大聖堂に到着するとアンリエッタが待ち構えていた。ルイズはアンリエッタに到着の挨拶をし、アンリエッタはそれに答えた。だが、アンリエッタはこの国に俺たちを呼んだ理由を話してくれない。「教皇聖下のご説明があとであります。彼の説明を聞くのが良いでしょう」アンリエッタはルイズとテファに向けて言っていた為、俺には関係なさそうな事だ。「とにかく長旅でお疲れでしょう。晩餐が用意されていますわ。まずはお腹を満たしてくださいまし」フライドチキンで腹は既に満たされている訳ですが。まあ、とにかく姫様はルイズとテファに用があるようですので、俺に被害はないようだ。晩餐会は二つの部屋で行なわれた。まずは水精霊騎士隊とコルベール、キュルケ、タバサに与えられた部屋はホストも不在で一同は気ままに食事を取ることになった。ギーシュ達は出された食事を食べる気はしなかった。なぜならお腹は満たされているし、スープは不味いからである。好き勝手に世間話をしている面々の中でただ一人、コルベールだけがなにやら考え込むようにして黙り込んでいた。ギーシュはそんなコルベールが気になったのか、生徒代表として(間違ってはいない)コルベールに尋ねてみた。「先生、どうされたんですか?先程から黙り込んだ様子で」「ん・・・?」コルベールは顔をあげた。その時キュルケはコルベールが所持していた指輪を目ざとく見つけた。「あら、ミスタ・コルベール。綺麗な指輪じゃありませんか」「先生には珍しい趣味ですね。何か思い出すことでもあるんですか?」「ロマリアの修道女と昔付き合っていたとか?」コルベールが所持していたのは赤いルビーの指輪だった。キュルケが冗談で言ったはずの言葉にコルベールは頷く。「まあ、そんなところだよ」コルベールの甘く切ない過去を勝手に捏造した彼の生徒達は『おお~』とコルベールの大人の恋愛を想像し感心した。だが、若干一名、彼を仲間と感じていた漢が叫んだ。「嘘だっ!!」「マ、マリコルヌ!?」覗き事件により取り巻きの女性が居なくなってしまった漢、マリコルヌが哀しみの咆哮をあげた。彼は顔を真っ赤にして涙を浮かべながら悲痛な声でコルベールに言った。「先生!僕は先生を己を苦しめる状況が違うとはいえある一点においては仲間だと信じていたのに!?どうして、どうして修道女との恋愛というある意味男のロマンをのうのうと行なっていたんですか!?妬ましい!妬ましい!やはりその頭部を光らせて女性を惑わしたんだ!クソ!なんて魔法を使うんだ!ポッチャリ系の僕には出来ませんよそんな高等技術!腹踊りなんて女性は喜ばないよ!この技術の差はどういうことですか?全ツルピカーナは全ポッチャリストと相容れないんですね?仲間だと思っていたのに・・・!汚いですよ流石ツルピカーナ汚い!」「マリコルヌ、そんなに激しく怒らなくても・・・」「私はハゲではありません!?」「ミスタ・コルベール!?特定の単語に過剰に反応しすぎです!?」「す、すみません・・・取り乱してしまいました・・・」「というかマリコルヌが女にもてないのは容姿じゃなくて性癖のせいだと・・・おぶふ!?」的確な指摘をした隊員はマリコルヌの風の魔法によって昏倒した。「諸君、僕は女性が好きだ。大好きなのだよ。それの何が悪い!否!悪い筈があるまい!従って進んでスキンシップをとろうとするのは何ら間違ってはいない!」「お前のスキンシップの仕方は生理的に無理」「レイナール・・・貴様・・・一人だけ女子生徒の評価が異常だからといって調子に乗っているよね・・・?」「お前の奇行は騎士隊全体の評判に影響するのだよ」「はいはい、そこまでにしなさいよね。ここはトリステインじゃないんだし大掛かりな喧嘩をしたら牢屋行きよ?」キュルケが手を叩いて二人の険悪な状況を仲裁する。