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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編17
Name: よよよ◆fa770ebd ID:7b08bee0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/27 19:40
蒼空より姿を現す航空機型のガジェット、Ⅱ型の出現により戦端は開かれ戦いは始まった、Ⅱ型への迎撃はクロノさん率いる飛行チームが受け持ち次々と撃破して行くものの、Ⅱ型が放つ光線はいいとして一機につき六発搭載しているミサイルが稀に『ディストーションシールド』の空間歪曲場に引っかかって公民館の近くで爆発したのか、衝撃というか微妙な振動が伝わって来る。
地中には水道などのライフラインがある為に空間歪曲場は展開出来ないから仕方がないとはいえ、公民館自体は『ディストーションシールド』によって囲まれているから被害らしい被害は無い。
でも、小刻みな揺れは気にする程じゃないにしても避難して来た人達は外に仕掛けたカメラの映像や、ゆりかごを映す衛星からの画像で、振動の原因がミサイルなのを知っているから落ち着かないみたいだ。

「っ、俺も力になれたら……」

「そりゃあねぇ、私だって何かしたいけどさ……」

植木職人だというおじさんは、高枝切鋏み型のデバイスを手にしながら空間モニターに映し出された映像を見やり、缶きりや包丁、栓抜きなど十の形に変わるデバイスを手にするおばさんはおじさんを宥めるようにしながら見詰めている。

「聞いた話じゃ、CAMF(カウンターアンチマギリングフィールド)っていうAMF対策だってあるんだろ俺じゃだめなのか?」

「そういっても、部隊での戦いに慣れている訳じゃないし……本職の人が言うんだから仕方がないじゃないのさ」

「くそ!AMFさえ無ければ、ガジェットなんか俺の鋏みでちょん切ってやるのに!!」

「その前に俺様のファイアスターターが焼き尽くすがな」

おじさんとおばさんの話しに、長い筒型をした雑草除去用のバーナーみたいなデバイスを手にするお兄さんは自信満々に口を開き。

「何だと若造が、俺のシザーハンドはなあ―――」

「あら、私のテンブレイドだって―――」

「でも、CAMFの範囲はAMFの濃度によって変わるんだよ」

話はデバイスの自慢話に変わりつつあるようだけど、話が盛り上がり過ぎて飛び出されでもしたら困るのでCAMFはAMFに対して有効だけど、絶対じゃないのを告げる。
そもそも、ディアブロと四つのジュエルシード改から供給される魔力と性質を利用して『ディストーションシールド』と『CAMF』の両方を展開している訳で。
公民館の施設は結構広いし、セイバーさんやクロノさんは主に避難している人達の方を優先するよう言っていたから、『ディストーションシールド』の方を優先にして、余力があればCAMFの方に魔力をまわすようにしている。
だから、公民館への攻撃が激しくなればなる程、CAMFにまわす魔力が減るし、AMFとCAMFの関係は単純に出力が強い方が効果が現れるからガジェットが雲霞の如くやって来れば効果は激減するんだ。

