4.
イナリには父親がいない。
そのせいか、内気になり――その性格が災いして、虐められていたのだが……しかし、ある男に助けられてから、変わった。
「名をカイザと言い、国外から夢を求めてこの島に来た漁師じゃった……それ以来、イナリはカイザになつくようになった。
まだ物心のつかないうちに本当の父親を失ったせいもあるんじゃろうが……いっつも金魚のフンみたいにくっついて、まるで本当の親子のように……
そんなカイザが家族の一員になるのにそう時間はかからなかった」
タズナは一息吐くために、お茶で喉を潤した。
瞑目。
皺がれた瞼の下では何を思うのか。苦渋の表情を浮かべる。
「そして、カイザはこの街にも必要な男じゃった」
川の堰が開いたときの話だ。
町は洪水に飲み込まれる一歩手前というほどの危機状態に陥った。
荒れ狂う河川を宥めるためには、激流の中へと入り込み、ロープを端まで伝わせられることが必要とされた。
カイザは、命を懸けて、それに挑んだ。
無謀だと人々は口を揃えて言うが、
「父ちゃんはイナリのいるこの町が大好きだからな」
そう言って、飛び込んだ。
結局は町は守られた。
一人の男の手によって……。
「それからじゃ……国の人々はカイザを英雄と呼び、イナリにとってカイザは胸を張って誇れる父親だったんじゃ。
しかし、ガトーがこの国に来て……」
「ある事件が起きた」
そうじゃ、とタズナは重々しく頷く。
見ると、身体は芯から震えている。
顔は蒼白になり、歯はかちかちと音を鳴らす。
怒りと恐怖をない交ぜにした……そんな表情だ。
「カイザはみんなの前で、ガトーに公開処刑されたんじゃ」
タズナはその光景を思い出しただけで、身震いしてしまう。
あまりにも残酷な光景だった。
『自分にとって本当に大切なものは――この二本の両腕で守り通すんだ!』
そう言っていた英雄は二本の腕を切り落とされて、町の人々の前で――イナリの目の前で、殺された。
今も幼いが、当時はもっと幼かったイナリのことを思うと、タズナは心が張り裂けそうになる。
「それ以来、イナリは変わってしまった……そして、ツナミも、町民も……」
静寂。
何を言えばいいのかわからず、七班全員は口ごもる。
安易な慰めの言葉をかけられるような甘い悲劇ではない。目の前で肉親を奪われるというのは、あまりに衝撃的だ。
失ったことのないサクラにはわからない。
そして――
「わからないことがある。何で変わるんだ?」
ナルトにも、わからない。
「イナリも、町の人も……人に寄りかからなきゃ生きていけないほどに弱いのか? それは他力本願すぎるんじゃないのか?」
無関係だ、とナルトは断じる。
カイザがいなくなったから心が折れたのか。それとも、カイザのように殺されたくないから、心が折れたのか。
似ているようで、意味は全く違う。
「おんぶに抱っこされないと立つことすらできないのか? ただの言い訳じゃねぇのか? 怖いんだろ。殺されるのが。素直に認めろよ。殺されるのが怖いから反抗できませーん! ってよ。そっちのほうがよっぽど潔い」
恐怖に押し潰されたことに言い訳をして、美談に仕立て上げているようにしか、ナルトには思えなかった。
肉親が殺されるのは悲しいだろう。悔しいだろう。しかし、そこから立ち上がらない理由とは、また別だ。座り込んでいたら、また失うことになる。だからこそ、立ち上がるべきだ。
ある意味でナルトの思考は正しい。だが、だからこそ、他者の心を抉ることになる。
「お前、それ本気で言ってんのか?」
「あ? 本気に決まってんだろ」
俯いたまま、サスケは震えた声音で問いかける。ナルトは平坦な声音で答えた。
がたりと椅子が地面へと勢いよくぶつかる。
「サスケくん!?」
