「それで、聞きたい事って何かな?」
バインドで拘束されたまま、特に取り乱したりする様子も見せず冷静に話を進めるフェイト。その様子に、微妙に満足げに口を開くスカリエッティ。
『いくつかあるが、まずはプレシア・テスタロッサの事だ。』
「母さんの事?」
『ああ。君の母親の事だ。』
スカリエッティが何を言いたいのか理解できず、怪訝な顔をしてしまう。お互いに顔見知りではあるようだが、親しいとか仲がいいとか、間違ってもそう言う表現ができる間柄ではなかったはずだ。
「母さんが、どうかしたの?」
『いや、彼女が関係する事だが、直接的には関係ない。』
この手の愉快犯的マッドサイエンティスト特有の、無駄に回りくどい言い回しに、鬱陶しそうな視線を向けるフェイト。その視線に気がついたスカリエッティが、ストレートに話を進める。
『彼女が違法研究に手を出し、地球を破壊してでもアルハザードに行こうとしたのは、私が入れ知恵をしたからだが、その事について思う事は無いのかね?』
「別に。裁判も終わってほぼ自由の身になってるんだから、今更どうだっていい。」
『ほう? 少しぐらいは私を恨んでいる物だと思っていたが?』
「あの時、母さんが本当にアルハザードに行ってしまっていたら、間違いなく恨んでたとは思う。だけど、違法研究に手を出すきっかけになった事は、正直あなたを恨む必要を感じないよ。」
『ふむ、どういう事かね?』
フェイトの、意外と言えば意外な回答に、面白そうな顔で質問を重ねるスカリエッティ。あまりにどうでもよくくだらない質問に、どことなくうんざりしながらも律儀に回答を返すフェイト。
「だって、あなたに入れ知恵される前から続けていた研究だって、グレーゾーンすれすれのものだった。だとすれば、遅いか早いかの差で、いずれ似たような違法研究に手を出していたと思う。すでに罪の清算も終わって、現状全てが上手くいっている以上、今更過去を蒸し返す意味も利も無い。」
きっぱりと言い切ったフェイトに、実に楽しそうに言葉を重ねようとするスカリエッティ。そのスカリエッティの発言を制するように、さらにフェイトが言葉を重ねる。
「私が生まれたきっかけと言う意味では、あなたの入れ知恵も意味があったのかもしれない。だけど、十中八九大差ない研究を始めていたと思われる以上、私があなたに感謝する言われも無いし、恨んだり憎んだり怒ったりする理由もない。」
『なるほど。ならば、この話はここで終わりにしよう。まあ、前置きとしてもこんなものか。』
「言いたい事があるなら、もっと簡潔に言ってくれないかな? 私だって、いつまでもあなたの悪趣味に付き合うほど暇じゃないんだ。」
『これは失礼。では、さっさと本題に入ろう。』
そこまで行って言葉を切り、一呼吸置いて本題を切り出す。
『本題は、君が行っている子供達に対する支援、その内容についてだ。』
「……変な事を聞きたがるんだね。」
『こちらにも、いろいろあってね。それで、話を戻すが……。』
一度言葉を切り、手元の資料を再確認するスカリエッティ。大体のデータは見なくても頭に入っているのだが、勘違いしていてはまずい。今回の話に限っては、きちっとしたデータで最後まで話を済ませる必要がある。
『君が行っている支援、量も質もずいぶんと偏りがあるようだが、自分と同じような境遇の子供に偏っているのではないかね?』
「そんな事、気にしてなかったよ。そもそも、私は最初から平等な支援なんて考えてなかったし。」
『ほう? では、君の主観で、目立つところにだけ手厚い支援をした、と言う事を認めるのかね?』
「目立つかどうかはともかく、主観で決めた事は否定しないよ。だって、現場ごとに必要な支援の内容も量も頻度も全然違うんだから、どうやったって平等になんてなりようが無い。」
フェイトの回答に、面白そうな表情を浮かべるスカリエッティ。思ったよりしっかり考えて行動している事が、意外だったようだ。
『だが、君のような立場の人間ならば、それでもできるだけ平等になるようにする必要があるのではないかね?』
先ほどの回答は、十分に納得できるものではある。だが、それでもあえて深く突っ込んで行く事にしたスカリエッティ。さらに質問を重ねる。
「あなたが言う平等、と言うのが、同じ支援内容を全ての孤児院や要支援地域に対して行うべきだ、と言うのであれば、そんな支援は不可能だし意味も無いよ。」
『面白い事を言うね。どういう事かね?』
「分かってて言ってるんだとは思うけど、一応ちゃんと回答するよ。例えば、自然災害や疫病の類で大きな被害が出た場所に対する支援と、慢性的にちょっとずつ物資が不足している場所に対する支援じゃ、緊急度合いも必要な物量も内容も大違いだよね? それを全ての地域に対して同時に行うのは、無駄である以前に、相手に対して侮辱になることだってあるよ。」
