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No.19645の一覧
[0] 【習作・ネタ】狙撃手(HUNTERXHUNTERに幽遊白書の刃霧要)[ぞーもつ](2010/06/19 00:49)
[1] 狙撃手(スナイパー)第2話[ぞーもつ](2010/06/25 03:49)
[2] 狙撃手(スナイパー)第3話[ぞーもつ](2010/06/27 04:07)
[3] 狙撃手(スナイパー)第4話[ぞーもつ](2010/07/03 02:42)
[4] 狙撃手(スナイパー)第5話[ぞーもつ](2010/07/09 03:58)
[5] 狙撃手(スナイパー)第6話[ぞーもつ](2010/07/09 11:08)
[6] 狙撃手(スナイパー)第7話[ぞーもつ](2010/07/24 01:10)
[7] 狙撃手(スナイパー)第8話[ぞーもつ](2010/08/24 03:03)
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[19645] 【習作・ネタ】狙撃手(HUNTERXHUNTERに幽遊白書の刃霧要)
Name: ぞーもつ◆60607513 ID:96299327 次を表示する
Date: 2010/06/19 00:49
ズズン・・・。
遙か地方の山奥に場違い過ぎる轟音が響く。
爆発音。
直後に聞こえてくる狂気の嗤い声。
「はッははははははははははははははぁぁぁーーーーーーーーーーッ!!!!!」
嗤い声の持ち主は2メートルを遥かに超える大男。
「おぉい、ウボォー! 目ンタマまで吹っ飛んでダローが!! 手加減しやがれ脳筋!!」
隣やや後方に控えるチョンマゲの男が叫ぶ。
やり過ぎるなと注意はしているが、言っている本人も神速の抜刀で対する人間達を細切れにしている。
「ったく・・・アイツら今回の目的わかってんのかね・・・?」
「しょーがないね・・・あいつらタダのバトルマニアね・・・」
「あーあ・・・まったく・・・これじゃあ団長に怒られちゃうかもなー」
大暴れする2人組みを、やや離れたところから評している3人。
こちらも手は休まずに虐殺に精を出している。
ただし攻撃は悪魔で首から下だ。
「あっちにもバカが2人いるんだけど・・・」
グラマラスな、鷲ッパナでなければ相当な美人であろう女性が示す方向。
そこには両手をやたらめったら振り回し、群がる人間を塵芥に変えている巨漢がいた。
「はっはっはーー!! 『俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)』!!」
男の5本の指を向けられた二刀流の剣士は、その瞬間にボロ屑のように吹き飛んだ。
その男の背中を守るように陣取っている男もまた両手をグルングルン振り回している。
ただ巨漢が横方向に腕を薙いでいるのに対して、この男は縦方向だ。
「へっへっへ・・・こんぐらいでいいか? 『廻天(リッパー・サイクロトロン)』!」
ドンッ。
男が腕を振り下ろした瞬間、そこには小規模といえどクレーターが出現していた。
 
 
 
***
「ぐぅッ! この悪魔供め!!! 良くも同胞を・・・ッ! 死の報いを受けよ!!」
民族衣装を纏った双剣の戦士が斬りかかってくる。
だが俺は動かない。
特筆すべき念能力が在るでも無いタダの戦士。
俺の『盗賊の極意(スキルハンター)』を使う価値もない。
斬りかかってくる刃を避ける必要すら俺には無い。
なぜなら・・・。
ヒュパン!
空を切り裂く音と同時に、斬りかかってきた男の手に握られていた刀剣がへし折れる。
男が驚きに目を見開くがそれも一瞬だった。
ヒュパン!
再び、この音がした時・・・男の脳天には綺麗に穴が空き、その場に崩れ落ちた。
・・・。
「フッ 相変わらず見事だカナメ・・・ド真ん中だ・・・」
クロロは呟く。
しかし賞賛された本人は遙か遠くだ。
クロロの周りには、同じように額に風穴を開けられた死体がゴロゴロしている。
全ての者はクロロの10メートル以内に近寄る前に死体に変えられていた。
クルタの誇り高き戦士は憎むべき怨敵の首領に近づくことさえ許されずに皆生き絶えたのだった。
 
