「ほんまにありがとうな。色々突っ込みたい事はあるんやけど、ともかく私も皆も無事で居られるのも杏ちゃんのおかげや」
「・・・え?すいません聞いてませんでsってアリシアちゃんストップです、今主さんと話を---」
「ストップしたよ。リモコンばくだんではさんだけど」
「くっ・・・キックもプッシュも無いというのに、何という鬼畜の所業・・・」
「いや話聞いてな、お願いやから」
アリシアちゃんと爆弾で相手を爆殺するゲームをしていたら途中で闇の書の主さんに話しかけられ、余所見したその隙にリモコン爆弾で挟まれてしまいました。詰みです。
能力を使って無敵処理をしたらこの程度の逆境なんてものともしないのですが、以前対戦で使ったら酷い目にあったので自粛します。
・・・で、何でしたっけ?何か私に突っ込むとか何とか言ってた様な気がしたんですが。
「いやちゃうから。お礼を言ったんよお礼を」
「ああ、気にしなくていいですよ。あそこまで好き勝手弄り回すのはなかなか面白かったですし」
「・・・まあそのお陰であの子はあんなんなっとるけどな」
何やら主さんが横に目を移したので釣られて目をやると、また呪いのオブジェと化している管制人格さんが体育座りでブツブツ何かを呟いていました。
事情説明をしていて思い出してしまったんでしょうか。可哀想に。
「いや改造した本人がそれ言うのはあかんやろ」
私は気にしません。
「あ、そういえばさっきからずっとポニテさんに抱かれてますけど、足が不自由なんですか?」
「あぁ・・・これも闇の書が原因だったらしいんやけどな。もう問題ないみたいやし、後はリハビリするだけや」
そうなんですか。なかなか苦労しているんですね、足が動かないなまま生活なんて私にはとても出来そうに・・・あれ、能力を使ったら普通に出来そうな気がします。
ともかく大変そうですね。・・・あ、そういえば。
「今すぐ歩ける様になる方法もありますが」
「ホンマに!?」
「肉体を捨ててプログラム体になればいつでも健康体ですよ」
「いやあかんやろそれ」
さいですか。将来的にはプログラム体になるんですし、今なってもあまり違いが無いと思いますけど。プログラムとはいえ基本的には人間と大差ありませんし。
・・・さて、管理局の人はまだリニスさんに説明を受けてる最中ですか。何やら頭を抱えたり溜息を零したり首を横に振ったりしているのが見えますけどどうしたんでしょうか。
元フェレットさんも何だか遠い目をしていますし・・・お客さんで唯一闇の書に興味を示していないなのはさんはフェイトさんとお話中ですか。何やらちらちらと主さんの方を見ていますけど、やはり友達になりたいんでしょうか。
・・・しかしいい加減管制人格さんの闇のオーラがうざったくなってきましたね。ちょちょっと操作をして無理やり・・・
「フフ・・・フフフ・・・フハハハハ・・・フハハハハハ!!ハハハハハハハハ!!!!」
「な、何だどうした!?」
「壊れた!!コイツ壊れちまった!?」
「あぁ!?リインフォース!?」
あ、明るくなる様にテンションを高くしたら呪いっぽい状態のまま元気になってしまいました。あれではただの怖い変な人ですね。
ならば悲しみを打ち消すくらいの幸せを感じるようにして・・・ついでに喜びも感じるようにしてと・・・
「ハハハ!?フヒャヒャハヤヒャアヒャヒャヒャヒャ!!!!アヒャーヒャヒャ!?」
「リイン!?リインー!?」
「うーむ、これは流石に失敗でしたか・・・どうしましょう」
「またお前か!?何してんだよ!?」
「いえ、いい加減うざったくなったのでちょっと操作して精神を元気にしたんですが、やりすぎました」
「いいから早く直してぇぇ!?」
そうですね。では弄った部分を元に戻してっと。はい、これで元に戻りました。
「もう嫌だ・・・遠き地にて闇に沈んでしまいたい・・・」
「リインそれはあかん!?」
面倒なので後は向こうに任せておきましょう。何となくギャグ時空っぽくなったので多少マシになりましたし。
「何をしていたかは詳しく聞かない事にするが・・・ともかく、話は粗方聞かせて貰ったよ」
「あ、お疲れ様です。後はあちらで混沌としている闇の書チームとご相談下さい」
「いや、残念だがここまで色々されてしまうと君を放置出来なくなってしまうんだ」
・・・嫌な予感がします。放置出来ないって言ってましたよね。もしかして、ちょっとやりすぎましたか?