「くっ、結局はAMF相手の訓練をしていないと駄目って事か!?」

「俺が若い頃だって、AMFなんていうマイナーな魔法なんて使う奴はいなかったのによ!」

「対フィールド弾、時代が……変わったのかね………」

すると、お兄さんやおじさん、おばさんはそれまでの元気というか勢いが無くなってしまい、しょんぼりとした感じで避難所に設けられた空間モニターに目を向ける。

「大丈夫。お兄ちゃん達は正義の味方なんだから、きっと皆を守ってくれるよ」

「本当なの?」

「うん。でも、それは地上で働いている局員さん達だって同じなんだよ」

少し可哀想な事をしたかなと思い、皆を困らすガジェットなんかは外で戦っているお兄ちゃん達がやっつけれくれる筈だって慰め。
すると、起動したままのジュエルシード改を四つ周囲に漂わせている私に、お母さんと一緒にいる私と同じ歳の子が聞いてきたので頷きながら空間モニターに映される姿に目を向けた。
映像にはクロノさんやフェイトさんが放った魔法を避け、瞬間的とはいえ数機が纏まったところになのはさんの砲撃が薙ぎ払い殲滅して行く姿が映されている。
一方、地上ではお兄ちゃんとアーチャーさんが遠くの相手に弓を放ち、セイバーさんとアサシンさんが近づくガジェットに立ち塞がって次々に斬り捨て、その斜め後ろ辺りから地上部隊の皆さんが射撃魔法を放っていた。
加え、光の刃が空に走ったり、雷が落ちたり放たれたりするのは凛さんとお母さんの魔術なんだろうと思う。

「凄いね、僕とそんなに変わらないのに……」

「ああ、なんでも全員が全員Aランクはあるっていう話しだからな」

「畜生、精々Dランクの俺には無理って話か……」

お母さんと一緒に映像をジッと見詰める子は、ガジェット相手に戦い続けるなのはさんやフェイトさん、ユーノさんの勇姿を目にして呟き、その声にお兄さんやおじさんはそれぞれ言葉を漏らす。

「聞いた話じゃ、執務官が極秘に追っている事件の為に編成された部隊って噂よ」

あばさんが言うには、クロノさんと局員さん達の話を耳にした人から更に又聞きし、伝言ゲームの要領で話しに尾ひれがついたのか変質したのか、私達が何時の間にやら極秘任務で動いている特務部隊という話になっているみたい……

「そうだよな、この娘だってディストーションシールドとかいう大規模空間防御が使えるんだし」

「現にこうして守られている訳だしな」

「うん。お兄ちゃんやクロノさん達がガジェットから皆を護るように、私もここに避難して来た人達に怪我がないようにしてるんだ」

極秘って訳じゃないけれど、一応、この世界のフェイトさんについて調べていたのは確かなので反論する必要は無いとは思うものの、おばさんの語る話しにおじさんもお兄さんも私を見やり納得していたので皆が安心できるよう口にする。
でも、一度に襲来するガジェットの数こそ十数機から五十機程度なんだけど、それが何度も繰り返されて行くと、幾らガジェットが現れる方向がゆりかごの方角からだけとはいっても限が無いように感じてくるのかもしれない。
しかも、初めのうちはゆりかごからの距離もあってか襲撃の間隔も長く、その間にジュエルシード改から魔力供給を受けているお母さんがユーノさんや地上部隊の局員さん達に魔力を渡し、皆の疲れや傷を治すのだけど、ゆりかごの接近に伴い襲撃の間隔が短くなって行き、保有魔力量が少ない局員さん達に疲労の色が濃く現れ始める。

「負けないで……」

「そうだな、俺は……ここで応援するしかできないんだからな」

「若造、お前だけじゃない。
俺だって、俺達の日々を壊したスカリエッティって奴をぶちのめしたい―――でも、俺じゃ力が足りないんだ!」

私と同年代の子の声にお兄さんは悔しそうに顔を顰めるけど、おじさんはスカリエッティって人が起こした事件に対して力になれない無力さを悔しがり。

「だから頼む、俺たちじゃ駄目なんだ頑張ってくれ!!」

デバイスを手にする両手をグッ強く握り締め、画面を見詰めるおじさんの声は半ば叫びのようなものになって避難して来た人達でざわめく広間に響き渡った。

「―――頑張って」

おじさんの叫びにより、瞬間的に静まり返った室内にお母さんと一緒の子が口にすると次々に「頑張れ」、「頑張れ」と声が広間に木霊し始める。
そうだね、きっと正義の味方に護られているだけじゃ駄目なんだ―――守ろうとする人も、守られる人達も皆が皆、力を合わせてこそ平和は守れるんだ。
だって、いくら正義の味方が助けようとしても助ける相手が望まなければ正義の味方の行いは迷惑なだけの空振りで終るのだから、助けられる方も助かろうと努力しないといけない。
そう思い再び外で戦う皆の姿に視線を向け、