フェイトの言葉は非常に説得力のあるものだ。実際のところ、善意による寄付や支援が、要支援地域にかえっていらぬ負担をかけているケースは枚挙にいとまがない。他の場所にこれだけ寄付したのだから、ここにもこれだけの寄付をする、などと言う考え方では、受け取る方が迷惑をすることになる。特に、フェイトのように影響力が大きい人間の場合、その行動には十分注意を払う必要がある。
「私の立場だからこそ、必要な場所に必要な内容の支援を必要なだけする義務があるんだ。それに、一度崩れた場所を立て直すのには、どうしても時間がかかる。出来る事なら、分かってるだけ全てをやりたいけど、一ヶ所にかけられる時間も人手も予算も限界がある以上、出来るところから順番にやって、他の人を巻き込んで行くしかないよ。」
『全てに手を差し伸べられないのであれば、最初から何もしないのが公平、と言う事ではないのかね?』
「何度でもいうよ。状態も緊急度も見ないで画一的に行う支援なんて、何の意味もない。公平である事にこだわって何もしなければ、いつまでたっても状況は変わらない。どんなことだって、あまり一気にやろうとすると大抵悪い方に転がるんだから、現実と折り合いをつけながら、出来る事を一つ一つやっていくのが一番だよ。」
『なるほどね。だから君は偽善者と呼ばれる訳か。』
何度も言われた言葉がスカリエッティの口から洩れた瞬間、思わず苦笑する自分を止められなかったフェイト。こういうタイプが揺さぶりとして、その言葉を口にするのは珍しくない。ないのだが、先ほどエリオ達が遭遇した件から推測するに、どうやら似たような事をしているらしいスカリエッティにすら言われる自分は、一体何なのだろうかと思うとどうしても苦笑が漏れてしまう。
「よく言われるけど、いい機会だから訂正しておくよ。」
『言い訳かね?』
「違うよ。私は、偽善者でも善人でもないよ。私を偽善者と呼ぶのは、偽善者に失礼だ。」
『ふむ。面白い。どういう事かね?』
「偽善者も善人も、動機はともあれ、いい事、正しい事をしようとしているよね? 私はそうじゃないもの。」
きっぱりと言い切ったフェイトに、流石に目を丸くするスカリエッティ。ここまできっぱり否定されるのは予想外だったようだ。
「私はね、あくまでも自分のエゴで子供たちに対する支援をしてるんだよ。子供が絶望してる顔なんて見たくない、ただそれだけの理由で行動してるんだ。一人でも絶望してた子供が笑えるようになるんだったら、世間一般から見て正しくなくてもいいんだ。」
『それを偽善と言うのではないのかね?』
「偽善と呼ばれる行動も、行為自体は正しいよね? 私がやってきた支援は、必ずしも正しい事ばかりじゃない。目の前の現実をどうにかするために、倫理的なものを後回しにしたことだってある。邪魔をさせないために付け届けを多めに出して、後からそれを密告した、なんて汚い真似もしてるし、子供にそういう姿を見せていないだけで、別段それを取り繕っても居ない。正しいと思ってなくても、結果が出ればいいと割り切ってる。私がやってる事は偽善ですらない、ただの自己満足なんだよ。」
毅然とした態度で言い放つフェイト。その地に足をつけた堅実な姿に、どことなく満足そうにうなずくスカリエッティ。
『では、それだけ手を尽くしたのに、君の事を激しく憎んでいる子供がいたらどうする?』
「どうもしないよ。憎しみを支えにするのはあまり喜ばしい事ではないけど、私を憎む事で絶望しないでいいんだったら、それはそれで受け入れる。それに、結果がそうなったって事は、私の行動に至らない点があったってことなんだから、これだけしてやったのに、とか文句を言うのは筋違い。私が自己満足でやってる事なんだから、どうやったら満足できる結果が得られるのかを考えて行動するだけ。」
あくまでもぶれないフェイトの回答に納得し、質問を終える事にするスカリエッティ。
『なるほど、よく分かった。聞きたかった事はすべて理解出来たよ。』
「それはどうも。なんとなく推測はできてるけど、一応確認しておきたいから、こっちからも質問。」
『何かね?』
「何でわざわざこんな手の込んだ真似をしてまで、今の質問をしたの?」
『始めた理由も続けている動機も違うが、私も君と同じような事をしているからだよ。』
予想通りの答えに納得して見せると、あっさりとバインドを解除してのけるフェイト。予想していたからか、その状況に顔色一つ変えないスカリエッティ。
「ジェイル・スカリエッティ。いろいろ罪状はあるけど、とりあえずまずは違法研究と兵器密造の現行犯で逮捕します。」