多くの皿が並べられた机の上は踏みしだかれて、黒髪の少年が乗りかかっていた。
振り上げられた拳は、金髪の少年の頬に食らいついている。
殴った。
激情に己が身を委ねた結果、サスケはナルトに殴りかかった。
突き刺さった拳に反抗するかのように、ナルトは首に力を入れて踏ん張って、サスケのことを睨み返している。サスケも、ナルトを睨みつけている。
うずまく視線にはあらゆる感情が込められており、制御しきれない負の感情は今にも爆発しそうだ。
「見損なったぞ。人の痛みすらわかんねぇのか……お前は!」
「……俺がわかることは――座り込んだままじゃ何も変わらないっていう純然たる事実だけだ」
「表出ろ。ぶっ飛ばしてやる」
「いいぜ。よくわかんねぇけど、売られた喧嘩は買ってやる。鬱々とした悲劇のヒロインの話聞いて、こちとらむしゃくしゃしてんだ」
皹割れる。
これまで積み上げてきた絆に、亀裂が走る。
そんなのは嫌だ。絶対に嫌だ。
サクラはカカシに止めてくれるように目で訴えるが、首を振られるだけだ。
「止めるべきじゃない。大事なことだ」
何が大事なことなのか……サクラにはわからなかった。
◆
空に浮かぶ星たちは分厚い雲に覆われて、街は灰色に染め上げられていた。
それは郊外でも同じことで、家から漏れ出る人工の光だけを頼りに対峙していた。
闇の中でもなお輝く黄金と、闇に溶け込む漆黒。
光と影は相対する。
身体を解すように柔軟運動をするナルトは、思い切り膝を伸ばしていて、サスケはそんな姿を見下ろしている。
屈んだまま見上げたら、そこには冷たい双眸の中に悲しみを宿したサスケがいる。何をそこまで悲嘆しているのか、ナルトには理解できない。
立ち上がり、見据える。
紺碧の双玉は揺れていて、しかし、強靭な精神力で押さえ込まれる。
嘆息する。
「いきなり殴ってきて……何だよ、お前。悲劇のお姫様に恋でもしたのか?」
「お前だってわかるだろうが! 孤独の傷みってやつをよ! 失った傷みをよ! お前だって一人だっただろうが!!」
サスケの怒りをぶつけられるたびに、ナルトの心は冷めていく。
「そんなに興奮するなよ。孤独の傷みってのは……わからんでもないけどよ。わからないことはある。なんで負けるんだ? 親の死と自分の敗北は無関係だろ?」
「なんでお前はそんなふうに考えられるんだよ!」
サスケが何に対して怒っているのか。
同情しているのか。そうとは考えられない。サスケの人間性から考えるに、そんなに熱い奴ではない。
ならば、何か。
思考する。
そして、思い出す。
木の葉の里で有名な『うちはの悲劇』を。
得心する。
つまり。
「あぁ、そっか。そうだな。お前も親を……ってか、家族を失ってるんだよな。イナリと自分を重ねたのか?」
柳眉を逆立てる。
冷たく整った顔立ちが朱に染まる。
「わっかんねぇなぁ。お前とあいつは違うだろ? お前は立ち上がってる。あいつは座り込んだままだ。全然違うように思えるけどなぁ」
「黙れっ!」
開始の合図などなく、サスケはナルトに対して走り出した。
数歩分はあった距離は一足飛びで潰されて、気づけば懐にいた。
実に速い。自分ではそこまで速く動けない。清清しいまでに、身のこなしを視認することができなかった。
体勢を低く。迫り来る拳は避けられない。ならば、避けなければいい。感情任せの攻撃は力強さはあるが、正確性がない。どこを狙ってくるかは理解できていた。体重を乗せて、拳に頭突きを合わせる。
鈍い音が脳内に響く。
苦痛に呻くサスケの顔を覗き込む。
「お前も、イナリと同じように泣いたことがあるわけだ?」
「ぐっ……」
「自分を否定されたみたいで、むかついたのか?」
「黙れっ!」
再び襲い掛かる拳は、避けられるものだった。しかし、あえてナルトは避けなかった。