「んっ―――」

ふとソレが目に入った。
そうだ、アレなら……皆の想いが元になって創られたアレなら皆の願いを力をできる。

「皆も一緒に戦いたいんだから私も動かなきゃ」

立ち上がった私が公民館の運営をしている人達や報道関係の人達を捜し、なんとか話がついた時―――セイバーさんの剣から極光が放たれた。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第17話


幾度にも及ぶ襲撃、アーチャーや受肉したとはいえサーヴァントであるアサシンは兎も角、見渡せばシロウ、凛の表情にも疲れが見え隠れしている。
空ではユーノとプレシアが襲撃の合間に疲労を取り除こうと、それぞれなのはとクロノ、フェイトにアルフに回復魔法をかけていた。
しかし、幾度にも及ぶガジェットの襲撃は私達の集中力を確実に削り、体の疲れは癒せても脳やリンカーコアの疲労は専門の医師でないと難しいのでしょう、地上部隊の局員達のなかには集中力が欠けてきている者や、軽い魔力消耗を引き起こした者など回復魔法を使っても癒されない者達が数人出はじめている。
状況は悪くなる一方、なら……もはや伏兵として配置したポチを出すしか手はないのか―――いや、それでは街への被害が大き過ぎる。
かつてアヴァターで目にした時のように、溶岩を使う等といった事はないものの、ポチは大地を動かし削る動きをする……戦力として出せばここから見える街並みは確実に変わるだろう。
それでは、ガジェットやゆりかごの脅威が去った後の住民の暮らしが成り立たなくなってしまう、そう躊躇する私の目には所々で黒煙が上り、かつて道と呼べた所ではガジェットの残骸が幾重にも積み重なり、街なみを窺えば散乱しいる様が目に入って来る。
私やアーチャー、アサシンが居たとしても、この場にいる一人一人が健闘しなければここまで被害を抑えるのはできなかった筈だ。
だが、空にはゆりかごと呼ばれる超巨大戦艦が姿を見せ始め、護衛であろうガジェットの大軍が日の光を反射させながら迫って来ている。
せめて増援があればまだ対処のしようもある、が―――局員達の話では先日の地上本部襲撃により本部機能が低下し、局員にしても少なからずの被害でているという、加えジュエルシード改の影響からガジェットの襲撃を受け易くなっているものの、襲撃を受けているのはここ以外にもあるのだ、増援を期待するのは難しいか。

「すまないセイバー、少しかもしれないけど時間を稼ぐ」

「シロウ、何を―――っ!?」

私が思案にくれていた時、何を考えたのかシロウは持場を離れ向かい来るガジェットの大軍へと走り出す。
止める間も無く走り出すシロウの行動に、一体何を考えての事かと呆気にとられてしまったものの、

