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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編23
Name: よよよ◆fa770ebd ID:fae2e84c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/09/23 00:33

十年先の世界とクロノ達の世界の時差を考えれば子供が寝るには十分な時間が過ぎている、そんな時間が経過していたわけだが睡魔に襲われたアリシアは俺達の世界でいう第二魔法という名の奇跡、並行世界への干渉を可能にする要だ。
俺達とのやり取りしていたリインの報告を聞くなり、機動六課部隊長である八神は急いでクロノ達の世界、八神達からすれば十年前のに向うと告げてくれ。
こっちの世界に来た八神を始めとする機動六課の七人、分隊の隊長である大人のなのはにフェイト、副隊長のヴィータとシグナムにその部下のスバル、そして……八神の補佐官だという話しだが、背丈が三十センチほどの女の子、背中に羽や翼なんかは見当たらないが常に浮いているようにうかがえるリインは妖精か幻想種の一種かもしれない。
それら機動六課の面々は、こっちに来てからもクロノやリンディさん達と行動の指針なんかをすり合わせていたそうだけど、アリシアを含め俺やセイバー、遠坂、アーャー、アサシンは民間人なので会議に出る事なく早々に床についた。
そして次の日、ある意味お客様で暇な俺達とは違って機動六課の面々は元の世界のゆりかご事件の報告書作りに加え、これから起こる闇の書に関する事件の資料をクロノ達に供与していて双方の管理局員は共に慌しそうだった。
その日はクロノ達の仕事を邪魔する訳にもいかず、いつものようにプレシアさんの『時の庭園』に出かける。
遠坂が来てない事から、アーチャーも居ないので今日は俺がお菓子や料理についてプレシアさん、フェイト、アルフと一緒に手伝っていてれば、公私の区別がついているのはいいとしてプレシアさんから十年後の大人になったフェイトとなかなか話せる機会が無いのがもどかしいと零された。
多分、向こうのフェイトもアリシアを蘇えらせる為に正気を失いつつも虚数空間を渡って魔法にすら至った母が何を考え何を思っていたのか知りたいのだろうが、今は急ぎの仕事が立て込んでいるから来たくても来れないのだろう……
俺も何とかしたいとは思うけど、バイトの経験はあっても治安活動の経験や闇の書についての知識が無いのでは機動六課の仕事を手伝える訳がないのでやりようがなく、もやもするも更に次の日、フェイトやなのはも各々自分達の所で練習をしているんだろうとか思い浮かべながら、朝食の前の軽い運動をするべくアサシンと一緒にアースラの訓練室で軽い体操をしてから据え置き型のランニング機、ローラーをベルトで被らせているような作りで、走る速度や距離の計測以外にも幾つか表示ってきっと高価なんだろうけど何処となく通信販売に出てくる健康器具にみたいだなとか思って走り続けていてば―――

「おはよ」

「ずいぶん早いんだね」

などという声がかけられ、振向けば大人のなのはにフェイトが来ていて、続いて子供のような外見のヴィータとシグナムという女性が姿を現す。
四人とも武装隊の人達や他の局員の人達と同じように動きやすい訓練着の姿なんだけど、下のズボンは同じなのに上のシャツはなのはとヴィータが白く、フェイトにシグナムは黒に分かれている………何か意味があるのだろうか?

「そっちも早いんだな」

そう返してみるが、こっちの世界のなのはやフェイトも朝早くから練習をしているから違和感はないのかもしれない。
大人のなのはに関しては簡単な挨拶を交わした程度だが、なのはもフェイトも機動六課では隊長を務めている程なんだから小さい頃からの積み重ねが功を奏しているのだと思う。

「一日休めば、取戻すのに三日はかかると言うからな」

「そういうこった」

質問に質問で返した形の俺の他にアサシンも視界に捉えながらシグナムは返しヴィータも相槌を打つ、

「それに。なにもなければそれでいいが、あるとすれば当面の障害は我々と同じこの世界の守護騎士になる」

「シャマルとザフィーラが居ねえ分も含めて、守護騎士の力がどんなものかを知ってもらう必要があるからな、今のうちに体をほぐしとかなきゃならねぇ」

「守護騎士?」

続けて繰り出される二人の話に、次元世界でいう騎士という名称が近代ベルカ式を会得した相手への敬称なのは知ってはいたが、守護がついた騎士の名はミッドチルダでも耳にした事がないので首を傾げてしまう。

「私やヴィータを含め、こちらの世界には来ていないがシャマル、ザフィーラの四人はヴォルケンリッターといい主と夜天の書を護る騎士、それ故に守護騎士と呼ばれている」

「元々は夜天の書のプログラムの一つだったから、仮に倒されたりしても送還されて修復されれば元に戻ったんだけど、初代リインフォースが切り離してくれた今では人とそんなに違いはないけどな」

目の前にいるシグナムとヴィータの二人は、元々はプログラム的な存在だったとかいう、なんていうかゆりかごもそうだけど昔の次元世界の科学力ってどれだけ進んでいたんだか……ある意味、俺たちの世界の魔術みたいに次元世界も科学の発展が進むよりも過去に戻っているって言った方が正しいのだろうか?

「守護騎士か。騎士とはいうが、恐らくこちらとは違って刀剣を振るうだけではなくミッドチルダ式のように様々な魔術を扱い得物も変化するのだろう?」

「ああ。我らのは古代ベルカ式故に航空剣技を主体とする、そして、私のデバイスは主に剣だが弓や鞭のようにもなる」

「……凄い変わりようだな」

「だからこそ使い手を選ぶのだろう」

俺のデバイス、イデアルも籠手の先から魔力刃が伸びたり弓に変化させる事ができるけど、シグナムのデバイスも負けず劣らず剣から弓や鞭に変わるっていうから使いこなすのが大変そうに思えてしまって零すが、それを肯定するかのようにアサシンは武装の切り替えみたいに変化するデバイスの習熟には相応の技量が必要になるのを告げた。
形状変化による機能の変更は、予め複数の装備を用意しなければならないような状況でも対応できる身軽な利点があるけど、それらを十分に扱えるようになるには相当の訓練が必要なのは俺にだって解る。

「本局の訓練室は他の隊が使うそうだから私達はアースラの訓練室を紹介されたんだけど、お邪魔だったかな?」

大人モードのアリシアように、小首を傾げるような仕草で訊ねてくるフェイトに言われて気がついた。
アースラに部屋を借りている俺達、だけど本局に係留されている状況では武装隊は本局に上陸してしまっているから、ある意味ここは穴場になっていたのだと。