頬を貫く痛みが走る。
吹き飛ばされるほどの衝撃。だが、地面に足を食い込ませ、穿ちながら……耐え抜いた。
膝が折れる。しかし、ここで倒れるわけにはいかない。根性のみで両脚を支えて、どす黒く変色した頬に手を当てる。
「なるほど、そうか。お前もイナリと同じだ」
呟かれる言葉は確信に近い推測。
「うちはを皆殺しにした裏切り者を殺したい。うちはの一族を復興したい。失ったものにしがみついているだけなんだな」
「失うものがないお前に――何がわかる!」とサスケは叫ぶ。
だが、ナルトは最初から一貫して言葉を紡いでいる。つまり。
「わかんねぇって何度も言ってるだろ……おいそれと自分の感情を他者が理解してくれるなんて、俺は期待したことすらねーよ……。
自分を無条件で肯定してくれる存在――家族がいなかったからな」
湿った空気に重く響く言葉は、誰に向けたものなのか。
ナルトには、家族がいない。だから、失うことすらなかった。最初から無いのだから。
「聞くけどよ。お前に、俺のことがわかるのか? けっこう辛いぜー? イルカ先生と出会うまでは、俺と喋ってくれる奴なんてほとんどいなかったんだぜ?」
からからと笑うように吐き出される言葉は、心をざわつかせる。
乾いている。何もかもが、存在していない。最初から他者に対して、希望を持っていない。
ナルトは、孤独だった。
「アカデミー内でも俺の扱いがどんなのだったか……お前も見てただろ? 誰も助けてくれない。結局、自分を救うのは自分の力だけなんだよ」
停滞することに意味はない。
変えたいと願うならば自分が動くしかない。現実はいつだって残酷で、容赦のないものだ。
だからこそ、ナルトは結論する。
「へこたれて何か得をするのか? 誰かが助けてくれるのか? 少なくとも、俺に救いの手を差し伸べてくれたのはイルカ先生だけだったし、それだって、俺が努力してなけりゃ見向きもしなかっただろうぜ。荒んでどうする? あれは甘えだ。庇護者がいるからこそ出来る余裕の表れなんだよ」
だからこそ、言う。
お前ら甘ったれの考えは、俺にはわからんと。
他者を突き放すようなその言葉はとても冷たく、ある意味では……真理だ。
ナルトが短いながらも歩んできた人生の中から掴んだもの。それは、重い。
「弱者は変われないと言うのか」
サスケは俯いたままだ。ナルトと視線を合わせようともしない。
「変われない。変われるのは自分を信じて行動を起こせる奴だけだ」
「いちいち正論だな、お前は……人間、そこまで割り切れるもんじゃねぇんだよ!」
「ぐぅっ……」
お互いの腹に拳が突き刺さる。殴りかかったサスケに、ナルトがカウンターを合わせたのだ。
そこからはただの喧嘩。
修練で覚えた型など度外視した、大振りの殴り合い。
避けない。
全部喰らって、その分だけ殴り返す。
意地の張り合いだった。
そして、勝ったのは……
鳩尾に抉り込まれた拳のせいで、ナルトは膝を着く。
口から吐瀉物を撒き散らしながら、痛みに悶えながら――それでも、澄んだ目でサスケを見上げていた。
蹴り飛ばす。
「ナルト!」
地面へと転がったナルトを、サクラは慌てて寄り起こす。
非難するようにサスケに目を向けるが、ぼろぼろに汚れたサスケのほうが……
「お前のことを友達だと思ってた俺が馬鹿みたいだ……じゃあな」
溢れ出す何かを無理やり擦りつけて、サスケは森へと歩き出す。
拗ねた子供。
サクラはそんな印象を覚えた。
そして、自分の腕の中で震えるナルトを見る。
「痛ってぇ……」と漏らしながら顔を腕で覆う姿は、サスケとそっくりだ。
「ナルト、今の言葉は本音なの?」
カカシが何で止めなかったのか、サクラはようやく理解した。
だからこそ、言うことにする。
