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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編24
Name: よよよ◆fa770ebd ID:fae2e84c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/09/23 00:48

リインという、まるで妖精にも思える小さな女の子から検索魔法を教えてもらった俺達は、開かれた扉の奥、天井と床以外の所は全て本とそれらを収める棚で造られているかのような印象を覚える書庫に足を踏み入れる。
俺やセイバーに遠坂の三人は、検索魔法に慣れているリイン達からのアドバイスを受けながら本を検索する魔術を起動させてみるのだが―――

「っ、凄いぞこの魔術!?」

感覚的には目を通すといった感じだが、厚めの本一冊が数分程度で読み終えられ、じっくり読むという感じではないので頭に入りにくいかもしれないけど、それを考慮したって凄い速読法だ。
それに、飽く迄もこの魔術は検索を主にしている魔術、気になった箇所にしてもそこだけ時間をかけて読めばいいだけなんだから、こんな魔術ならライダーだって気に入るかもしない。
そう思った俺は、改めてミッドチルダ式という魔術の奥深さをかいま見たような気がした。
普通に生活していれば必要のない破壊的な魔術なんかよりも、こんな風な魔術の方が何倍も便利で使い勝手がいいに決まっている。
俺達の世界だったら何をするにしても科学か魔術の片方づつでしかできないが、ミッドチルダなら科学と魔術の二つを統合したアプローチが可能になる、それは時にはデバイスやゆりかごのように科学と魔術の技が融合しているケースだって現れる程のもの。
科学の可能性と魔術の可能性の両面で発展する文明ミッドチルダ、その秘められた可能性に俺は圧倒される反面で少し羨ましくも思えてしまう。
湧き上がる感情に気がつき、やや高揚していたのを実感した俺は頭を冷やすというか、落ち着かせる為に周囲を見渡してみる。
それにしても、こう……なんていうんだろうな、本ばかりの場所にいると、ふと前に行った事のあるアヴァターでの出来事を思いだしてしまう。
結局、あの図書館の地下にあった書物の多くは何かしらの罠が仕掛けられていそうなので読に読めなかったが、ここと違って無重力なんかじゃなかったし、本の多さにしても無限と有限の差がある、でも壁全体が本で埋まっているのや雰囲気に関しては似たような感覚を受ける。
でも、あの世界はあれからもう四十年も経ってるんだ……セルやデビットにしても六十近いだろうけど今頃どうしてるんだか……
と、そこまで過って気づいた―――似たような雰囲気だって!?
俺が気になった違和感にセイバーも気がついたのか通路の奥に目を向けていて、

「……来たようだな」

「みてーだ」

違和感を感じたシグナムとヴィータがバリアジャケットに変わって通路の奥に目を向け、次いで大人のフェイトやスバルも展開した。
そうか、これもマルチタスクとかいう分割思考の応用の一つで、検索魔術を制御しながらも常に通路の奥に注意を向けてたって事なのだろう。

「思念体ってどんな感じなんでしょうか?」

「そうだね。昔、ユーノ君の手伝いをしている時に会ったのは時代は判らないけど甲冑みたいのを着てたかな」

疑問の声を上げるスバルにフェイトは答えるが、その視線はセイバーに加え遠坂にも注がれていて、それは遠坂を通して『英霊』であるアーチャーに向けられているものかもしれない。
ただ、バリアジャケットに変わったスバルの姿はアルフと同様、お腹や太股があらわになっているので俺なんかには目の毒に感じる………っていうよりも、機動六課って局員なのに皆私服みたいな姿でいいのだろうか?
そりゃまあ、いいんだからその服装にしてるんだろうけど機動六課って俺達の感覚でいえば刑事みたいな感じなのだろうか?
時空管理局に世話になっている身とはいえ、まだまだ知らない事ばかりなのでとりあえずスバルから視線を変えた俺は奥から来るという思念体について思考を割く。
八神達からの話からはほぼ話しが通じないような印象だったが、状況がどう動くか判らないのもあって俺も黒い胴鎧に赤い聖骸布で作られた外套を投影した上で透明にして展開したバリアジャケットを纏い、セイバーや遠坂もそれぞれ防護服姿へと変わる。
ただ、もしもの場合がある、念の為に俺はそのまま投影するのではなく、すぐさま撃ち出せるよう設計図のまま待機させた。
そうしているなか、

「……あれ?」

不意にスバルから声が上がる。
見れば、ローラーブレイドみたいな型のデバイスで青色をした足場を作っての移動を試みたようだが、ここ無限書庫のなかは無重力、即ちローラーが加速したとしても足元だけが動いてしまうので逆上がりをしたかのようにスバルは後ろ向きに回転してしまって。

「ええ!?」

セイバーの助言を得たとはいえ、まだ無重力に慣れないスバルは咄嗟に後ろ向きに回る力を戻そうと力を入れるのだけど、それが自分の意思とは逆に作用して望まない方向へと動いてしまうようだ。

「大丈夫か」

「すみません……」

そんな彼女が俺の方に漂ってきたので体を受け止めたまではよかったけど、

「仕方ないわね―――Anfang(セット)」

無重力の影響で上手く動けないスバルに対し、溜息を吐きつつも遠坂が魔法陣を展開したその瞬間、スバルの体がもの凄く重くなって受け止めていた俺を押し倒した。

「大丈夫ですか!?」

「ああ。透明にしてるから判り辛いけど、俺もバリアジャケットをしているから」

向かい合うようにして押し倒されてしまった俺をスバルは心配するが、防護服というだけあって衝撃などに対する耐性は高い。
ただ、なんていうか………女の子って軽いものかと思ったけど、実は結構重かったんだなとか俺のなかの儚い幻想が砕かれたのだけは感じてはいたが……

「―――っ、足が地面についている?」

跳び退くようにして俺の上から身をどかすスバルだが、違和感に気がつきあれれと訝しむ。

「でも、どうして……」

「簡単よ、貴方の体に重力に代わる圧力を加えてるだけだから」

「そんな事ができるんですか!?」

「出来るもできないも、現にやってるじゃないの」

「それはそうですけど……」

遠坂が言うには重力に代わるような圧力らしいが、重力を扱う魔導師が少ないのか、もしくはなにかしらのレアスキルが必要なのか判別し難いところだが、いとも簡単に行なってしまった遠坂に対してスバルは輝くような眼差しを向けている。