「なに。むしろ花があってよいではないか」

そんな姿にアサシンは軽く返し、

「俺も、いいというか……そもそも邪魔というより、ここには俺とアサシンしか来てないから気を使わなくてもいいと思うぞ。
そもそも自分の家なら色々する事はあるけど、ここだと何もないから皆が起きるまで軽く体を動かしてるだけなんだから」

俺は艦内とはいえ、訓練室は特に狭いわけでもなので数人増えたところで問題ないと思う。

「だったら一緒にどうかな?」

「一緒って……」

微笑みながら口にする大人のなのはの言葉に一瞬だが俺は返答に詰まる、何故ならここで模擬戦をするなら話は別だからだ。
なにせ、子供のなのはとフェイトの時でさえユーノが結界を補強しなければならないくらいなのに、それが大人になった二人が行うというのなら周りの影響というか被害は格段に大きくなるのは想像するに容易い……

「確か、航空戦技教導隊という部隊にいたと聞くが?」

「よく知ってますね。私が所属している航空戦技教導隊は他の部隊への教導の他に、新しく開発された装備なんかのテストもしているんです」

言いよどむ俺に代わってアサシンは続け、その内容から大人のなのはが部隊や個人などに対して訓練を主に行なう部隊に所属している事を思い出す。
それなら俺が懸念するように隔壁を貫いたりはしないか、ただ―――

「航空って事は空を飛ぶのか……」

俺もセイバーも飛行魔術は使えなくもないが、俺は魔力量の関係などの効率的な観点から、セイバーは剣を振るう重心の配分や踏ん張りなどの差から空での動きはやや苦手としている。
だからこそ、足場がない所や高い所を進まなければならない時はその場その場で足場を作って跳び、空を自由自在に飛びまわれるなのはやフェイトには素直に感心しいた。

「なのはは航空魔導師だからね」

一時的なものとはいえ、足場という姿勢を保てる状況にするのとは違い、飛行魔術は上下左右、常に動き続ける距離や高度、方角などの空間を把握する感覚が要求される、だけど大人のフェイトは出来て当たり前のような口調で言っていて、

「それを言ったら、この世界の私達とて空での戦いが主体になるぞ」

「スバルはウイングロードがあるからまだなんとかなるかもしれねぇが、そっちの方は大丈夫なのか?」

シグナムやヴィータもそれに続く、

「……いや、俺達のなかでまともに空を飛べるのってアリシアと遠坂くらいだからな」

「セイバーもそうだが、こちらは元々魔術師でもない故に空を飛べるようになれてもなかなか慣れん」

とはいえ、俺は持続的に魔力を使い続ける飛行魔術よりも、一時的な足場を作っての移動の方が遥かに魔力の消耗が少ないからで、短時間なら兎も角として長い時間にわたって飛びまわるのはいま一つな感じだ、それに元々魔術回路やリンカーコアがないのもあってかアサシンにしては珍しく降参とばかりに肩を竦ませている。

「だったら、もう少し慣れたほうがいいかもしれないね」

「そうだな、頼んでいいか」

大人のフェイトも勧めてくれ、言う通りもう少し慣れなければ何かあった時に使い物にならないのは困る、空を飛ぶような術があるのと無いのとではやはり状況で選べる行動の幅が広がるのは確かだろう、そう判断した俺はなのはに頼み、

「うん。よろこんで手伝うよ」

なのはも笑顔で返してくれた。

「互いによく分っていない間柄だ、こうやって親睦を深めるのもいいかもしれん」

「そうだな」

そんな俺達を見ながらシグナムとヴィータは頷きあい、俺やアサシンは皆と一緒にトレーニングを行なう。
アサシンはそもそもサーヴァントだから体力というかスタミナは人の領域を超えているだろうし、俺もアヴァターや神の座で色々な人達から教わったからそれなりに自信はある。
そんな俺とアサシンは、一緒になって走る機動六課の四人から基礎体力は十分にあると判断されたようだ、しかし、飛行魔術に必要な空間を把握する感覚は一朝一夕には身につくようなものでないのや、魔力の総量が俺もアサシンも限られていて。
特にアサシンは自身ではなくデバイスの方から魔力の供給を受けているから、更に魔力量を増やさなければならない時には何かを斬らないと供給が足りないのかもしれない。

「ところで。この世界のなのはやフェイトは呼び捨てにしてるんだけど、そっちはどう呼んだらいいんだ?」

そんな最中。
ふと思えば、この世界のなのはやフェイトはまだ子供だからいいけど、大人のなのはとフェイトは俺よりも年上だがら呼び捨ては不味いかなぁとか過ったので口にするが。

「階級でいうか、なのはならエース・オブ・エース、フェイトならばフェイト執務官と呼べばいいのではないか」

飛行魔術に適応する必要から、一緒に空中で姿勢を維持しているアサシンは俺に以前聞いた役職や異名みないな名を勧めてくれる。

「そうだよな。局に勤めている訳だし、階級で呼んだ方がいいのかもしれないのだけど生憎そこまで覚えていないからどう呼んでいいんだか……」

そうはいっても、何かある度にエース・オブ・エースとかエースのなのはとか言うのもどうかと思わなくもないが……

「えと、普通になのはさんでいいよ……」

俺が思ったように毎回そんな風に呼ばれてはこそばゆいというか、ある意味恥ずかしいらしくなのは苦笑いしていた。

「私も、こっちじゃ執務官の資格が通用するか分らないから」

「わかった。それじゃあなのはさんにフェイトさんっていう事にするよ」

なのはとフェイトの性格が藤ねえみたいじゃないのが救いか、俺は普通にさんづけでいいという話しで安堵する。

「一つ聞くが、この世界のなのはやフェイト達も闇の書とやらに関わらせるのか?」

なのはやフェイトもそうだけど、ユーノとアルフも子供とはいえ、空中での動きは俺達よりも遥かに機敏で頼りになるのでアサシンは訊ねるのだけど、大人のなのはとフェイトの二人はいい顔をせず。

「私達の時には他に人がいなかったのもあったからなんだけど、できればこの世界の私達は戦いに巻き込みたくないな……」

「うん。この世界のなのはも私もまだ子供なんだから……」

それもそうか、実力はあってもこの世界のなのはやフェイトはまだまだ子供なんだから巻き込むわけにもいかない。

「そうか、なら俺は特にする事なんかないから何かあれば言ってくれ」

「なにもないのが一番だが、夜天の書を闇の書に変えている自動防衛システムが相手だ、魔力制限を受けている身ではやや不安がなくもないからな……」

擬似リンカーコアの開発やら関連する術式などで忙しいアリシアと違って、俺は暇なんだから何かやれる事があれば手伝うつもりで言っただけなんだが、シグナムの反応からして闇の書って奴は俺の想像以上に厄介な相手らしい。