「アカデミーの卒業の日、私とあんたは喧嘩したわよね。あのときね。サスケくんにあんたの陰口言ったの。
親のいないあんたはろくな育ちができてない馬鹿野郎だって……そのとき、サスケくんは私に何て言ったと思う?」
知るかよ、と掠れた声が耳に届く。
「孤独はとても辛いんだって。そんなことすらわからない私はうざいんだって、言われたの。だから、私も言うね」
沈黙。
少しだけ、間があって……。
「あんた、うざいわ」
耳朶を打つ言葉は、そんなもの。
「……そうかい」
ナルトの瞳は水滴で滲んでいた。
◆
朝靄が浮かぶ森の中には、朝焼けが霞んで見えるものだ。
重くのしかかってくる水滴は身体を蝕み、腐葉土の上で寝転がっているだけで寒くて、震えてくる。
けど、どの面下げて家へと戻れと言うのか。
「……何てこと言っちまったんだ、俺はっ!!」
思い出しただけでも死にたくなる。
サスケは昨日、キレた。ナルトの言葉に堪忍袋の緒が切れたのだ。だから、殴った。本当にそれだけのことだった。
感情に任せて行動した代償は大きく、サスケは一人の友人を失った。いや、唯一の友人と言ってもいいかもしれない。毎日顔を突き合わせて、笑いながら一緒に修行をした相手など、ナルトくらいだったから。
最初は勝負をしても相手にならなかった。体術にしても、忍術にしても、真っ向勝負をすればサスケがいつも余裕で勝っていた。
しかし、悔しさに顔を歪ませながら、次の日は戦い方を変えてきて、自分の体術を真似してきたり、弱点を研究してきたりしてきて、勝率はだんだんと五分五分になりつつある。つまり、ナルトはいつも諦めない姿勢を貫いてきた。
だからだろう。この町に来てからずっと機嫌が悪いのは……わかっているのだ。ナルトの嫌いな人種ばかりがいる――行動を起こさない奴らばっかりで辟易していて、それで、あんな辛い言葉を吐いていたことも。
そして、最初から最後までイナリに対して『そのままじゃ何も変わらない』と言っていただけなのだと。要するに『変われよ』と言い続けていただけなのだ。
冷静になって考えてみれば、不器用な言葉を吐いていただけで、確かに思いやりはあった。それに気づかなかった自分に対して苛立つし、そんな不器用な言葉しか言えないナルトにも腹が立つ。
「……わかりにくいんだよ」
視界が滲む。ぽとぽとと水滴が落ちて、頬を濡らす。
誰に見られるわけでもない。久しぶりに、泣くのもいいかもしれない。
サスケがそんなことを思ったときだ。
「どうして泣いているんですか?」
後ろから声をかけられた。
仮にも忍であるのに、背後に人が立っているなど……驚きのあまり、サスケは飛び退った。
「テメェ、誰だっ!」
背後に立っていたのは腰ほどまで伸ばした絹のような黒髪の柔らかな微笑の似合う少年であった。
困ったように「薬草を取りに来たものですけど」と言いながら、サスケの足元を見ている。サスケも足元を見ると、そこには――
「貴方の足元に押し潰されているものです」
何だか悪いことをしたみたいな気分になって、サスケは薬草拾いの手伝いを申し出た。
腰を落としたまま薬草を採取し、少年が持っていた大きな籠に詰め込んでいく。
緩やかに過ぎていく時間。
どちらも喋ることはないのに、とても落ち着く。ゆったりとした一時だ。
「すみません、手伝わせちゃって……」
構わねぇよ、とサスケは頭を振る。
薬草を採取するのは気が紛れたし、何かに没頭すると考えなくてすむ。
だが。
「友達と喧嘩でもしたんですか?」
突然言われた言葉は、サスケの思考を酷く乱した。
「……! あんな奴、友達でも何でもねーよ」
「随分と仲が良かったんですね」
にっこりと笑って言われた言葉は、絶対にサスケの言っていることを聞いていない。
仲がいいわけがないだろが!
