さてさて、闇の書の件も私達から見て無事に終了して平穏が戻ってきました。数日経った今では既に以前までののんびりとした生活が繰り広げられています。
何やら闇の書の主のはやてさんは後見人がどうこうという話でアースラの方々と色々大変みたいですが、私には、まったく関係が無いので問題はありません。
そんな私は現在、特に意味も無く教育テレビを見ています。たまに見ると面白いんですよね。海外ドラマとか。
「杏、これどうかな?」
「はいはい・・・ん、美味しいですね。流石にまだリニスさん程ではありませんが」
「うん、まだまだだからね」
フェイトさんは最近料理とお菓子作りを始めました。着々と理想のお嫁さん道を突き進んでいる様で、将来結婚する人が実に羨ましいです。
フェイトさんは間違いなく尽くすタイプですからね。それこそ堕落しても見捨てずにいてくれる気がします。これで男性だったなら結婚を申し込みたい程なんですが。
ちなみにアリシアちゃんも料理を始めようか迷ってるみたいです。物作りの才能があるアリシアちゃんなら料理も美味しいのを作ってくれるんでしょうか。是非挑戦してもらいたいです。
・・・そういえばはやてさんも料理が得意なんでしたっけ。そのうち食べてみたいですね。家に作りに来て貰えないでしょうか。はやてさんの家に行くのは面倒なので。
で、アリシアちゃんとリニスさんは闇の書弄りで手に入れた知識を元に色々研究しているみたいです。というかアリシアちゃんはもう普通にリニスさんの研究に着いて行ける知識を手に入れてしまったんですね。天才というのはとんでもないです。
最近はユニゾンデバイスと呼ばれる類のデバイスの再現に挑戦しているみたいですが、流石に相当厳しいのか難航しているようです。
ただユニゾンさせるだけなら私が闇の書のプログラムをちょちょいと真似して他のデバイスに写せば何とかなりそうですが、それでは意味が無いと二人に言われてしまいました。やはり自分達で完成させる事に意味があるんでしょう。
でもちょっと気になっているので近いうちに勝手にバルディッシュに機能追加してみようと思います。ユニゾンプログラムと守護騎士プログラムをなんとなーく覚えてるのでそれを組み込めば何とかなるでしょう。多分。
「杏、これお願いしてもいいかな」
「んー、まあ美味しいものの為なら吝かではありませんね」
「ありがと」
さて普段から面倒面倒と連呼している私ですが、最近は何だかんだで何かをする事が多くなってきました。といっても、大抵はただ能力を使うだけなので自分が動く事は相変わらず滅多にありませんが。
今回フェイトさんに頼まれたのはリンゴの皮むきです。私はリンゴと包丁の双方にお願いをして操作するので一切の無駄なく皮を剥く事が出来るので、結構重宝されてたりします。
他にも飾り切りなんかも簡単に出来てしまいますし、正確無比な長方形に野菜を切り分けるのも可能です。まるで漫画の様に切った野菜を飛ばして皿に盛り付ける事だって可能です。流石に素材を光らせる事は出来ませんが。
ともかく、この能力のおかげでよくお願いされてしまいます。以前までなら確実に面倒だと言って断っていましたが・・・やはり誰かが作る手作りの美味しいものが嬉しいので時間短縮とお礼代わりに手伝っています。まあ私自身の労力を割いている訳でも無いからというのもありますが。
「という訳でリンゴの皮むきの世界記録を更新するレベルで剥いてみました」
「そんな記録あるの?」
「ギネス記録は主に無駄なものばかりですから」
「地球って面白い事が多いよね」
他の世界にはこういった技術を競うものは無いんでしょうか。一見無駄に見えて意外と応用が利くものも結構あるので面白いと思いますが・・・とはいえ本当に意味の無いものも存在してるみたいですが。
ともかく、やはり魔法がある世界と無い世界では色々と差異があるみたいですね。聞いた話によると車や飛行機すら魔力で動くみたいですし。
一体どうやって魔力で動かしてるんでしょうか・・・というかそのシステムを使えばリンカーコアが無い人でも魔法が使えそうな気がしますがどうなんでしょう?
近いうちにリニスさんに相談してみましょうか。もし可能なら私も魔法を使える様になるかもしれません。使えるからどうだという訳ではありませんが。
しかし平和です。今のこの平穏も束の間の休息となる可能性がありますが、それでもやはり平和なのはいいことです。
それでも二度ある事は三度あるとも言いますからね・・・また魔法的な事件に巻き込まれそうでちょっと不安にです。漫画で魔は魔を引き寄せると言っていましたが、やはり事実なんでしょうか。
私がジュエルシードに関わってから魔導師やらロストロギアやらとどんどん魔法関連に関わってますし・・・でもジュエルシードの怠惰サポートを捨てる気はありませんが。せっかくお願いを叶えて貰ったのにキャンセルなんて勿体無いですし。キャンセルうしたら身長下がりますし。
というか大抵の子供が成長しやすいであろう小学三年生という時期なのに身長がジュエルシード以外で伸びません。流石に中学高校辺りで伸びるとは思いますが、少々不安になります。
まさかずっとこのままだったりは・・・いや、流石にそれは無いでしょうか。両親共に人並みの身長を持っていますし。
「よし、後は焼くだけ・・・」
「リンゴで何を作ってたんですか?」
「アップルパイだよ。本を見ながらだし、初めてだからちょっと失敗してると思うけど」
「成程・・・洋菓子ならなのはさんのお母さんが翠屋で作ってるみたいですから、色々聞いてみるのもいいかも知れませんね」
「そっか、なのはに相談してみようかな」
ふふふ、頑張って下さいね。そして私に美味しいお菓子をいっぱい食べさせて下さい。
ちなみに今回のアップルパイはうっかり調味料を間違えていたせいで物凄い事になりました。うっかりフェイトさんが涙目でしたが、まあフェイトさんらしいといえばらしいです。
そして最初に食べて犠牲になったアルフさんお疲れ様でした。安らかにお休み下さい・・・
「い、いきてるよ~・・・」
おっと、これは失礼しました。