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No.18472の一覧
[0] ―― EDGE ―― ネギま(オリ主) [紅月](2010/07/10 18:15)
[1] 第1話[紅月](2010/04/30 00:17)
[2] 第2話[紅月](2010/04/30 11:48)
[3] 第3話[紅月](2010/05/05 21:33)
[4] 第4話[紅月](2010/05/08 01:49)
[5] 第5話[紅月](2010/06/22 17:38)
[6] 第5.5話[紅月](2010/05/15 11:52)
[7] 第6話[紅月](2010/05/21 10:41)
[8] 第7話[紅月](2010/05/22 18:29)
[9] 第8話[紅月](2010/05/28 17:16)
[10] 第9話[紅月](2010/06/07 15:28)
[11] 第10話[紅月](2010/06/21 15:57)
[12] 第11話[紅月](2010/06/21 16:00)
[13] 第12話[紅月](2010/06/28 09:51)
[14] 第13話[紅月](2010/07/05 17:07)
[15] 第14話[紅月](2010/07/10 18:15)
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[18472] 第7話
Name: 紅月◆a3e744a8 ID:3903c47e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/22 18:29
第7話    『修学旅行―追走劇』









気配絶ち、駆ける。



目的は、近衛木乃香の奪還。

ついでに敵の殲滅。

問題は敵の手札と勢力だが、そう問題にはならないだろう。

というのも、今までの妨害がそれを示している。


それは、電車の妨害に始まり今の誘拐まで、一貫して一人の術者によって行われているからである。

悪戯程度ならともかく、誘拐においてまで単独で行う意味はない。

速度が命の誘拐だ。

それなりに計画的ではあるが電車を使うあたり、稚拙である。

といっても油断はしない。

状況は常に変化するし、油断・慢心は致命的ミスを生む。


ともかく、金が無いか自分の術に自信があるのか、はたまた何かに備えての温存か。

この手の人間は手札を惜しむ傾向がある。

早期決着が吉。

なればこその殲滅である。



絶好のチャンスを探り、潜む。

術者の女は、駅でネギ達と対峙していた。








「フフ・・・、よーここまで追ってこれましたな」


自らの優位性を示すかのように階段上部に立ち、見下す符呪師の女。

それもそのはず。

人質を手にし、ここまで優位に運んできた。

自身の符呪師としての腕にも自身があるのだろう。


先程まで着込んでいた着ぐるみを脱ぎ、手には“符”を構えている。


対するネギ達は、状況の変化と新たな情報・近衛木乃香の立場に戸惑い、先手を許してしまった。


「三枚目のお札、いかせてもらいますえ」

「おのれ! させるか!!」


それに気付き、刹那は疾走する。

神鳴流剣士たる刹那である。

その速度は常人を遥かに超え、十数メートルの間合いなど一瞬に等しい。


しかし、速さこそ命の“符”である。


「お札さん、お札さん、ウチを逃がしておくれやす」


それは刹那の疾走より速く、その力を解き放った。


「喰らいなはれ! 三枚符術、京都大文字焼き!!」


吐き出された、一瞬にして視界を覆う膨大な炎。

女が「並みの術者では越えられない」と豪語するだけのことはある、強力な術である。


咄嗟に動いたアスナによって炎より下がる刹那。

それを見て勝ち誇り、去ろうとする女。


しかし、そこにいる魔法使いは並みの術者ではなかった。

経験こそ浅く、魔力の練りもまだまだ未熟。

なれど、その魔力は強大。

それは英雄の系譜。


「吹け、一陣の風。風花・風塵乱舞!!」


その風は、いとも容易く炎を吹き散らした。

自慢の術をあっさりと破られ、固まる女。


「逃がしませんよ! 木乃香さんは僕の生徒で、大事な友達です! 返してもらいます!」


すかさずパクティオーカードを出し、自らの従者に契約執行を行う。


「契約執行180秒間! ネギの従者、「神楽坂明日菜」!!」








昼間とは随分と違う。

始終慌てっぱなしだった昼間とは違い、それなりに動けている。

魔法の選択も悪くない。

一般人がいる時といない時の違いか。

あるいは、戦闘こそが己が本性なのか。


他にも、特にアスナという少女、思い切りがいい。

身体能力が存外高いようだ。


エッジは潜みながら、分析をしていた。



不意を打つ最高のタイミングを計る。








猿と熊の善鬼護鬼を相手取るアスナと刹那。

ファンシーな外見と違い、その力は本物の熊を超えている。

それらに立ち塞がれ、木乃香にたどり着けない。


それを尻目に女は撤退を図る。


「このか・・・! このぉーっ、たあっ!」


その危機に火が点いたか、より一層力強く振り下ろされるハリセン型アーティファクト。

そして、それは容易く猿の式神を還した。

(―――なっ!)