 
 
***
「はははは!! 本当におもしれぇなコイツら!! 切れるとマジで目が赤くなりやがる! しかも強ェェ!!」
ウボォーギンはまさに、千切っては投げ千切っては投げの大虐殺を嬉々として行っている。
目は爛々と輝き、オモチャで遊ぶ少年のようだ。
「おめぇ・・・だから目は潰すなって言ってんだろぉがよー」
かつてクルタが住んでいた村は既に血の海と化しいる。
だが同胞の血の海を勇ましく駆けて、クルタの戦士は向かってくる。
目を緋色に輝かせ体中にオーラを漲らせ向かってくる。
「ちっ・・・まだ向かってくるとはよ・・・上等だぜ。 ・・・半径4メートル・・・寄らば斬る・・・」
4メートル。
チン・・・。
クルタの戦士が射程圏内に入った瞬間。
クルタの男は上半身と下半身が別れたのだった。
「ケッ こいつらも割とクレイジーな奴らだぜ。 死ぬのがまったく恐くねぇみたいだな」
「へへっ こいつらも大好きなんだろ? 戦うのが・・・よッ!!」
ドゴォ!
同じく、勇敢にも諦めずに立ち向かったクルタの戦士はウボォーの鉄拳を喰らい、首から下が吹き飛んだ。
だが肉片になりつつある男の背後から、もう1人・・・同胞の肉を掻き分けて突っ込んでくる剣士がいた。
「(!? 1人は捨石! 本命は・・・コイツかッ!!)」
既にクルタ剣士の射程圏内。
ウボォーギンの右拳は伸びきっていた。
左で迎撃を試みるがどうにも間に合いそうもない。
「ウボォー!!」
ノブナガの刀も、クルタの男を捉えつつあるが。
「「(間に合わねぇ!!)」」
2人がそう思った瞬間。
ヒュパン!
ナニかが超高速でクルタの刀剣を砕く。
ヒュッ、ヒュヒュパン!
続けて第2第3と迫る超高速の物体。
怨敵の喉元まで迫ったクルタの戦士は、手足と頭部をしとどに打ち抜かれ吹き飛ぶ。
「ぐぅ・・・があ゛ぁぁぁぁ゛ああ゛ぁ゛!!!」
刃が届かなったことに無念の表情を滲ませ、戦士は絶命した。
既にここら一体に、人間は13人しかいない。
今しがた生き絶えたクルタ族が14人目の人間だったのだ。
かつて人間であった肉ならそこら中に転がっているが。
「ふぅ~・・・今のはちょいと危なかったな・・・」
「ったくよぉ・・・気ぃ抜いてんじゃねーぞウボォー」
納刀しつつノブナガは安堵の表情を浮かべる。
「気が抜けているのは2人共よ! まったく・・・なに殺られそうになってるのよ」
手厳しい言葉にノブナガは顔をしかめる。
「けどよーパク・・・あれは明らかにウボォーの油断だろぉ?」
「な、なんだとう! 俺は油断してねー!! あれは・・・あれだ! 情けだ情け! 一太刀ぐらい浴びてやんねーと可哀想だろ!?」
ウボォーギンの言葉にいつの間にか隣にやってきた小柄の男が口を開く。
「はは♪ あのオーラ量じゃウボォーの体でもバサりだたね♪ お情けで首斬られてやるなんて寛大通り越してタダのバカね」
「バカだな」
「つかバカだな」
「脳筋」
「アホ」
「ぬぐ・・・・・・ッッ!!」
フェイタンに続き、フランクリン、フィンクス、パクノダ、シャルナーク・・・である。
血と肉片だらけの集落の広場に、自然と集まっていた。
「ったく・・・カナメに感謝するんだね・・・貸1だよ、これは」
「あ゛ぁ゛!? 確かにカナメには貸1だが、それでなんでマチが誇らしげなんだよ!?」
皆に言い返せなかった鬱憤をマチにぶつけるウボォー。
「あら・・・さすがに脳筋ねウボォー・・・気づきそうなものだけど・・・」
「はっ?」
パクノダの言葉に目が点になる巨漢。 それと同時にマチも慌て始める。
「な、なに言ってるんだいパク!? ウボォーもだよ! 誇らしげになんかしてないだろ!」
「別に今更って感じだけどね」
「見ててイライラすんな・・・ストロベリーは」
「フィンクスのはただのヤッカミだろ?」
「やっかんでねー!」
「ところで、その話題のカナメと団長は?」
「おいおい、自分でフッておいて打ち切んのかよパク」
思わずフランクリンがツッコミを入れる。
「団長とカナメは南から、俺らが追い立てたクルタを狩ってたから、もうすぐ来るんじゃ・・・お、噂をすれば」
皆、シャルの視線の先を見る。
そこには黒髪の男が2人・・・こちらにゆっくり歩いてくるのが見えた。
悪魔的な空気を醸し出し、そこからは強烈なカリスマが感じられる。
黒のコートを被り、髪をオールバックにしている。
額には十字の刺青。
幻影旅団団長、クロロ=ルシルフル。
その隣に付き従う、幽鬼のように不確でどこか儚ささせ感じさせる青年。
非常に寡黙で、淡麗な容姿を持った黒髪の青年の名をカナメ=ハギリといった。
幼い頃からの付き合いである旅団メンバーですら、彼の言葉は日に一言二言しか聞けない。
決して自己主張せず淡々としている彼だが、何故か気づいた時には副団長のようなポジションになっていた。
「やれやれ・・・追い立てるために暴れろ・・・とは言ったが・・・・・・少々やり過ぎだ・・・お前ら」
クロロは溜め息を吐くと、いたずらをした子供をたしなめるように呟く。
だがその口調からは、非難するような意思は感じられない。
団員達もどこ吹く風だ。
「ふぅ・・・まぁいい。 では緋の目の回収といこうか」
団長命令に、団員達が「うーい」と気の抜けた返事をする。
 
