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No.18472の一覧
[0] ―― EDGE ―― ネギま(オリ主) [紅月](2010/07/10 18:15)
[1] 第1話[紅月](2010/04/30 00:17)
[2] 第2話[紅月](2010/04/30 11:48)
[3] 第3話[紅月](2010/05/05 21:33)
[4] 第4話[紅月](2010/05/08 01:49)
[5] 第5話[紅月](2010/06/22 17:38)
[6] 第5.5話[紅月](2010/05/15 11:52)
[7] 第6話[紅月](2010/05/21 10:41)
[8] 第7話[紅月](2010/05/22 18:29)
[9] 第8話[紅月](2010/05/28 17:16)
[10] 第9話[紅月](2010/06/07 15:28)
[11] 第10話[紅月](2010/06/21 15:57)
[12] 第11話[紅月](2010/06/21 16:00)
[13] 第12話[紅月](2010/06/28 09:51)
[14] 第13話[紅月](2010/07/05 17:07)
[15] 第14話[紅月](2010/07/10 18:15)
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[18472] 第10話
Name: 紅月◆a3e744a8 ID:3903c47e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/21 15:57

第10話   『修学旅行―――宴の夜』







「もう! なんなのよ、アイツ! 訳分かんない!」


再開した見回りの中、明日菜は不満を吐き散らす。


明日菜にとって、エッジは理解不能な相手だ。

ほとんど会話らしい会話などしたことがなく、まともに顔を合わせたのだって先程が初めてに近い。

印象だって悪い。

初めて会った時は、高畑と戦っているときだったのだ。

憧れの高畑を傷つけていた存在。

そんな相手だから理解できなくても仕方ない。

だけど、なのだ。

だけど、エッジは木乃香を助けてくれた人で、今は一緒に戦う仲間なのだ。

そんな人間が理解不能であることに、明日菜は我慢できない。

明日菜は我慢できない人間なのだ。


「まあまあ。落ち着いてください、明日菜さん」

「だってさ! ・・・ごめん、刹那さん。刹那さんに言っても仕方ないのに・・・」


そう言って、明日菜は顔を俯かせる。


その様子をみて、刹那は素直な人だなと思う。

真っ直ぐで、ぶれていない。

一本芯の通った強さがある。

そんな明日菜を羨ましく思う。


「構いませんよ。明日菜さんの気持ちも、解らない訳ではありませんから」


刹那にはエッジが理解できる。

自身、裏に関わってきた身であるし、彼と似たようなスタンスの龍宮がいた。

きっと彼は、ただ任務をこなそうとしているだけだ。

それも、最大効率をもって成そうとしている。

それだけなのだ。

しかし、それが一般人には理解し難い。

命の重さという道徳が根付く、一般社会において育った人間には特に理解できないことだろう。


「ありがとう。でもいいわ」

「そうですか」


明日菜は、ハッキリと「うん」と頷き、そして宣言した。


「わかんないなら、訊けばいいのよ!」

「―――え?」


あまりのことに、刹那は一瞬呆けてしまった。

尤も、誰もそれを咎めることは出来ないだろう。


「うん、そうよ。簡単なことだったわ。なんで気付かなかったか判らないくらい」

「・・・・・・」


いまだに「そうよね、うん」などと呟く明日菜の後姿を追いかけながら、刹那は思う。

やはりこの人は強い、と。







明日菜達は見回りを終え、再びエッジの部屋へ訪れた。

しかし、ノックに反応はなく、刹那は部屋に人の気配がないと言った。


「何処に行ったのかしら?」

「さあ? もしかして見回りをしているのかもしれません」

「なんだか肩透かしを喰らった気分だわ」


そう言って、緊張が抜けたのか盛大に吐息を零した。