「それに、こっちのあたしらが素直に話を聞いてくれるかもあるからな」

「そうなるとちょっと辛いかな?」

そう零すヴィータに、なぜかなのははシグナムを横目に見ながらにゃははって笑う。

「その時は全力で止めるだけに過ぎんさ、魔力制限はあってもデバイスの性能はこちらが上なのだから容易くは突破させん」

「それに」とつけ加えシグナムはなのはに視線を向け、

「こちらには、私達の世界でエース・オブ・エースとまで呼ばれている者がついているのだからな」

この時は、なのはやシグナムが何を言っているのか解らなかったが、その後で聞いた話では時空管理局の本局武装隊で士気向上を目的としている空での模擬戦、戦技披露会とかいう大会の決勝で二人は戦い、決着がつかなかったとかいう話を聞いて合点がいった。
そんな大会で技を競い合うのなら様々な空戦に関する技術とかあるだろうから俺も見てみたい気がするけど、向こうの方でも教材にはならないそうで閲覧できないという話しだから残念に思えなくもない。
そんな感じに機動六課の四人と一緒にトレーニングを行っていた俺とアサシンだけど、時間が来たので互いに切上げシャワーで汗を流してから部屋に戻る。
それからは、いつも通りアースラの休憩室兼食堂に向かい、大型の長方形テーブルと対面する形で互いに椅子が並ぶセットが幾つかあり、そのなかの一つにセイバー、アリシア、遠坂が飲み物を手にして談笑していた。
軽く朝の挨拶を交わした俺は、早速食堂の厨房を借りての朝食を手がけるが、アースラは現在、本局に係留されている為に食堂を担当している人達も上陸してしまっているのでいないが、本局にも食堂はあるので他の人達はそこを使っている。
俺達もそうすればいいのかもしれないのだけど、時空管理局の本局は二十四時間体勢で動いているので人的資源も様々な理由の時間帯で配分されているからいつも人で一杯だったりする。
そんな状況から、材料だけ送ってもらって調理した方が落ち着いて食べれるので俺や遠坂、アーチャーの持ち回りで食事を作っているのだが……ここで手間取っていれば姑の如く現れるアーチャーによって、

「手本をみせてやる」

とかいう言葉と共に朝の仕事を奪っていかれる。
元々は、アイツも俺なんだから料理をしていると落ち着くのかもしれないが、奪われるこちらとしてはたまったものではない。
そんな事情から、霊体化しているだろうアーチャーに隙を見せる事なく手早く包丁を操り、切った食材を炒め朝の食事を完成させた。
これは実感としてだが、アーチャーに虎視眈々と狙われている環境の影響か、俺の包丁捌きや腕前は元の世界で和食にまで追いついてきている桜をいくらか引き離せているだろうといった自信までつきはじめている。
朝は食が進まないという遠坂にしても作っとけば食べてくれるので構わず用意して、アーチャーの介入を許さないまま皆と一緒に朝食を終えた俺は、アースラの訓練室は機動六課が使うみたいだから今日はどうするかを聞いてみた。

「そうですか、では訓練室が使えないのは今日だけではなさそうですね」

「いささか楽しみが減るが、そういう話しになるだろうよ」

ミッドチルダ式魔術に関してはアヴァターや神の座でも練習を重ねていたセイバーだが、魔術を使う上で様々な補助をしてくれるデバイス、祈願プログラムというプログラムで容易に魔術を扱えるのもあってか試行錯誤しながらも更に練習を重ねている。
そんなセイバーに加え、魔力を供給してくれるデバイス、鈍らを扱うアサシンもまた生前では扱えなかった魔術が楽しいらしく修練を重ねているのだけど、アースラの訓練室が使えないのでやや残念そうにしていた。
本局の方にならアースラの訓練室よりも大きな所が幾つもあるのだろうが、上陸している武装隊や他の隊などの訓練があるからやはり難しそうだ。
手伝えるならそうしたいけど、管理局は組織で動いているから民間人の俺達がしゃしゃり出れば邪魔になるだけだからなぁ……
足元からぽちを抱き上げて撫でまわしているアリシアは擬似リンカーコアの開発があるのでマリーさんの所に行くとして、俺はどうしようかとか思案していれば、

「それだけ闇の書とやらが厄介なんだろう」

霊体化していたアーチャーが遠坂の後ろに現れる。
それもそうだ、アイツが言う通り機動六課がもたらした十年後の世界の情報があるとはいえ、A級ロストロギアに指定される程の闇の書が厄介なのは間違いない。

「でしょうね。私達が見れる範囲で調べても、闇の書っていう魔道書は起動させるだけでさえ何十人、何百人って人のリンカーコアを蒐集しなければならないのに、起動したらしたで蓄えに蓄えた魔力を使っての暴走。
それにしたって、有機物、無機物の区別なく周囲の物を融合しながら暴走するから生半可な威力じゃ融合による復元すら超えられないって話よ」

「ええ。その瞬間再生能力とかいう能力がある以上は、完全消滅させなければ魔力がある限り再び元に戻ってしまうという話しですから」

アーチャーにつけ加えるようにして話す遠坂は、手馴れた手つきで端末を操ると空間モニター出して関連する情報を見せてくれるが、セイバーは事前に見ていたらしく相槌を打つ。

「それで完全消滅させたとしても、転生機能があるから次の犠牲者を見つけて蘇るだけだなんだよな?」

「そうらしい」

リンカーコアの蒐集という、多くの人達を犠牲に起動する闇の書は更なる被害を振りまき、苦労して倒しても次の犠牲者の下に行くだけなので限がない、根本的な対策がないように見える闇の書にアサシンもまた堪らないとばかりに呟く。

「私と凛で調べた範囲では、仮に地球で暴走したとしても人類全てが死に絶えるという話にはならないだろうが、確実に今の文明を終らせられる規模の災害にはなるかもしれん、故に世界を滅ぼすという話はあながち誇張ではないかもしれない」

「そうね。管理局システムが次元世界に広がる前の時代、滅びた世界の痕跡に核にも似た熱核兵器を使って闇の書を焼却しようとした世界もあったみたいだけど、もしかしたら瞬間再生能力ってのが強くて焼き尽くせなかったのかもしれないっていう仮説もあるくらいだし」