『さて、君に出来るのかね? 私を逮捕すれば、私が資金を出しているいくつかの孤児院が困る事になるが?』
「大丈夫。全員私と母さんで面倒を見るから。」
『なるほどね。とは言え、私も黙って捕まるつもりは無い。この場から逃げも隠れもしないから、そう言う台詞は娘達を倒してから言ってくれたまえ。』
その言葉と同時に、横の壁が吹き飛ばされ、誰かが中に転がり込んでくる。土煙が収まると、そこには満身創痍になりながら、どうにか体制を整え直したヴェロッサとシャッハがいた。
「ロッサ、シャッハ! 大丈夫!?」
「大丈夫、と言いたいところだけど、思った以上に手ごわかったよ……。」
「申し訳ありません。流石にガジェットと同時に相手をするには、少々手に余りました……。」
彼らが転がり込んできた穴の向こうには、十を超えるゆりかご産ガジェットと、トーレとセッテ、二人の戦闘機人の姿が。
「この高濃度AMF環境下では、私たちではあの数のガジェットを排除するのは厳しいです。」
「流石に、装甲を抜ける手段が限られすぎるからね。」
「了解。AMFが無ければどうにかできる?」
「ガジェットぐらいなら。流石にあの戦闘機人二人は、ガジェットと同時に相手をするにはAMFがなくても厳しいけどね。」
「分かった。じゃあ、AMFを解除するから、ガジェットはお願い。あの二人は私が仕留めるよ。」
フェイトの言葉に頷くと、どうにか回復を終えて立ち上がる二人。それを見てバルディッシュを構え、何やら妙な魔法を発動させるフェイト。
「準備はいいのか?」
「もちろん。待ってくれてありがとう。」
「ホームで戦っているのに、この上怪我人を盾にとっての奇襲と言うのは、さすがにこちらの矜持が許さない。」
「分かった。じゃあ、お互いに全力で行こう。」
スカリエッティ・ラボ攻防戦、その最後のひと幕は、やはり戦闘と言う形で始まろうとしていた。
「……どうやら、そろそろ頃合いのようね。」
なのはとフェイト、それぞれの突入先での会話を聞いて、何かを決めるプレシア。外ではガジェットの攻撃が激しくなり、ゆりかご本体からの砲撃が、クラナガンを守る結界を叩き始めていた。
「頃合いって、何がですか?」
「あの駄メガネに対する制裁、そろそろ始めちゃってもいいかな、と思ったのよ。」
「制裁?」
「ええ。制裁よ。」
物騒な単語に、グリフィスが顔色を変える。当然ながら、リンチの類は管理局では禁止されている。基本外部協力者とはいえ、佐官待遇を持ち代理で艦長席に座っている人物が行うのは、あまりにもまずい。
「安心なさい。直接実行するのは私たちじゃないわ。非公式の協力者が勝手にやらかした事を、黙認するだけよ。」
きっちり会話ログを消しながらそんな事をほざくプレシア。もちろん、安心など出来るはずが無い。
「どうでもいいけど、ああいう無意味にプライドが高いタイプって、昔の恥とか蒸し返されるとダメージ大きそうよね?」
「な、何の話ですか?」
「さて、何かしら。」
露骨にヒントを出しながらも、あえてしらばっくれて見せるプレシアに、思わず頭を抱えてしまうグリフィス。残念ながら今は、こういう時ストッパーになりそうな人間がこの場にはいない。ちらっと見ると、サイドシートで戦況の解析をしている美穂の様子が微妙におかしい。何やら現実逃避するような感じで、阿修羅のような手の動きで解析データを作り、グリフィスの処理能力を超える勢いで送りつけてくる。プレシアとグリフィスの会話が聞こえない距離では無い事を考えると、プレシアが言った制裁とやらの内容を知っているのだろう。
「美穂君?」
「……ゴメンナサイ、ワタシハナニモシリマセン、ホントウデス……。」
いつも以上に小さい声で、棒読みの乾いた口調で返事を返す美穂。明らかに何かを知っている態度だが、あまりにあからさま過ぎて追及するのも気の毒になる。ようやくこういう事を手伝うようになった少女を、わざわざ追及して追い詰めるのも忍びない。
それに、どうせすぐに分かる事だ。わざわざ誰かをつるしあげる必要などない。
『実録拷問、恥刑。』
気にしないようにしよう、などと考えた矢先に、綺麗な声が物騒な台詞を淡々と読み上げる。あまりに物騒な台詞に、ブリッジの空気が凍りつく。
「……何ですか、この物騒な台詞は?」
「さあ、ね。」
グリフィスの質問を笑ってはぐらかすプレシア。美穂を見ると、かわいそうになるぐらい一生懸命首を左右に振る。
「まあ、聞いていれば分かるわよ。聞いていれば、ね。」
「はあ。まあ、そうでしょうけどね……。」
その会話が終わるか否か、と言うタイミングで、次の言葉が放送される。
『ナンバーズ四番・クアットロは、かつて生みの親であるジェイル・スカリエッティの洗濯前の下着を盗み、臭いをかいではあはあして、一番上のお姉さんに嫌われた。』
