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No.19101の一覧
[0] 【ネタ】だぶる!(仮面ライダーW×けいおん!クロス) 【全体修正】[masa](2011/02/20 19:52)
[1] プロローグ【Wのライブ/探偵と音楽】[masa](2013/02/17 00:38)
[3] Wのライブ/探偵と音楽 依頼編[masa](2013/02/17 00:27)
[4] 第1話 【Cは求める/芸術家の異常な愛情 】[masa](2013/02/17 01:33)
[5] 第2話『Cは求める/そのアートは赦さない』[masa](2013/02/17 02:40)
[7] (ある意味)ネット版だぶる!AtoZで爆笑26連発![masa](2010/08/22 19:46)
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[19101] Wのライブ/探偵と音楽 依頼編
Name: masa◆c6adf89c ID:6c7b970e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/02/17 00:27


「いいか、お前等!これは俺達の放課後ティータイムへの愛が試される、謂わば、試金石だ……俺達、風都のHTTファンが応援で負けるわけにはいかねぇ」

現在、ただでさえ広くない鳴海探偵事務所の人口密度は限界ギリギリを迎えていた。
そこにはサンタちゃんやウォッチャマンなどのいつもの風都イレギュラーズから、亜樹子の知らない人間まで様々。
そんな彼らに唯一共通するのはただ一点。この風都に於いてHTTを愛しているという一点によって、彼らは団結しこの場に馳せ参じたのだ。

――正直暑苦しい。

しかしその場に集っている兵《ファン》達は上昇し続ける不快指数さえも心地良いとばかりに、その情熱を滾らせている。

その熱気を燃料にせんとばかりに、翔太郎の演説は益々無駄な熱量を発揮させていた。

「だが!俺達の相手はあの放課後ティータイムを追いかけ続けてきた海千山千のファン!はっきりいってこのホームグラウンドでも厳しい戦いとなる筈だ!」

翔太郎の、普段から顰められた眉間の皺が更に深くなる。

彼は、本気だ……!!

観衆達に緊張が走る。しかしそれを面白いと言わんばかりの不敵な声。

「その点に抜かりはない。放課後ティータイムの情報に関してはすでに検索を終えている」

その笑みに浮かべる自身の『検索』に対する絶対的な自負!

そう!彼の相棒であるフィリップだ!

「流石と言いたいが……甘いな、フィリップ……真のファンに必要なものは検索で集めた情報なんかじゃねぇ」

しかし翔太郎はそんなフィリップを寧ろ憐れんだように見つめている。そして徐に来ているシャツのボタンに指をかけ、一気に胸をはだけさせた。

は ね む ~ ん

燦然と輝くその一文が翔太郎の胸に露わになったことで、周囲が俄かにざわつきを見せ始めた。

「し、翔太郎!そのTシャツをどこで……!?」

そんな喧騒など耳に入らないかのように、翔太郎は熱く、ただひたすらに熱く語り続ける。

「そんなことはどうでもいい。いいか?真のファン足り得る為に必要なもの。それは――」

彼は自身の胸を指す。否――

「――魂だ」

――魂を!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!

その瞬間、空気が爆発した。

中には彼の演説に感極まったのか滂沱の涙を流している者さえいる。

「駄目だ、こいつら」

そんな狂騒と熱狂を前にして、亜樹子がぽつりとこぼしたのは、まあ無理もないかもしれない。






そんな馬鹿騒ぎを繰り広げていた鳴海探偵事務所メンバー――というか探偵2人――の元に、一件の依頼が届いてきたのはそれから一月後の事である。





『Wのライブ/探偵と音楽』




それは放課後ティータイムのライブが2日前までに迫った日のことである。
平素、鳴海探偵事務所に依頼が来ること自体は珍しくもない。
多少ええ格好しいなところはあれども、この風都に翔太郎の優秀さを疑う者は殆どいない。

そう。依頼自体はこの風都に限っては割とありふれたものだったのかもしれない。

「はい、どなた――ってええええええええ!!!!!??????」

ただ、その依頼人は翔太郎にとっては十分に非日常と言えた。

なぜならその顔は――

「まさか、あ、あんた……放課後ティータイムの平沢唯!?」

あまりに予想外の人物の来訪は、翔太郎は常日頃保っている(翔太郎主観)ハードボイルド(やはり正太郎主観)を完全に吹き飛ばした。

「ち、違います!私は平沢憂!」

そんな翔太郎の狼狽ぶりに充てられたのか、平沢『憂』もまた狼狽しつつ彼の勘違いを訂正する。

「平沢唯の妹です!」

「……へ?」

そういえば確かにどこだかの雑誌の記事でそんな感じの話題を目にした気もする。
翔太郎は、失礼かとも思いつつも彼女をまじまじと観察してみる。

成程、確顔の造形こそ非常に似通っているが、しっかりと見れば確かに別人。
尤も、それを初見で見分けられる人間は非常に稀有ではであろうが。

「妹さんだったのか……それにしても似てるな」

翔太郎は心から呟いた。

「ふふ……よく言われます。それより、依頼の話に移らせてもらっていいですか?」

一方、姉と間違えられた憂はどこか嬉色を滲ませた様な、何とも複雑な苦笑を見せる。

「ああ、構わないぜ」

翔太郎は、おそらくはまだ学生であろう憂の、歳不相応な対応の練れ方に感心しつつソファを進める。それに軽く頭を下げ応じる憂。

(確実に亜樹子よりもしっかりしてんな、この娘)