「………そうなると私の宝具でも難しいかもしれませんね」

「俺の認識が甘かったのが解った、闇の書ってのは洒落にならない代物なんだな」

どうやら、こっちに戻ってからも調べていたアーチャーの話は、暴走する闇の書は惑星破壊クラスの脅威こそ無いものの、それでも十分文明を崩壊させられる規模の破壊をもたらすといい、遠坂もユーノの一族みたいに遺跡を調べ過去になにがあったのかを検証している人達が立てた説の一つに闇の書が関わっているかもしれないといった話を持ちだす。
正直、核とか反応兵器ってのがどれくらいの威力を持つのかは俺には想像もつかないのだが、そうなればセイバーの言う通り聖剣ですらも蒸発させるのは厳しいかもしれない。
とはいえ、案そのものが闇の書を外部から破壊するだけのその場限りの対応でしかなく、根本的な解決にはいたってないのだから反応弾や聖剣の使用を選ばなければならないような状況は、闇の書に関しての対応が悉く失敗した事を意味しているといった最後の手段でしかないのだが……

「でも、夜天の書に機能をつけ加えた人はなんでそんな事をしたのかな?」

それまでポチと遊びながも聞いていたらしく、アリシアは小首を傾げながら口を開く。

「そうね。仮にグレアム提督のように所有者の選定を予測できたとしても、転生機能の次の次や更に先を確実に予測できるとは思えないから戦争に使う線はリスクが多すぎるし……」

その言葉にハッと表情を変えた遠坂は片手で口元を隠すような仕草をしながら、古代ベルカ時代の戦争の最中に兵器として使用する為に改竄したのではなさそうというが、

「そもそも兵器とは制御や管理ができてこその兵器です、闇の書の在りようは制御に関して問題があり過ぎる」

「それもそうだよな……」

祖国を護る為に戦い続けたセイバーは兵器という物は管理できてこそ兵器だという見解を示し、俺も戦争でもない時まで暴走を続けるような代物を武器にしようとは思えない。

「では、逆に制御できなくする必要があったのかもしれぬというのはどうだ?」

子供らしい率直な感性だからこその疑問なんだろうけど、アリシアが投じた一石は推測の幅を増やしてくれたらしくアサシンは今までの仮説とは違う考えをもたらす。

「ほう。という事は、夜天の書を誰にも制御させないよう、あえて闇の書にする必要があったという事か?」

「仮定の話しとはいえ、それでは夜天の書が闇の書よりも危険な魔道書という話しになってしまう」

ただ、仮の話とはいってもその考えだったらアーチャーやセイバーが疑問に思うように夜天の書が闇の書よりも危険な魔道書って話しになってしまうが、

「八神の反応からは、そんな感じには見えなかったからなぁ……」

「一時的にしても、問題の自動防衛システムを切り離せたのですから件の八神はやてが危険性を察知できないとは思えませんが……」

俺もセイバーも話をしていた時の八神を見ているのでそんな感じには思えない。

「そうはいっても、マスタープログラムに複雑に絡ませていたっていう話しだから把握できなかった可能性があるか、自動防衛システムそのものに秘密があったかね」

「自動防衛システム、言われてみればそれが一番の謎なんだよな」

「ええ」

結局は夜天の書を闇の書にしている大元、自動防衛システムに謎があるのにたどり着く、遠坂の考察から俺も自動防衛システムに対する疑問へと至ってセイバーも相槌を打った。
やはり、八神達が言っていたように自動防衛システムが一番の問題なのは間違いないようだ、そう再認識した俺達だったが、今度は自動防衛システムとかいう奴の情報が少な過ぎる壁に直面してしまう。
そんななか―――

「しかし、そこで立っているのではなく一緒に茶でもどうかね」

アーチャーが目を向けた先、

「すまない、立ち聞きをするつもりはなかったんだ」

開いたままになっている休憩室と通路の影から謝意を口にしながらクロノが姿を現した。
休憩室兼食堂と通路の間には本来なら自動開閉の扉があるんだけど、本局に係留されているアースラは様々な点検が行なわれている最中なので今は扉も点検の為に開いたままだ。
そうはいっても、プライベートな部分がある部屋の扉はそのままだし、艦内の空調とかは動いているので生活するのに不便さは感じられない。
しかし、アサシンやセイバーも特に驚いている様子もないから気づいていたんだと思うけど、クロノが立ち聞きをしているなんて珍しいな。

「闇の書の件で君達の力を借りたいと思って頼みに来たんだが、僕達の視点とは明らかに違う意見だったものだから邪魔をしないようつい聞き入ってしまった」

「そうなのか」

珍しいというか、何故らしくもない立ち聞きなんかをしていたのか口にするクロノに、俺はなんだか納得してしまう。
そういうのも、あくまで仮定の話だが夜天の書が闇の書よりも潜在的な危険を秘めているかもしれないっていう発想そのものが、八神から提供された情報も相まって考えが及ばなかったのかもしれない。

「でも、それはもしかしたらの話よ」

「いや。言われてみれば、転生機能は元々夜天の書の機能の一つだったのだから否定はし難い。
そういった機能もそうだが、それを可能にするにはどれほどのエネルギーが必要になるのかや、他にも僕達が想像もしていなかったような機能があったとしても不思議じゃないんだ」

遠坂にしても、夜天の書や闇の書そのものが解っていないのだから精々用心するしかなく可能性があるだけと言うものの、クロノは夜天の書や闇の書に共通している転生し続ける機能に不可欠な自身を保存して維持させ続けるエネルギー、恐らく魔力なんだろうとは思うが転生する間はマスターが居ないんだから内部に魔力炉みたいな機構がなければ維持できないのではないかと言いたいようだ。

「そうは言いますが、闇の書や自動防衛システムが厄介なのは元々判っていた話です。
この話は、それに加え八神はやても把握していない機能や力を秘めている可能性があるかもしれないという仮定の話しに過ぎませんが?」

「それはそうだが……」

他に情報がない以上、この話は憶測の域を出ないのを告げるセイバーに、クロノは執務官としての勘なのか納得がいかないというか、どこか引っ掛っているような感じだな。

「でも、よくクロノが来てるのが判ったなアーチャー?」

セイバーやアサシンとは違ってアーチャーは基本的には魔術師だ、いくら守護者になれる程の実力があったからってお前も元は俺だろと言いたい。

「なに、向かいにいるアサシンの目が少し動いていたのでなそう難しくはなかったさ」

アーチャーは驚くほどの話しじゃないように口にする、けどセイバーやアリシアと一緒に座っている遠坂の後ろという立ち位置、それは対面的に俺やアサシンの真向かいという事だが、そもそもの問題はそこではなく、

