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No.19210の一覧
[0] 正義の敵対者(リリカルなのは オリ主)[バッドビー](2010/06/03 00:29)
[1] 第一章 新たな狩猟場01[バッドビー](2010/06/03 00:30)
[2] 第一章 新たな狩猟場02[バッドビー](2010/06/07 23:02)
[3] 第二章 狩られる狩人01[バッドビー](2010/06/07 23:10)
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[19210] 正義の敵対者(リリカルなのは オリ主)
Name: バッドビー◆eb5ffee6 ID:72a9f08e 次を表示する
Date: 2010/06/03 00:29


 それほど長い時間ではなかったはずだった。
 ひとつの人生を終えるのに長すぎる、短すぎるなんて概念はないと思っていた。
 自分の人生が終わったからといって世界には何の影響もない。だから長生きしたところで大した違いはなかったに違いない。
 楽しくも辛くもない日常。生きることに意味を感じない、それでいて痛みを恐れて自分から消えることもできない。
 そんな自分の生き方を変えるにはそれこそ生まれ変わるしかないと思っていた。

「それがこんなことになってしまうなんてね」

 ほの暗い蒼鱗に覆われた巨躯。人間の頭ほどもある獰猛な牙が生え揃った大顎。大の大人を握りつぶせるほどの五指がそれに相応しい爪を軋らせる。巨躯に倍する二又の尾。凶悪な頭部には禍々しく聳える大角と体色と反する真っ赤な血色の双眸が小さな獲物を睨み付け、その柔肉を引き裂き喰らい付かんと唸る。

「な、なんなんだよ!」

 気取ったバリアジャケットを纏った年若い、まだまだ幼い身体の魔導師が叫ぶ。

「お前みたいなの、“オレ”は知らない!」

 つい先ほどまで勇ましく魔力弾や豪奢になり過ぎないスマートな騎士剣を存分に奮って元気に戦っていた。
 ぼろぼろの魔導師の横には、協力関係にある魔導師の少年少女たちが数名、気を失って倒れている。私の目の前で怯える魔導師を信じている、もしくは想いを寄せている彼らには悪いが、この魔導師の男の子を殺さなくてはいけない。それが“今の私”に与えられた役目であり、使命である。

「ちっくしょぉおおおお!」

 少年の姿をした魔導師が“想定外過ぎる敵”への恐怖により制御できもしない最大威力の魔力砲を撃ち出す。
 この“少年”の能力は“この世界”の基準に照らし合わせれば現段階でAAAランク魔導師であり、その強力な魔力で数々の戦いを制してきた。それだけなら特に気にする必要もないし、私が出張る必要もなかった。
 この“少年”の“失敗”は、“私”にその存在を感付かれたことだ。それだけで何を理不尽なことをというかもしれない。私もその思いに同感する。何しろ下手をすれば私もこの“少年”のように狩られる側になっていた可能性もあるからだ。もっとも私の個人的な嗜好から言わせて頂ければ、“良い年した大人”が純真な“少年少女たち”の心を妄りに操るのは悲しくなる。せめてもう少し“大人”なやり方ができる人はいなかったのかな。

「う、嘘だ! 何で無傷なんだよ! このバケモノ!」

 全力全壊?とかいう必殺の砲撃を真正面から受けて汚れ一つない私を見て悲鳴をあげる“少年の姿をした魔導師”。

「バケモノ、ですか。ま、君から見ればそうだろうね。しかし、君はどうなんだい?」

「な、何のことだ」

「何って、君の存在も“この世界”にしてみればイレギュラーのバケモノなんじゃないか、ということだよ」

「っ!? ど、どうし」

「君のような“イレギュラー”が“ひとつの世界”に一人だけとは限らない。そして、その人物が君に協力するなんてのも限らないですよ」

 驚きから恐怖へ恐怖から驚愕へ。“少年の姿をした魔導師”は、私の正体を知らされても現状を正しく把握できていない様子だ。

「て、テメエも“転生”してきた人間ってことかよ。何で俺の邪魔しやがる。オレと“同じ”ならプレシアの暴走を止めようと思わねえのかよ!」

「思うよ。けどね、どういうわけか“私に与えられた使命”は、君のような介入者を排除することらしい。例え、殺すことになってもね」

「っ! ふざっけんなああ!!」

 無駄だと理解できているのに刃向かうその心意気は素晴らしい。といっても、“この少年と同じ状況にある人たち”は大抵の場合、そういった無謀と勇気の紙一重を地で行く人たちばかりだ。そういうキャラクターを演じている、もしくは志しているからなのかもしれない。そのためなのかどうか不明だが、物理的な苦痛の伴う拷問を仕掛けた場合、半分くらいの人たちは命乞いをしてくれる。残りの半分の人たちは廃人になってしまった。自分の役割を見つけるために両手の数で足りないほどの介入者を“虐め”てきた。

「それじゃあ、さよならをしよう。願わくば、“次の機会”には“私”の存在しない世界に介入できることを祈ってます」

「や、止めろ。止めろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 “子供の顔”で恐怖に染まった悲鳴を上げる魔導師を長大な尾で薙ぎ払う。一撃だけでは終わらない。この手の介入者たちは彼ら特有のオリジナル主人公補正とご都合主義によって護られている。その護りを破るには“私側の法則”に引き込まなければならない。その方法は単純明快。完膚なきまでに叩きのめし本人に自身の“死”を自覚させること。だから対象が泣いても止めない、命乞いをしても止めない。そうすることだけが“私”の存在に刻まれた“クリアフラグ”なのだから。







 そうして“世界”は崩壊していく。“その世界”は、“その世界の主役”を消し去ると消滅し、“私”を“次の世界”へと導く。
 誰に導かれるのか、何のために“主役たち”を消さないといけないのか。理由も分からないままに世界は続く。私も“彼ら”と同じだというのに“常”に“怪物”として“発生”し、“主役”の敵として相対する。そんなにも私は悪役が似合うのだろうか、それともこれが私の内なる願望なのだろうか。どちらにしろ私は世界を移動しなくてはならない。

「私を終わらせてくれる“主役”……存在してくれるのかな」

 自殺は怖い。無抵抗で殺されるのも怖い。
 徹底的に反抗して、それでも届かないほどの力で私を殲滅してくれる“君”よ、どうか目覚めて下さい。
 本当の意味で“私の旅”を終わらせてくれる“本当の君”よ、どうか私を見つけてください。
 無意味に世界を渡るのは疲れてしまった私を癒してくれる“君”よ、どうか辿り着いてください

「願わくば、私にも“イノチ”を救わせてください」













 あとがき
 どうも、バッドビーです。
 なにやら今更ながらにタイトルが間違っているような気がしてきました。
 改名すべきか、タイトルに合うように話を変えるか、難しいです。
 







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