『な、何故それを!?』
タイトル以上にアレな内容を朗読する声。そのアレさ加減に、戦場全体が凍りつく。
そう、戦場全体だ。ちょっと前のクアットロとなのはの会話から後ろは、全て戦場全域に垂れ流しになっていたのだ。そこにこの内容である。クアットロの動揺が伝染してか、ガジェット達の動きすら一時的に止まり、前線全域を奇妙な静寂が襲う。
「……報復って、これですか?」
「ノーコメント。」
「……これ、社会的に抹殺されますよね?」
「ノーコメントで。」
楽しそうにしらばっくれるプレシアに、思わず深々とため息をつくグリフィス。実はファンシーグッズに興味があるが、プライドが邪魔をして愛でる事が出来ない、などと言うライトな内容から、ドクターが唾液を呑み込む音をひそかに録音して、ジョークグッズの例のボトルを作って姉妹にどん引きされた、とかそれ人として大丈夫か、という内容まで、ナレーションはただひたすら淡々と読み上げる。
「確かに、これ以上ないぐらい見事な報復ではありますが……。」
「あくまでも、やったのは私じゃなくて協力者よ? 善意の第三者が暴走して行った行動に関しては、私達が責任をとる必要は無いわよね?」
「……教唆と言う罪があるにはありますが、どうせ証拠なんて無いんでしょうね……。」
「私は無関係よ? 証拠なんてある訳無いじゃない。」
白々しい言葉を続けるプレシアに、ため息が一つ漏れる。もはや実録拷問と言うより公開処刑と言う感じになっている内容を、呆れと達観が混じった何とも言えない気持ちで聞き流し続けることしかできない。
「さて、そろそろかしら?」
「……聞くのも嫌な感じがしますが、何がそろそろなのでしょうか?」
「そろそろ、駄メガネがなのはに仕留められる頃合いじゃないかな、ってね。流石のあの子も、いい加減バスターを撃ち込むのに良心の呵責なんて覚えないでしょうし。」
聞いた自分が馬鹿だった。思わず内心でそうぼやくグリフィス。その直後、プレシアの言葉を肯定するように、ゆりかごの内部から一本の桜色の光線が、水平線を切り裂くように飛び出してきた。
「予想的中。そろそろ最終段階よ。気合を入れ直しなさい!」
「……了解、気持ちを切り替えて掃討戦に移ります!」
「……中央の密集地帯、現在味方が存在しないため、最大効率で砲撃できます……。」
「三連ディバインバスター砲、発射!」
名前をつけた時になのはに散々文句を言われたアースラの副砲を、容赦なく密集地帯に叩き込むグリフィス。稀代のマッドサイエンティストが魔改造しただけあって、たかが副砲のくせに、下手な次元航行船の主砲よりはるかに高い出力で戦場をえぐる。今の一撃で崩れた敵の戦線を、壊滅的に打ち砕かんと果敢に攻め立てる前線部隊。どうやら、勝敗はほぼ決したと言ってよさそうである。
などと考える事が出来たのは、状況確認のためにつなげていた通信によって、スカリエッティとマスタングが言い放った言葉と、それによって起こった変化を確認するまでであった。
「プレシアさん、あれを!」
「やっぱり相手もマッドサイエンティストね。これぐらいの最後っ屁は用意してて当然ってわけか。」
「そんなのんきな事を言ってる余裕は!」
「慌てないの。こちらにも、それ相応の切り札は用意してあるから。」
「だったら、それを早く!」
「言われるまでもなく、今プロテクトの解除中よ。ただまあ、それまでに片方は蹴りがつきそうだけど、ね。」
二人が新たに切った切り札。それにより前線に馬鹿に出来ない被害が出ていると言うのに、落ち着いた様子を崩さないプレシア。外はいい加減日が落ち切りそうな時間帯だ。戦線を支える人たちにとっても、そろそろ状況は最終局面に入るのであった。
「流石に、古代ベルカ式の魔法は本職だけあって、結構対応が面倒くさい、か……!」
ヴィヴィオが放つブラッディダガーをシールドで弾き、バリアジャケットを再度展開しながらぼやく。ぶっちゃけた話、ピンチかと言えば全然そんな事は無いのだが、それでもヴィヴィオ本人を下手に攻撃できないのは面倒である。
『そうです、陛下! デバイスを持たない砲撃魔導師など、所詮はただの雑魚。いずれ魔力も体力も尽きて身動きが取れなくなりますわ!』
「さて、それはどうかな?」
クアットロの甘く見るにもほどがある台詞に、苦笑を浮かべながら反論をしてみる。実際の話、この程度の戦闘なら、半日続けても体力切れなど起こさない。竜岡式で十年も鍛錬を積めば、その程度にはスタミナはつくのだ。
「……。」
「ヴィヴィオ、大丈夫?」
「うるさい、しゃべるなミッドチルダ人。黙って、これからミッドチルダが滅ぶ様を眺めて居ろ!」
どうやら、先ほどの嫌な気配に再び意識を乗っ取られたらしい。最初の人格ともヴィヴィオとも違う誰かが、ヴィヴィオの口を通して嫌悪感たっぷりの言葉を吐き出してくる。