その姿を見て、そんな失敬な事を頭の中に浮かべつつ、自身もその対面に座り話を聞き始めた。





依頼書


依頼者:平沢憂

依頼内容:放課後ティータイムの護衛

備考:ボーカルの1人、秋山澪が数日前から奇妙な怪人を目撃している、との事。
           
   見間違えかもしれないが、ストーカーの可能性も捨てきれないので護衛を頼みたい。








「秋山澪さんがストーカーに遭っている?」

翔太郎から伝えられた依頼内容にフィリップが顔を顰める。憂の依頼とは、放課後ティータイムのメインボーカル、秋山澪に関する件だった。

「それでどう思う、フィリップ?」

どことなく煮え切らない翔太郎の表情に、フィリップは「ふむ」と意味ありげに笑みを浮かべる。

「大方、君が不安を感じているのは、彼女の依頼に含まれている『怪人』というフレーズ、かな?」

「怪人……か」

フィリップの言うとおりである。彼女のその一言が、翔太郎に妙な胸騒ぎを残している。

『怪人』

少なくともこの風都で、そのフレーズを笑い飛ばせるものはいないだろう。

何故ならそれは形なき都市伝説などではなく、現実にこの街を蝕む悪意であり実体を持った犯罪である。

当然その心境はフィリップとて分かっている。分かっているが――彼の懸念を振り払うようにフィリップは続ける。

「ストーカーの被害は風都の外での出来事。君の考えすぎだろう」

「だと、いいんだけどな」

「ところで翔太郎く~ん?なんで所長を通さずに君が依頼を受けちゃってるのかな~?」

いつもの3割くらい眉間の皺を深め思索に入る翔太郎の頭に、亜樹子の伝家の宝刀《スリッパ》が炸裂した。





『さて、実のところ俺が受けた依頼には少しばかり続きがある』




「それじゃあ、安心しな。俺達が依頼を受けたからには、どんな相手だろうと絶対にお姉さん達を護り切る」

護衛対象が放課後ティータイムであることも手伝ってか、いつもの3割増しほどに格好つける翔太郎。

「あのっ!実は左さんにもう一つお頼みしたいことがあるんです!」

「ふっ――なんでもいってみな」

いつもそれで面倒な事件に巻き込まれるのだが、実に懲りない男である。

ある意味物語の探偵には相応しい性格である、と言えなくもないが。

そんな安請け合いにも等しい翔太郎の反応に些かの後ろめたさを覚えつつ、憂はおずおずともうひとつの依頼を告げた。

「それじゃあ――お姉ちゃん達にこの町を案内してもらえませんか?」

「案内?」

「はい。お姉ちゃん達はデビューしてからすごく有名になりました。それでいろんな所を廻ってます。だけど――」

言葉を切る憂だったが、彼女の浮かべる表情が翔太郎におぼろげながらも事情を伝えてくる。成程、未だ学生の身でありながらの成功がもたらしたのは、必ずしも正の面だけには止まらない。そういうことなのだろう。

「決して、お姉ちゃんが今は音楽を楽しめなくなった、そういうことではないんです。それでもやっぱり最近のお姉ちゃんは疲れた表情をすることも多くて……だから一度でいいから昔みたいに皆でゆっくりと楽しんで欲しいんです」

「なるほどね……売れっ子ってぇのも善し悪しってわけか。だけど、なんで俺なんだ?」

無論、依頼を受けるのはやぶさかではない、というか誰が――主に所長が――何と言おうが受ける。しかし風都以外では別段に有名というわけでもない彼に何故依頼をしてきたのか、という疑問があった。そんな翔太郎の疑問は憂も想定していたのだろう。
その表情に一瞬苦いものが混じる。

「警察には怪人を見たなんていっても聞いてもらえないんです。それでこの街には警察も受け入れない事件を受けてくれる探偵さんがいるって聞いて――」

そんな彼女の表情を見れば、彼女が如何に姉とその友人たちを愛しているか、その深さが一目で伝わってきた。それえは、それこそ翔太郎がこの街を愛する事にも引けを取らぬほどに。

そして何より、この依頼が風都を最も深く愛し、知る彼の下に舞い込んだ事は何かの因果めいたものを感じる。

それはあたかも――

「話は解った。任せな、この風都は俺の庭だ……」






『そう。この依頼はこの街の何かに引き寄せられたのかもしれない。人と人が風に呼ばれるように。人とメモリが運命に導かれるように』





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