「重力操作系の魔法とは器用やもんや、しかも重力が無い所に作ってもうたんやから」

「流石、複数の変換能力を使いこなしているって言われてるだけあります」

素直に感心している八神やリインには悪いが、遠坂は圧力とは言っても重力とは言ってないので重力操作系の魔術とは違うかもしれない、それに何枚もよそ行きの皮を被っている遠坂の本当の性格を知ったらショックだろうな……
そう思い立ち上がる俺の目には、通路の奥から甲冑を身に纏った形の影が姿の現れるのを捉え、

「なんとか話しが通じる相手ならいいんやけどなぁ……」

「データを見る限りは難しいとしか言えません」

通路の先から扉の前までは結構な距離があるのもあってか、八神やシグナムが姿を捉えても時間的な余裕はまだある、それに、あそこから魔術を放ったとしても直線の通路である以上は防ぐのは容易い筈だ。

「予定としては後ろに下がらせるつもりでいたが、とりあえず動けるようになったんならいつでも動けるようにしとけ」

「はい!」

武力行使は最後の手段と考え、相手の出方を見定めるべく様子を見守ってはいるが、地上と同じく地面に足がついて自由に動けるようになったスバルを遊ばせる必要はないと考えたヴィータは指示を飛ばす。

「侵入者を見つけた」

「全ての侵入者に死を」

しかし、現れた思念体達は殺す気満々で向かい来ていて、

「……こらあかん迎撃や」

そうなると八神も躊躇う必要はなく全員に交戦の許可を下す。
とはいえ入る時も言われたが、ここの思念体には非殺傷での無力化ができないという話しだ、でも、それは偶々当たりどころが悪かった可能性などがあるし、そもそも俺達はまだ試してすらいないんだ、

「とりあえず非殺傷が効かないか試してみる」

俺は魔力回路に念の為に待機させたままの設計図には撃鉄を落とさず、籠手の形をしているイデアルの形状を弓に変化させ非殺傷の矢を続けざまに放ち、

「まあ。見たところ相手は少数だ、効かないか試してみる価値はあるだろうな」

小柄な体のヴィータは正面に小さな鉄球を幾つか展開すると槌を叩きつけて撃ちだし、

「そうだね」

フェイトも既に発動準備を終えていたらしくフォトンランサーに似た魔力弾を放った。
薄っすらと後ろが透けて見える思念体の数は五、六体だったが、俺達の放った矢や魔力弾に鉄球は思念体達の集団に吸い込まれるように命中して行き、直撃を受けた思念体達は「うわぁ」とか「がぁあぁぁ」とか悲鳴や断末魔を上げさせ。
そればかりか、フェイトの魔力弾かヴィータの鉄球かは判別し難いが非殺傷なのに所々で爆発まで起き文字通りに跡形もなく消し飛ばしてしまった。

「オーバーキルもええところや……」

俺の矢の他にフェイトの魔力弾やヴィータの鉄球まで受け、非殺傷なのに瞬殺という状況に、やり過ぎとでも言いたいのか八神は頬を引き攣らせるが警戒は解いていないようだ。

「ただ、ここはまだバックアップされとらん区画やさかい周りは傷つけんよう注意してな」

苦笑する八神は続け、ここ無限書庫では本などの収蔵物がデータ化され別に保存されているのを示唆するが、この区画は生憎対象外なので本を傷つけないよう釘を刺す。
言われてみれば、例え物理的影響が少ない非殺傷設定だって魔力が篭った書物なら魔力そのものにダメージが入ってしまうから破損してしまう可能性がなくはない、そうなれば当たり前だけど貫通力に優れる砲撃系の魔術は使えないって事になるな。
密度の高い魔力を放つ砲撃は密集している相手に対して高い効果を発揮するのだけど、貫通力が高いって事はそのまま本棚に直撃するって意味でもあって、それは遠坂が宝石剣から放っていた斬撃にも同じ事がいえた。
なにせ俺達は闇の書に関する手がかりを探しに来てる、それなのにその手がかりがあるかもしれない書物を傷つけてしまうのは本末転倒でしかないのだから……
ただ、なんていうか……思念体に関してはあまりにもあっけなさ過ぎというか、存在的な意味合いで薄いというか言葉にし難い違和感を受けるものの、入る前に個々の思念体の力はそれほど強くないのを告げられていたのを思いだし納得する。
しかし、さっきの奴らは巡回だったのか数分もしないうちに―――

「誰も死者を殺す事はできない」

「死は誰にでも訪れる」

などと口々にしながら、通路の奥から次々と新たな思念体ら姿を見せ、大剣や斧槍を手にする思念体達は遠距離からの魔術など警戒してないのか、躊躇なく飛行魔術を使い無重力の通路を駆けて来る。
そうなると当然、今度もフェイトの魔力弾やヴィータの鉄球が炸裂して大半の思念体が消え失せる、だが今度は魔力弾が来るのを想定していたのか通路に広がるよう散開するようにして向って来ていた為に全員を倒すにはいたらず。
一度に幾つものカートリッジを投げた遠坂は、投げた先で解放させた魔力をそのものを波として叩きつけ、いつまにやら髪の色が変わっていた八神は本を片手に持ちつつ杖から散弾のような魔力弾を放つ。
倒すよりも動きを鈍らす方に比重を置いた魔術を使う二人だが、気がつけば妖精のような小さな姿が見えない、まあリインは体格的にも戦いには向いているとはいえないからな、きっとどこかに隠れるなりして避難してるのだろう。
そう思うも、俺は魔力の効率的には悪いが投影した矢ではなくデバイスを用いた非殺傷の矢を放ってみるものの、どうやら思念体の体は魔力で構成されているのか魔力によるダメージを受けるとそのまま形が崩れるようにして消えてしまうのが解った。
これでは非殺傷の意味がないのを見届けた俺は、皆の投射魔術が効果を増せるよう待機させていた設計図の一部を解いて矢での牽制に務めていたが、投影魔術による矢とはいえ魔力的な干渉がない普通の矢では逆に効果がないように見受けられ、仕方なく再び弓状に展開したイデアルでの牽制になるが思念体は増える一方で一向に減る様子を見せないでいる。

「リボルバーシュート!」

俺やフェイト、ヴィータの弾幕を掻い潜り、距離を縮め来る思念体達に、右手にのみにナックル状のデバイスを装着するスバルは回転する衝撃波みたいなの拳に纏わせて振るう。
魔力弾とは違って、衝撃波であるため影響を及ぼせる距離は短いものの範囲は広い、その為、無重力という影響から思念体達の飛行魔術に干渉して仰け反らせたり、または後ろに吹き飛ばしたりするだけに留まりはしたが、思念体達は互いの体が障害になり動きを封じられ。