「ヴィヴィオ、私は日本人だよ?」
「出身がどこであろうと、ミッドチルダのために闘っているのならミッドチルダ人だ!」
明らかにポイントがずれているなのはの反論に、いらだたしそうに極論をぶつけるヴィヴィオ、と言うより聖王の意識。
「うわ、かなり盲点……。」
「何が盲点なんだ?」
「言われてみれば、この戦いもミッドチルダのため、って言う事になるんだよね。考えても見なかったよ。」
とことん人を食ったもの言いをするなのはだが、本人は大真面目である。ぶっちゃけた話、今回の事件対応にしても、ミッドチルダのため、などと言う意識はかけらも無かった。クラナガンに結構な数の知り合いが済んでいるため、必然的に守ろうと言う意識になったにすぎない。なのはは今まで、そこに住んでいる人のために頑張った事はあっても、どこかの国のために戦った事など一度もない。だから、今回のこの行動が、ミッドチルダのために闘っている、という側面がある事に、まるで気が付いていなかったのである。
「とりあえずヴィヴィオ、一度落ち着こう。」
「貴様に気安く呼ばれる名など無い!」
「あらら、完全に乗っ取られちゃってるなあ……。」
難儀な状況に、どうにもため息が漏れる事を止められない。夜天の書の闇と違い、聖王の霊は恨みつらみがベースではない。それゆえに意志も霊力も強く、簡単に払えるようなやわな性質はしていない。何より、ヴィヴィオが本来寄り代として作られているため、一度本格的に憑依してしまうとなかなか引っぺがせないのだ。
とは言え、ヴィヴィオにとりついている聖王の人格も、複数の霊の集合体のようなものだ。中にはこういうやり方をよしとしていない人格も居るはずである。ならば、そこを突いてヴィヴィオだけでも解放させられないか、試すしかない。
「聞いてください!」
「貴様の言葉など、聞く必要は無い!」
『そうですわ、陛下。』
「黙っていろ、駄メガネ!」
何かをささやこうとしたクアットロを、一喝して黙らせる聖王。どんなに甘い言葉をささやいたところで、諸王の一人としてベルカのために散った聖王の人格が、クアットロのような半端な詐欺師を信用する訳が無いのだ。ヴィヴィオがクアットロを信用しなかった最大の理由が、聖王の人格が部分的にとはいえ憑依していたから、と言うのは皮肉な話である。
「ベルカが崩壊したのは、確かにミッドチルダにも原因があったのかもしれない! だけど、だからと言ってミッドチルダを滅ぼそうとするならば、ようやく落ち着いて暮らせるようになったあなたの同胞を、再び流浪の民にしてしまう事になります!」
「戯言を!」
「戯言なんかじゃない! ミッドチルダにはベルカ人の自治区があって、かなりの数のベルカ人が住んでいるんです! その人たちを、王であるあなたが殺すんですか!?」
なのはの真剣な言葉に、思わず動きを止める聖王。
「戦場を、よく観察してください! ベルカの技が、魂が、クラナガンを守ろうと戦っているでしょう!?」
なのはの言葉につられ、ガジェットと戦闘を繰り広げる地上の様子を観察する。少なくはあるが確かに、なのはの言うように古代ベルカの技がクラナガンを守るために振るわれている。
「ゆりかご、検索開始。内容はベルカ自治区。……そうか、事実なのか……。」
ミッドチルダにあるベルカ自治区。その情報を複数のソースを持って確認し、その規模に嘆息する。かつて敵対していたとは思えぬほどの規模。それは、ミッドチルダとベルカの戦争が、完全に過去の物となってしまっている事を示していた。
小競り合いは少なくない。だが、人が二人いれば絶対にもめごとが起きるのだ。敵対していない民族同士であっても、これだけの規模の異民族が混じりあえば平穏にはいかないのも当然である。
「どうやら、名実ともに、我々は過去の遺物になっているようだな。いや、もはや害悪だと言ってもいいのか。だが……。」
「だけど?」
「先ほどの『あれ』は、貴様らミッドチルダが呼び出したものだろう? かつてベルカが滅亡の危機にさらされたのも、ミッドチルダが『あれ』と同種の物を呼び出したからだ。ならば、同じ過ちを繰り返させないために、ミッドチルダを滅ぼすのは妥当だと思うが?」
「今回に限っては、『あれ』を呼び出すことになった根本の原因は、ベルカの方にあります。正確には、古代ベルカの手によって作られ、誰とも知れぬ主の手によって改編され、破壊の権化となってしまった一冊の書物。それによってもたらされた破壊が原因です。」
「どういうことだ?」
聖王の問いかけに、かつて夜天の書が闇の書であった頃の話を簡潔に済ませる。その話を聞きながら、裏を取るために再び複数のソースで情報を確認、結果を見て顔をしかめる。
