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No.18472の一覧
[0] ―― EDGE ―― ネギま(オリ主) [紅月](2010/07/10 18:15)
[1] 第1話[紅月](2010/04/30 00:17)
[2] 第2話[紅月](2010/04/30 11:48)
[3] 第3話[紅月](2010/05/05 21:33)
[4] 第4話[紅月](2010/05/08 01:49)
[5] 第5話[紅月](2010/06/22 17:38)
[6] 第5.5話[紅月](2010/05/15 11:52)
[7] 第6話[紅月](2010/05/21 10:41)
[8] 第7話[紅月](2010/05/22 18:29)
[9] 第8話[紅月](2010/05/28 17:16)
[10] 第9話[紅月](2010/06/07 15:28)
[11] 第10話[紅月](2010/06/21 15:57)
[12] 第11話[紅月](2010/06/21 16:00)
[13] 第12話[紅月](2010/06/28 09:51)
[14] 第13話[紅月](2010/07/05 17:07)
[15] 第14話[紅月](2010/07/10 18:15)
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[18472] 第13話
Name: 紅月◆a3e744a8 ID:f20cc046 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/05 17:07


第13話    『修学旅行―――三日目・長い一日の始まり』






修学旅行三日目である。

この日は、各班とも自由行動となっており、それぞれが望むように遊ぶことができる。

中には、大阪に出掛けるグループ等もあり、予算の許す限りの自由が保障されている。


さて、肝心要の近衛木乃香が所属するグループは、未定である。

エッジにとっては、まったく持って頭の痛い話しである。

護衛のプランが作れないのだから。

穴だらけの昨夜のプランで、なんとかするしかないのである。


とりあえず、打ち合わせのためにネギ達の元へ行く。

昨夜は、ネギ・スプリングフィールドとは話していないので、プランを確認するなら今しかないのだ。

ロビーの死角の休憩所に、彼らはいた。

見慣れない人間が一人いる。

学園長の爺の説明には出ていなかった人間だ。

ということは、ネギ方面から関わることになったのだろう。

あまりの迂闊さに溜息がでる。

この状況において、足手まといを増やしてどうする気なのだろうか、こいつは。

側にはオコジョもいる。

エッジは、オコジョ見て、昨夜の怒りを沸々と思い出していた。




――――昨夜




まさに、パニックという状態である。

体こそ、驚愕で停止状態にあったが、思考は支離滅裂で暴走状態であった。

明日菜の唇の感想から魔力発生の要因の考察、手の平に伝わる腰の感触、背中に触れる床の冷たさへの感想、息子の現状の確認などといった、戦場並の思考速度であった。


明日菜は明日菜で、私のセカンドキス、バスタオルの行方、どうしてこうなった、オコジョ殺す等と考えていた。

しかし、行動まで暴走しなかったのが、救いである。

もし暴走していたら、旅館が、少なくとも風呂は使い物にならなかっただろう。


互いに落ち着いた頃、明日菜から話を聞くに至った。

概要は、こうである。

・魔法陣は仮契約(パクティオー)の魔法陣

・仕掛けたのは、ネギの使い魔のオコジョ“カモミール・アルベール”である

・ひょっとしたら、関係者増えちゃってるかも

・恐らく、金のため(“5万オコジョドル”とか言っていたとのこと)

といったところである。


昨夜、風呂を出た後、仮契約の魔法陣を速攻で破壊し、キッチリ責を取らせるべく、オコジョを探したところ、ネギと共に人前で正座をしていた。

流石のエッジも、生徒達の目の前で小動物を殺す訳にはいかなかった。

仕方なく、明日に回したのである。








エッジは、腰から小振りサバイバルナイフを取り出す。

戦場で、よくウサギや鳥などの解体に使用したモノだ。

そのナイフを、呼気と共に投擲する。

閃光と見紛うほどの速度で投擲されたナイフは、寸分違わずオコジョの股下に突き立つ。


「さて、遺言はあるか? 慈悲深い俺は、一言ぐらいなら聞いてやらんでもない」


カモミールは、体毛で白い顔を蒼く染めるという器用な真似をして、ガタガタと震え、口も利けないようだ。

それもその筈。

投擲されたナイフが、雄の象徴を僅かに掠め、その鉄の感触を伝えているのだから。


「尤も、それで貴様の未来が変わる訳ではないが」


しかし、カモミールは口を利かない。

口をパクパクと金魚のように開け閉めするだけで、音を発しない。

どうやら、遺言はないようだ。

刺さっているナイフを引き抜く。


「どうやら無いようだな。では、死ね」

「ちょっと待って!」


振り上げたナイフを振り下ろそうとした瞬間、静止の声が掛かった。

知らない声だ。

恐らく、一緒にいた見知らぬ女だろう。


「何も殺すことないじゃない! それに、カモッちだけに責任がある訳じゃないわ。私も一緒にしたんだから!」


エッジは、絶対零度の視線を向ける。

揃いも揃って馬鹿ばかりだ。


「なら訊こうか。自分のクラスメイトを、死地に追いやった気分はどうだ? 楽しかったか?」

「そんな・・・、死地なんて大袈裟な・・・」


顔を青褪めさせ、言い訳を始める。

エッジは、そんな様子を見て、視界に入れるのも腹立だしいと、顔を背ける。


「大袈裟だと? 現に、既に血を流しているのに? 随分と楽観的だな。魔法をメルヘンだとでも思ったか? だが残念。魔法は、兵器に過ぎん。
 貴様が巻き込んだものは、事情すら知らずに戦場に立つだろうよ。それとも話すか? 結果は変わらん。覚悟のない者が、生き残れる世界じゃない」