「そういう事―――ならアーチャー、アンタも行ってあげて」

恐らく凛は守護者となり、英霊の域まで上り詰めたシロウ、英霊エミヤであるアーチャーからシロウが何をしようとしているのか聞いたのでしょう、アーチャーに指示をだし。

「いいだろう、単独行動は弓兵の得意分野だからな」

アーチャーはガジェットの大軍に視線を向け―――

「一つ確認する―――小僧は時間稼ぎのつもりらしいが、別に倒してしまっても構わんのだろう?」

私達に背を向けたままのアーチャーは、シロウと二人だけであの大軍を相手にするという。

「ええ、遠慮はいらないわ。
がつんってやって頂戴、アーチャー」

「ば―――っ!?」

遠慮はいらないという凛に対し、私は馬鹿な、アーチャーは兎も角シロウでは荷が重いと告げようとして飲み込む、かつて別のシロウや凛と遂げた聖杯戦争の記憶が脳裏に蘇ったからだ。
故にシロウが行なおうとしてる事に思い至った、あの時のアーチャーは、かつての自身であるシロウに対し固有結界という大禁呪を用いてきた、ならば今シロウやアーチャーが行おうとしているのは固有結界という魔法に近い禁呪を用いるという事なのかもしれない。
術者の心象風景を具現化して、現実を侵食する固有結界ともなれば結界内は理すら違って来る異世界といってもいい筈。
だからこそシロウは、私達を巻き込まないようガジェットへと先駆けたのか―――確か、かつてのシロウも今のシロウと同じく部屋が簡素すぎ、部屋は持ち主の心象といい一抹の不安を抱いたものですが、英霊となったシロウ、英霊エミヤの心象風景は炎に包まれ、無数の乱立する剣がまるで墓標のように連なるだけの世界。
そのような世界でアーチャーは地面に突き刺さった剣群を私やシロウに対して放っている、しかも聖剣や魔剣と呼ばれる剣でさえ偽物である以上、数に制限などはない筈だ―――

「―――実体化した剣の有効性はシロウやアーチャーが示している、ならば無限に剣を放てる世界でなら有限であるガジェットを殲滅できる公算は高い、が」

問題はシロウだ。
アーチャーは受肉していないが故に、霊体というガジェットの武装では傷を受付けないアドバンテージがあるが、人間であるシロウがガジェットから集中攻撃を受けたのならバリアジャケットや投影した鎧があったとしても無傷とはいかない。

「了解した、凛」

「衛宮君なら大丈夫よ、セイバー。
危なくなったらアーチャーが隔離するなり、結界から放り出すでしょうから、それに………ううん、なんでもないわ。
(以前、アーチャーと戦った時の事だけど、後で調べたら学校に結界も何もされてなかったのよね……
それなのに首を斬られようが、全身をみじん斬りにされようがケロッとしていて、アーチャーは何らかの加護でも得てるんじゃないかって推測していたようだけど、仮にそんな加護があるのならガジェットに全身撃ち抜かれたって平然としてるんじゃないかしら?)」

「しかし、凛………いえ、アーチャーの魔術を知っているのですか?」

魔力で作った足場にてビルの谷間を走り、空を駆けるシロウに続き、アーチャーもビルからビルへと走り追いかけ、後ろ姿を見送るしかない私に凛は信じる何かがあるのか、やや口を濁した感はあるものの平然とした表情で案じなくてもいいと口にする。
その、あまりにも信頼しきった表情にアーチャーの固有結界には他にも秘密があるのかもしれないと思い聞いてみた。

「まあね………
(召喚した時こそ、自分が誰だかわからないとか言って誤魔化されたけど、アーチャーが衛宮君だってのを知ってからマスターとして宝具についての話は重要、念のため衛宮君みたいに服を脱がせたら能力が変わるか確認しようとしたらあっさり教えてくれたもの、まあ……まさか固有結界なんていう魔法一歩手前の業なんて思ってもなかったけどね………)」

凛は聖杯戦争が終った後も魔力を与えアーチャーを現界させ続ける程のマスターだ、アーチャーにどのような思惑があったのか知るよしもありませんが、付合いが長ければ長いほど凛の追究からは逃れなれなかったという事か。

『セイバー。君の事だから何か策あっての事だとは思うが、彼らは何をするつもりなんだ?』

『二人だけじゃ危険です』

空から私達の動きを見下ろしていたクロノは、短い付合いながら私の指揮能力を買ってくれているようですがユーノは心配のようだ。

『シロウとアーチャーの二人はガジェットの侵攻を阻む為、攻撃性を持った結界を展開します』

『攻撃性を持った結界だって?』

『私達の世界でも魔法、すなわち奇跡一歩手前の大禁呪よ―――こっちの世界の魔術違ってAMFの影響も受けないわ』

クロノに返す私の言葉に、ミッド式に魔術のように攻撃性を持つ結界はないのかアルフは訝しみ、シロウとアーチャーが行なおうとしている魔術がどれ程のものかを凛は告げる。

『っ。禁呪、貴女達の世界ですら禁止にされる程の魔法だというの!?』

『なんか凄そうだね』

『うん』

凛の言う禁呪という意味を悟ったプレシアは、既に小さな影と化しているシロウとアーチャーの背に目を向け、なのはとフェイトも幼いながら禁呪という名に心強い響きを感じたのか視線を向ける。