「はぁぁぁ!」

「おおおおッ!!」

その刹那、間合いを詰めたセイバー、シグナムの両名が斬り伏せた。
ある意味、近接戦闘専門の二人が動いた事からフェイトとヴィータも投射魔術から剣、槌と近接戦に切り替えスバルも突貫して行き、残る俺や遠坂、八神の三人は後ろから援護に徹する。
即席のチームである為が故に連携に関しては難がなくもないが、セイバーと長いつき合いからかアームドデバイスと呼ばれる剣型のデバイスを持つシグナムの動きはなんとなくだが判るし、年齢の差こそあれ、この世界のフェイトの動きを知っているからか大人のフェイトの呼吸というかリズムみたいな感覚もそれほど違いはなさそうだ。
つけ加えるなら、次第に思念体側からも魔力弾を放ってくるのが現れるけど、セイバーは高い対魔力で避けず無効化し、シグナムはバリアジャケットに更に魔力で編まれた装甲を追加しているらしく弾き反らしているので戦い方も似ている印象を受ける。
ヴィータ、スバルの二人も魔力で編んだ盾で相手ごと受け止めるような動きで阻んでくれから俺も援護がし易く、大人のフェイトは四人が漏らした相手に対して魔力弾を放ち時には素早く距離を詰めて斬り伏せていた。
そんな風に状況を把握しながら弓を射りながら、俺は前に出るセイバーを始めシグナムやヴィータ、スバルの四人の動きに応じて、数で勝る思念体達に包囲されないよう牽制に勤める。
始めこそ互いに前に出る四人の援護に躊躇する気配もあった遠坂や八神だが次第に動きを把握して状況に応じた対応をする、特にスバルに圧力をかけつづけている遠坂は更に魔力の消費が多くなるアーチャーの実体化は控えているようだ………いや、逆に考えれば前衛にセイバーと機動六課のメンバーがいれば戦力としては十分、アイツを出す必要がないからかもしれないからが一番の理由かもしれないな。
そう思いつつも交戦は続き、互いに連携を行いながら思念体を殲滅し続ける俺達との攻防に、向こうも数が尽きて来たのか奥から現れる姿が途切れセイバーは残り一体になると小盾型のデバイス、シルトを構えたまま体当たりではね飛ばし、

「フリーズバインド」

素早くデバイスの先を向けたかと思えば高速で魔法陣が展開され、床に叩きつけられた思念体の体のほとんどを氷で封じる。
かつて、アリシアがイリヤと一緒に行ったという異世界で組上げたバインド系の魔術、それらは様々な属性や状況に対応していて種類も多いいけど、問題は大半が相手の動きを封じるのではなく必殺の罠や指定空間にて高い殺傷力を誇る極めて攻撃性が高い魔術となっていた事だ。
その辺りは何を目的にするのかの前提が違ってるのだろうけど、非殺傷にすると今度は中途半端な魔術になってしまい、火属性のフレイムバインドや風属性のスラッシュバインドなどは殺傷設定なら一撃必殺の威力を誇るものの、非殺傷の場合は相手を拘束できないばかりか中途半端な痛みばかりを与えてしまう欠点があった。
そんな事情からセイバーが使うバインドは通常なら凍結させた後で砕くのだが、非殺傷扱いで扱う為にそれ以上は行なわない匙加減が求められる。

「何故にお前達は我々を襲う?」

首から下を氷漬けにされた思念体に対しセイバーは目には見えない不可視の剣を向けるが、その冷たい威圧感から何かしら得物を向けられているのは判るだろう。
それに加え、セイバーが体当たりで吹き飛ばした際、意図を察したフェイトもまた高速無詠唱でバインドを使ったものだから、氷漬けにされた挙句に魔力で編まれた縄みたいなモノでグルグルに巻かれて身動き一つできそうにない。

「愚かな、既に死した者がそんなものを恐れるものか」

だが、厳重に拘束された状態でセイバーに剣を向けられたにも関わらず、思念体は恐れを抱いた様子もなく問いに答えようとしない。

「なら。そもそも、なんでこんな所こにおるん?」

剣を向けての威圧が効果をなさない思念体に対し、八神が問いかけを変えて臨めば、

「我らは、お前達のような侵入者から主を護る為に居る者」

押して駄目だから引いてみるみたいな感じなのか、頑な態度の相手から言葉を引き出させ。

「主?」

のほほんとした表情のまま聞き返す八神に、

「主は重要な研究をしている邪魔はさせない」

「なるほどなぁ、あんたらには指示を出しとった者がいるわけや」

「そうだ。お前達のような者がここを荒らさないよう追い払うのが我らの役目」

「別に私らは邪魔しに来たんとちゃうで、ただ主って人に話をしたいだけなんやけど?」

「我らを欺こうとも無駄な事。
かつても、その様な言葉を用いて主の研究室を襲った者いる、もう二度と欺かれはしない」

思念体は話を続け、この場所には誰かが住んでいるのが判明した。

「こっちは騙す気なんかねーけどな……」

「案内してくれれば嬉しいけど、そんな雰囲気じゃなさそうだね……」

「ええ。こちらとしても、話し合いで解決できるのならその方が好ましいのですが……」

操る奴がどんな相手なのか解らないけど、思念体の話からすれば前に強盗にあったような言い分で、管理局の局員なのに強盗扱いされたからかヴィータは鉄槌を肩に乗せながら嘆息し、様々な事件を担った経験からフェイトは協力の意思は引き出せそうにないよう考え、セイバーも同様に思ったのだろう意味をなくした剣を下ろす。

「死者ねぇ……」

まじまじと思念体を見詰める遠坂、俺も思念体達から向けられる殺意からして悪霊か浮遊霊の類かと思っていた、けど実際は違っていて、誰かに使役されているのだからある意味で驚きを禁じえない。
なぜなら、幽霊などの霊体はそもそも魂そのものが彷徨っているような状態、それを使役できるって事は次元世界にも魂を扱う魔術が在るのを意味するからだ。
プレシアさんの件以来死霊術の類や魂に関する術はこっちの世界にはないように思っていたけど、どうやらこの様子ではその考えは改めた方がよさそうだ。

「でも、自分達を死者っていう割にはなんだか曖昧な感じなのよね」

「ただ単に、世界が違うからじゃないのか?」

俺も疑念を抱いたが、この世界での霊体の性質が俺達の世界のとは違うだけなのかもしれない、けど遠坂はこの思念体達そのものが幽霊の一種とは考え難いようだ。

「どう思う、アーチャー」

だからか遠坂は霊体化しているアイツに声をかけ、

「……ふむ。死者を名乗ってこそいるが、見たところ何かしらに執着しているようには思えん、故に霊の類と判断するにしても魔術的な要素が付け加えられ使役されていると考えた方がいいだろう。
だが、君は優秀な魔術師であるのと同時に、ミッドチルダ式をも少なからず扱える魔導師、よもや……こちらの世界の魔術と我々の世界の魔術が同じだとは思ってなどいないはずだろう?」