「なるほど、な。」
「ここであなたがミッドチルダを滅ぼそうとすれば、また同じことをする人間が出てきます。今生きている人間が起こした事ならともかく、もはや当事者が誰も生きておらず、状況が終わってから百年単位の時間が経ち、両者ともに深い傷と教訓を得た出来事を、今更蒸し返すのは、王としてなすべき事なのですか!?」
聖王の意識を思いとどまらせようと、必死になって説得に走るなのは。よくもまあ、こんな言葉がスラスラと出てくるものだと、自分でも微妙に呆れながら、とにかく本気になって説得を進める。ヴィヴィオにそんな事をさせる訳にはいかない、と言うのもあるが、聖王にもこれ以上余計なものを背負って欲しくない、という気持ちも本当だ。
「……私はベルカの王だ。王である以上、民に苦しみを背負わせる訳にはいかない、か……。」
なのはの言葉について考え、永遠とも思える数秒を葛藤に費やし、ついにゆりかごに出していた砲撃指令を取り下げ、最終兵器の起動シークエンスを停止する。
「だが、ミッドチルダ人ではないと言うのなら、何故、そこまで必死になる?」
「クラナガンにたくさん知り合いがいる、と言うのもありますけど、あなたが今使っている体が、私の娘だから、と言うのが大きいです。」
「娘? だが、この体は……。」
「血のつながりとか、どんな生れだったか、とか、そう言うのはこの際どうでもいいんです。私とヴィヴィオは、親子である事を選んだんですから。」
なのはの言葉に、そうか、と一言つぶやく。己の存在が、ありとあらゆる意味で、単なる害悪にしかなっていない事を再び悟ってしまう。
「私の中で誰かが泣いていたのは、あなたの娘だったか。ならば、体を返さなければいけないな。」
やけにあっさり引き下がる聖王に、思わず驚きの表情を浮かべるなのはとクアットロ。種を明かせば、統合された過去の聖王の人格、その比較的コアに近い場所に、ヴィヴィオに埋め込まれていたレリックの人格がいたのである。他にも、ベルカ騎士の矜持を最後まで捨てずに散って行ったヴァールハイトや、民族に関係なく子供を守るために命を差し出したマドレが持っていたレリックの人格もヴィヴィオの人格を守りぬき、無意識のうちに聖王の気持ちを動かしていたのだ。
結局のところ、ヴィヴィオが一人の子供として愛され、導かれていた時点で、この結果は決まっていたのだ。だが
『残念ですわ、陛下。』
「何が言いたい、駄メガネ?」
『このままその女を叩きのめせば、あなたの悲願が達成できたと言うのに。』
「悲願を達成したところで、民がすべて滅べば意味など無い。とうに死んだ王の独善的な願いなど、今生きている民の安寧に比べればどれほどのものか。」
『ならば、最初から王など不要、ですわね。では、ここからは私が自由にさせていただきますわ。』
「これ以上、あなたに私たち家族の邪魔はさせない!」
クアットロが再びパネルを操作し、聖王が苦しみ始めたところで、ついになのはがレイジングハートを回収し、本格的な戦闘態勢に入る。
『実録拷問、恥刑。』
そのままサーチャーの情報を総合し、クアットロがいるであろう位置にあたりをつけ、容赦のない砲撃を発射しようとしたところで、場違いな放送が響き渡る。あまりにも淡々と物騒な台詞を吐いたその放送に、我を忘れて動きが止まるなのは。
『ナンバーズ四番・クアットロは、かつて生みの親であるジェイル・スカリエッティの洗濯前の下着を盗み、臭いをかいではあはあして、一番上のお姉さんに嫌われた。』
『な、何故それを!?』
『実はファンシーグッズが気になるが、格好をつけてしまった手前、手を出せずに悩んでいる。』
『誰ですの!? なぜそんな事を!?』
「じ、事実なんだ……。」
意外な上にイメージに合わない情報を聞いて、思わず唖然とするなのは。ほかにも続々とあれで何な情報がさらされ、そのたびに血を吐きそうな顔でもだえる。さすがと言うかなんと言うか、お近づきになりたくない種類の変態的な性癖の暴露が異常に多いのは、ちょっとご愛嬌では済ませづらい。
「……って、呆けてる場合じゃないよ。」
やりかけていた作業を思い出し、さっさと準備を済ませることにする。いい感じでサーチャーがそれっぽい部屋を見つけ、透過光線で中を確認することに成功。クアットロの位置を特定したのは十個目程度の性癖暴露の後であった。
『クアットロの部屋は、盗撮したスカリエッティの写真やこっそり費用を流用して作ったスカリエッティグッズで埋まっており、天井には等身大スカリエッティのポスターが貼られている。』
『それの何が悪いのよ!』
『朝起きるたびに等身大スカリエッティ抱き枕にキスをして、天井のスカリエッティポスターにおはようダーリンと挨拶をするのが日課だ。』