 
 
***
幻影旅団・・・。
世界で最も恐れられる犯罪集団の1つ。
ルクソ地方の山奥は、その幻影旅団に襲われ阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
無残な死体がゴロゴロ転がっており、その死体の眼球を旅団員が抉り出している。
惨劇の原因はルクソの山奥に隠れ住むクルタ族。
世界的に希少な民族であるクルタの瞳は、感情が昂ると恐ろしく美しい緋色に変化する。
世界7大美色の1つである緋の目は、コレクター間で目を張るような高額で取引される。
故の惨劇である。
クルタは勇敢な戦士でもある。
また一族特有の緋の目によって爆発的な力を発揮する。
超人集団といえる幻影旅団にとっても大仕事といえた。
戦闘民族がまるまる相手である。
少数民族といえど、かなりの数だ。
本当に骨が折れた。
とはいえ団員達の殆どがこの大仕事を楽しんでいたのだが。
しかし採算的にはこの大仕事はそこまで大成功・・・ということにはならなかった。
クルタ族は強かった。
それは旅団員が手加減できなかった程の強さだったのだ。
結果、死体の破損が大きくなってしまった。
回収できた緋の目、348対。
その内、闇市場が「商品価値アリ」と判断した緋の目は、たったの36対。
しかしこの結果でもクロロは特に不満は無かった。
クロロはこの緋の目の美しさが大相気に入ったからだ。
幻影旅団が一同に会した大仕事、「クルタ狩り」は終焉した。
こうしてクルタは滅んだ。
たった1人の生存者を残して。
 
 
 