アーチャーも姿を現して答える。

「そうね。本来、形のない浮遊霊は微弱な存在だから人に感知されず、まして接触なんかできっこない……精々、影響を受けるなら霊視を持つ者くらいだもの」

そう返す遠坂だが、アーチャーとは専用回線があるのにあえて実体化させるのには何か意味があるのかもしれない。
そんなやりとりに、

「なるほど」

「そういう事なら私らに近いって話しか」

シグナムとヴィータの二人は納得している様子で、四人のやりとりから思念体達はプログラムというかデータ的な存在って事になる。

「そうなると魔よけの類は効果ないわね……」

遠坂なら霊的な存在に対して追い払ったり、干渉できなくする術を幾つか心得てそうだが、この世界独自の情報生命体が相手では門外漢もいいところだ。

「でも、何時からここに住み着いていたんしょうか……」

周囲を見渡すスバルは、書庫という生活に必要な設備がない所なのに、いつの間にか思念体を操る相手が住み着いていた事にやや困惑している様子だが、

「まあ、やる事は一つや。どんな理由にせよ、時空管理局の重要なデータベースである無限書庫に勝手に住みついてるのはあかん、闇の書に関する探索は一時棚上げにして、ここに住み着いた相手の捜索に変更や」

「それでいいんじゃなの。何はともあれ、こいつらが襲ってこなくなれば、その方が探索だってやり易くなるんだし」

思念体達を統べる存在が居るのを知りった八神は、思念体による業務妨害とでもいうのだろうか、無限書庫の一画を占有している相手を捕まえる方向で考え遠坂も賛同する。

「では、この者の処遇はどうします」

「仮に首を刎ねたとして、バックアップがあるのであればその記憶だけ持って蘇るだけだぞ」

氷漬けにされ更にバインドで拘束されている思念体に視線を向けセイバーだが、アーチャーは例え殺しても元のデータがある限り何度でも蘇る情報生命体には効果が薄いのを告げた、しかし―――

「……私達は管理局の局員なんだから、捕まえたのなら逮捕はしても首を刎ねるのは駄目だよ」

「そりゃそうだ」

セイバーに解りやすくする為の比喩だったが、どうやら次元世界ではいい表現ではなかったらしくフェイトやヴィータから抗議の声が上がった。
ある意味、警察が捕まえた相手の首を刎ねるとか言ってるのと同じだから当たり前といえばそうなんだが、問題は殺しても意味のない相手だけにどうするかだな……

「とりあえず、動けないようにしとくしかあらへんな」

八神がそう告げると、思念体を包んでいたセイバーのフリーズバインドやフェイトのバインドごと分厚い氷が更に包み込み、思念体を包んでいた氷の束縛は床から固定された氷柱へと姿を変える。

「凍てつく足枷(フリーレンフェッセルンッ)のちょっとした応用やけど、これで一、二時間は動けへんやろ」

「なんつー馬鹿魔力……」

俺も感じたが、今の八神が使った魔力はセイバーに迫るほどの凄まじかったから遠坂も呆れ顔だ。

「今はリインとユニゾンしとるさかい私だけの魔力じゃあらへんよ」

「リインが……」

俺はてっきり近くで身を隠しているのだとばかり思っていて、

「見た目は一つの体ですが、なかには二人いるという事ですか」

「そういう事や」

セイバーも一人の体に二つの意識が入っている状態の相手を見るのは珍しいらしい。
乗り物とかでは複座は珍しくもないけど、人の体で複座みたいなのは珍しいというか、俺達の世界だったらある意味で二重人格者にも思われそうだ。

「兎に角、ここに住んどる相手は捕まえなきゃならん」

八神はリインが入る際に行なったのと同じ魔術を使い、これまで何かあったときの退路として開いたままでいた扉を思念体が外に出ないよう閉ざし、

「ほな行こか」

通路の奥を見据えたまま俺達を促した。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第24話


幾つもの小さな通路が交差するなか、比較的大きな通路を進む私達だが伸びる先は緩やかな曲線を描いている為に奥までは見通せず、皆の口数もサーチャーによる探索に集中している為に少ない。
幾ら前後や左右にある通路にサーチャーを送り込んで調べているとはいえ、状況が状況だ、いつ奇襲を受けるか予測がつかない事からヴィータとシグナムが前衛を勤め、本来なら私も先陣を申し出るつもりでしたが、初めて経験する無重力という慣れない環境では私の踏み込みも衰えるかもしれず大人のフェイトと共に隊列の両脇に位置しての警戒にあたっていた。
無論、私は兎も角、空戦に慣れているフェイトは無重力という環境でさえ問題にしてないが、その動きの速さ故に遊撃性を生かす必要から前衛からやや下がった所で警戒を行い。

「八神部隊長、手を煩わせてすみません」

「遠慮は無用や。私の魔導師特性は広域拡散なんや、せやから周囲に重要な物があるような場所やと使い辛いんよ、それでも魔力だけなら十分あるんやさかい気にしなくてええで」

私やヴィータ、シグナム、フェイトに囲まれるようにして無重力下での動きが上手くないスバルは機動六課の部隊長、八神はやてによって手を引かれ、その後ろではシロウと凛が後方などを警戒しながら進んでいるが、はやてがスバルを牽引する理由はスバルを戦力化させる事が可能な凛の魔力を節約させる目的もある。
しかし、当の凛は何か浮かない表情をしていて、

「凛、何か気になる事でも?」

「………まあね。ここって、次元空間に浮かんでる要塞みたいな所でしょ、だから星の生命力であるマナがない筈なんだけど、どうもここに来てからあるような感じがするの、セイバーや衛宮君はどう?」

私の問いかけに凛は逆に返してきて、

「マナか……言われてみれば無くもない感じか?」

シロウは魔術師ですから多少なりとも感じとれるかもしれないですが、

「似て異なる何かというのでは?」

「場所が場所だし、そうかもしれないわね」

私が知る魔術は元々アヴァターに行った際にアリシアから教えられたミッドチルダ式魔術、それは私達の世界の魔術とは似て異なる魔術と科学が入り混じったような術であるが故に神秘を基とする魔術に関しては判断し難いのがありますが、ここは次元空間に人工的に造られた建造物、ならば星と同じような生命の力が在るとは思えず凛もそれについては否定しない。
なるほど、はっきり断言できないからこそ悩んでいたという訳ですか……

