがあるって言いそうになった。

「お、坊主も衛士を目指してるのか!」
「そうだよ。たけるちゃんがえいしになるっていったから、わたしもなるんだ!」
「そうなのかい、お嬢ちゃん。もしかしてお嬢ちゃんは坊主のことが好きなのかい?」
「うん! たけるちゃんのことダイスキだよ! だから、ずっといっしょにいるんだ! ねっ、たけるちゃん!!」
「う……うん」

 ……は、恥ずかしい。純夏は単純な意味でいったんだろうが、オレにはこいつと結ばれた記憶があるから、それが脳裏に甦って顔が赤くなってしまう。

「お。坊主のやつ、いっちょ前に照れやがって」
「息子は、ちょっと大人びたところがありますから」

 オレの恥ずかしがる姿に、周りの大人たちがそう言って笑う。

「と、父さん。はやく帰らないと母さんたちがしんぱいするよ!」
「あ、そうだな。それでは失礼します」
「ええ。あっ、そうだ。お嬢ちゃん、坊主。戦術機を知りたいなら千葉に行ってみるといいよ。来月千葉の習志野基地の基地祭で、日米の戦術機同士の演習……試合みたいなものがあるんだ。斯衛軍も来るって聞いてるから連れて行ってもらうといいよ」

 帰り際、壮年の衛兵がそんなことを教えてくれた。


「基地祭か……ニュースで言ってた日米合同演習の一環のやつか」

 坂を下りたあたりで、父さんがぽつりと呟く。オレもそのニュースは知っている。たしか米軍は第二世代型戦術機……陽炎の原型機F-15を持ってくるっていってたな。

「おじさん、おじさん! わたし、そのキチサイにいきたーい!!」
「父さん、オレも行ってみたい」

 記憶では戦術機はいやというほどしっているが、それはあくまでも記憶。やっぱり生で見れるのであれば、それにこしたことはない。
 オレと純夏のお願いに、父さんは「うーん」と少しうなってから

「そうだな。八月なら休みも取れるし、千葉なら日帰りでいけるか。じゃあ、行ってみようか。……でも斯衛軍か……」
「どうしたの、父さん?」

 「やったー!」と無邪気に喜ぶ純夏に笑顔を向けながらも、どこか、微妙な表情で父さんは斯衛軍の名を口に出す。それに気になったオレは尋ねるが、

「いや、なんでもないよ。それより、はやく帰らないと母さんにどやされてしまうな。さ、二人とも行こう」

 首を振ってオレたちを連れて家に帰るのだった。



 これが、あの人との出会いとなるキッカケとなるとは、このときのオレには知る由もなかった。



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