女は驚愕する。



鬼が力の善鬼護鬼である。

それを簡単に還すことができるアーティファクト。

それは、従者を式神に任せている陰陽師・符呪師にとっていったいどれほどの脅威になるか。

言うなれば、自身以外に身を守る術がなくなることを意味しているのである。



自身の持つハリセンの予想外の力に一瞬呆けながらも、その力の有用性を理解したアスナ。

ならばすることは一つ。


「桜咲さん! なんかいけそう! そのクマはまかせて、このかを!」

「すみません、お願いします!」


即座に戦力を割り振り、木乃香奪還を図る。


「このかお嬢様を返せーっ!!」


神鳴流剣士が術者に迫る。



今や善鬼護鬼が突破され、術者に迫るは神鳴流剣士。

いくらほとんど詠唱を持たない符呪師とは云え、接近戦において剣士の速度には抗えぬ。

現状、詰みであった。



しかし、そこまで甘いはずもない。

事前の調査において判明していた存在。

護衛についている神鳴流剣士の少女。

ならば当然、自身もそれに対する札を用意するのは必然である。





「え~~い」

「なっ!?」


なんとも気の抜ける掛け声とともに、上空から迫る刃。

咄嗟に刃を合わせるも、互いに弾かれてしまった。


「千草はん、遅刻してもてすみません」




刹那に戦慄が走る。

たった一合。

されど腕に覚えがある者ならば、当然判る。

その剣筋は神鳴流のものだった。

(まさか、神鳴流の剣士が護衛についているとは――!)

己がうかつさを呪う。



尤も、エッジに言わせれば見通しが甘いだけ。

戦況は常に最悪を想定するくらいで丁度いい。

事実、エッジの想定通りに、敵の手札はまだあった。

しかし、エッジはまだ動かない。

敵の性能を、手札を、思考を丸裸にするまで。

(・・・さあ、どう動く?)




そんな風にエッジが分析に精を出している一方、刹那とアスナは苦戦していた。


刹那の相手である月詠は、二刀使いの神鳴流剣士である。

珍妙な格好をしているが、その腕は刹那に勝るとも劣らない。

そして二刀使いである。

元より二刀流は一刀流の延長であり、そこに優劣は存在しない。

しかし、腕が拮抗する場合、そこで得物の差が発生する。

刹那の得物は、神鳴流伝統の野太刀。

元々は、対化物用に広い間合いと高い攻撃力を兼ね備えた武器として選ばれた物である。

一方、月詠の武器は打刀の大小二刀である。

これは、そもそもが対人用の刀であり、長さは2尺よりは長く3尺よりは短いといった程度で、取り回しが容易い。

さらに脇差の存在が、手数と間合いに影響し、接近戦に於いての利を与えている。

つまりは、相性が最悪なまでに悪いのだ。

よって、刹那の苦戦は必至であり、明確な実力差が存在せぬ限り、このアドバンテージを覆すには至らないのである。



アスナは単純に素人だからである。

運動神経は良いし、動態視力も高い。

さらには魔力による強化とアーティファクトがある。

しかし、戦いの訓練を受けたことがある訳ではなく、戦闘の経験が多い訳ではない。

それ故に、クマの式神の一体だけならともかく、撹乱に使役された数多の小猿を相手にするには経験不足であった。



しかし、それでもこの場において不利なのは、千草と呼ばれた術者の方である。

なぜならば、千草は忘れていた。

この場においてフリーとなっている存在、ネギ・スプリングフィールドを。



足止めを完了したと思い込み、逃げる千草。

しかし、そこに詠唱が響く。


――――ラス・テル・マ・スキル・マギステル


ギクッと身を竦める千草。

振り返ると魔法を唱えるネギがいた。


「風の精霊11人! 縛鎖となりて、敵を捕まえろ!」

「ああっ、しまった!? ガキを忘れてたー!」


木乃香を式神に運ばせた隙を突き、魔法が放たれる。


「もう遅いです。“魔法の射手 戒めの風矢”!!」


千草に向って疾走る11本の矢。

それが到達する瞬間、千草は咄嗟に木乃香を楯にするべく抱きかかえた。


途端、焦ったのはネギである。

着弾寸前の“魔法の射手”を全て捻じ曲げた。




「はは~ん、読めましたえ。とんだ甘ちゃんやな。人質が多少怪我するくらい気にせんと、打ち抜けばえーのに」


そう言って千草はほくそ笑む。

千草は、元より自分のしていることは理解している。

今更「卑怯」などと言われても、痛くも痒くもないのである。


「ほんまにこの娘は役に立ちますなぁ。この調子で、この後も利用させてもらうわ」


後は逃げるだけ。

勝ちを確信して哄笑い上げる。




これまで、幾つもの小さなミスを重ねてきた千草であるが、この時こそが最大のミスと言えるだろう。

勝負の勝ち負けというものは、最後まで分からないものである。

条件的に勝利が決まっていても、勝ち上がるまでは勝ちではない。

それを理解していなかった三流根性こそが、最大のミスを行わせたのである。




「ほな、木乃香お嬢様には操り人形にでもなってもらおか。ウチの勝ちやな」


千草は木乃香を担ぎ上げ、勝ちを名乗り上げた。

そして千草は思った。

ついでにガキ共に屈辱を与えてやろう。

手痛い目にあったのだ。

それくらいはしてやらなければ、気がすまない。

そして、安っぽい挑発を行った。


「ほななー、ケツの青いガキども。おシーリ、ペンペ「千草はん!!」、何やの? 月よ――ッ!」






突然消えうせる重量感。

ゆっくりと離れていく木乃香。

そして焼けるような熱さを肩に感じた。


「ァツッ!?」


右肩を見る。

赤が吹き出る。

腕がない。

熱い。

痛い。

ゴトンと重い音がなる。

なんだろう?

腕だ。

腕・・・うで?

赤い。

誰の?

腕?

・・・腕が・・ない?

腕がない・・腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が
腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が
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腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が
腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕が腕がッ――――――――――


「ああ嗚呼亜阿嗚嗚嗚アアアア嗚アアああ亜ア嗚呼アアッ―――――――!!!!!!!」





夜に木霊する。







第7話     了




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