「そのマナというのは魔力素とは違うのか?」

「ええ、マナは私達の世界だと大源とも呼ばれていて自然界の生命力を指すの、それを魔術回路を通じて取り込んで魔力にするって寸法よ」

似て異なる並行世界である以上、魔術回路とリンカーコアは魔力を生成する段階からして違う、故にシグナムはこの世界で一般的な魔力生成する元である魔力素との違いを聞いてきたので凛が違いを告げれば、

「でもよ、ここにはその大源だかマナだかがほとんど無いんだろ大丈夫なのか?」

今度はヴィータが魔力を生成する元が無い状況なのにどうする気なのか問いかけて来る。

「魔術回路には魔力を生成するのにもう一つ方法があるから今のところは平気だ」

「というと?」

安心してくれとばかりにシロウはヴィータに答えるものの、理由を言ってない為に大人のフェイトが聞き返した。

「マナを取り込んで作る代わりにオド、小源ともいうのだけれど生命力を変換して魔力を生み出せやり方があるのよ」

「っ、生命力って大変じゃないですか!?」

生命力を消費するという凛の話しに、使いすぎれば命に関わるのを知ったスバルは驚を隠せないでいますが、

「リンカーコアだって使い過ぎれば魔力消耗を引き起こすでしょう、それと似たようなものよ」

凛は苦笑しつつ、魔術回路にしてもリンカーコアにしても使い過ぎればどちらも危ないのを告げ、

「私の予想だと、リンカーコアが魔力素を取り込むのには魔力素に加え、わずかながら生命力も使ってると思うの、そりゃマナとは違って私達がオドを使う場合はリンカーコアで魔力を生成するよりも遥かに体への負担が大きいだろうけど注意すれば大事には至らないわ」

「魔力の供給も問題やけど、それよりも配分の方が重要って事やな」

「そいう話し」

先程、八神はやては自らの魔導師特性を広域・拡散タイプと告げていた事から、彼女は後衛のそれもいわゆる砲台の如き役割が多かったのでしょう、ですがリンカーコアが引き起こす魔力消耗という症状を凛なりに推察した内容を話せば、前線での交戦経験が少ないだろうはやても魔力を使い過ぎず冷静に見極める事こそが重要なのが判った様子。

「っ!?」

等々話しながら進んでいれば、不意に前後の床が形を変えながらせり上がりだし、それは無重力での活動を考慮されているのか人の上半身のみで下半身は床に固定されたままである。
人型の物はアヴァターでも目にした事があるので、瞬時に相手がゴーレムであると識別する、が―――立ち塞がった二体のゴーレムによる挟撃が行われる前に、

「ぶっ潰れろ―――ッ!!」

ヴィータが持つ鉄槌の形をしたデバイスが変化したかと思えば槌の後ろから炎が噴出し、振るう威力を増す為なのでしょう、そのまま自身もろとも鉄槌を振り回す遠心力で回転を続けながら前方のゴーレムの胸板に叩きつけ、その一撃でもってゴーレムを粉砕してしまう。
機動六課にて、副体長を任されるほどの人物であるヴィータは攻守共に手堅い感じですが、得物の特性か一撃の重さに趣きを置いているようだ。
それは、あたれば一撃必殺の威力を秘めますが必然的に振りが大きくなってしまい隙が生じ易い、しかし、その辺りは自他共に認識されているらしくシグナムや、私が知る幼いフェイトよりも動きに加え振りの速さや、周囲へ警戒が増している大人のフェイトなどが補い相対的にヴィータの実力を引き出しているのが解る。
前方のゴーレムが粉砕された事から、後ろのゴーレムに向かい魔力で作った足場を蹴って方向を変えようとした私でしたが既に、

「はぁぁッ!」

私の知る幼いフェイトならば、バルディッシュを斧状のアサルトフォームや大鎌状のハーケンフォームなどの形態に変えれるのを目にした経験はありますが、瞬時に動いた大人のフェイトが振るうは私が見た事のない両手剣の形、それによりゴーレムが振り上げた片腕が斬り落とされ、

「紫電一閃ッ!!」

シグナムが振るう炎を纏わせた刀身によって左右に両断されていた。
十年の歳月の合間に技を磨き続けてたのでしょうが、大人になったフェイトの機動力は英霊にも匹敵しかねないものがある、それに彼女の副官であるシグナムも速さこそフェイト程ではないものの剣に魔力を纏わせるという、私の魔力放出にも似たような剣の扱いをしている為に一撃の威力は決して侮れるものではない。
だが、あれが航空剣技というものなのかフェイトもシグナムも私が踏み込むのと同時に重心を踏み込んだ足から剣に伝え振るう動きとは違っていて、飛行魔術の加速に加え瞬間的に全身の重心を剣そのものに傾ける節があるようだ。
そういえば速さにこそ目がいっていましたが、こちらのフェイトもバルディッシュを斧や大鎌に変えて白兵を挑む時は似た動きをしている、なるほど航空剣技とは私が知る剣とは似て異なる技、足場に頼れな空中という環境だからこそ研磨され生まれた剣技なのですね……
こうして空戦魔導師というのを間近で見れば……この身がいかに英雄の力を秘めているとはいえ、慣れない無重力という環境下では彼女達の方が一日の長があるのは否めないのが判る。
それに、

「探られとるなぁ」

「ええ」

二体のゴーレムが崩れるなか、はやての呟きに私も相槌を打つ、傍で見ている私でさえ個々の戦力や特徴を把握できているのだ、危ぶむはどこからか見ているだろうこの書庫の主という者、その者は私よりも注意深く分析を進めているはずだ。
機動六課の面々も戦い慣れているようで自分達の力を探られているのは承知している様子ですが、その後も思念体による数まかせの攻撃に加え、ゴーレムまでも加えた襲撃が幾度かあり、それら全てを退けた私達にこの書庫の主という者は別の方法を模索し個々の戦力の把握や状況に応じた対応力を調べるかのようになって来ているのに懸念を抱く。
それに、こちらの戦力を探っているならば、それらは全て戦力的には小出しにしている状況のはずだ、情報を集め解析が終れば必勝の陣形で挑んでくるのは必至。
ですが、先にこちらから見つけるにしても階層にこそ分かれていないものの、迷宮型という書庫の特徴である分岐が多く、入り組んだ造りであるが故にサーチャーでの捜索を難しくしているなど厄介さが増している為に手がかりすら見つけられないでいる。
ここに篭る主と呼ばれる者らの戦力は不明だが、今までの状況を見る限りは個々の戦力はこちらが上であるように判断できる、その証拠に襲撃をして来る思念体やゴーレムなどはことごとく殲滅していっているのだから。
だが、地の利は確実に向こうにある、しかも戦力が減っているのかも疑問なのだ、仮に相手の主戦力であるだろう思念体が彼らが言う通り限りがないのであれば、用兵の仕方次第では消耗戦を仕掛けられ苦戦も免れないかもしれない……
一抹の懸念が生じますが私達は奥へと進み、次第に思念体によって本が破られたのか所々で紙片が漂うのが目につき始め、