レイナールとマリコルヌはその仲裁に対して渋々と自分の席に座る事で答えた。タバサはタバサで出されたスープを飲み干して、「不味い。もう一杯」と、おかわりを要求していた。一方、廊下を挟んで隣の大晩餐室。騒がしい隣の部屋とは違い、この部屋の人々は黙々と料理を口にしていた。ルイズははじめて見る教皇に対して緊張してたし、テファに至ってはそれに加えて初めて見た女王陛下に対して可哀想に怯えていた。アンリエッタもアニエスも何か考え込んでいるようだ。テーブルの上座に座る、教皇聖エイジス三十二世こと、ヴィットーリオ・セレヴァレは隣に腰掛けるジュリオから本日の報告を受けていた。先程ルイズ達は、教皇ヴィットーリオへの拝謁を許された。ジュリオとは違うタイプの美貌というに相応しい容姿にルイズは息を呑んだ。彼が放つ慈愛のオーラは私欲を捨てた人間が放てる全てを包み込むような光だった。この若さで教皇になった理由はここにあるのか・・・とルイズは思った。それから始まった晩餐会では、ヴィットーリオは自分達の労をねぎらうばかりで、肝心な事は話してくれない。どう考えてもハシバミ草のサラダは料理として出して良いのか良くないのかなんて心底どうでも良い話題だし、それで空気が良くなるとは思えない。ルイズは自分とティファニアの隣に空いた席を見た。ここには達也が座っていた。達也は晩餐会がはじまる前に、ジュリオに『トイレは何処だ』と言って場所を教えられて出て行った。お陰でこの部屋の空気は最悪に近いものがある。ちなみに達也の席には料理は置いていない。そりゃあ、フライドチキンをタバサに次いで食べていたのだ。今更何か食べたいと言う訳がない。「ども、すみません、遅くなりました」そう言いながら達也が大晩餐室に入ってきた。ルイズはひとまずホッとしたが、自分以上にティファニアの顔があからさまに輝いている。まるで迷子寸前で親を見つけた幼児のような表情である。達也が自分の席に座った直後、ジュリオの報告も終わったようで、教皇は深々と一同に頭を下げた。「皆様、わたくしの使い魔が、妙な事を企んでいたようで・・・ご迷惑は御座いませんでしたか?」ルイズは思わず飲んでいたワインを噴きそうになった。「聖下・・・?今なんと?」「ご迷惑は御座いませんでしたかと申し上げました。ジュリオ、別にそんな演出はしなくていいのですよ?もし彼女達に万が一の事があれば、我々はトリステインを完全に敵に回す事になります」「軽率でした。申し訳ありません」「そ、そうじゃなくて!今、聖下は使い魔とおっしゃいましたね?」「はい。わたくしたちは兄弟です。伝説の力を宿し、人々を正しく導く為の力を与えられた、兄弟なのです」教皇がそう言うと、ジュリオが右手の手袋を外した。その右手にはルーンが刻まれている。「僕は神の右手・・・ヴィンダールヴだ」ティファニアがヴィンダールヴ・・・と呟く。始祖ブリミルの四の使い魔のうちの一つ、ヴィンダールヴ・・・。突然の伝説の登場にルイズとティファニアは目を丸くしている。「ティファニア嬢は未だ、使い魔をお持ちではありませんから、これで三人の担い手と一つの秘宝と二つの指輪が集まったということです」何やら教皇は残念そうに達也を見ながら言った。「さて、本日こうしてお集まりいただいたのは他でもない。わたくしは、貴女がたの協力を仰ぎたいのです」「協力?」「それはわたくしから説明いたしましょう」アンリエッタの話を要約するとこうだ。『聖地を取り返すにはお前らの力が必要だから力を貸せ』ルイズは頭を抑えて言った。「それではレコン・キスタの連中と変わりないように思えますが」「そうではないようです。