中学校に入学しました。そしてそれが周りに居る様々な人の転機になってしまいました。
まずはアリサさん。中学生になってから本格的にバニングスグループの事を色々学び始める予定だったらしいのですが、その過程でバニングスグループの9秘密を教えてもらったそうです。
バニングスグループには他社はおろか自社の社員ですら知りえない秘密の取引先が居るというものでしたが・・・
「まさかミッドチルダと貿易してるなんて思わなかったわ・・・」
「世界を越える企業ですか。凄いですね」
ミッドチルダにて販売されている地球産の食料や家具等を主に輸出しているらしく、それに次いで料理のレシピや娯楽アイテム等も人気だそうです。
アースラに畳やししおどしがあったのはバニングスグループが輸出していたからだったんですね。成程、聞いてみれば納得出来る事でした。
周りで一番ミッドチルダに詳しいテスタロッサ家の皆さんに聞いてみると地球産と思われる料理も結構多いらしく、管理外世界で無ければもっと大々的に観光名所として人気になっていたかもしれないとの事です。
いっそ魔法をバラしてしまえば不況から一気に脱出出来るんでしょうか?
さて、ミッドチルダと貿易しているバニングスグループですが、実際に貿易を担当しているのは傘下の子会社らしいです。
その名もローウェル貿易。従業員は魔法を知っている地球人とミッドで雇った魔導師らしいです。勿論魔法を知っているのはここの社員と上層部だけです。
このローウェル貿易ですが、実は魔法世界に対しての貿易以外にも地球の主要各国上層部に対しての窓口も兼ねているらしいです。
やはり管理外世界と言えども魔法絡みの事件が起きないとは言えないものらしく、そういった事件が発生したときにスムーズに対応が出来る為の措置だそうです。
ちなみにジュエルシ-ドの件も管理局からローウェル貿易と日本に情報が行っていたらしいですが、流石に海鳴で起きていたとは思っていなかったらしく、アリサさんがその事を話すとご両親はとても驚いていたそうです。
まあそれは驚きますよね。娘の友人三人は魔導師で、一人は吸血鬼で、一人は退魔師で、一人は魔法科学者で、そして私が何か良く分からない能力者ですし。
バラエティに富んでいるにも程があります。フェイトさんに至ってはミッド出身で親が管理局で働いているくらいですしね。勤労奉仕ですが。
余談ですが、各国が宇宙開発を目指していた背景には、その技術を高めていった結果魔法に繋がる可能性があると考えていたかららしいです。確かに宇宙船と次元航空艦は何となく似ている気がしますしね。
しかし、確かに技術向上や航空艦製造技術等にはいいですが特別魔法に近いという事は無かったらしく、それが理由で大きな宇宙開発が減ってしまったらしいです。
しかし地球の技術の進歩はかなりのものらしいので、もしかしたら後100年くらいで魔法に辿り着くのかもしれませんね。私がデバイスとか弄ってみた感想なので適当ですが。
「杏ちゃんがそういうと適当でも妙に説得力あるよね」
「機械に関してはある意味アリシア達以上の専門家だしね」
とまあ、こんな感じでアリサさん本人には異常な事はありませんでしたが、家庭には普通じゃない事があったという事でめでたく逸般人となってしまいました。これでみんな普通じゃなくなりましたね。
アリシアちゃんがローウェル貿易の話を聞いてから自動人形量産計画に、あわよくばユニゾンデバイス量産計画にも引きずり込もうと画策しているのでこれから大変でしょうが・・・頑張ってください。
次にフェイトさんの話です。フェイトさんは以前宣言していた通り、翠屋で本格的にアルバイトを開始しました。とはいえ正式なバイトではなくお手伝いの様なものです。
そうしないと聖祥中学がバイト許可をしてくれなかったですからね。とはいえ、フェイトさんが将来を考えてのアルバイトなのである程度考慮してくれているみたいですけど。
さて肝心の仕事内容ですが、普段はホール作業で接客等を行っているらしいですが、客足が引く時間になると厨房に入って桃子さんとのパティシエール教室が開催されるみたいです。
そして行われる厳しい指導・・・あのいつでも笑顔の優しい桃子さんが厳しい様子などまるで想像が出来ませんが、やはり自分の専門の事、自分の技術を伝えるという事になると厳しくならざるを得ないみたいですね。
なのはさんも厳しい桃子さんを見て驚いていたみたいでした。曰く、「先生みたい」と。・・・実際先生みたいなものですけどね。
そんな日々が続いていたある日、フェイトさんがこんな事を言い出しました。
「本格的にこっちの道に進むなら、やっぱりヨーロッパの方で修行した方がいいのかな?」
この発言に猛反対したのがプレシアさんとアリシアちゃん。どうやらフェイトさんと離れ離れになるのは嫌だそうです。
まあ血の繋がった家族ですからそう思うのも当然でしょうけど、でも家族の夢の為なら許してあげるべきではありませんか?
