「じゃあこれは?こんな感じのやりたくない?」
「いえ、興味が湧かないですね」
「じゃあこれはどうかな?」
「それは正直どうでもいいです」
「じゃあじゃあ・・・これは?」
ある程度お客さんも引いてケーキの在庫も十分になったので休憩になったからみんなの所に来たんだけど・・・なのは達が携帯とかノートパソコンとかで何かを色々杏に見せていた。
いったいどうしたのかな?
「ねえユーノ、説明お願いしてもいい?」
「ああ、ほら、今の杏ってやる気が湧いてるって言ってたよね?」
そう、今の杏は催眠のせいで色々とやる気が沸いてる状態。でもその割には行動が・・・まああり得ない事はしているけど、そこまで暴走して無いからおかしいとアリサが発言。
そこで色々と杏から話を聞いて考えた結果、『やる気が湧いてくる』じゃなくて『少しでもやる気が出たらそれが大きくなる』って事が判明したんだって。
そう言えば今までの杏を思い出すとそんな感じかも・・・料理だって普段は面倒だって言うけど嫌いでは無いみたいだし、甘えるのも恥ずかしがるだけで嫌がってはいなかったし。
「だから三人は色々と面白そうな事を提案して何かをやらせようとしてるんだよね」
「そっか・・・でもこの構図って、王様の気を引こうとする貴族とか、そんな感じだよね」
「た、確かに・・・実際は神様に願いを叶えてもらおうとする巫女かな?」
邪神だもんね。でも見た所特に気を引く様なものは無いのかな?もしかしたら多少は何かをした後かもしれないけど。
でも普段の杏ならここまで色々されると面倒だっていいそうだけど・・・やっぱり友達との会話にはやる気が出てるのかな?
それはさておき・・・
「チーズケーキ持って来たよ」
「食べます!」
「そ、即答だね」
「にゃはは・・・チーズケーキ大好きだもんね」
「というか、やっぱりフェイトには素直よね」
という訳でチーズケーキと紅茶でのんびりする事に。杏に対する提案も一旦ストップして皆でゆっくりしようね。
「ところで・・・杏?外では恥ずかしいって自分で言ってなかった?大丈夫なの?」
「・・・いえ、大丈夫では無いです。無いですけど、無いですけどぉ・・・」
気が付けば家で居た時みたいに私の上に杏が乗っていました。顔を真っ赤にして顔を俯かせてるけど、降りる気は無いみたい。
右手で私の服のすそを掴んで震えてて・・・ああもう何この可愛い生き物!頭撫で回しちゃうよ!
「うわー何だろうこの光景。旅してた頃から仲がいいのは分かってたけど・・・」
「杏ちゃん可愛い・・・こういう妹が欲しいかも」
あ、すずかもそう思う?普段は絶対こういう事してくれないから新鮮というか・・・ギャップ萌え?
ともかく普段甘えてくれないから、物凄く可愛く感じるよね。
「そうだ!ねえ杏」
「あ、アリサさん、何でしょうか」
「ほらほら」
アリサが顔を真っ赤にしてる杏にこっちに来てって手で呼んでるけど・・・うわぁ、何か物凄く意地悪そうな笑顔だよ。
杏も何の様なのかわからない顔でアリサの横に移動したけど、どうしたんだろう?
「よっと、やっぱり軽いわねぇ」
「なっななな何をするんでしゅか!?」
「杏噛んでるわよ。慌てすぎじゃない?」
何をするかと思いきや、アリサが杏の腋に手を入れて持ち上げてさっきの私みたいに膝の上に杏を乗せちゃった。
そういえばアリサって一人っ子だもんね。こういうのにちょっとだけ興味があったのかな?単に杏をからかおうとしてるだけかもしれないけど。アリサ物凄く楽しそうだし。
対する杏は昨日の夜と同じくらいに顔が真っ赤。私には慣れてたけどアリサには慣れてないもんね。でも逃げようとはしてないから、嫌では無いのかな?
「アリサちゃん、次私もやりたい!」
「私も!末っ子だからこういうのに憧れてたんだよね」
「何勝手にきめてるんですかー!わたっ、私はそんな事許可して無いですよ!?」
「嫌なのかしら?」
「い、嫌・・・ぐっ、嫌でもない今の自分が恨めしいです・・・」
あ、嫌じゃないんだ。私に関しては姉みたいだからって言ってたけど、皆の場合もそうなのかな?それとも単純に友達と騒ぐのが楽しいから?
うーん、今の杏だといつもみたいに簡単に考えがわかったりしないなぁ。
「ユーノ君もする?」
「いや、僕がやるのは問題だよ・・・見た目が小さくても、同年代の女性を膝の上に乗せるのは流石にね」
「当たり前です!そんな事したら責任取ってもらいます!」
え!?責任って、も、もしかして結婚!?
「いえ、記憶や状況諸々を能力で改変して、発生した歪みを全てユーノさんにぶつけます」
「それ死ぬよね!?よくわからないけど死ぬよね!?」
そ、そっかぁ。良かった・・・杏がユーノと結婚なんて、そんな事あり得ないのにね。
「で、ユーノの膝の上に乗るのは嫌なの?」
「・・・」
「あんずちゃぁん?」
「な、なのはさん?怖いです、物凄く怖いのでその笑顔はちょっと勘弁を・・・」
「アリサちゃんも変な事言わないでねぇ?」
「だ、大丈夫よ。杏もユーノの上には乗らないわよね」
「勿論です!ええ勿論ですとも!」
まあ、ユーノも一緒に旅をしてた仲間だし、それくらいなら杏も許容するんじゃないかな?
というか他の世界で混浴したりとかしてたから、割と今更な感じがしないでも無い・・・確かに恥ずかしいけど。
そのまま暫く杏は皆のおもちゃになったままでした。
頑張って杏。晩御飯は奮発してあげるから。