交渉することで、戦う事の愚を、あなたたちの力によって悟らせるのですって」まるで他人事のような口ぶりなのが不思議だが、ルイズは尋ねた。「何故、そうまでして聖地を回復する必要があるのです?」今度は若き教皇が口を開いた。「それが我々の心の拠り所だからですよ。何故戦いが起こるのか?我々は万物の霊長でありながら、どうして愚かにも同族で戦いを繰り広げるのか?簡単に言えば心の拠り所を失った状態だからです。我々は聖地を失ってより幾千年、自信を喪失した状態であったのです。異人たちに『心の拠り所』を占領されている・・・・・・。その状態が民族にとって健康な筈はありません。自信を失った心は、安易な代用品を求め、くだらない見栄や、多少の土地の取り合いで、我々はどれだけの無駄な血を流してきた事でしょう?聖地を取り返す。伝説の力によって。その時こそ、我々は真の自信に目覚めることでしょう。そして・・・我々は栄光の時代を築くことでしょう。ハルケギニアはその時初めて統一されることになります。そこにはもう、争いなどはありません」淡々と統一などと言うが、それは幾度となく、ハルケギニアの各王が夢見てきた言葉である。ルイズはその話に何処か引っかかりを覚えた。何だ?何かがおかしい。「始祖ブリミルを祖と抱く我々は、みな、神と始祖のもと兄弟なのです」その時、今まで退屈そうにしていた達也が口を開いた。そういえばこの男に始祖ブリミルは一切関係ない。ルイズは気付いた。達也の左手のルーンがやたら輝いている事。そして達也の表情が今まで見たことのないように冷え切っていた事を。「それはつまり、エルフの住む土地を剣で脅して巻き上げるということですね?」「はい、そうです。あまり変わりはありませんね」若き教皇はあっけなく達也の言葉を肯定する。対する達也はすっと目を細める。ルーンが赤く輝きだした。「異人相手だからと言って容赦ありませんね」「わたくしは、全ての者の幸せを祈るのは傲慢だと考えています。わたくしの手は小さい。神がわたくしに下さったこの手は、全てのものに慈愛を与えるには小さすぎるのです。わたくしはブリミル教徒だ。だからまず、ブリミル教徒の幸せを願う。わたくしは間違っているでしょうか?」「ならば他の者はどうなっても構わないと?成る程、ご立派な事ですね」ルイズは達也の様子が明らかにいつもと違うように思えてならなかった。いつもならこんな冷たい表情でこの男は人に反論したりはしない。一体、どうしてしまったというのか?あ、ひょっとしたら分身なのかもしれない。ルイズはそう思い、達也をポカポカ殴ってみたが、一向に消える筈がない。それどころか、「ルイズ、寂しいならテファに構ってもらえば?」と、寂しい女扱いされてしまった。屈辱である。様子がおかしい達也に対してアンリエッタは言った。「タツヤ殿。わたくしもよく考えてみましたが、力によって、戦を防げる事ができたら・・・それも一つの正義だとわたくしが思うのも事実なのです」「正義の名の下に戦争する気ですか貴方がたは。話を聞く限りではやる意味がないと思われる戦争を?聖地を取り返せば全てが上手くいく?馬鹿をいわないで下さいな。そんな考えである限り人間は何時まで経っても戦争を引き起こしますよ。欲しいものを手に入れたら人間というものはすぐに新しいものが欲しくなりますからねぇ?」達也は呆れたようにだが、はっきりとした侮蔑の笑みを浮かべてはっきり言った。「この戦争は反対です。虚無の力は万能ではないことはルイズを見てれば分かります。エルフだって馬鹿じゃない。対策だってして来るはずだ」「タツヤ殿」「姫様、私の言動を咎める前に貴女はまず挨拶するべき方がいる筈です」そう言って達也はティファニアを見た。彼女はアンリエッタから見れば従妹である。ティファニアからすれば、唯一の血縁者である。