『そんなピンポイントな情報、どこから仕入れていますの!?』
もはや取り繕うことも出来ず、赤裸々な悲鳴を上げ続けるクアットロ。その位置を特定したなのはが、心の中で十字を切りながらレイジングハートを構える。
「レイジングハート、ブラスター2!」
『ブラスター2、起動。』
「いくよ! カートリッジロード、ディバインハウンドバスター!」
気合とともに吼え、ディバインバスターどころか、下手したらスターライトブレイカーに匹敵しかねない砲撃を解き放つ。異様な気配に気がついたクアットロがのたうつのをやめ、あわてて部屋から逃げ出そうとしたところを撃ち抜いた砲撃は、そのまますべての障害物を透過して、地平の向こうへ消えていった。
「さてと、これで邪魔は入らないとして、どうやってヴィヴィオを戻すかな……。」
座り込んで肩で息をしているヴィヴィオを眺め、困ったようにつぶやくなのは。そのなのはを、同じように心底困ったと言う表情で見上げるヴィヴィオ。
「とりあえず確認するけど、今ヴィヴィオだよね?」
「うん。ママの娘のヴィヴィオだよ。」
「もしかしてと思うけど、自分でコントロールできる?」
「……無理だと思う……。」
「だよね……。」
予想通りの回答を聞き、とりあえずプレシアにすべて丸投げする決意を固めるなのは。所詮ただの砲撃手でしかないなのはに、こんな技術的なことを言われてもどうにも出来ない。気の制御でどうにかできるかもとも考えたが、残念ながらヴィヴィオの気の流れは正常なものだ。つまり、なのはの技量ではいじりようがない。
「まあ、とりあえず帰ろうか。」
「うん。」
そういって、いろいろあって体の自由がいまいち利かないヴィヴィオを背負うと、今まで歩いてきた道を逆にたどろうとする。そのとき……。
『メガフュージョンスタート! 聖鎧王クレイドル起動!』
スカリエッティのそんなキーワードが聞こえ、ヴィヴィオの体とゆりかご全体に異変が起こる。
「え? 何? どういうこと!?」
「ママ! 体が何かに引っ張られるよ!」
「ヴィヴィオ? ヴィヴィオ!?」
背負っていたヴィヴィオの体が光に包まれ、玉座に吸い寄せられる。必死になってつかもうとした手をすり抜け、ヴィヴィオは再びとらわれの身となる。その直後、とても立っていられないほどの振動がゆりかご全体を襲い、床が垂直に変わる。
スカリエッティが最後の勝負を挑むために、ついにゆりかごに施した改造、その最後の機能を解き放ったのであった。
「いくぞ! フェイト・テスタロッサ!」
「いつでもかかってきて。」
トーレの気迫のこもった声を、飄々と受け流すフェイト。その手には二本の小太刀が握られている。もはや構造がどうなっているのか、想像もできないほど大量に形態が詰め込まれているバルディッシュのその姿の一つであり、閉鎖空間での高速戦闘を主眼としたブレードフォームだ。その二本の刃が、トーレの多数の刃を流れるような動きで受け流す。
トーレが刃を受け流されたことを確認するより早く、セッテのブーメランがフェイトを襲う。もっとも、どれほど不規則に動いたところで、フェイトの感覚ならばどこからどう飛んでくるかぐらい容易に分かる。徹を乗せた斬撃であっさり叩き落され、内部から砕けて地面に刺さる。
いかにAMFの影響を受けていた上に取り巻きの雑魚がいたとはいえ、自分たちがかなり苦労させられた相手を魔法も使わずにあしらってのけるフェイト。その圧倒的な実力差を見せ付けられ、もはや苦笑しかでないシャッハとヴェロッサ。
「ロッサ、シャッハ。いけそう?」
「こっちは気にせず、さっさと勝負を決めてしまっていいよ。」
「この程度の相手なら、十機ぐらいどうとでもできます!」
「ダメージが残ってると思うけど、いいんだよね?」
フェイトの言葉にうなずく二人。雑魚、と言うにはいささか強いが、連携は機械的、攻撃は単調、何よりこの狭い空間ではその図体を活かしきれるはずも無い。ダメージはまだ残っているが、せいぜい相手のハンデとつりあう程度でしかない。
「じゃあ、さっさとけりをつけるよ。」
「出来るのならやって見せろ!」
フェイトの挑発的な言動に呼応し、ランドインパルスを発動させ、恐ろしいスピードと手数で攻め立ててくるトーレ。だが、フェイトからすればまだぬるい。
「戦闘機人の限界って、このあたりなのかな?」
「何が言いたい!?」
「スピードは確かにあなたのほうが上なんだけど、やっぱり恭也さんのほうが何倍も厄介な攻撃をしてくるな、って。」
これに関しては、言うほうが無茶である。そもそも、魔法世界で剣術なんていう選択肢は皆無だ。それを差し引いたところで、戦闘機人は基本独学で訓練を行っている。ならば、近接戦闘で効果的な技の振るい方など知らないのが普通である。フェイトのように、神速なんぞと言う魔法もどきのスキルまで持っているほうがおかしいのだ。