「工房ね、ここ」

「そうだな……」

「ええ」

周囲を見渡した凛はそう口にし、次第に空気そのものが得体の知れない重みが加わり始める通路に対してシロウも私も警戒を強めた。

「え、工房って……ここは書庫だから何かしらの仕事をするような所には見えないよ?」

しかし、いかに魔導師として優秀なフェイトであっても魔術師ではない故に工房がどんな意味を持つのか解らず聞き返してきて、

「そいう意味じゃないわ、私達みたいな魔術師は常に主に自分達の系譜に連ねる魔術の研鑽を積み重ねているの、だからそういった研究内容や成果が外部に持ち出されないよう、自分達の研究を行う施設には盗まれないような仕掛けを施しているから工房って呼んだのよ」

そんなフェイトに凛は魔術師にとっての工房が何を意味するのかを語る。

「では、セキュリティが上がったと捉えればいいのだな?」

「……まあ、空気も変わって来てるからな警戒するに越した事はねぇ」

「そうね。私が思うに、思念体とかゴーレムは外から入って来られないようにする罠の一環で、ここから先は入ってきた得物を逃さない様にする仕掛けがあると思う」

流石というか、前を行くシグナムとヴィータも漂う気配の変化に気づき既に警戒していた様子、そして、凛はここから先はより危険が増すだろうと予測した。
幸い、デバイスには迷わないようこれまで通った道のりが記録されている事から、迷宮型の書庫とはいえ戻るのに困難はなさそうですが、引くにしてもどの頃合いで引くかが問題だ。

「そやな……今回のは本格的な調査の前の先行調査やさかい無理する必要はないんやが、遠坂さんと士郎君はまだ行けそうか?」

「ああ」

「今のところは、ね」

八神はやては地上で無いが故に消耗が大きくなっているだろう凛とシロウに問いかけ、シロウはまだ大丈夫と返すが慎重な姿勢を崩さない凛は現状ではとつけ加えた。
八神はやての言う通り、今回は飽くまで先行調査ではありますが、可能ならば多くの情報を集めたいのは言うまでもない、しかし、魔力を得る方式がリンカーコアでなく魔術回路のシロウや凛はここでは疲弊しやすい、特に凛の魔術が使えなくなれば無重力に慣れないスバルもまた戦力外になってしまう……深追いは禁物なのは八神はやても解っているからこその確認なのでしょう。

「さよか。なら、幸い結界の類は張られてないようやから何かあれば転移魔法で戻ればいいだかやさかい、もう少しだけ調査を続けてみよか」

「そうだね」

この書庫が結界で覆われていない以上、魔術を使えば何時でも帰れる余裕があるからこそ八神はやては調査の続行を告げ、その決定にフェイトも相槌を打つ。
そもそも、ここに来た理由は闇の書に関する情報を得る為だが、敵意を持つ者が居る状況ならば先ず安全を確保する必要がある、その為、本格的な調査を行う調査隊の前に武装隊を投入する必要があるなら滞りなく送り込めるよう、大まかでも書庫に住み着いてしまった者らの目的や戦力が明らかになればいいのですが……
八神はやてからすれば、ミッドチルダで放映されていた私達の戦力をあてにしての編成だったのでしょうが、魔術回路とリンカーコアの違いや無重力という環境の影響で私達は十分な力を発揮できずにいる。
無論、事前にそれらの変化を彼女に予測しろというのは酷というものだ、仮に私が彼女の立場だったとしても無重力に対する配慮はしても魔力生成の違いからもたらされてる継戦能力の低下は想定できそうにないのだから。
私達が重荷になっている状況に対し、英霊の力を持ちながら生かせない状況に歯がゆさを感じてしまうものの―――

「はやてやリインフォースを助けるには自動防衛システムについて少しでも知る必要があるんだ、書庫の主だか何だか知らねーがさっさと終らせて調べさせてもわきゃな!」

「同感だ。時間が限られている以上、早々に調査を始めれるようにしなければならない」

元々、ここには敵対的な思念体の集団が出没するのを承知で来ている、だが、それは群れてこそいるが統制はとれてない浮遊霊の如き者達だと想定していて、時空管理局でも重要度の高い施設である無限書庫に何者かが思念体を使役しているのが判明したならば、捕らえ目的を調べ上げる必要がある。
ですが、それはこちらの局員達に任せればいいだけの事であって自分達は早々に書庫の主の件に決着をつけ闇の書についての調査を行わなければならないのだとヴィータは檄を飛ばしシグナムも同意を示す。
改めて調査の続行を決断した八神はやてに従い、それまでと同じく先を進みながら左右の通路にサーチャーを送り、怪しい物や不審な人物がいないか確かめる私達でしたが、しばらくして通路の先に紙片の他にも数十冊はあるだろう様々な書物や文献などが漂いながら道を塞いでいるのに出くわした。

「ずさんな管理やなぁ……」

「そうだね、これじゃあ本が傷んじゃう」

「書庫の主とか言いながらいい加減なもんだぜ」

はやてやフェイト、ヴィータは様々な情報が在る書庫に居座っているのだから、重要な情報の媒体である物の保管は十全に行っているものだろうと判断していた為に目の前のあり様を目にして不快感を露にする。

「しかし、書庫に留まりながら書物を蔑ろにしているようでは目的が何なのか意図が読めん」

「確かに」

眉を顰めるシグナムは呟きを漏らすが私も同様の疑念を抱いていた。
何故なら、ここまで来るまでに遭遇した思念体やゴーレムにしても、私達を攻める手段は白兵であって入り口付近で使われたような魔力弾などによる投射は書物に中ってしまうかもしれないからか使われてないのだ、では………この様は一体なんなのか?

