色々と寄り道しながら次にやってきたのは管理局地上本部前です。
管理局発祥の地であるミッドチルダ、そしてそこの本部という事で観光名所にもなっているみたいです。
残念ながら今では管理局の中枢は次元の海に存在する本局に移っているらしいですが、それでもミッドチルダにおいては本局よりも強い影響力を持っているみたいです。
「でも資金難なのよね。勤労奉仕の時に地上の研究所にも来た事があったけど、皆研究より資金繰りの方が上手なのよ」
「知りたくなかった悲しい真実だね・・・」
「人手も足りんみたいやからなぁ」
「典型的な悪循環じゃないの・・・」
お金が無いので給料が少なくなり、給料が少ないので就職者も少なくなり、人手が足りないので一人一人が激務になり、更に局員だけではカバーしきれない治安を維持する為に設備を整えてお金が足りなくなり・・・
恐らくそんな感じの無限ループでしょうかと事情に詳しそうなプレシアさんとはやてさんに聞いてみれば、まさしくその通りだと言われてしまいました。
治安維持組織と言えど大変なんですね・・・せっかくなので地上本部のお土産売店で色々買って平和に貢献しておきましょうか。
「ま、でも資金に関してはこれからきっと何とか出来ると思うよー」
「・・・アリシアちゃん、何を企んでるんですか?」
「企むなんて失礼だよ。ただミッドに例の量産計画の工場を立てる時に協力して貰える様に交渉するつもりなだけだし」
「人手が足りない向こうに格安で提供すれば喜んでやってくれそうですし、デバイスの方ももう少しで何とかなりそうだし、多分大丈夫でしょうね」
「問題は交渉だけど・・・まあその辺は何とでも出来るわ」
それは色々と大丈夫なんでしょうか・・・癒着だとか談合だとか、そんな問題に発展する様な事だけは避けてくださいね。プレシアさんは前科持ちですし。
ちなみに固有名詞を出さない様にしているのは理由があります。単純にまだ情報を洩らしたくないというのもあるらしいですが、以前プレシアさんが密告した違法研究者の中で逃げ切った人の一部に、こういった実験に大いに興味を持ちそうな変態さんが何処からか情報を仕入れる可能性があるかららしいです。
確かジェイル・スカなんとかって人でしたっけ?人造魔導師研究の基礎理論を作り上げた人だとプレシアさんは言ってましたね。
・・・この話を聞いた時にうっかり失言して物凄い殺意を向けられてちょっと驚いてしまいましたね。
「ある意味フェイトさんの父親ですね」
「素粒子崩壊されたいのかしら?」
あの時のプレシアさんなら本気で素粒子崩壊出来そうなオーラがありましたね。今まで生きてきた中で一番のプレッシャーでした・・・
ともかくそんな理由で曖昧な言い方をしている訳です。まあ、私達の中でも自動人形やユニゾンデバイスを量産しようとしている事を未だに知らない人も居るんですけどね。仕事で忙しいはやてさんなんですけど。
「とりあえず今日の夜にレジアス中将と交渉する予定よ。事前に連絡も入れてあるしね」
「私も行かなきゃならないのよねぇ、ローウェル貿易・・・もといバニングスグループも協力してるから」
「いつの間にバニングスグループを抱き込んだんですか・・・」
「えっと、月村重工も協力する事になってるよ。私は交渉に行かないけど」
月村重工まで・・・というか月村家は自動人形量産計画に参加していいんでしょうか。まあ決断したからこんな事になってるんだとは思いますが。
「もしかすると、将来的に一番普通になるのはなのはさんかもしれませんね」
「あ、あはは・・・嬉しい筈なのになんか複雑だよ・・・」
そんななのはさんも最近はカメラに本格的にハマってきたみたいですけどね。魔法で空を飛んで風景を撮っているみたいですし。
空飛ぶカメラマン型魔法少女・・・これが希さんの様に霊能力者だったらゲームみたいになるんでしょうけどね。
さて、お土産も買ったことですし、次は何処に行くんですか?
「日も落ちてきたし、もうホテルでいいんじゃないかな?」
「そか。じゃあ私は昼の事件の件で色々あるからこのまま地上本部に直行するわ。リニスさんも来て貰いたいんやけど」
「ええ、大丈夫です」
という訳で、はやてさんとリニスさんがメンバーから抜いてホテルへ向かう事になりました。
確か結構いいホテルを取ったんですよね。
「えーと、ホテルアグスタだって。パンフレットを見る限りだと今の時期ならオークションもやってるんじゃないかしら?」
「まあ私達には関係ありませんけどね」
まあそんな事はどうでもいいので早く行きましょう。さっさとのんびりしたいです。ふかふかのベッドだといいんですが。