刹那は、その様子にクスリと小さく微笑む。

なんだかんだ言っても、やはり少女でもある。


「なら、先にお風呂に入りませんか? 昼間から警戒し通しで、疲れが溜まってる筈ですから」

「う~ん、そうね。お風呂入ってからにしようか。昨日は騒ぎで楽しめなかったし、今の時間は誰もいない筈だし、丁度いいわ」


嬉しそうに笑う。


「ところで刹那さん」

「はい?」


明日菜は訝しげに周囲を見回す。

特にこれといって、変わりはない。

だが。


「この異様な雰囲気、何なのかしら?」


旅館全体が、異常な熱気に包まれている。

とはいっても、騒がしい訳ではなく、実際に熱い訳でもない。

どちらかと云うと、静かな方である。

強いて言えば、内に熱を秘めた溶岩のような、嵐の前の静けさというか、何やら怪しい雰囲気を醸し出している。


「・・・たしかに。何でしょう? でも、危険な感じはしませんね」


刹那も首を傾げる。

明日菜は、「そういえば先程カモさんが外に・・」とブツブツ呟くのを眺めながらも、まあ良いやと思う。


「危険がないならいいわよ。カモだって、これ以上ネギの立場を危うくしないでしょうし。それより、お風呂行きましょ」


それよりも、お風呂に入りたいのだ。

刹那も少し考えて、結局同意した。

危険ではないのだ。


「そうですね」


二人は、風呂道具を取りに歩きだす。


この判断が、吉とでるか凶とでるか、今はまだ判らない。







各部屋備え付けのテレビからは、ひとりの女子生徒の声が流れている。

彼女の名は、朝倉和美。

今日、魔法という裏を知るに至った、通称『麻帆良パパラッチ』である。

彼女は、芝居がかった口調で説明を続ける。

それはゲーム。

ネギの使い魔である、カモミール・アルベールが監修する“仮契約(パクティオー)”ゲームである。


「“くちびる争奪!! 修学旅行でネギ先生とラブラブキッス大作戦”!!!、では、ゲーム開始!!


関係者達は知らず、始められた。









「・・・やっぱり、なんか騒がしいわよね・・・」

「気にし過ぎても仕方ないですよ。それに、やっぱり危険な感じはしませんから。大方、クラスの皆で、何かゲームでもしているんでしょう」


風呂の脱衣所で、服を畳みながら二人は話す。

明日菜は、危険がないと言っても気になっている様子で、それを刹那が諭している。

尤も、気になっているだけで、行動にまで起こす気はないようだ。


「・・・それは在り得るわね・・・」

「そうですよ」


二人は、のほほんとお喋りをしながら、風呂へと歩を進めた。



ここの旅館の風呂は少々特殊で、男女の脱衣所は別々であれど、湯船は一緒の露天風呂を使用する。

早い話、混浴である。

尤も、旅館の貸切とは言え、男性教師もいることから時間帯は割けられ、重ならないようにされている。

男性教師達は、生徒達に先んじて入浴を済まし、今は見回りに励んでいる。

生徒達は、既に就寝時間を過ぎ、公式には寝ている筈である。

誰もいない筈の時間であった。

だからこその邂逅でもあったが。



「ん? ・・・ふん」


最初に気が付いたのはエッジである。

風呂という気の緩む瞬間であろうとも、最低限以上の警戒を切らないのは、傭兵としては基本中の基本である。

ましてや、自宅でもあるまいし、そこまで気が緩むことなどない。

尤も、気が付いただけで何もしなかった。

戦場で暮らす傭兵が、いちいち男女別れて過ごすことなどない。

食事は言うに及ばず、風呂・トイレ・寝所すらも同じが基本であり、幼い頃から過ごして来たエッジは、見るも見られるも慣れっこなのである。

だから、誰が入ってこようと、敵でない限りはかまわないのである。

ついでに、見知った気配だった、という理由もある。


次に気が付いたのは刹那であった。

剣士としての感覚が、風呂にある薄い気配を捉えた。

そして同時に、それが誰かを知るに至る。

咄嗟に、先に浴場に入った明日菜に声を掛ける。


「――あっ、明日菜さ「あーー!!」・・・、遅かった・・・」








修学旅行の夜は長いのだ。








第10話    了




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