お昼寝から目が覚めると、目の前にびしょ濡れのアリシアちゃんが立っていました。そしてフェイトさんはアリシアちゃんの服を魔法で乾かしていました。
「・・・あぁ、川に落ちたとかそんな感じでしょうか」
「あ、杏お姉ちゃん起きた?うん、大きい石につまづいたんだ」
「アリシアも結構おっちょこちょいだよね」
「フェイトに言われた!?」
そんな事より、服を乾燥させる魔法なんてあったんですね。魔法をメインに使っている世界出身なので生活に根付いているとは思っていましたけど、そんな魔法があったとは・・・
これなら全部フェイトさんに任せれば洗濯物もわざわざ干す必要は無いのではないでしょうか?
「でも、魔法で乾かすとお日様の匂いがしないよ?」
「あー、それはちょっとだけ残念ですね」
部屋干しした時の臭いになったら残念過ぎるので止めておきましょう。
「ところで私はどれくらい寝てました?」
「大体30分くらいだよ。多分もうみんな到着してるんじゃないかな?なのはからは念話もきてたし」
「なら戻りましょうか」
「うー、服がペトペトする・・・」
まあ旅館に戻ったら着替えもありますし我慢してくださいね。川で転んだのは自業自得ですし。
「フェイトさんは私がお昼寝している間は何をしていたんですか?」
「最初は少しボーっとしながら、時々見かける動物を見てたんだ。途中からなのはと念話してたけど」
「何か珍しい動物でも見つかりました?」
「うん、何か胴体の所が大きく膨らんでる蛇がいたよ」
え、ちょっ
「普通にご飯を食べてた蛇みたいだったけどね」
「そ、そうですか・・・」
・・・一応後で植物達に聞いておきましょう。まさか本当にツチノコがいるとは思えませんけど、居たとしたら大発見です。
もし私が捕まえたら・・・確か懸賞金は億単位でしたよね?死ぬまでだらけていても一切働く必要が無くなりそうです。ふふふ。
海鳴は人外魔境らしいですから、案外本当に居るかもしれませんしね。ツチノコも、以前植物が言ってた妖怪とかの仲間かもしれませんし。
「・・・妖怪に魔法は通用するんでしょうか」
「杏お姉ちゃんどうしたの?」
「あ、いえ」
ふと気になりましたけど、別に考えるべきことでも無いですね。そもそも妖怪と戦うなんて事にはならな・・・いや、あまり変に決め付けると現実に起こってしまうので止めておきましょう。
今まで似た様な事で事件に巻き込まれてますし。・・・と言っても巻き込まれる時は巻き込まれるんでしょうけど。
旅館に到着するとやはり全員揃っていた様でした。今はそれぞれ別行動しているらしいです。
なのはさん・アリサさん・すずかさんの幼馴染三人組は早速温泉に行ったみたいですね。私達も行く事にしましょうか。
旅館に入ると思いがけない人物に出会いました。
「あれ?杏ちゃんにフェイトちゃんに・・・アリシアちゃんだっけ?みんなもここに泊まりに来てたんだ」
「おや、希さんですか。奇遇ですね」
「希も来てたんだね」
「希さんこんにちはー」
「こんちわ。うん、私の姉がここで働いててね。いくら温泉が大好きだからって旅館で働かなくてもいいのに」
話を聞くと希さんのお姉さんはとても温泉が大好きらしく、ブログで温泉で働く様子を書きながら、各地の温泉を実際に行ったときの感想などを交えて紹介しているそうです。
そしてハンドルネームは温泉好き。どれだけ温泉が好きなんでしょうか。温泉が良いものなのは同意しますけどね。
「これから温泉に行くんですけど、よかったら希さんも行きませんか?なのはさん達も来てますし」
「あ、じゃあ私も行こうかな」
という訳で、四人で温泉へと行く事になりました。所謂裸の付き合いですね。
それにしても大体一年ぶり、久しぶりの温泉ですか。存分に堪能しましょう。