「侮辱するのか!?」
「侮辱って言うか、ねえ。」
「何がいいたい?」
「一度、優喜や恭也さんの稽古を受けてみれば、自分たちがどれだけ未熟か身にしみると思うよ……。」
本気で歯牙にもかけていない様子のフェイトにヒートアップするより先に、思わず背筋が寒くなるトーレ。その様子を知ってか知らずか、自然体のまま二人に向き合うと、高くも低くも無い感じのテンションで一つ言葉をつげる。
「さすがに防いでばかりってのは芸がないから、こっちからも攻撃するよ。いいよね。」
その宣言に、今まで感じたことの無い感情がセッテを襲う。そう、セッテは生まれて始めて、恐怖と言う感情を感じたのだ。
「行くよ! バルディッシュ、ウィンクフォーム!」
『ウィンクフォーム!』
よもや舞台衣装に変身するとは思わなかった二人は、虚を突かれて一瞬動きが止まる。その隙を逃さず、一気に切り込んでいくフェイト。
「フルドライブ! ライオットブレード!」
舞うような動きで魔力刃を振るい、トーレとセッテを追い詰めていく。舞うような動き、と書くと社交ダンスや日舞のような優雅な動きを想像するが、フェイトの動きはどこからどう見てもアイドルのダンスだ。その違う意味で不規則な動きに押され、どんどん追い詰められていく。二人が最初の被弾を受けるまで、時間にしてせいぜい0.5秒と言うところだろうか。
最初の一撃が入ってからは、もろかった。キュートなステップで何度も切りつけ、どことなくセクシーでコケティッシュな動きで蹴りや体当たりを叩き込み、そして二人を跳ね上げる。
「ファランクスシフト!」
たくさんのフォトンランサーがセッテとトーレを叩きのめし、指一本動かせなくなるほどのダメージを蓄積させる。ここで終われば幸せだっただろうが、残念ながら広報六課には、ダンスのような仕様の連続攻撃を、途中で止めるという発想の持ち主は一人もいない。もう一度体当たりで跳ね飛ばし、そのまま相手より高く飛び上がる。
「ライオット・ザンバー!」
ちょうど二人重なる位置をロックオンし、フルドライブのもう一つの形態である、超巨大な魔力刃を発生させると、そのまま地面に串刺しするように振り下ろす。大魔力に加え全体重の乗ったその一撃は、タフさが売りの戦闘機人の意識を、きっちり刈り取ってのける。
『すばらしい。』
「……さて、今度こそあなたを逮捕するよ。」
『事ここに至っては、逃げも隠れもしないよ。だがね。』
「……何?」
『マッドサイエンティストとして、最後の勝負には付き合ってもらうよ。』
スカリエッティの宣言に、いやな予感しかしない三人。撃破したわけでもないのに、しっかりガジェットの動きが止まっているのが不気味である。
『さて、ウーノ。ゆりかごのロックを解除したまえ。』
『了解しました。』
『メガフュージョンスタート! 聖鎧王クレイドル、起動!』
スカリエッティの宣言と同時に、どこからとも無く老人の声が聞こえてくる。
『グレート世界征服ロボ、起動じゃ!』
『おや、彼も動くようだね。さて、フェイト君。私を逮捕したまえ。この先の状況は、特等席で観察することにしよう。』
あっさりとフェイトの前に姿を現し、平然と両腕を差し出すスカリエッティ。よく分からない状況ながらも、スカリエッティラボの攻防戦は終わりを告げたのであった。
後書きと言う名の言い訳
ザンバーホームランと見せかけてキュートクラウンブレイカーだった件について。
とりあえず、ようやくゆりかご編と言う名前をつけた理由に至ったものの、もう少し伏線を張るべきだったと後悔しきり。まあ、そこは今更なので、よくないけどいいとしまして。
クアットロさん。なんか、まるで捏造ヘイトみたいな状況になってしまったメガ姉さん。正直なところ、別段ヘイトする気とか全く無くて、ただ単純に原作から受けた印象そのままに描写したらこうなってしまった、と言うのが正直なところです。何というか、こういう方向での状況の変化にはついていけそうもない、と言うか、ついて行こうとしないんじゃないか、と言うイメージがありまして、そのイメージのまま話を進めると、何というかヘイト丸だしみたいな状況になってしまった訳です。まあ、悪役ってどうしてもそうなる部分はある訳ですが……。
恥刑の内容とか完全にねつ造ですが、うちの話の場合、プレシア母さんがなにもしないと言うのも不自然だったので、これぐらいは許してください。後、美穂の反応は別に本人や関係者が刑を食らった事がある訳ではなく、単純に内容を前もって聞かされてどん引きして、思い出したく無かったためああいう反応をしました。あの子の性格だと、おかしくないよね?