「なるほど、アーチャーのクラスは鷹の目を持つといわれるがその通りのようだな」

アーチャーは謙遜しているようだが、和やかな朝食なのにも関わらず僅かな動きすら捉えていたのだからアサシンじゃなくても驚嘆する。

「大した事はない、そこの小僧に落ち度がないか全体を見回していただに過ぎん」

「完全に姑化してるわね……」

だが、肝心のアーチャーが注意していたのは飽く迄も俺にミスがないかを見るためだとか言い、遠坂すら姑と化して来ているアーチャーに乾いた笑みを浮かべいた。
ホテルの時やアースラが係留され、大半の乗組員が上陸してしまうまでは俺もほとんどやる事がなかったから解らなかったのしれない、それに俺だってアーチャーを超えようとしているのだけど………この調子でされたら俺の方が摩耗してしまいそうだ。
前に、キャスターが一成が小姑のようになっているのをぼやいていたが、こんなのが続くようなら精神が磨り減ってしまうのも無理はない。

「それはそうとして、執務官であるクロノが来るとは何かあったのですか?」

俺が振っておきながらだが、姑みたいになってしまったアーチャーから目を逸らすようにセイバーはクロノに話を戻す。

「ああ。君達に折り入って頼みたい話があって来たんだ」

俺達を見渡したクロノは静かに返し、続けて話を始めた。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第23話


執務官というのはもの凄く忙しい役職らしく、クロノは受け取った闇の書事件に関する資料の整理がある為に午後になってしまうという話から一旦別れ、アリシアとポチ、その護衛のバイトをしているアサシンはマリーの居る本局技術部に向かった。
二人と一匹がいなくなり、残る私やシロウ、凛にアーチャーの四人は本局内部にあるという時空管理局のデータベース、一部は一般にも公開されていると部分もあるそうだが、それは書庫が内包する極一部に過ぎないという書庫へと歩みを進める。

「ここが無限書庫……」

自動で開閉される扉を潜るシロウは、受付けの前で足を止め辺りを見渡しながら漏らし、

「結構、普通っぽい所ね」

「ええ。クロノの話では、時空管理局の本局内部にある書庫は世界の記憶が眠る場所とも呼ばれるそうですから、もっと異様な雰囲気がある場所かと想像していましたが思いのほか違和感がない所のようですね」

私も同じように見渡せば近代化された設備や規模の大小の差こそあれ、これでは凛の言う通り新都にある図書館の空気とそう変わり映えはしない。
しかし、この場所は多くの者が無限書庫と呼び、一部の者達は世界の記憶が眠る場所とさえ言う所、しかも時空管理局が誇る重要なデーターベースであるのを思い出し再び目を向ける。

「世界の記憶が眠る、か」

「なんか気になる事でもあるのか?」

「まあね。世界の記録を書籍として保管するのに加え、クロノが言うように本当に無限に書物が増える仕組みなら、ここってば私達の感覚からすれば第二すら使われている神殿みたいなものなんじゃないかって思えてきたのよ」

「こっちでも、俺達の世界でいう神代の時代に相当する文明があったって事なのか」

「方向性は違えけど、似たような過程でそうなったんでしょう」

アーチャーは聖杯戦争時にギルガメッシュがいた影響から受肉する事なく今にいたる、それ故に普段は凛の負担を減らすべく霊体になっている為に話には乗ってきませんが、やや落胆を禁じえなかったこの書庫への所見を凛とシロウの会話を耳にする事で改める。
時空管理局が発足する以前から存在していたといわれているこの場所は、様々な世界で書かれた書物を記録し保管する為の機能だけだからこそロストロギアには認定されていないものの、ロストロギアを生み出すような異質文明の遺産である可能性は高い。
私とて聖杯戦争の時に呼び出された聖杯からの情報や、神の座で得た知識、アリシアの使う第二魔法の一つの能力としてその世界での基本的な情報が得られるようになるなどの経験をしているのもあってか、この無限図書も世界から書物に書かれたという認識をもって記録された情報を読み取り保存する機能があるのかもしれないと推測する。
改めて周囲に目を向ければ、正面の出入り口から入ってすぐに受付はあり、左右には二階へと続く階段、しかし、階一つとっても本棚の高さが高い為に足場が作られているので実際には私達の感覚でいいうところの四階分に相当するのかもしれない。
ただ聞く限りの話では、これらは一般にも開放されている書庫の一角に過ぎず、私達が入るのは闇の書関連の情報があるかもしれない古代ベルカ区画。
クロノが頼みたいという話の内容は、ここに埋蔵されているかもしれない闇の書に関連する文献の調査という話であり、無限書庫という場所は様々な世界、この場合は文化や文明など人々が本という形にして伝える記録を自動的に保存している為に、星側ではなく人側、つまり霊長の記録の類であるといえよう。
しかし、それら記録の収集は現在も続いている為に、今では必要な資料を探すのにさえ調査隊を編成しなければならないとかいう話しですから、そのような有様ではクロノが手の空いている私達に声をかけるのも無理はない。

「とりあえずは、そこの受付で聞いてみましょう」

「そうね」

「ああ」

異質文明の業の結晶とも呼べる無限書庫、理論上、有限である建物の内部に無限に保管可能な書庫が在るなどという状況はとうてい実現できる筈がない。
しかし、アヴァターでアリシアが部屋の大きさを変えた事などから察するに……そこには第二という奇跡が関わっているのかもしれない可能性さえあり得るのだ。
既に滅んでしまったか存続しているのか定かではありませんが、そのような業すら扱えた文明があった事実に圧倒されてしまいそうになる―――たが、こうして出入り口で佇んでいても意味はない、私は受付に足をむけ凛とシロウも後に続いた。
受付の者に声をかけた私達はクロノの名を出すと奥に案内され、次元を航行するアースラですら見た事がないような大型の転移装置の前にまでやって来る。

「一般解放区の方は重力がありますが、書庫のなかは無重力ですので慣れてないと気分が悪くなるかもしれませんから注意して下さい」

そして、これより先は無重力空間という今まで経験してきた所と違うからこその忠告を受け、私達は送り出された。

「っ、これは……」

「体がフワフワしていてバランスが取れない」

転移した先では本棚があつらえられ、周囲には見渡す限りの場所に本が埋め尽くされているのですが、生憎と重力がない為に足から地面に立つ事もできず、宙に浮くというか漂ってしまって私もシロウも上手く動けない。

「大丈夫、飛行魔術の感覚で動けばすぐに慣れるから」

「……飛行魔術ですか」

「そう言われても足がついてないと不安なんだよな……」

短期間のうちに飛行魔術を自分のものにしてしまったからか凛は簡単に言う、しかし、私もシロウも飛行魔術は得意ではない。
そういうのも、空を飛ぶのと地上を駆けるのとでは制動に違いがあり過ぎるからだ、シロウが言うように地に足がついていれば地面を踏みしめ止まり、蹴って間合いを詰め、時には方向を変える事さえ容易だ。
しかし、空を飛んでいるのではそれらが出来ないばかりか剣を扱うのに必要な重心さえもが狂いかねない。
だだ、この浮遊感に似たような感覚を体が覚えているのには少々気がかりだ、どこかで最近体験しているのだろうか?