***
任務完了・・・。
面倒事は好きではなかったが団長命令とあらば確実に遂行する・・・。
群れるのは嫌いだったが、コイツらと居るのはガキの頃から妙に居心地が良かった。
クルタの大掃除も団長命令と仲間達の尻拭い故に参加した。
・・・俺はガキの時分にゴミ溜めの中で目を覚ました。
記憶は無かった。
ゴミ溜めに居る理由も分からなかった。
なぜか自分が子供であることにも違和感を感じたが、それ以上にこの世界そのものに激しい違和感を感じた。
「ここ」は本当に俺の居るべき世界なのだろうか、と・・・。
暫くゴミ溜めをさ迷ったが、見える景色は全てゴミだ。
大小様々なゴミ・・・何らかの生物の死体もある。 当然人間の死体も。
人間の死体を見ても少しも心は乱れなかった。
中には明らかに兵器の類も捨ててあった。 ミサイルなんて初めて見たな・・・。
自分の足元に転がっているモノ・・・銃・・・。
狙撃銃・・・というやつか。
・・・。
狙撃・・・。
・・・。
・・・・・・。
狙撃・・・か・・・。
・・・・・・。
あぁ・・・。
そうか・・・そうだった・・・。
その時、俺は思い出したのだ。
自分が何者か・・・。
『刃霧要』。
それが俺の名。
そして自分の能力、『狙撃手(スナイパー)』。
俺は・・・この力で『あの人』に協力した。
暇つぶしが主な理由だったが・・・ほんの少しだけ・・・俺はこの世界が壊れればいいと思う感情を持っていた。
この下らない世界・・・どいつもこいつも卑屈な面をしてやがる・・・。
そしてアイツと戦った・・・。
浦飯幽助。
俺はアイツを追い詰めていた。
純粋な戦闘力では俺はアイツの足元に及ばなかった。
しかし圧倒的に優勢だったのだ・・・。
非力な人間が猛獣を仕留めることができるように・・・。
肉体の強さだけが勝敗を決めることはない。
俺は浦飯を『ハント』していたのだ。
止めを刺そうとしたその時・・・背後から突然、俺の胸を何かが「通って」きた。
それは刀。
それを確認した瞬間・・・俺は自らが死んだと思った。
こんなつまらぬ世界になど未練は無かった。
死への恐怖は無かった。
しかし。
俺は助かった。
医師(ドクター)神谷によって一命を取り留めた俺は、仙水さんの敗北を悟った。
事実、その後・・・仙水さんを見ることは無かった。
その後は、適当に気に入らない奴を狩ったりしていた。
手に入った金は、親に送っておいた。
腐り・・・壊れていた俺だが・・・親には感謝していた。
例え無意味だったとしても・・・『俺』という存在を生み落してくれた人だから。
確か・・・5年間は似たようなことをしていたと思うが・・・。
その後の記憶がぷっつり無い。
なぜ俺は子供になっているのか。
なぜ俺はゴミ溜めにいたのか。
分からないことだらけだが。
どうでもいい。
生きているなら・・・生きるだけだ。
だから俺は・・・今もこうして生きている。
この世界は俺の知る世界ではない。
しかし・・・ココこそが・・・『俺のいるべき世界』なのかもしれない。
ここには俺と同じような力を持った奴が多くいる。
この世界では力のことを『念』と呼ぶらしい。
こちらに来てから、俺の能力は格段に強くなった。
『念』という概念が在るためかどうかは分からなったが、俺の肉体と共に『狙撃手(スナイパー)』も鍛えることができた。
今では俺のテリトリーは半径およそ1キロメートル程度・・・。
『死紋十字斑』も1キロメートル以内ならば自動追尾できる。
俺がこの世界で目覚めてから10年が経った。
俺はこの世界で今も生きている・・・。
異臭漂うゴミの掃き溜めで・・・這いずり回りながら日々を生きていた時出会った仲間達と共に。
この世界では暇を潰す必要もない・・・。
この世界は・・・以前に比べてずっと・・・・・・ずっと『面白い』のだ・・・。
世界は・・・この先も俺を受け入れてくれるだろう・・・。


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