由々しき事態です。大変由々しき事態です。
めんどくさがりの私がわざわざ放課後に外を散歩してまで、全自動ダイエットの為にジュエルシードを探しているんです。
それなのに今回に限ってタイミング良く見つかってくれません。大抵現場に向かう前に回収されるか、既に回収された後かのどちらかです。
まあおかげで散歩のせいで体重が元に戻っちゃったので不幸中の幸いではあるんですが・・・なんだか納得出来ません。
とりあえず体重が戻ったので今はもうあまり真面目に探してはいないんですけどね。
そんな私ですが、最近はジュエルシード探しとは別によく公園のベンチで休憩しています。
海鳴温泉近くの森の中でもベンチでのんびりしていましたが、この公園もなかなか気持ちがいいです。始めはジュエルシード探しで来たのですが、ここでのんびりする為なら少しぐらいは散歩しててもいいかもしれません。
心地よい日差しと遠くに聞こえる波の音、囀る小鳥の鳴き声・・・ああ、癒されます。なんとなく緑茶でも飲みたくなる気分です。
・・・というか、良く考えたら、今日は植物や無機物に聞き込みしないで普通にのんびりしに来てしまいましたね。
私はどうやらすっかり活動的なアウトドア派になってしまったようです。ジュエルシードが無くなれば外出なんてしなくなりそうですけどね。
「ふぁ~・・・んぅ、眠くなってきました」
なんだかベンチに座ると眠くなってしまうんですよね。今までの行動による条件反射でしょうか?
うーん・・・よし、今日はちょっとお昼寝してからジュエルシードの聞き込みを開始しましょう。欲求には正直に生きるべきだと思います。
というわけで、おやすみなさい・・・
「ん~、なんなんですか・・・」
何だか変な音が聞こえました。そして何か体が変な感じがします。おかげで目が覚めてしまいました。
全く何がどうしたんで・・・
「・・・おおぅ」
目を開くと何故か空中にいました。良く見ると木の枝の様なものが私を掴んで持ち上げています。
そしてすぐ目の前にはモックとかゴンザレスとか呼ばれそうな感じの木の化け物が居るではありませんか。
というかこの化け物からジュエルシードっぽい感じがしますね。もしかしてこれが願いが歪んで叶った状態なんでしょうか。何の願いを叶えたのか非常に興味がありますね。
というか聞き込みをしない時に限ってこんな近くにジュエルシードがあったなんて運が無いですね。いえ、最近運が良すぎたんですし、今度は不運が続くんでしょうか?
「くっ!松田さんを放せぇー!!」
「アークセイバー!!」
何やら声が聞こえたので後ろを振り返ると、白黒魔法少女コンビが枝を振り払いながら私を助けようとしているではありませんか。
どうしましょう、別に苦しくもないし、能力を使えば普通に止められるんですけど・・・ここは空気を読んで助けてもらうまで我慢したほうがいいんでしょうか。
「そこんところ、どうしたらいいと思います?ジュエルシードさん」
『---』
成程、ジュエルシードさんは願いを叶えただけなのでどうなっても知りませんか。そりゃそうですよね。
「あ、でもそれなら、何で私はこんな丁重?な扱いなんでしょうか?」
『---』
「おお、ジュエルシード達の間で噂になってるんですか」
『---』
「あ、はい。じゃあ七番さんって呼びますね」
しかし一体どんなネットワークを用いて噂しているんでしょうか。やはり魔法的な感じで念話とかでしょうか?それとも私みたいに植物を介して?
ここはやはりファンタジーらしく念話を推したいですね。
さて、どうやら私が木の化け物の目の前に居るせいで強い攻撃が出来ずにジリ貧になってしまっているみたいです。
これだと何時までたっても私はのんびり出来ませんね。仕方がありません。多少面倒な事になりますが、私が何とかしましょう。
「というわけのなので、七番さんそろそろ終わってください」
『---』
途端、あちこちに枝を伸ばして暴れていた木はシュルシュルと音を立てながら小さくなっていき、最終的には普通の木に戻りました。
私もそのまま地面に降ろされました。やっと地に足を付けれますね。苦しくないとはいえ、ずっと枝でグルグル巻きはちょっと勘弁でしたし。
『---』
「あ、いいですよ。すぐ調整しちゃいm「あ、あのー・・・」っと、はい?」
七番さんにも調整のお願いをされたので早速やろうと思ったのですが、金髪の子に話しかけられてしまいました。どうやら二回目なのでそこまで驚かなかったようです。
「ちょっと待っててください。今この子を調整しますから」
「あ、うん」
「ありがとうございます。---はい、完了しました。どうですか?」
『---』
「そうですか。じゃあ今回はお願いは無理そうなのでこれで失礼しますね。はい、どうぞ」
「あ、えっと、ありがとう?」
「それでは」
さーて今のうちに帰りましょう。今ならまだ余計な混乱に巻き込まれな「ええーーー!!!??」いで済みませんでしたね。惜しかったです。
はぁ、面倒です。ジュエルシードでお願いが叶えられないなら魔法関連なんて一切関わりたくないんですが・・・
「い、いいいまジュジュ、ジュエルシードで、ジュエルシードが、ええー!?」
「すみません高町さん、日本語でお願いしたいのですが」
「あり得ない!?っていうか調整って言ってた!?ロストロギアの調整!?なんですかそれ!?」
「すいません小動物さん、違和感があるので動物らしい声で喋っていただきたいのですが」
「フェ、フェイトから聞いてたけど、本当に魔法無しで止められる人が居たんだね・・・」
「すいません犬さん、貴方も違和感があるので動物らしくお願いします。あとフェイトって誰でしょうか?」
「えっと、私です」
「ああ、貴女がフェイトさんでしたか。先日はどうも。というか落ち着いてますね」
「二回目だから・・・」
「成程。まあとりあえず色々面倒なんで私は帰りますね」
「「「「ダメ!!(です!!)」」」」
ああ七面倒な。やっぱりもう少し待った方が良かったんでしょうか。完全に巻き込まれてしまいましたね。嫌になります。
私はもう疲れたので、家に帰ってコーヒー牛乳でも飲みながらワイドショーでも見ていたいんですけど。意外と面白いんですよ、ローカル局のワイドショーって。
「あー君達、ちょっと良いかい?」
「「「「!?」」」」
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。君達に色々と聞きたい事がある」
ああもう七面倒どころか二乗して四十九面倒な事態になりそうな予感がします。
というか時空管理局って何ですか。アレですか、時空って事はタイムパトロールとかそんな感じですか。そうすると魔法の国は未来にあるって事ですか?
というか・・・えと、しつむかん?とか明らかに何らかの役職に着いてる人がこんな子供なんでしょうか。魔法の世界は人材不足なんでしょうか?
そんな夢やロマンが崩れる様な実態はあまり知りたくは無いんですが・・・
そんな事を考えている間にフェイトさんと犬さんが逃げ出してしまいました。やはり高町さんが主人公でフェイトさんがライバルキャラだったんですね。
しかしどうしましょう。時空管理局って多分警察みたいな組織でしょうし、私は事件に巻き込まれた扱いなんですよね?
面倒です。ああ面倒です。四十九面倒どころか二乗して・・・えっと・・・とにかく面倒です。
帰っていいですか?・・・ダメですかそうですか。
あーもう明日からジュエルシード探しなんて止めてしまいましょう。今まで叶えてもらったお願いだけで十分です。これ以上事件に巻き込まれたく無いですし。
・・・とりあえず、アースラ?に着いていく事にしましょうか・・・