「でも、この辺りってどれくらいの年代のものなんでしょう?」

「そうだな。見た感じは古そうだけど、痛んでるかもしれないから念の為に見とくか」

漂う本を目にスバルは訊ねるが、生憎と書庫に詳しい者などいない事からシロウは確かめてみようと提案し、

「そうですね」

百聞は一見に如かずという言葉の通り、スバルははやてに手を引かれていた手を一旦離してシロウ共々近くに漂う本に手を伸ばす。

「っ、なんだ!?」

「本から―――っ!?」

だが、シロウの手にした本は静電気でも帯びていたのか火花を散らして手から離れ、スバルは手に取って開いたまではよかったが、開かれた本から一対の手が伸びスバルの首を絞め始めた。

「っ!?」

「待った!!」

咄嗟に本に剣を振り下ろそうとするシグナムを凛が止める。

「どうする気だ?」

「この手の本には貴重なものがあるから少し待ってくれる」

凛は、ミッド式とは明らかに違う左腕の魔術刻印を起動させて本にかざせば、本から生えていた腕はスバルを放してページの中へと戻り、何事も無かったかの様に本は漂い続けていた。

「助かりました……」

「あんなのがあるのか……」

自身の首を絞めた本を追い払った凛にスバルは謝意を口にし、似たような本ならアヴァターでもあったかもしれないがイリヤスフィールから釘を刺されていた事から手に触れずにいたシロウはたった今、本そのものが襲って来た事実に驚いているようだ。

「どうやら、こっちの世界も昔は似たような感じだったみたいね」

「古代ベルカと似たようなって、そっちの世界は大概やなぁ……」

先行調査を指揮する八神はやては凛に対し苦笑いを浮かべていますが、

「しかし、随分手馴れてるな?」

「まあ、ね。家の書庫にも似たような本が幾つかあるからただの慣れよ」

「あんなのが幾つもって、どんな家に住んでるんだよ……」

本を斬ろうとして止められたシグナムは、凛があまりにも落ち着いて対処していたのに焦点を向け、答える凛にヴィータが工房を兼ねる魔術師の家という所に顔を顰めていた。
そんな皆に凛は、

「私達の世界でもそうだけど、昔の書物や文献の中には研究の秘匿から性質の悪い仕掛けが施されているのもあるの、逆に考えればその手の書物には重要な記載があるかもしれないけど、下手したら精神そのものを乗っ取ろうとする類のもあるからセイバーと衛宮君以外は注意して」

名指しで私とシロウ以外の者に注意を呼びかける。

「セイバーは対魔力が高いから解るけど、何で俺もなんだ?」

「あんた気づいてないの?」

私も同様に思うシロウの問に、きょとんと目を丸くした凛は質問を質問で返すがシロウが答えられずにいると溜息をはいてから、

「アーチャーから聞いたのよ、衛宮君は何かしらの加護か呪いを受けてるの、だから精神に干渉するような魔術を使われたとしても既に別の存在に憑かれてるんだから後からのは追い払われるだけ、しかも、それが世界級なら大概のは追い散らされるわ。
(アーチャーが固有結界のなかで見たという世界クラスの力を持つ巨大な樹木、聖杯戦争の時にアーチャーが衛宮君を殺せなかったのはそれが原因だと思う。
並行世界のミッドチルダでガジェットを固有結界で殲滅した時だって、それが無ければ衛宮君は死んでいたかもしれない、ただ、その不死性が条件つきかでないかは別として、死なない加護なのか死ねない呪いなのかは今の時点では判断できそうにない、か。
それこそ、世界と契約して守護者になったアーチャーだからこそ、その木が途方もない力を秘めているのに気がついたんだろうけど……そんな得体の知れないのに護られているなら衛宮君はそれこそ神代の魔術か魔法でもない限り影響を受ける事はないかもね)」

「加護か呪いって………あっ」

「さっき弾かれたのは、多分、衛宮君の精神に干渉して操ろうとしたか乗っ取ろうとしたかでしょうけど、そのせいで弾かれたって訳よ」

凛のいう、シロウの受けている加護か呪いか判断がつかない力、それついては私はシロウと共に過ごすようになってからはその様な出来事は思い至らない、加え以前経験した別の聖杯戦争でのシロウもその様な力は無かったはず、だが、凛の話しに表情を変えるシロウは何か思い当たった節がある様子だった。
思い返せば、私が聖杯を求めるなか経験した別の並行世界との大きな違いはアリシアの存在だ、ならあの娘を通して見ているという『原初の海』からすれば、アリシアの身を守る為にシロウに加護を与えたと想定すれば一応の筋は通る、か。
だが、相手が呼び出せば世界を滅ぼしてしまうだろう存在なだけに直接問い質す等できるはずもなく、精々神の座にて神に問いかけるしかないのだが、それすらも前提条件である根源に到達しなければならないのだから魔術師が根源を目指すのと同様にハードルが高過ぎてシロウ一人では不可能といってもいい。

「そっちにも何だか事情があるようやが、何にせよこの本等が厄介なのはわこうた」

シロウと凛の話しを聞きつつ状況を把握した八神はやては、目の前に漂う魔術書らが触れるだけでも危険な物かもしれないのを理解して、

「て、事はあの本はここに住み着いている奴にも手に負えないから放り出されてるのか」

「そんなとこだろう」

ヴィータやシグナムも互いに納得した様子である。
しかし―――

「……でも、なんだか増えて来てないかな?」

「っ!?」

「言われてみれば……」

フェイトの発する声に慌てて私やスバルが辺りを見回せば、魔術書らしき本や文献などの類が奥から姿を現し続けているのか漂う書物は一層増えて行くようだ。

「偶然か?」

「いや。別の通路からも近づいて来てます」

眉を顰めるシグナムに、私はサーチャーから送られて来た情報から魔術書を使った包囲網が構築され始まっているのを告げた。
よく観察しているというべきか、防衛機構が施された魔術書による包囲、魔術書そのものも厄介といえばそうだが、こちらは闇の書に関する記述を探して来ている身、本や文献などに危害を加えられるはずもないのだから……

「こっちもや」

八神はやても同様に告げた事から答えは一つ、

「この状況、奥に向かっているつもりで追い込まれていたか……」

「正に逃さないって訳ね」

相手の思惑に嵌まる危険を嗅いだ私に凛は警戒を強める。
調査しながら通って来た通路にも書物が見え隠れし始めた事から推測するに、恐らく戻る道も既に魔術書で埋め尽くされているだろう。
それは、機雷の如き魔術書を使っての包囲網は完成しかけていて後は包囲を縮めて行くだけという事を示している。