アンリエッタは立ち上がると、ティファニアの元へ歩いていく。「初めまして。ティファニア殿。貴女の従姉のアンリエッタで御座います」そう言ってアンリエッタはティファニアの手を握り、視線をその胸に移す。・・・それから足元が震えているのだが大丈夫だろうか?まあ、しかしアンリエッタはティファニアを抱きしめて、会えた事を喜んだ。ティファニアも涙を流して抱きしめ返した。・・・アンリエッタの足の震えが更に酷くなったような気がする。こちらで感動のシーンを見せられているのに、もう一方では胃が痛くなる光景が見られた。様子がおかしい達也と、若き教皇の会話である。「わたくしはロマリア教皇に就任して三年になりますが、その間学んだ事があります。博愛では誰も救えないと」「そりゃあ世界人類を対象にした博愛なら救う事は絵空事ですね。ですが貴方は貴方を頼って救いを求めてきた異教徒に対し、それを言って救わないんですか?」「私の出来る範囲でやれる事をやるのみです」「ならば此方に10人ブリミル教の難民がいて、もう片方には異教徒の10人の難民がいる。その場合は貴方は当然ブリミル教を救うのですね?先程の言葉からすれば」「そう判断してもらっても構いません」「成る程」「貴方は違うのですか?」「救いを求めるのならば出来る範囲でやれる事をやるのみでしょう?20人分のパンとスープぐらいは用意できる。職も紹介出来る。神は人を救いはしませんし、人を救うのは人なのです。ですが行動するのは自分自身。救いを求めるならば代価を払ってもらわねばいけません。タダで食住を提供などしませんしね」頼られるという事はその人なら何とかしてくれると思うから頼むのだ。人々がロマリアに来るのも、始祖ブリミル及び神官や教皇が何とかしてくれると思うからやって来る。だが、頼る人を間違えた結果がロマリアにいる難民達である。達也たちのド・オルエニールははじめて来た人にはやたらフレンドリーである。それは難民にも同じであるが、明らかに領地のために働こうという意思のないものは丁重にお帰りいただくことにしている。この領地に住む人々は何かしら領地に貢献しているのだ。これは領民が一体となって領地を盛り上げようと思っているからである。最近は淡水魚を使った料理屋を開業したいという者がこの地を訪れている。その料理屋に対して達也は寿司及び刺身を教えようとしている。・・・山葵どうすんの?そのド・オルエニールの領民から達也の子を生むんじゃないかと素敵に誤解されている御婦人、エレオノールは書庫にて『根無し放浪記』の15巻を読んでいた。エルフと結婚した人間ということでニュングは『悪魔に魂を売った』として人間に迫害されることになる。シンシアはそんなニュングに尋ねる。『辛くはないのか』と。だが、『根無し』のニュングは答える。『他人を理解しようとせず、ただ悪魔悪魔とお前らを罵倒するようなあいつらの方が悪魔だぜ。子どもの教育に悪いと思わないのかね。大人の態度でその子の一生の半分以上が決まるのによ。大体あいつ等が言うブリミルが殺されたのは1000年以上前だぜ?知らんわそんな大昔の因縁なんぞ。引きずってる方が馬鹿っぽいだろうよ。血縁的にも全然ご先祖でもなんでもない奴を何でああも崇拝できるか俺には分からんな。で、なんだって?』肝心なところを聞いていなかった。このようなところがブリミル批判のようで宗教庁の琴線に触れたのだろう。そもそも人間とエルフは長年敵同士として認識されている為、エルフと結婚している作品は検閲対象である。この15巻では使い魔のフィオに肝心の使い魔のルーンがないのが読者にわかるように描写されている。『何で使い魔にはあるはずのルーンがないんだい?』