切々と如何に仲が悪いか、ナルトがどんな奴かを説明するが。
「目元腫れてますよ。一晩中泣き明かしたんじゃないですか?」
無駄に終わる。
「話なら聞きますよ。薬草拾いを手伝ってくれた御礼に……」
「心を抉るようなことを言われた。そいつの言うことがいちいち正論でむかついて、だから殴った」
「――わかりやすいですね」
「笑ってんじゃねーよ……」
不貞腐れたようにサスケは薬草を放り出して、地面へと座り込む。
くすくすと頬を綻ばす少年の手伝いなどもうしない、と心に決めて地面へと寝転がった。
朝靄はとっくに消えていて、晴れ渡る空は昨日と違って陽気な気分にさせてくれる……こともなく、サスケの心はどんよりと曇り空だ。隣で笑う奴がいるから、そのせいもあるだろう。
「それくらいの年齢の男の子だと喧嘩で殴りあうくらいはするでしょう。貴方も随分と殴られたようですし」
「俺のほうが殴った! 俺は負けてねぇ!」
「勝ち負けの問題なんですか?」
立ち上がり、自分の強さを叫ぶが、少年の言葉に罰が悪くなって、拗ねる。
胡坐をかいてそっぽを向く様は、ただの捻くれた子供だ。
「……違うよ」
ぽつり、と呟かれた言葉はとても小さい。
「じゃあ、喧嘩したことを後悔してるんですか?」
「……別に」
「わかりやすいですね。顔に書いてますよ。後悔してるって」
「してねーよ!」
語調が荒い割には、サスケは妙にしかめっ面だ。
途切れるように終わる言葉にも力はなく、大量の空気を吐き出しているだけのようにも思える。
後悔、している。
仲直りもしたい。
そんなことを考えている自分も認めたくはない。
見透かしているかのように、少年はサスケの揺れる眼を見つめている。再び、サスケは目を逸らした。くすり、と笑われるのも無視だ。
「謝ればいいじゃないですか。相手の子も悪いんでしょうけど、君も悪いんでしょう? 貴方から殴ったのなら、貴方が謝るべきです」
「謝りたくねぇ」
当然だ。自分は悪くないのだから、謝りたくない。
無理やりそう思い込む。
「意地っ張りだなぁ。そのことを後悔する日が来るかもしれませんよ」
どういう意味だろうか。まるでもう会えなくなるかもしれないような言葉。
心に、染みこむ。
「君にとって……その人は大切な人ではないんですか?」
「大切な人……?」
問い返すと、少年は何かを思い出すように空を見上げた。
「いつ、二度と会えなくなるかわからないです。もしかしたらこれで終わりかもしれません。永遠に仲違いしたままかも……ね」
話しすぎましたね、と舌をぺろっと出して眉を下げる。
「何にせよ、後悔しないように心がけたほうがいいでしょうね」
「後悔……」
「人は本当に大切なものを守りたいときに、強くなれるものなんですから」
直感する。
嫌な予感が心に走る。
だが、それは見て見ぬ振りで……
「……お前、もしかして。いや、何でもない」
「では、お先に失礼しますね。また、どこかで会いましょう」
「あぁ……」
また会うことになるだろう。おそらくは、敵として。
何故自分の悩みなどを聞いたのかはわからない。信用させるためかもしれないし、不意打ちするためだったのかもしれない。
だが、そんなことは脳裏から放り出す。
今はただ、荒れ狂う悔恨を抑えるために、感情を吐露したかった。