『………それで、あの大軍をどうにか出来るのか』

クロノが見詰める先には、巨大なゆりかごの船影を背景に迫るガジェットの無数の黒点、クロノもまた、あれ程のガジェットと交えたのならこちらも無事ではすまないのが判るのでしょう。

『魔術師でない私には判りませんが、仮に失敗した場合でも術者は任意に結界を解いて出られる筈です』

『そうか。事前にどういった魔法なのか知りかかったが仕方がない、今となってはどういう魔法か判らないが成功して欲しいものだ。
ガジェットはどの道戦わなければならない相手、仮に上手く行かなかった場合は僕達が退けるよう援護しよう』

『その時には私も全力全開で援護します』

『プレシアさんの魔法は欠かせないから、怪我をしたのなら僕が治すよ』

『私達も負けてられないよフェイト』

『そうだね、アルフ』

『魔術は門外漢なれど、刃が届く範囲ならば制して見せよう』

シロウにしてもアーチャーにしても固有結界の世界がどうなっているのかを詳しくは知らない、しかし、結界である以上は術者の必要に応じて展開の有無ができる筈だ。
そう予想し告げるとクロノは、倒しきれないまま侵食された世界が元に戻る時の事を考え、なのは、ユーノ、アルフ、フェイト、アサシンも協力を申し出てくれ他にも、

「わ、我々もあなた方が戻られるまでここを守り通します」

「そうです」

地上部隊の局員達ですら、塹壕から体を乗り出すようにして申し出てくれる。

「あなた方に感謝を。
そして、シロウ、アーチャー、あなた達を信頼し共に戦おうとする者達はここにも居ます、それを忘れないでいて欲しい」

少ししてシロウとアーチャーの姿は点となり、ガジェットの軍勢に交わった時、突如現れた炎が広がったかと思うと―――

『ガジェットが消えた』

『アレが向こうの側の世界の禁呪……』

わずか一瞬の間、広がった炎が消えると同時にシロウ、アーチャーの姿はなく迫っていたガジェットの大軍も姿を消していた。
その光景をなのはとプレシアは息を飲み見詰め、

『僕達の結界とは違って、魔力を持っていても何も感じとれないんだ……』

『そりゃさぁ、向こうの世界の魔術ってのが、私達の魔法とは違うってのはプレシアの体を作ってもらう時に感じてたからね……』

『そうだね、キャスターさんからは世界が違えば魔法も色々と違ってくるって教わったようなものだから』

『彼らの世界の結界は僕達の世界の魔法よりも隠蔽に長けている、だというのに彼らの世界ですら禁止にされている程の結界魔法となれば僕達では感知するのは至難の業だ』

シロウとアーチャーが使ったのは固有結界。
境界を得ることで効果を発揮する普通の結界とは違い、術者の心象風景を具現化して現実を侵食する特殊な結界、いわば一時的とはいえこの世界から消え失せるといっても過言ではない。
仮に、この世界に使える者が居たとしても特殊な才能が必要になるが為に魔法技術として伝えるのは難しい、寧ろこの世界ではレアスキルとして認知されているかもしれない。
だが、気になるのは凛だ。
ことアーチャーの魔力は凛が担っているはず、魔導師も魔力を使い過ぎれば魔力消耗という衰弱を引き起こしますが、魔術師の魔力は命そのもの………一度に大量に失えば自身の命すら危なくなる。
凛の事ですから大丈夫だろうと思いつつ視線を向ければ、いつもと同じ余裕に満ちたものの足元にベルカ式で魔力を上乗せする時に使うカートリッジを幾つか撒き、「たく、遠慮なく持っていくんだから予備タンクまで空っぽよ」とぼやきながらも魔法陣を出現させている、どうやら魔力を回復させる術のようだ。