「アドバイスするなら………そうね、この前のホテルのプールみたいに水の中を泳ぐような感覚で動けばやり易いかも?」

「なるほど」

「……どちらも浮いているような感覚だしな」

凛にしては珍しく確信がないのかやや迷いのある助言ではあるが、そのお陰でこの感覚の正体がつかめた。
重力がないなか四肢を動かし、それがもたらす動きの割合を把握する、プールの時は水という抵抗があったからこそある程度の動きがあれば自在に動けたものでしたが、無重力というのに加え空気に抵抗はないに等しい。
それ故に、相応に力を込めなければ四肢の力だけで重心を移動させるのは難しそうだ、しかし、それでもプールで壁を蹴っていたのを思い出した私は作り上げた魔力の足場を蹴りながら動いてみる。
やはりというか、足場を用いた移動方では無重力という環境下での速力は望めなくもないが、直進するだけならば飛行魔術の部分的な使用で推進力だけを生み出せばいいに過ぎない。
私は飛行魔術で加速させつつ、四肢を使った重心の移動や魔力の足場、細かな動作には魔力放出を用いて無重力下での動きにある程度の目安をつけた。
ここに来てから十数分が経ち、無重力にも慣れてきた私がシロウを見やれば、シロウも私と似たような動きをしているようだ。
しかし、シロウは私よりも飛行魔術の割合が高いのか重心の移動だけで済むところを魔術で補ってしまっている、一見して無駄にも思える動きだがシロウは魔術師、更にいえばシロウよりも魔術の造詣が高い凛も同じような動きなのだから、そこまで求めるのは厳しいのかもしれない。

「いたいた。皆さ~ん、こっちですよ」

私やシロウに凛の三人が無重力という環境に慣れようとしていたところに声がかけられ、

「受付から聞いて待ってましたけど、なかなか来ないから心配しましたよ」

視線を向ければ機動六課の隊員の一人、リインという小さな女の子が迎えに来ていた。

「悪い。無重力って所が初めてだったから少し戸惑ってたんだ」

「もう慣れたけどね」

「ええ」

小さいが故に距離感が掴みにくいものの、声からして遠くにいるわけでもなくリインにシロウは謝意を込め、凛や私ももう大丈夫だと返す。

「こっちです、ついて来てください」

一面の壁そのものが本棚と化している通路のなか、先導するリインに着いて行けば、そこには既に数人の者達が私達を待っていたようだ。
更に、その奥には区画に入る私達の挑戦など恐れるに値しないとでもいいたげに侵入を阻む扉、巨大でいかにも重厚な感じでありながらも、壮麗な装飾が施されている両開きの扉が立ちふさがっていて、例えなかに入れたとしても書庫の名の由来が正しければ続く通路の先には果てがあるのかすら疑問に思えてくる。
扉の前で待っていたのは五人、機動六課の部隊長である八神に分隊長のフェイト、副隊長のシグナムとヴィータ、それにまだ挨拶しか交わしていないがスバルという部下もいる。

「どうやら無重力には慣れてねーみたいだな?」

少女というか、一見して幼女にすら見えなくもない容姿のヴィータが私達の様子から察したらしく口を開くが、

「それはそうだろう。無重力なんて環境、俺達の世界では経験しようがないんだから」

「ええ、そうです。そもそも、星から外に出る事なんてまずありません」

「私達の世界で無重力を経験するなんて宇宙飛行士くらいよ」

シロウや私、凛の三人は無重力という環境が地上には存在し得ないのを告げた。
ただ、ヴィータという少女はアリシアよりも背が高く、この世界のなのはやフェイトに近い背丈の少女というか一見して子供にしか見えないが、姿を変える魔術をアルフがマンションで使っていた話を耳にしているのでヴィータもそれを用いている可能性は十分にある。

「せやなぁ、地上じゃあ無重力は経験できへんもんやからなぁ……」

「すみません。飛行には適正がなくて、地上とは感覚が全然違から姿勢が上手くとれません……」

返す私達の言葉に対し、八神は力の入れ過ぎか空回りするように回転してしまい上手く動けないでいるスバルに視線を向けた。

「そうだね。今のベルカ式には空戦をする人が少なくなってるみたいだから、でも反対にスバルにとってこれは貴重な経験になると思うよ」

「この感覚に慣れれば、飛行魔法だってちゃんと扱えるようになれます」

「ああ。それに、このような空間でさえも姿勢を保てる術を身につけられれば、重力下では余計な力がかからないようになるから無駄な動きはなくなるものだ」

無重力という空間は力の入れ具合そのものが推力になり得る環境である、その為に力を入れ過ぎたスバルは止めようとするが逆の方に力を入れ過ぎてしまうらしく側転するかのように動いてしまっている。
そんなスバルに対し、大人のフェイトやリイン、シグナムの三人は状況に対する適応力を伸ばそうしているのか安易に答えは教えず自分で考えさせようとしているようだ。
それはそれでいいと思う、スカリエッティの起こしたゆりかご事件の際、主戦力であるガジェットとは別に行動していた戦闘機人達、恐らくはこちらの部隊は特殊部隊的な要素が強く、戦闘機人一人一人が専門分野では最高レベルのプロフェッショナルに相当していたのだろうと推察できる。
そのような部隊を相手に、無力化し捕縛した機動六課の隊員であれば実力は相当なもの、今は無重力で身動きすら難しいとはいえ彼女が無重力での体の動かし方を試行錯誤しながら覚えて行くのは時間の問題なのかもしれない。
だが、それには相応の時間が必要になる為に今の状況では酷というもの―――

