ふぅ、思うがままに弄りすぎてしまいました。こんなに一つのものを弄ったのは初めてかもしれません。おかげで疲れてしまいましたね。
「あ・・・あぁ・・・夜天の書が、跡形も無く・・・」
ちょっとやりすぎたんでしょうか、いつでも実体化出来る様にした管制人格さんが光を失った目から涙を流しながら崩れ落ちている事に今気が付きました。
銀色の髪をもった非常に美人なのですが、現状を見るとその美しさが今の異常な状態と相まって恐ろしさしか感じる事が出来ません。
流石に少しだけ可哀想になりましたが・・・でも結局主が死ななくなりましたし、破壊を撒き散らす事も無くなったので問題無いですよね、きっと。
一度集中が途切れてしまったので、元に戻すのが面倒なんです。
「ところで何故守護騎士の方々は何故そんな驚愕している様な顔をしているんですか?」
「驚くに決まってんだろーが!?あたしらまであり得ない強化されてる上に蒐集した魔法まで使えるようになってるんだぞ!?」
「守護騎士という役割からするととても良い事だと思ってやったんですが」
「あ、ああ、これなら確かに守護に関してはほぼ確実に失敗はしないだろうが・・・」
「あ、ははは・・・何でしょうかこれ、私達にあるリンカーコアの魔力精製の速度がとんでもない事に・・・」
「ありえん・・・というか何だこの巨狼モードとは」
凄いでしょう?頑張りましたよ、主に私が満足出来る様に。
「ともかくこれで闇の書は安全・・・安全?・・・主が暴れない限り安全な物になりましたし、そのはやてとかいう主の所に行って報告でもしてきて下さい。ついでに書を借りれるかどうかもお願いしますね」
「あ、ああ・・・わかった」
「またね、ヴィータ」
「あたしは出来るだけもう来たくねーよ、フェイト・・・ここに居るとどんな事になるか・・・」
何時の間にフェイトさんと紅い子は名前で呼びあう程仲良くなったんでしょうか。ともかく友達になれてよかったですね。
アルフさんも犬耳男さんとそれなりに仲良くなってるみたいですし・・・うーん。このまま使い魔同士くっ付いたりしたら面白いかもしれません。佐藤さんには申し訳無いですが。
「すまないが、事情説明の為に一緒に来てもらいたいのだが」
「面倒なのでお断りします。改造内容についてはそこで呪いのオブジェみたいになっている管制人格さんが知ってますし」
「呪いのオブジェ・・・いやしかし、改造内容以外にも話す事もある」
「あ、じゃあリニスさんが行ってはどうでしょうか?直接闇の書を貸してもらえるか交渉出来ますよ?」
「そうですね、ならば私が行きましょう」
「そうか、助かる・・・最早我らには何がどうなっているのかわからないからな。そちらの者が居ると説明も楽になる」
「そうでしょうね。私も杏に蘇生してもらったばかりの頃は常識が破壊されて色々大変でしたし」
「ちょっとまて蘇生って何だよオイ!?」
早く行ってくれないでしょうか・・・集中が切れたせいか疲れが一気に襲ってきているのでゆっくりしたいんですが。
ともかくソファーでゆっくりとテレビでも・・・あ、その前に・・・
「はい、ミルクと砂糖たっぷりのコーヒー。疲れたみたいだから持ってきたよ」
「フェイトさん結婚してください」
「私、女の子だよ?」
能力でコーヒーを淹れようとすると、私の行動を先読みしたのかコーヒーを持ってきてくれたフェイトさん。本気で天使の様に見えました。私は百合属性はありませんがフェイトさんなら嫁にしたいです。
本当に素晴らしいですね。美人で頭もアリシアちゃん程では無いにせよ良い方で、運動も得意で優しく気が利いて、魔法が使えて家族や友人思いで・・・完璧じゃないですか。こんな人が現実に存在するなんて奇跡じゃないでしょうか
何より私を甘やかしてくれるのが最高です。おかげで怠惰ライフが満喫出来ます。
さて、守護騎士の方々とリニスさんはようやく出発してくれました。これで本格的にゆっくり出来ますね。
「そういえばアリシアちゃん、闇の書を弄って何かためになる事がありましたか?」
「うーん、まだわたしにはむずかしーことばっかりだったから・・・でもリニスはいろいろわかったみたいだよ」
「あ、それはそうですよね。ロストロギアって言われてる程のデバイスについてなんて簡単にわかる筈ありませんし」
「でもアリシアなら案外一年くらいでわかる様になるんじゃないかい?何か良く分からないくらい頭がいいし」
「アルフさんが言った可能性が全然否定出来ませんね」
本当に頭がいいですからね。聞いた話だとミッドチルダは就業年齢が低いみたいですけど、その理由ってもしかして頭の良い優秀な子供が多いからなんでしょうか?