『されど、これで終わりという訳ではあるまい?』

『ええ。まだ、ゆりかごが健在である以上は終わりではない』

このまま、指をくわえて手をこまねいているのならば先程と同じ状況になるのは必至、故に先手を打つ必要がある。

『あれ程の巨艦だ。内部には数多のガジェットが積まれているはず、ならば艦を操る者が異変気付けば艦内にて待機させていたガジェットを出して来るのは容易に想像できる』

『ああ。ゆりかごは巨大な艦だ、あれ程の大きさになればガジェットを作りだす設備があっても不思議じゃな―――っ、何をするつもりだセイバー!?』

念話で話す私にクロノは同意し、ゆりかごそのものに生産設備があるようだとクロノは指摘する、クロノの話により直感を確信に変えた私は聖剣を不可視にしていた風の鞘を解き始めた。
ゆりかごを操る者が、護衛に出したガジェットが消え失せたのを知りえれば再び前と同じ状況になるだけ、だが、こちらの戦力といえば、ゆりかごと交戦していた航空魔導師達が増えただけだ。
このままでは街の被害は許容できないものになる筈、ならば打つ手は一つガジェットをゆりかごから出させないようにするか減らすしかない。

「ゆりかごと交戦中の航空魔道師隊に連絡を、これから私の宝………げきを行ないます」

「砲撃ですか?」

「ええ、私の砲撃は魔力こそ使いますが魔術や魔法ではないので非殺傷はできません、ですが―――」

吹き荒れる風の帯を紐解くなか地上部隊の局員達に指示を出す。
宝具を使います、といってもこの世界の人々には通じない故に砲撃と称した、しかし、使ったとしてもあれ程の巨艦だ、私の聖剣が如何に対城宝具であっても一撃で撃破できる筈もない、が。

「―――ゆりかごとはいえ、航空魔道師達を内部に侵攻させるくらいの損傷は与えられる」

内部に侵攻させれば、こちらへ回せる戦力を減らせる筈、攻めあぐんでいるのなら突破口を作ればいいだけの事。

『そうね、それしか手はないみたいだし』

『なんだって!?』

『古代ベルカの遺産を外側から壊せる程の砲撃なの!?』

一人、凛だけが納得するなか、案の定といいますかクロノとユーノは驚きを隠せないようでいて、

『だったらなんで複合暴走体の時に使わなかったんだか……』

『うん』

『そうだね。後で判ったけど、あの複合暴走体って世界一つ壊せるだけの魔力があったみたいだし』

アルフはジュエルシード事件にて最後に現れた暴走体、複数のジュエルシードが集まり現れた暴走体の事を口にし、なのはとフェイトも頷きを入れる。

『複合暴走体の時に使わなかったのは理由は一つ。
使えばジュエルシードその物を失ってしまう、あの時の私達の目的は回収であって破壊でないからです』

とはいえ、複合暴走体との戦いでは障壁の厚さに加え海という場所の関係もあって威力が減退してしまう関係上、ゆりかごと同様に一撃とはいかないかもしれませんが……
そう話しながらも、風の帯を外し黄金に輝く剣に魔力を注ぎ込んで行く。

『古代ベルカの戦舟なら、船体を構成する鋼材もまた異質技術が用いられている特殊な造りになっているはず。
しかも、あれ程の大きさなら外殻はそうとうの厚さ………例え、私が魔力炉の力を上乗せして大魔法を使ったとしても傷を与えられるかどうかのレベルなのに』

私の話から、プレシアはゆりかごに外からの攻撃は有効でないのを語るが私の直感は通じると告げている。
魔力を十二分に注ぎ込むなか、地上部隊の局員からゆりかごと交戦している航空魔導師隊と連絡が取れ、退避したとの言を受けた私は剣を振り上げ、

