「せんせー・・・・・・。大好きです・・・・・・」
彼女は満面の笑みを浮かべ、愛する人にこう伝え死んだ。
迫り来る永久石化の魔法を前にしてもなお、微笑み続ける彼女に、ネギは何もできなかった。
プロローグ
ハルケギニア大陸の西方に位置する小国、【トリステイン王国】。
大国である【ガリア王国】や【帝政ゲルマニア】の10分の1程度の国土面積のこの国は、古き体質に固執するあまり国力の衰退が隣国に比べ甚だしかった。
歴史ある国家であるがゆえに、ゲルマニアのように有能な人物が権力を握るという概念は存在しない。
この国における権力とは、生まれ持ったものであり、権力の中心は全て世襲した貴族である。
彼らは国益よりも自分の私腹を肥やすことを考え、万が一己に不都合があれば実質的な女王に報告せず、握りつぶしていた。
そのような国家体制の中、平民と一部の下級貴族が現体制に不満を抱き、レジスタンスを組織して王女アンリエッタを暗殺する企てがあった。
幸いながら、未然に銃士隊がこの情報をかぎつけ、すぐさま鎮圧したが、トリステインに大きな衝撃を与えたことはいうまでもない。
トリステインの腐敗政治が立証され、貴族院の解散の声も上がる中、ひとつの結論が貴族の中で浮かび上がった。
王女の警護を人間ではなく、使い魔にさせようと。
当然、銃士隊からは反発の声が上がったが、貴族院はその議案を強制的に可決し、アンリエッタは使い魔を召喚することとなった。
そのときはまだ誰も知らなかった。始祖ブリミルの使い魔は人間であったこと。
そして、アンリエッタの使い魔がどんなものになるのかを。
* *
使い魔召喚の儀は神聖なものである。一度召喚した使い魔は絶対の存在である。
例え悪魔を召喚しようとも、【コントラクト・サーヴァント】によって契約をしなければならない。
【サモン・サーヴァント】を批判することは即ち、始祖ブリミルを批判することである。
しかし、だからといって現在の状況はそのことを忘れさせるには充分すぎた。
召喚したアンリエッタ本人でさえ目を丸くしている。
アンリエッタが召喚したものは。
人間だったのだ。
その人間は、赤毛の子供であった。
子供は突然召喚されているにもかかわらず、全てに無関心であるかのような目をしていた。
そして、アンリエッタが戸惑いながらも彼と目線を合わせたとき、漸く彼は声を発した。
「ここは・・・・・・、どこなんでしょうか・・・・・・」
彼の声は酷く疲れていた。
はじめましてー。
A.B.といいます。今回初めて投稿させていただきます。
というわけで、ゼロの使い魔×魔法先生ネギまのクロスオーバーです。
何番煎じ?っていう質問は勘弁して下さい。
久しぶりの創作活動なので、至らない点が多々あると思いますが温かく見守っていただければ幸いです。
それと、今回作るに当たってゼロ魔は3年前に読んだきりなので原作と大幅に違う点があるかもしれません。
近々読み直すつもりですが、間違えてたらすみません。
それでは、失礼させていただきます。