「別に罪に問われる等は無いだろうが・・・闇の書について上に報告すると君の事も説明しなければならないんだ。そうなると間違いなく管理局は君を放置しないだろう。一部には強硬な人間も居るみたいだからな・・・」
「すいませーん!闇の書貸して下さい!今すぐ改造前の危ない形に戻して全部無かった事にします!!」
「いやダメだろうそれは!?」
嫌ですよなんでそんな面倒な事になるんですか!あーもうこれだから魔法に関する事に関わるのは嫌だったんです!ジュエルシードの時も色々良い事はありましたけど、結局面倒事が多かったですし!
これなら一切合財無視して帰していればよかったです。あ、でもそれだと世界の危機だった可能性もあったんでしたっけ・・・あーもう面倒です。三年生になってからイベントが多すぎなんですよ。
「でも杏おねえちゃん改造してる時ノリノリだったよね」
「黙秘します」
「ジュエルシードの時も自分で関わって、後から面倒だって言ってたよね」
「なんですか姉妹揃って。何か言いたいんですか?」
「「自業自得」」
うるさいです。八つ当たりしますよ?何故かドアというドア全てに挟まれる様にしますよ?怒られたら面倒なのでやりませんけど。
「ともかく近いうちに艦長と話をして貰いたい。時間の取れそうな日は?」
「いつでも忙しいです」
「杏は放課後ならいつでも家でダラダラしてますよ」
リニスさんの裏切り者・・・
後日、アースラで艦長さんとの話し合いとなりました。議題は私が将来的に管理局に来ないといけないのではないかという事について。
とりあえず通るかどうか判りませんが私の意見を言っておこうと思います。
「働きたくないので拒否したいんですが」
「理由はともかく、そこが問題なのよねぇ」
「艦長?問題って、ここまでだと今までの前例からしても流石に放置など出来ないと思いますが・・・」
「これが魔法で起こした事ならその通りなんだけれど・・・それにここが管理外世界なのも問題ね」
何でも、時空管理局が管理しているのは主に魔法によるものらしく、魔力も無く魔法の反応も無い私は管理局法で言えば一般人という事になるらしいです。
今まで何度か物凄く珍しいレアスキルが見つかった事はあり、しかもその見つかった世界が管理世界だった為に管理局で保護なり就職斡旋なりとしてきたらしいですが、今回は完全に例外。
そんなわけで本来ならばこっそり見逃す事も出来たらしいですが、今までに類を見ないほどに強力な能力な上に闇の書を改造するという異業・・・もとい偉業を達成してしまったせいで、闇の書事件の報告の関係上見逃すのが難しくなってしまったそうです。
「でも杏さんの能力だとどう考えても一部の上層部に悪用されそうなのよね・・・」
「あ、やっぱり管理局でも私利私欲に走る人は居るんですね」
「そういえば少し前にも査察で横領が発覚した部隊があったな・・・」
というわけで困っているという現状な訳ですね。どうしましょうか。
「何とか誤魔化せないんですか?面倒なのは嫌なんですけど」
「そうね・・・闇の書に関して尤もらしい言い訳でも出来ればいいのだけれど・・・」
言い訳ですか・・・結構やりたい放題弄ってしまいましたからそう簡単にはいかないんでしょうね。やっぱり元の危ない闇の書に戻すべきでしょうか。
でも主さんと知り合ってしまった以上見捨てるのもちょっと気が引けますし・・・うーん、私の都合良くお願いを叶えてくれる人でも現れてくれないでしょうか・・・あ。
「ジュエルシードのせいにしましょう。ジュエルシードと闇の書が反応して何か凄い現象が発生して機能が運良く安全な方向に狂った事にすればいいんです」
「そんな適当な・・・第一、いくらジュエルシードの暴走でも新しいプログラムを闇の書に組み込めるとは思わないんだが」
「新しいプログラムなんて組み込んでませんよ?私全然魔法に詳しくありませんし。やった事は異常を何となくで直して、他のプログラムと混ぜ合わせたものを追加しただけです」
「・・・少し苦しいけれど、もう少し練れば無理でもなさそうね」
「そうなると問題はいつジュエルシードに接触したか、だな・・・」
「その辺は面倒なのでそちらに丸投げしますね」
何か黒い人が嫌な顔をしてこっちを見ていますけど関係ありません。面倒なものは面倒です。
ともかくこれでやっと円満解決ですね。早く帰って砂糖とミルクたっぷりのコーヒーを飲んでゆっくりしたいです。
「あ、でももし管理局で働きたくなったら是非連絡してね♪」
「私がまともに働くなんて小数点以下に七十桁くらいゼロが続く様な確立でしょうけどね」
「君は本当に働く気が無いんだな・・・」
当たり前じゃないですか。私を誰だと思っているんですか。