※この作品は幻想です。原作の設定、および人間関係に一切合切無関係です。一部低俗な表現がありますが気に障ったらスルーしてください。
ドラえもん×とある魔術。執筆時の作者は頭がおかしいです※
「あーあ、今日も不幸だなぁ」
のび条当麻は不幸な小学生だ、例を挙げることさえ躊躇う程に毎日いろんな不幸に遭遇する希有な人生を歩んでいる。近所に住むジャインデックスとスネ琴が何かしら絡んでくるので、大好きなしず和ちゃんに良いところを見せられないのが最近の悩み。
まあ2人の態度は思春期的なアレなのだが、のび条に気付けるわけもない。
なーんか人生つまんないなー、何か楽しいこと無いかなー、と不平不満を洩らして毎日を過ごしていた彼の日常は───今日で終わり。
ガタガタガタ、一切使われる事の無い形だけの勉強机が音を立てる。
「んぁ?」
寝ようとしていたのび条はムクリと起き上がり、ガタガタガタと妙な音を立てている机を見た。
引き出しがぶっ飛んだ、ぶっ飛んで襖を突き破り壁に埋まった。あまりにもあまりな一瞬の出来事にのび条の思考が止まる。
ボーっと破れた襖を眺め母になんて言い訳しようかと漸く思考が鈍めながらも動き出した頃、その思考をまた停止させるような異常事態が机で起こっていた。
「あ~~~…………」
謎の声が机から、その引き出しが有った部分から響いている。いや待て、何かおかしい……引き出しの中が何故か暗い。
光が無い、奥行きが狭い引き出しの奥に光が届かないのだ。まるでそこが“得体の知れない空間”に繋がっている、そんな妙な確信。
謎の声は大きさを増している、さっきまで少し離れた位置に居た筈なのに今は極めて近い。そしてにゅるりと脚の様なものが出て来た。
脚が出たと思ったら胴体も見えた、胴体が見えたと思ったら既に頭が見えていた。
小っせえ……そう思った。
白と黒のシマシマ模様のその物体は、のび条の失礼千万な思考 が洩れたのかニヤァ……と大きな口をさらに広げてのび条の前に歩いてくる。
「あ~~~~……テメエがのび条当麻だなァ?」
「な、なんだよ」
ヒギャハ!
それは獲物を見つけたと言わんばかりの壮絶な笑みだった。逃げる事さえ忘れてのび条は目の前に佇む謎の存在をただただ見つめていた。
「俺の名はアクセえもン、ヨロシクなァ三下」
Acceleration!
「あ、アクセえもン?」
「そォ~だよのび条くゥン」
全体的に丸いフォルム、三頭身のアクセえもンはのび条を睨み付ける。怖かった、今までの人生で感じたことがない感覚をその身に受け──今まで恐怖だと『思い込んでいた』感情がどれだけ甘くヌルいモノだったかを理解した。
「ンだァ、その気持ち悪い表情はァ……くかかかきけこかけけか!」
何がおかしかったのかアクセえもンはのび条を笑い続けた。異常な空気に呑まれかけていたのび条だが、笑われて平気な程に人生を捨てていなかった。
「いったい何なんだよお前は、なにしに来た、返答次第じゃ……タダじゃおかねえぜ!!」
右手を前に突き出す独特の構えは、のび条の持つあらゆる異能の力を消し去る幻想殺し───という設定を右手にしているのだ。平行世界の【フラグマスター当麻】なら持っているのだが、残念ながらのび条は持ち合わせていない。
ただのハッタリだ。
その構えを見たアクセえもンは嬉しそうに首のスイッチに丸い手を当て、何かを起動させた。
-SYSTEM Acceleration-
それは現代科学の常識を破壊する力。覆す力。塗り替える力。それは“未来”の力……!
「イイね、最高だねェ、何も出来ねェクズだって聞いてたがちったァ楽しめそうじゃねェかァ!!」
あらゆる方向(ベクトル)を操る未来の科学(超能力)により、のび条の3秒後の未来は素敵な肉オブジェに決まった! やったねたえちゃん!!