現にアリシアちゃんもフェイトさんも互いに方向性は違うとはいえ優秀みたいですし・・・あ、そういえばなのはさんも魔法の才能に関しては天才ってリニスさんに言われてましたね。
もしかしてリンカーコアのある人は基本的に普通の人よりも優秀なんでしょうか。何やら複数の事を同時に考えるマルチタスクとかいう思考技術が魔導師の基本みたいですし。
・・・否定する要素がありませんね。以前聞いたミッドチルダでは魔導師が優遇されるというのは、こういった部分が関係しているのかもしれません。
実際マルチタスクが使えたら便利そうですしね。日常生活でも仕事でもかなり役に立つでしょうし。
「ねえ杏、なのはから念話が来たんだけど・・・」
「なのはさんから?」
一体なんでしょうか、このタイミングでの念話なんて面倒そうな気がするんですが。
「えっと、ちょっと前に海鳴で変な魔力の反応があったらしくて、たまたま他の事件の調査で近くに来てた時空管理局の執務官が来てるみたい。それで何か知らないかって」
「ちょっと前に?・・・それって最初に闇の書を弄った時に光ったアレでしょうか?」
「やっぱりそう思う?どうしよっか・・・もう危険なものじゃないけど、ロストロギアだから教えるのもちょっとね」
「そうですね・・・いっそ全部事情説明しちゃいましょうか?所有権を放棄しない限り主が変わらない様にもしてしまったので没収も出来ませんし、話しても問題無いと思いますけど」
「そうかな?・・・そうだね。ヴィータも今の主は戦いとかを望んでないって言ってたから、案外何とかなるかも」
「フェイトいつの間にそんなにあの子となかよくなったの?」
私も気になります。というか最近のフェイトさんはいつの間にか何かをしている事が多いですよね。
まあそれはともかく時空管理局に説明する事で決定ですね。守護騎士側の詳しい事情はわかりませんが、戦いを望んでいないなら問題も起こしていないでしょうし問題無いでしょう。
別に時空管理局にバラすなとも言われてませんしね。
「という訳でフェイトさん、説明お願いしますね」
「うん、なのはが翠屋で待ってるみたいだから行ってくるね」
「あ、暇だしあたしも行くよ。杏は来ないだろうし、アリシアはどうするんだい?」
「んー、闇の書いじって疲れたからいかなーい」
「あ、フェイトさん翠屋に行くならお土産お願いしますね」
「うん、じゃあ行ってきます」
しかし時空管理局がまた関わってきましたか。面倒な事になりそうですけど、私はただ闇の書を安全なものに改造しただけですし関係ないですよね?
守護騎士もきっと事件なんて起こしてないで・・・あ。
「そういえば私達って襲われかけたんでしたね」
「あ、そういえば・・・あれ?じゃあもしかして・・・」
「時空管理局が調査に来ていた事件って、守護騎士絡みかもしれませんね。魔力を集めてるみたいでしたから、既に事件扱いされるくらい被害者がいるのかもしれません」
「・・・どうしよっか」
「・・・考えても仕方がありません。なるようになるでしょう」
「それってかんがえるのがめんどーなだけじゃ・・・まあいっか」
ええ、きっとどうにかなるでしょう。いざとなればプレシアさんみたいに時空管理局に協力すれば大した罪には問われないでしょうし。多分。