「スバル・ナカジマといいましたね」

彼女の名前には日本人特有の韻が感じられる、提督にまでなったグレアムの例がある以上、過去にミッドチルダに移住するなりした祖先がいたのかもしれない。

「普通にスバルでいいですよ」

「ではスバルと呼ばせていただきます。まずは一つ一つの動作を確認して、それが与える影響がどれほどになるのか把握してはいかがでしょう?」

せめて、私が凛から助言を受けたようにヒントくらいは出した方がいい、そう判断した私は自身が試した方法、そもそも自分が行なう動作の一つがどんな結果をもたらすのかを把握してなければ動きようがないのを暗に口にした。

「もう、簡単に答えを教えたら駄目ですよ。
現場で何かがあっても、その時々で自分で考え臨機応変に動けるようにならないじゃないですか!」

だが、飽く迄もヒントに過ぎない程度で告げたつもりでしたが、リインはぷくっと頬を膨らませて抗議して来て、

「でも、それを言ったら空間の把握について言わなきゃ駄目なんじゃないかな?」

この世界のフェイトもそうだが、大人のフェイトも飛行魔術が得意ならしく助言するなら飛行魔術に必要な空間を把握する方法ではないかと疑問を抱いたようだ。

「いや。ここはセイバーの言う通りだ、体の一つ一つがもたらす動きがどう作用するのかを把握していれば、無重力どころかそれ以外のところでも通用するのだからな」

「つまり、自分を知るって事は何をするにしても必要な基礎って話しだ」

私の助言に対し疑問を抱いたフェイトに、シグナムは力を把握するという事は飛行魔術に必要なだけではないのを返しヴィータも相槌を打つ。

「そうだったんですか」

「私もようわからんのやけど、シグナムやヴィータが言うんやさかい本当なんやろ」

二人の同僚から穏やかながらも注意されたリインは、

「早とちりしてごめんなさい」

ぺこりと頭を下げ、部隊長の八神は私やシグナム、ヴィータがいうところの無駄のない動きが解らないようなので特に武勇に秀でた者ではないようだ。

「それはそれで、言うは易く行なうは難しって言葉通りなんだろうけど……」

「だろうな。自分で自分の癖とか力が入りすぎや少なすぎってのは判らないものだから」

「でも、そのおかげでなんとなくですけど解りました」

ただ、凛やシロウは私達三人の話が難易度の高い話しに思えたらしく苦い顔をしているようだが、反対にスバルは活き活きとした表情で体を動かし始めている。

「では、そちらの方はもう慣れたと判断していいのだな?」

「ええ。初めは戸惑いましたが感覚はつかめました」

「流石は伝説の王ってだけはあるか」

シグナムの問いかけに返す私に、ヴィータは笑みを漏らし、なんとなくだが私達三人は通じ合った気がした。

「でも、捜すのにこの人数で大丈夫なの?」

「クロノの話しだと、ここのどこかに闇の書に関する文献があるかもしれないんだろ?」

機動六課の二人と気が合う私を他所に、凛とシロウはこれだけの人数で大丈夫なのかと懸念を抱く。
それもそうだろう、ここに居る機動六課の面々に私達、霊体化しているアーチャーさえ加えても十人程度に過ぎず、そのような人数で無限の名すら冠する書庫を相手にしなければならないのだから。

「その辺に関しては安心してや」

「未整理の区画ですけど、今回は私達が持ってきたデータを参考にしていますので、他の資料が収められているパターンなどからある程度の場所は絞れ込められると思いますから」

心配する私達を他所に、八神は大丈夫と返して来てリインも補足を入れる。

「作業的には、それらの本にある内容を検証する他に、関連するような本がないかを探して行くって感じかな」

「なにせ、あたしらの時と同じ情報だけだったら同じ結果になっちまうかもしれなねぇ」

「それを変えるには更なる情報が必要になる、可能ならば夜天の書が闇の書になる間にはなにがあったかが判る内容の物があればいいのだが……」

大人のフェイトが掻い摘んで作業の流れを語り、ヴィータは彼女達が持つ以上の情報が必要な理由を告げ、シグナムは闇の書を暴走させている自動防衛システムの概要が書かれた書物があればと漏らす。

「では、今回の探索は先行調査のようなものですか?」

「それもあるんやが、少し問題があってやな……」

「私達が持っている検索魔法は、闇の書事件の際に捜査に協力したのが切欠で無限書庫の司書になったユーノ司書長が改良を施したタイプなんです」

ある程度の場所も特定されているという話しに、私は大規模な探索の前に行なう少人数での調査だと考えたが、言葉を濁す八神に代わりリインが口を開いて、

「そんな訳やからユーノ君の将来にも関係してくる話しや」

「兄さ……じゃなかった。クロノがユーノを連れて来るまでは、あまり管理局の人間に広めたくないんだ」

「まあ、その事を話したらクロノ執務官もあのフェレットモドキがって驚いていた様子だったがな」

肯定する意味も含めて八神は頷きを入れ、大人のフェイトやシグナムも十年という歳月故に起きるタイムパラドックスのようなものを警戒している様子。
なるほど、それ故に時空管理局の人間ではない私達に声がかかったという訳か。

「そのユーノ君にしても、うちんとこのなのはちゃんも午後には来れるやろうから安心してや」

「こっちの世界のなのはと違って、私達のところのなのはは技術部の所で擬似リンカーコアシステムを搭載したデバイスや、はやてが提案した簡易デバイスに術式だけを入れたモデルを試しているんだ。
でも、擬似リンカーコアシステムの試験は複数の教導隊員達で同時並行で行なっているから、マリーも送られてきたデータを纏めるのに午後は手一杯になると思う」

続いて、この場に姿を見せてないなのはについても言及が及び、八神と大人のフェイトの話から子供のなのはなら今頃は学校に行っている時間であって難しいが、既に仕事に就いている大人のなのはは航空戦技教導隊という部隊に所属していた事もあってか擬似リンカーコアシステムなどの新しく試作された装備に関しても造詣があるようだ。
それに、話がマリーの居る本局技術部ならば、その頃にはなのはの他にアリシアとアサシンも来れそうではありますね。

「要は人一人の人生がかかっているって話か……」

「そういう話しなら仕方ないもね」

八神達の話しから、おおよその状況は把握できたシロウと凛は理解を示した。

「慣れてへん者もいるさかい。その間、私らは検索魔法の使い方に慣れるついでに扉付近の調査や」

「では、そちらのデバイスに術式を送ります」

八神は初めからそのつもりだったらしく、蒼い本を取り出すリインは私達のデバイスに検索魔法という術式を送り、私達も今回の調査に必要な魔術なので拒む理由もなくデバイスに登録される。

