あのトンデモ事実を打ち明けられてから数日経ちました。暫く観光しつつ本がページの吸収?を終えるのを待っていましたが、どうやらまだまだ時間がかかるみたいです。
そんなに量は多くなかったと思いますが・・・処理が追いつかないんでしょうか。アクセス過多でサーバーが大変な事になるようなニュアンスで。
「しかしこの世界は中々に恐ろしい世界でしたね」
「うぅ・・・まさか料理の中に普通にゲテモノが入ってるなんて・・・」
「杏の両親のおみやげをおすそ分けしてもらった時も思ったけど、なんで虫なんて食べるんだろう・・・」
でもシャコとかエビとかも、見た目は割と虫っぽいですよ?特にシャコ。カサカサ動きそうです。美味しいですけどね。
それに今回食べたのも見た目では虫だとわかる物はあまり入ってませんでしたし、美味しかったですし問題は無いと思います。
美味しいは正義ですからね。
「そういえば、シャコとかタコとかの都市伝説なんですが・・・」
「都市伝説とか嫌な予感しかしないから、や、止めて欲しいなぁー」
「でも気になる・・・なのはもユーノも、一緒に聞こう?」
「わ、わかった」
「うぅ、あまりきついのじゃないといいけど・・・」
ゴメンなさい、人によってはかなりきついかもしれません。でも都市伝説であって事実では無い可能性が高いですから、問題無いですよね。
「たまに、カニやシャコ等が大漁になる事があるんですね。そのカニとかも良い栄養が取れているのか身がしっかりしているらしくて」
「う、うん」
「おそらく大きくて栄養のあるエサがある所にそうやっていっぱい集まってるんじゃないかって言われています」
「そ、そうだよね。そう考えたら納得できるよね」
そうですね。私も納得できます。
「所で話は変わりますが、タコやイカは結構何でも食べるんです。ある日、とある主婦がタコを一匹買ってきて頭を切り開くと、そこには大量の人間の髪の毛が」
「うわぁぁぁぁやっぱり嫌な話だったぁぁぁぁぁ!!!」
「水死体を引き上げるとシャコがびっしりと」
「やめてやめてやめてぇ~!!」
「・・・ふぁ」
「フェ、フェイトさん!?気絶する程ショックだったんですか!?」
思わぬ大惨事になってしまいました・・・
フェイトさんにとってあまりにも恐ろしい話だったらしく、今日のオヤツ抜きにされてしまいました。しかも満場一致です。本気で泣きそうです。
ジュエルシードさえあれば嫌な記憶を消してあげるというのに・・・あ、でも無理には消しませんよ。家族にそんな事は出来るだけしたくありませんから。もうプレシアさんにはした事ありますけど。
仕方ないので落ち込んだ気分のまま本に何か思い出したか聞いてみる事にします。何かいい情報があればいいですねー。
「という訳で本日判明した情報をどうぞ」
『---』
「おお!ようやく名前を思い出したんですか!」
これで本とか魔導書とか、そんな適当な呼び方をしなくても良くなりました。良かったですね。
さて、一体どんな名前なんでしょうか。こう、素敵な名前だといいですね。あ、有名な魔導書の名前だったりしたら面白いかもしれませんね。魔導書の名前なんて全然知りませんけど。
「で、名前は何だったんですか?」
『---』
「・・・あーはいはい知ってますけど聞いた事ありますけど・・・本当ですか?」
『---』
あー、うー・・・本当ですか?本当にそれなんですか?何か物凄くヤバいフラグが見え隠れする名前なんですけど、本当の本当にそれなんですか?
っていうかアレってご先祖様が書いてたんですか!?物凄い有名じゃないですか!?
『---』
「しかもご先祖様の名前も割と面倒な事になりそうな名前じゃないですか!?」
こ、これは私にどうしろと?好き勝手やろうと思ってましたけど、流石にコレだと困ってしまうというか・・・伝承ではやりすぎて神様っぽいのに怒られたって言ってましたし。
この神様っぽいのって多分アレですよね・・・うわー本気でどうしましょう。
「ど、どうしたの?」
「今の大声って杏だよね?」
「本を持ってるって事は・・・何かまたとんでもない事がわかったとかかい?」
ええ、そりゃあもうとんでもない事です。ドン引きというか何というか、将来が不安です。
「実はこの本の名前とご先祖様の名前が判明しまして・・・」
「それがそんなに驚く事だったの?」
「ええ・・・これ以上ないくらいに」
「どんな名前?」
よくぞ聞いてくれました。さあ、私と同じ驚愕を共有してください!