「――――ッ!」

「アイテムが手に入って、戦力増えて、おまけに儲けてラッキー、か? その端金で、貴様は友達を売ったわけだ。よかったな?」


もう言うことは無いと、背を向ける。

さて、オコジョには責を負ってもらわなくては。

しかし、またしても邪魔が入った。


「待って下さい!!」

「今度は貴様か? 何だ?」

「カモ君は、僕の使い魔です。なら、その責任は僕のものです。僕が責任をとります!」


エッジは、口許に侮蔑の笑みを浮かべる。

この餓鬼は、何と言ったのだろうか。

オコジョは「兄貴!」などと言って感動しているが、全くもって状況把握が甘い。


「責任を取る? 見習いに過ぎない貴様がどうやって? それに、貴様がするべきは、発覚当初に記憶を消すべきだった。それが魔法使いとしての責任だった。
 現状では仮契約の破棄。それが最も良い方法だったが、コピーカードは既に譲渡済み。今から取り返すのは、流石に不審過ぎる。
 衆目に晒されてしまったから、今契約を破棄できない。デザインが変わって不自然だ。
 ならば、この状況で貴様にできることなどない。せめて、今後余計な真似を出来ないよう、オコジョで始末をつける。それが妥当だ」

「ッ! それは・・・、僕が彼女達を守ります! それで問題ありません!」

「ハッ! 守る? 近衛木乃香を攫われ、取り返すことさえ出来ない貴様が、誰かを守るだと? 笑わせる。足手まといを抱えて、貴様に何ができる。自惚れるな」


口惜しそうに歯を食いしばるネギを横目に、オコジョに向き直る。

しかし、いざというところで、再再度の邪魔が入る。


「ちょっと待って!」


今度は明日菜だった。

彼女は、少々申し訳なさそうな表情を浮かべているが、それでもしっかりとした調子で言った。


「魔法バレのことも、その後のことも、ネギが責任を持つって言ってる。貴方には迷惑を掛けない。だから殺さないで? お願い!」

「・・・こいつは、きっと繰り返すぞ? 消しとくなら、早い方がいい」

「躾けるわ。それでもダメだと云うなら、何かしらの術で、縛ってもいい。そんな魔法もあるんでしょう?」


エッジは、じっと明日菜を見る。

昨夜のせいか、若干頬を染めて居心地悪そうにしているが、それでもしっかりと視線を返してきた。

溜め息を吐く。


「どういうことか、解っているのか?」

「うん。解ってる」

「仮契約カードがある、ということは繋がっているということだ」

「解ってる。それも含めて解ってる」


仕方あるまい。

エッジは、なんだか明日菜が苦手だった。


「・・・・・好きにしろ。だが、何かあった時、その罪は軽くないことを覚えておけ」




朝倉という女を追い出し、話し合いを始めた。

余計な情報漏洩は防ぐべきだ。

尤も、確認するだけであるが。

目的の確認、状況の確認、戦力の確認。

最良は何も起きないこと、最悪は他の生徒も巻き添えに襲われること。

この際、一般人は考慮外だ。

尤も、何も起きないなんて、現状では天地が引っ繰り返ってもありえないだろうが。



「旦那、あんたのカードだ」


オコジョがビクつきながらも、一枚のカードを寄越した。

仮契約(パクティオー)カードである。


表には“神楽坂明日菜”が描かれている。

その姿は、両手を胸前で交差させ、アーティファクトでガードしている。

称号は“守り通す者”。

アーティファクトは“scutum depulsum(魔除けの盾)”。

これは、手甲と肘まであるプレートアーマーに、展開・収納が可能な円盾が付いた形だ。

ナックルガードまであるので、殴り合いすら可能だろう。

強度、能力共にまだ不明だが、それなりに便利そうである。


契約を解除しようと考えていたが、現状では役に立つかもしれない。

周囲に目を走らせ、人目を確認する。

誰もいないことを確信し、明日菜にアーティファクトの召喚をさせた。


「アデアット」


カードが光を放ち、明日菜の両腕に鎧が展開された。


「わ! 凄い。思ったより重くない。これならハリセンも振るえるわ」


もう一度「アデアット」と繰り返し、もう一つのアーティファクトを取り出す。

ハリセンのアーティファクトだ。


ネギ側のアーティファクトとエッジ側のアーティファクトが、全く性質の違うものだが、複数と契約するとままあるものらしい。

主の性質に引っ張られるのだとか。

魔法使いの従者と剣士の従者。

違うのも頷けるというものである。






一通り確認が済んだ一行は、それぞれの目的地へ向う。

尤も、最初から頓挫するに至った。


自由行動において、予定のなかった近衛木乃香擁する5班は、こっそり行動する明日菜を見つけて、一緒に行動することにしたのである。

いきなりの予定変更に、思わず溜め息を吐くエッジであった。



一日は、始まったばかりである。







第13話    了


作者一言
微妙に難産でした。
カモは、殺したいんだけど、後々必要かもしれないし。
普段は空気だけど。
刹那は空気。


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