コンピューターネットワークを媒介とした
仮想の遊技空間「ボード」
「ボード」の製造元であるゲームメーカー・リネンによって
その世界観と基本的なルールは大まかに提示されてはいたが
個々の「ボード」の実質的な管理と運営はリネンと契約した
数多くの管理人(GM)の自由裁量にその多くが委ねられていた・・・
――とある場所にて
「なぁ、エンジン男を知っているか?」
不躾に質問を投げ掛けてきたのは全身黒尽くめのタイツの様な物を身に纏った女性、ナエシ。
「・・・・・・・・・エンジン、男? いや、知らないな・・・」
取りあえず聞いたことがなかったので正直に答えておこう。
「そうか、結構有名なんだがな・・・。情報サイトとか見ないのかお前は?」
呆れた表情で見てくる彼女に多少ムッとしながらも続きを促す。
「それで」
「あぁ、エンジン男の事だったな。映像ファイルがある。見てみろ」
そう言うと彼女は小さな球形のオブジェクトを投げてきた。
それを片手でパシッと掴み、オブジェクトのレンズの様な所に自分の目を合わせた。
――其処に映っていたのは・・・虐殺、暴力、破壊、どんな言葉で飾ってもそれがチンケに聞こえるほどの光景だった。
巨大な召喚陣から溢れ出す異形の怪物、その中心に君臨するのは鋼で出来た隻腕の大男。
その男が左手を地面に当てたかと思うと次の瞬間には本来、右腕があるはずの場所から“龍”が生えていた。
閃光、膨大なエネルギーが其の“龍”の口腔、いや砲口から放出され、多くの命を奪っていく。
それでも終わらず、“龍”が鋼の大男の躯を蜷局を巻くかのように包むとその表面から無数の砲口が出現し、鋼の大男以外のモノを全て薙ぎ払った。
と、そこで映像が途切れる。
「・・・なんだ、コレは?」
「チーターっていうのが最も有力な説だがな。だが会社は何故かノーコメントらしい、面白そうだろ?」
そういう事が聞きたかった訳ではなかったのだが・・・。
そして暫しの沈黙・・・・・・・・・・・・・。
沈黙に耐えきれなくなったナエシが堰を切った。
「そ、それだけじゃなくてだなッ!それの起きた場所が問題なんだッ!」
一々大声を出す彼女を少し鬱陶しく思いながらその場所とやらを聞く。
「・・・場所、というと?」
「タランテラと言えば分かるよな?」
「!」
タランテラと言えば例の事件を起こしたGMの・・・
「噂によるとこのエンジン男とやらは連中のボディーガードらしいが。なぁヨエル、私と一緒に降りてみないか、彼のタランテラに」
俺の顔を覗き込むようにして見た彼女に、俺は思わず首を縦に振ってしまった・・・
――果たしてこれから先、どうなる事やら・・・
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どうも初めまして。
山田です。・・・偽名です。
というわけで(?)投稿させていただきました。
稚拙な文章ですが生暖かく見守ってくれると嬉しいです。
感想、批判、罵倒、中傷、何でもいいからバシバシ送ってください。
でも原作読んでる人いるかな・・・(ぉぃ