『お前・・・幼女にルーン刻むとか普通に犯罪の臭いがするぞ・・・?』妙な所で常識人の根無しである。そして16巻。サブタイトルは『初恋』である。エレオノールは少しワクワクしながら16巻を見始めた。しばらく物語を見ていたエレオノールは首をかしげた。確かにこの16巻はフィオの初恋のお話であったのだが・・・?ルイズは注意深く達也と教皇の胃に穴が開くような会話を聞いていた。どうやら教皇は虚無を集めるつもりだが、ガリアの虚無使い・・・ガリア王ジョゼフを教皇即位三周年記念式典を機におびき寄せ、自分やテファ、そして教皇自ら囮となり手を出しに来た所でまず使い魔のミョズニトニルンを捕獲し、交渉に持ち込み、ジョゼフを廃位に追い込むらしいが、いかんせん危険すぎる。そもそもまずミョズニトニルンの時点で苦戦するのにこの上指揮者のジョゼフが来たら一体どうなるのだ。達也の話ではエルフもついているということだ。自分が危険だからもっと慎重に行けと進言したが・・・「我々に必要なのは勇気です。足りない力は勇気で補いましょう。これ以上、敵に力をつけられてしまう前に決着をつけねばなりません」「ガリアは確かに気に入りませんが、勇気なんていう不確かなものに頼りまくってどうするんですか?」達也はもはや教皇をせせら笑うように言っている。その表情から察するに、『お前は守らんからなバーカ』と言いたげである。本当に様子が変だ。一体彼の何が達也の怒りに触れているのだろう?顔か?精神論で戦争が戦えるなら補給部隊はいらない。現実は精神論では戦争は戦えない。神様なんて更に当てに出来ない。「まあ、いきなり協力しろと言われても、すぐには納得出来ないと思われますのでゆっくりお考えください。きっと私の考えが正しいとお思いになるでしょうから」「やれやれ・・・大博打に賛同しろとか悪魔の囁きにもほどがありますね。ルイズ、テファ。今日は疲れたと思うから早く寝よう。私・・・俺も疲れたから」そう言って達也は教皇を冷たい目のまま見据える。教皇は笑顔のままその視線を見つめ返す。ジュリオはその隣でやれやれと肩を竦めていた。ティファニアはおろおろしている。アンリエッタやアニエスもいつもと違う達也の様子に戸惑っているようだ。達也は踵を返すと、大晩餐室を出て行った。って、おいおい!?「ちょ、ちょっと待ちなさいよタツヤ!?」ルイズはそう言いながら達也の後を追いかけていき、ティファニアもその後を追いかけていった。達也はそのまま向かいの晩餐室に入って・・・一瞬動きを止めた。「・・・ん?何で俺はこんな所に・・・って、何でお前ら泣いてるの」晩餐室内の男達が言うには、マリコルヌの半生があまりに不憫で涙を流す輩が後をたたないらしい。「所詮は彼女なんて幻・・・従って彼女が居るというギーシュ、君は幻の存在なんだよ・・・」「戻って来いマリコルヌ!?悲しいけどこれ、現実なのよね!」「うるさああああい!!現実はもっと僕に優しいはずなんだああああ!!」泣き喚くマリコルヌ。どうやらかなりの量を飲んだらしい。俺は彼の悲しい半生に同情はするが、その考えはやめるべきだと思う。達也のいきなりの豹変にルイズとティファニアは呆気に取られていた。彼の左手のルーンはもう、光ってはいなかった。―――分かり合えた例があると言うのにそれを例外と切り捨てるのはあまりに勿体無いです。―――過ぎた力を得た人間の末路は何時だって悲惨なんです。―――例え神様から与えられた力だとしても、人間は神様にはなれません。―――私欲を捨てたとして、尊敬は得られるかもしれないですけど・・・。―――でも、欲望丸出しの人間の方が私は好きなんですよ。―――ごめんなさいね。私が出張っちゃって。達也君。―――近いうちにまた、会いましょう。(続く)