「ネクロノミコンです」
「えっ」
「ネクロノミコンです」
「・・・えっ?」
「別名アル・アジフです」
「・・・あの、ゲームとかでよく聞く?」
「それです」
暫くの静寂の後、なのはさんとフェイトさんの大声がホテルの室内に響き渡りました。
それはそうでしょうね。相当有名な魔導書ですし、しかもクトゥルフ的に危険なものですし・・・本当に私がコレ持ってても大丈夫ですよね?
いやアイテムには違いないんで使いこなす事は出来ると思いますけれど、それよりもコレが原因で旧支配者的な方と関わりを持つ事になったりするのは本気で勘弁して欲しいですよ。いやマジで。
「それってそんなに有名なものなの?」
「あ、ユーノさんは知りませんでしたか。えっと、神話級の魔導書で、ヤバいものを召喚したり時間を越えたり死人を蘇らせたりする物凄い魔導書です」
「えぇ!?そんなに凄いものだったの!?」
まるでアルハザードの技術じゃないか!?とか言ってるユーノさん、それ正解です。
「ご先祖様の名前がアブドゥル・アルハザードでした」
混乱は最高潮に達しました。・・・いや本当にこれどうしろと言うんでしょうか。
神話に出るのとは効果が違うのかもしれませんけど、効果よりも旧神が何処かで関わってきそうな事が怖くてたまりません。
どうしてこうなったんでしょう・・・
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スカリエッティはテレビを見たまま驚愕していた。
スカリエッティは自他共に認める天才である。人間のクローンと記憶転写という二つを行うプロジェクトFの基礎理論を確立したもの彼であり、機械と人間を合成し強化した戦闘機人を作り出したのも彼だ。
故に自らの研究結果は勿論、それに順ずる研究速度にも自信がある。この回転の速い頭脳が無ければそう簡単に戦闘機人を作る事は出来なかっただろう。
そんな彼であるが故に、自分の能力には自信を持っていた。しかし、世界は広いのである。
「・・・一週間前に技術を提供したとはいえ、こうもあっさり未知だった魔法を使う装置を作り出してしまうのか」
「まあ地球だしね」
「ええ、地球だものね。それに日本だし」
地球。それは科学的な魔法が存在し無いが故に、他の次元世界に比べて単純技術力が凄まじい勢いで進歩した世界である。
日本。それは世界に誇るサブカル国家であり、作る事に関して凄まじい技術を持つ国。その辺の町工場が実は世界に誇る技術を持っていたりする国である。
世界にはまだ多く凄まじい技術を持つ国はあるだろうが、発想や行動等の・・・いわゆる変態力は日本が群を抜いている。事実かどうかわからないが、今の日本が兵器開発をしたら数ヶ月で変態兵器を完成させかねないという噂も出ている程だ。
実際この世界では月村重工が存在しているので無理ではないかもしれない。バニングスもグループ本社は海外だが、家や国籍は日本だったりする。そしてテスタロッサ家もいる。
この三組を抜いて考えても普通にロボットを作ったりする国だ。本気で研究したらこれくらいは出来そうではある。それに多分NASA的な意味でアメリカも同じ様なレベルには達してそうだ。
スカリエッティは理解した。ここがかつてアルハザードと呼ばれていたかもしれないという可能性の多くは、地球の神秘では無くこの技術に対する執念にあるのではないかと。
「くっくっく・・・どうやらこの世界に来て正解だった様だ。食事も充実しているし」
「っていうかジェイルさんは何でこの家でテレビを見てるの?」
「放っておきなさい。どうせ引越しの荷解きとか掃除の邪魔になるから追い出されたんでしょ」
「・・・」
図星だった。生みの親で敬意を払ってもらっているとはいえ、目の前で働こうとしない存在を見たら追い出さざるを得ない。
そういう点では人間らしさがまだ少し足りなかった戦闘機人も、地球に馴染んで成長してきた証拠だろう。
ちなみに一番地球に馴染んでいるのはセインとウェンディ、そしてチンクだったりする。前者二人は持ち前のノリと勢いで楽しみまくっていて、後者はナンバーズの中でも一際穏やかな性格によるものだろう。
「おかーさん、これ以外と杏お姉ちゃん来なくても大丈夫かもね」
「もうどうでもいいわ。面倒だから何か問題が起きてから考えましょう」
魔法の公開やミッドでの自動人形事件で大変な事になっているアリサとミッド組に対し、この親子は物凄く平穏とした生活を続けるのであった。
いい加減限界を迎えたアリサが雇用主の権力を使い、この親子を呼び出して巻き添えにする数時間前の事であった。
なお、リニスとアルフは既に巻き込まれててんやわんやである。