「とはいっても、幾ら危険な書物でも触らなければいいんやから、やりようは幾らでもあるんやがなぁ……」

「そうだね、バリアジャケットの効果範囲を広げるだけでも防げそう」

いささか腑に落ちないようだが、八神はやてとフェイトは本来なら衝撃から身を護る為の防御魔術の一つラウンドシールドを幅広く展開して他の皆が魔術書に触れないないようにした。
盾型のデバイス、シルトを持つ私も現状では魔力回復に難のあるシロウと凛に負担をかけさせないようシールドを展開させ漂う本が近づかないようにするが、直感が「それだけだろうか?」とささやく。
高速で飛来する何かから身を守るという使い方ではない為に強度はそれ程でもないが、常に防御魔術を展開し続けなければならない状況では魔力の節約は必至、故にこれまでのように様々な状況に応じて対応し易いよう互いの間隔をある程度ではあるが保っていた陣形から、少ない魔力でも効率よく防御魔術で互いを覆えるよう間隔の短い隊形に変えざるを得なかった。
互いのシールドを重ね合わせるが如く密集した私達だったが、

「むっ!?」

不意に幾条もの魔力弾がシールドを削る。
いや、私が知る魔力弾とは違って命中と同時に炸裂せず今もまだ照射し続けている、ならある意味では砲撃に近いのか?
だが、問題は放たれた先に在るモノ。
攻撃的な魔力を照射して来る先には、これまでも目にして来ている本の紙片があって、魔力を照射しているのもその紙片からだった。

「破れた本のページかと思ってたけど、アレもここの書の主とかいうのの仕掛けやろなぁ……」

呟く八神はやてもまた、その身に宿す魔力の量から魔力の照射をそれ程脅威に思えないらしく安堵するが、

「ええ、威力的には大した事がなく脅威には感じませんが、今までこちらを見ていたにしては侮り過ぎている……」

シグナムは同意するもののどこか引っ掛かっていて、

「でも、瞬間的な魔力量は少ないけど魔力が削られ続けるから時間が長ければ厳しくなるかもしれないよ」

フェイトは相手が個人の魔力ではなく、相手が仮に魔力炉などを所有している場合の可能性など考慮していたらしく、このまま照射され続けた場合の不利を告げた。
しかし、問題となるのは照射している魔術の質ではなく、虚実入り混じっているのだろうが魔術を放つような紙片が至る所に漂っているという事実だ。
それに、魔術的な防護がを施された書物で使い私達の足を鈍らせ、かつ今度は魔力を照射し続ける魔術にて足を止めさせた………何を考えているのだろうか?

「―――っ!?」

まて、私達が密集した状態で足止めをするという事は書庫の主が狙っているのは、まさか―――なら、次に仕掛けて来るのは書物に危害を加えないよう結界で閉ざしての総力戦、もしくは個々に分断してから倒すつもりかもしれない!
私がその考えに至るのとほぼ同時に、

「下で何か動いてるぞ!!」

周囲を警戒していたシロウが異変を見つけ、

「これは……」

「てっ、ベルカ式!?」

シロウが察知し異変へと視線を下げた私や凛が見やれば、そこには数枚の紙片が舞いながら三角を主軸とした魔方陣を構成していて、この世界でその系統の魔方陣を現すのはベルカの系統だと凛は見抜く。
恐らくは結界なのだろうが、万一に備えシールドの強度を高める、しかし―――

「不味い。アレは転移魔法、どこに飛ばされるか判らん!!」

今までの戦いからして、ベルカの系譜を扱うシグナムは早々に相手が使う術式を読み取って警告を発し、

「離れ離れになっても、転移魔法が使える人が一緒なら無限書庫の前で落ち合おう」

「そうだな」

互いに転移魔術を使えるフェイトにヴィータが頷き合う。

「スバルもそうやが、離れ離れになっても私の転移魔法で戻れるんやさかい、衛宮君も遠坂さんも手を繋いでいてや!!」

「はい、衛宮さんも!」

「わかったわ、衛宮君!」

無重力での動きや魔力の回復に難がある事から、八神はやてが慌てて手を出した手をスバルと凛が掴み、

「え、ああ……」

続けてほぼ同時に伸ばされた両方の手をシロウが戸惑いながらも握った。
私達の世界では魔法の扱いに近いとされる転移魔術だが、それを扱えるという八神はやての保護下にあるならば魔力回復に難のあるシロウや凛、無重力下ではまだ戦えるレベルの実力ではないスバルの安全が確保できているが故に私は安堵しつつも下方で起動する魔方陣に視線を変える。
だが、足元の魔方陣が起動する際に発した光によって瞬間的に視力を奪われたものの、数秒経っても転移ゲートから次元を超えて跳ばされるような感覚、ましてや衝撃を受けたり景色が変わったりなどの異変は感じられないでいた。

「制御に失敗したのか……それとも別の思惑があるのか?」

シールドを展開したまま訝しむ私だが、

「八神はやて、ここは一先ず―――っ!?」

先行調査の指揮を執っている八神はやてに具申しようとして振り返れば、そこには八神はやてはおろか、シロウも凛も大人のフェイトやシグナム、ヴィータ、スバルの姿さえ存在してない。

「どうし……」

そういえば、かつてシロウとアリシアと共に駆けた聖杯戦争ではキャスターの空間転移によって二人が浚われてしまった経験が脳裏の蘇えり、

「まさか、また私は自身の対魔力で………」

魔力耐性が高い故に周囲から受ける影響を妨げてしまうのが原因だが、私の対魔力が相手が仕掛けた転移魔術を上回って無効化してしまったのだろうと予想した。
しかし、既に起きてしまった事を後悔するよりも残された私はしなくてはならない事がある、事は並行世界、しかも遠く次元で隔たれてはいるがここは紛れもなく魔術師の工房である事には違いない。
私がかつて後見人の工房に入った時は死すら覚悟した経験がある、そして向こう側の世界から来たフェイトは書庫がある建物の前で待つと言った、ならばこの場に残された私は全力で扉にまで斬り抜けるのみ!!
そう結論づけた私は、魔力で編まれた防護服バリアジャケットに魔力を注ぎ込み範囲と強度を高め強行突破の準備を進める。

「っ!?」

だが、書庫の主が操るのだろう魔術を行使する数百枚にも及ぶ膨大な数の紙片が乱舞するうに私の周囲を取り巻きだし、不意を突いて来たつもりなのか魔力の刃を纏った数枚の紙片が上下から向かって来た。

「その程度で私に挑むつもりですか?」

周囲の注意を引きつけ、その隙をついての奇襲なのでしょうが私には通じない、私は全身から魔力放出を放ち紙片を付近の書物や文献共々を吹き飛ばす。
私の魔力で吹き飛ばされた紙片は姿勢を整えたようだが何かをしようとして効果がなかったのか、それとも魔力放出にて何かしらの影響を受けたのか漂っていた本の一つに向かい開いたのと同時に収まる。
しかし―――

「何者だ貴様?」

その本からは、ここまで来るのに出会った思念体と同じく何かしらの意思が感じ取れ剣を向けた。


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