「ところがそうはいかないよ、ってドラミサカはドラミサカは否定してみたり!」
「■■■■■■■■」
いちいち表記変換するのも面倒くさい感じでアクセえもンの言語が文字化けする、バタンと倒れたアクセえもンとドラミサカの登場に空気が穏やかに変わる。
アクセえもンと似たようなフォルムだが、全体的に小柄でピョコンと頭部に生えたアホ毛のような軟体パーツが可愛らしい。
「あ、でもホントに不幸面だね。わー、こんなのの世話をしなきゃならないなんてあなたも可哀想」
倒れて痙攣してるアクセえもンに話し掛けるドラミサカ、初対面で今日はボロクソに言われる不幸な日らしいと気付いたのび条の目にはキラリと光る心の汗が輝いていた。
何かを主張し出したアクセえもン、ドラミサカがにぱっと笑うとおかしくなっていた言語機能が元に戻る。
「なに邪魔してンですかァ!?」
「もーこんなの殺○しちゃったらセワ多くんに怒られちゃうよ?」
「うぜえ、コイツぶっ殺○したって良いじゃねェか。未来で木ィィィ原くンも消えて万々歳だろォが」
「あのー伏せ字になってないんですけど……」
自分を無視して行われる痴話喧嘩に涙が止まらないのび条だった。
閑話休題だよってドラミサカはドラミサカは場面転換!
「わー、俺って未来まで不幸色全開ですか」
「え? それってもしかして自分が幸せになれるってほんの少しでも思ってたって事、ってドラミサカはドラミサカはプークスクス」
「きけけこかくかこききけくくか! ギャグセンスだけは褒めてやるよのォォォび条くゥゥゥゥゥン!!」
酷い言われようもあったものだ、ここまで虚仮にされると元々ぶち折れて錆び付いている反逆心が湧く筈もない。
さっきのハッタリは少々早い厨二病による副作用的な高揚感です。
「アハハ、まあ安心してね。不幸な人生を手助けする為にこの人が来たんだから」
「クソッタレなカスを助けてやろうってンだ、感謝してコーヒー買って来いよ!」
のび条がこのまま不幸な人生を送ると45%ずつの可能性でジャインなんとかさんかスネ琴と結婚し、何となく不幸な人生を過ごしつつ何となく借金とかゴタゴタを増やして何となく死んでいく。
その色んな負債を未来の子孫達が受け継がされていくのだが、孫にあたる木原セワ多がキレて歴史の改竄を望んだ。
そんなこんなで性能だけは第一位だが欠陥持ちのアクセえもンが派遣される事になったのだ。
理由になってない? いいのよそんなの適当で。
「あれ、じゃあ残り10%はどうなるの……もしかしてしず和ちゃんとけ、けけ、結婚とか」
言い終わる前にビデオが手渡される、そこに映し出されているのはジャなんとかさんやスネ琴と結婚して慎ましい生活を送っていた未来ののび条───と比べてさえ涙が抑えられない程の不幸な姿だった。
ボロいアパートに一人暮らし、無精髭を剃る気すらなく髪もボロボロに傷んでおり所々がハゲ散らかしている中年、ニタニタと笑顔で見ているテレビには小学生もののAVが映し出され(これ以上の表現はXXX板がアップを始めるので書けないんだよってドラミサカはよい子のみんなに警告したり)全てを見終わった。
のび条はあまりの卑猥さに先ず青少年の証を刺激され、直ぐに中年の汚らしさに吐き気を覚え、それが自分の未来の姿であると気付き愕然とする。
更にトドメになったのは、とある教会でキレイになったしず和ちゃんが知らない男性と誓いのキスを交わすシーン───ではなく、幸せに溢れているその結婚式場に突如として爆弾を持って現れ「ブヒヒヒ、死んでボクと一緒になろうよブヒヒヒャァ!」と自爆テロを起こした救いようのないクズ人間を見たからである。
そのクズ人間は、自分の未来の姿に瓜二つだった。てか本人だった。
「はぁ、いつ見ても胸くそ悪いねってドラミサカはドラミサカはため息をこぼしてみたり」
「しず和ちゃンと結婚出来る可能性0だよのび条くン、調子に乗って2人からの告白を断るからだァ」
「…………」
これはマズい。
心底にそう思った、未来を変えたいと願った。こんなクソッタレな中年が俺の未来だってんなら、まずはそのふざけた現実をぶち殺す!
のび条の瞳に光が宿った。それは6歳の時に折れてしまったプライドが、錆び付いた何かが再び赤々と燃えだした証。
立ち上がった彼の姿には誇りがあった、夢が見えた、見果てぬ先を追い続けられると確信させる何かが確かにあった。
「まあ今日は寝るよ、お休み~」
ところがどっこい現実……これが現実……ッッ!!!
呆れたドラミサカは未来へ帰り、アクセえもンはあまりのクズっぷりに言葉もでない。
しず和ちゃんと結婚出来る確率──未だ0%
to be continued