「修行なら翠屋でいいじゃない。桃子はヨーロッパで修行してきたんだから、そこで修行すれば同じよ」
「そうそう。それにフェイトがいないと杏お姉ちゃんがダメになっちゃうよ」
「あ、そっか。確かに杏が心配かも・・・」
「え、私で悩むんですか?」
心配してくれている事を喜べばいいのか悲しめばいいのか・・・まあ確かにフェイトさんが居なくなれば色々面倒な事になるでしょうけど。
というか、
「魔法があるんですから、毎日日本に帰ってきたり出来ませんか?」
「あ、転移魔法使えば」
「なんだ、じゃあ問題ないわね」
「そうだね。英語も翻訳魔法があるし」
という訳でフェイトさんは中学卒業と共にヨーロッパへ修行に出る事が決まりました。ちなみに修行先の店は桃子さんが紹介してくれるそうです。
フェイトさんがどんどん自分の夢を叶えて行きますね・・・成長もどんどんしていきますし、凄い人です。
さてフェイトさんの次はプレシアさんの話です。プレシアさんは勤労奉仕期間が終了したので管理局を辞めようとしたらしいのですが、研究チームのメンバーや重役から辞めないで欲しいと懇願されてしまったらしいです。
その結果非常勤研究院として席を置く事になったらしく、週に二日程モニター越しに研究に参加・月に一回は実際に管理局の研究室に行く必要が出来たみたいです。
しかしそれでも結構な給料が貰えているらしく、プレシアさんは時間的にも経済的にもとても余裕が出来ているみたいです。
まあ時間に関しては以前から頻繁に研究を完成させたまま報告せずに時間を引き延ばして、自動人形やユニゾンデバイスの研究をしていたのでそう変わらないと思いますが。
そして管理局といえば私達の中で唯一の管理局就職組であるはやてさん。
はやてさんは何やらエリートコースまっしぐらの充実した仕事人生を送っているらしく、学校を頻繁に休んでは事件解決に取り組んでいます。
最近は指揮官資格も手に入れたらしいです。指揮官も何もはやてさん一人で何でも出来そうな気がするんですがどうなんでしょう?と思いましたが、案外そうでもないみたいですね。
しかし・・・仕事に生きる人生を送っているせいか、地球の流行を把握しきれていない節が多々見られます。少しくらい仕事を減らさないと色気の無い人生を送るのでは・・・
・・・と考えていましたが、こっそりリインフォースさんに聞いてみると結構男性との出会いはあるみたいです。もしかしたらはやてさんが仲間内で一番先に彼氏を作るかもしれないですね。
まあ一番最後は私でしょうけど。というか、私に彼氏なんて出来るんでしょうか。それならフェイトさんが彼女になる事の方が可能性が高い気がしないでもありません。
「まあとりあえず、はやてさんの色恋事情には期待してますね。出来れば昼ドラの様な展開が望ましいです」
「友人の恋路に何とんでもない展開を求めとるんや・・・」
いえ、リアル昼ドラ展開とか端から見たら面白そうですし。面倒なので巻き込まれたくはありませんが。
・・・といった感じで、中学生になっただけでどんどん周囲に動きが出てきました。
なのはさんとすずかさんは大きく変わった事はありません。・・・しいて言うなら、AV機器談義がどんどんディープになってきたくらいでしょうか。
私も特に変化が無くダラダラと暮らしていますし、私に関してはきっとこのまま卒業まで変わらずに過ごしていくんでしょうね。
・・・そう思っていたのですが。
「何故私はミッドにいるんでしょうか」
「みんなで観光だよ?」
「・・・そうでしたね」
なんでみんな一緒にミッドに観光に来ているんでしょうか・・・来る事は無いと思っていたのですが。