「それじゃあ、調査開始と行こうか」

「この扉の先には、古代ベルカ時代からベルカ戦乱期頃までの書物があります、けど時々思念体が現れるという話です。
もちろん、それを含めての人選ですが気をつけてください」

準備は終えたのを告げる八神に続き、事前に鍵かなにかを得ていたリインが何らかの魔術を使うと重厚な扉が左右に動き出す。

「なかは迷宮型だから迷わないようにね」

「書庫なのに迷宮って……」

「入り組んだ構造って話しなんじゃないか?」

機動六課の面々が入って行くなか、大人のフェイトは無限書庫に慣れない私達に幾つか構造の違いがあるような事をさりげなく語り、その言葉に凛もシロウも唖然とするも、書庫を迷宮の如きにするという発想は受け入れ難い。

「それに加え、リーゼ達の報告書には気になる点がある」

「というと?」

「この扉の奥で現れる思念体は、個々の強さそのものは大した問題じゃないそうだが一度現れれば次から次に現れるって話しだから注意は怠れねぇ」

次いで入る前に注意を呼びかけるシグナムに私は返すが、代わりに答えるヴィータの言う限りこの奥に現れる思念体は数こそが厄介だという。

「それは殺傷設定でも?」

「そうらしい。提出されている内容に食い違いがなければ同じような者達が何度も現れるそうだ」

「特性としては、昔のあたしらに近いのかもな……」

増援が見込まれるのなら交戦する相手を殲滅して行けばいいと判断したのか凛は聞き返すが、シグナムやヴィータの微妙な意味合いから察するに対峙する相手の数は相当のもののようだ。
―――もしくは、かつて四次にて対峙したキャスターが手にしてたのと同じよう、書物そのものに魔力炉なり何かしらの仕掛けがしてあって際限のない召喚を可能にしているのかもしれない。

「では、その者らに襲われた場合は?」

「リーゼ達の報告からは生憎、非殺傷でも致命傷になるらしく倒れるのではなく消えてしまうとの話しだ、それにバインドで捕らえるにしても限界がある、手に負えなくなる前に減らすしかない」

「……じゃあ、殺傷設定でって事ですか?」

基本的に相手を傷つけ難く倒す非殺傷の業だが、相手の体が存在力の少ない霊体や魔力で構成されていた場合などは不殺である筈の非殺傷ですら魔力の影響から致命傷になりかねない。
それ故にシグナムは、結果が同じなら時間や苦しませずに倒せる殺傷設定の方がある意味で人道的なのかもしれないと告げ、捕縛もまた難しいと判断していた、しかし、スバルは思念体とはいえ意思を持つ者に対して殺傷設定を使う事に抵抗があるようだ。

「残念ながらそうや。扉の奥に居るのが敵意を持ってなかったら話し合いでいいんやが、敵意を持って来るんやったら囲まれる前に減らすしかないのが現状や」

「話が通じれば一番なんですけど、リーゼさん達も接触を試みて失敗しているそうです……」

時空管理局の局員は兵士ではない。
基本的には罪を犯した者らを捕らえ、背後になにかしら操る者がいれば白日の下にさらしだすのが局員の仕事である。
八神は、殺傷設定にしなければならないスバルの心情を察し補佐役のリインも同様に接した。

「そんな訳やから、私んとこの世界でもこの奥は必要な時以外では入れんようなっとる」

「そんなんでよく調べれたな……」

十年後の世界でさえ、この奥は立ち入り禁止の区域に指定されているのを告げる八神にシロウは半ば呆れるような声で漏らし、

「リーゼ達はクロノ君の師匠やからな。
殺傷設定にしてさえ、倒し続けても現れる思念体達に対して交戦そのものが無駄な労力だと判断を下して。
それからは、姿が見えんようにしながら調べを進めてたんやが、ユーノ君が手伝う前の話しやさかいあまりはかどらなかったそうや」

八神達の言うリーゼという者達の事は知らないが、執務官であるクロノの師であればその実力も相当のもの、その者らですらこの奥に眠る元凶を特定できなかったのであれば、召喚にしろ何ににしろ思念体達を縛るなにかは厄介な代物なのだと判断できる。

「……まあ、手伝ったら手伝ったで別の所から関連する内容が見つかって、結局、こっちは手つかずになっちまったからな」

「そんな経緯がありますから、私達が知らない手がかりがあるとすればこの扉の奥にある公算が高いと睨んでいます」

そして、ヴィータやリインいわく、この奥は効率よく調査可能な検索魔法を手にした後も調査が進んでないという。

「報告書の記述通りであれば、ガジェットを相手に出来る実力なら大丈夫のはず」

「問題があるとすれば無重力の方やろが、慣れるまでは機動六課の隊長副隊長が対応するさかい安心してや」

「とりあえず。今回はスバルも調査の方が優先だ、思念体達が現れたら後ろに下がるんだぞ」

「了解です」

開け放たれた扉を前にシグナムと八神は口にし、無重力に慣れないスバルははヴィータから後に控えるよう告げられる。
だが、敵意を持つ相手が召喚される書庫、似たような所といえば前に行った事のあるアヴァターで書の精霊の一人イムニティがいた図書館の地下がありましたが、そこでさえモンスターが現れ階層こそ多いいものの迷宮のように入り組んだ造りにはなっていない………
迷宮とは財などを守る為に奥にたどり着かせない為の構造、加え思念体という霊の如き者達を際限なく召喚、使役している可能性―――魔術を少し学んだとはいえ魔術師ではなく剣士でしかない私には想像が及ぶべくもないが、この無限書庫の造りも何か秘密があるのかもしれない。
そんな懸念を抱きつつも、開け放たれた重厚な扉の奥へと足を踏み入れた私達は検索魔術の使い方を教わりながら本の内容を検証して行く。
棚一つ検索し終え、検索魔術にもなれた頃、ふと気がつけば直通の通路であるからか思念体について語ってはいたものの、警戒用の結界などを張った形跡は感じらない。
その対応から考察するに、奥から思念体が現れれば遮る物がないので十分対応できるといった考えなのでしょう、しかし―――その考えは危うい。
件の思念体が害意を持つ者ならば、ミッドチルダ式にしてもベルカ式にしても遠距離からの砲撃やこちらに害を与える術は幾らでもある、早期発見の必要性を感じた私は警戒用のサーチャーを数個ほど作り通路の奥へと進ませる。
すると―――

「―――っ!?」

通路の先から何かしらの影が動き、サーチャーを動かして確認すればそこには浮遊霊にも似た亡者達が蠢いていた。


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