「約束された―――(エクス)」

十二分に注ぎ込まれた魔力を聖剣は光へと変換し。

「――――勝利の剣!!!(カリバー)」

変換された光は更に収束し加速され、光の刃となりて放たれた。

「なる程な、アレがセイバーの宝具か。当人も美しい剣気を纏っているが故によく似合う」

「綺礼が言ってけど本当ね、まさかの対城宝具よ」

まるで、今の一撃を花火の打ち上げのように楽しむアサシンに加え、私を見詰める凛には能力が判るらしい。
なる程、今だマスターであるからこそ生身の体にサーヴァントの力を被せた私の能力や宝具について判るのか。
ふと、そんな事が過ったものの、上からはなのは、フェイト、アルフの三人が『嘘……』とか『凄い……』とか『なんだんだよ……今の』とか念話が伝わって来て。

『っ、言うだけの威力はある』

『………まるで古代ベルカに出てきそうな異質技術みたいだね』

『個人で携帯できる装備でありながら、あれ程の威力といい、あの二人が行なった結界魔法といい何て世界なのかしら……』

遠目だが、聖剣の光が直撃したゆりかごの艦首付近から煙が漏れ始め、ゆりかごの装甲を斬り裂いた威力にクロノは唾を飲み込んだ様子で、ユーノは私の剣がまるでロストロギアだと言わんばかりにいる。
プレシアに関しては、私の聖剣とシロウの固有結界に呆れたのか私達の世界の異常性に二の句がつげないようでいた。
だが、私の剣が有効とはいえ相手は超巨大戦艦、やはり外からでは私の剣ですら墜すのは難しい。
私が放てる回数はおよそ残り二回ほど、しかし、全ての魔力を費やしてしまえば後に来るでしょうガジェットの襲撃に遅れをとりかねず。
故に最後の一回分は余力を残す必要があり、かつ二度に振るう聖剣をにてゆりかごに痛手を与えねばならない―――狙うは先に斬り裂いた所、そこを再び斬り裂ければ今度こそ船内の構造物と共に多くのガジェットを壊せるかもしれないのだから。
再び聖剣に魔力を込め―――

「約束された―――(エクス)」

真名を解放し、

「――――勝利の剣!!!!(カリバー)」

注ぎ込まれた魔力は、光の刃となりて再びゆりかごを斬り裂いた。

「っ!?」

繰り出した斬撃の大半はそれてしまったものの、辛うじて斬撃跡に重なった箇所からは漏れ出す煙の色が黒くなり始めている。
だが、ゆりかごの船底部分に新しい斬撃の跡を残したとはいえ、直撃させられなかったのは事実だ。
初めて思うが、こうして聖剣による精密な斬撃を行なうとなればアーチャーのクラスが持つという鷹の目が欲しくなる。

「思うんだけど、中の犯人って大丈夫なのかい?」

「恐らく大丈夫だろう。
僕達の艦船や船舶もそうだが、極力人員を使わずに運行や制御できるようになっている、だからあの船を操る犯人達も艦橋か制御室に居るはず、少なくても艦首や船底付近いる理由はない筈だ」

私の聖剣による斬撃で、船底から黒々とした煙を空に流すゆりかごの姿を見やるアルフは犯人達を気遣うものの、クロノは戦闘時に戦域や戦況を知るべく艦橋や駆動炉の制御を行なう場所にいる必要はあるが、船底にいる理由はないので問題ないと告げ。

「なら、突入する航空魔道師の人達は艦橋を制圧するか駆動炉を壊すしかないんだ……」

「大変そうだね……」

なのはとフェイトはAMF影響下での訓練や、これまでガジェットと交戦してきた出来事からゆりかご内部に侵攻するだろう航空魔道師達を心配していた。
それもそうだ、戦う為の船である以上、区画や隔壁等も考慮されたつくりなのでしょうし、艦船にとっての致命傷にならない所ならば少々の損傷は無視しても構わない筈。
犯人側からしても、急所である艦橋や制御室に加え魔力炉か駆動炉を守ればいいだけの話であり、ガジェットや犯人達も相当の戦力で守りの布陣を布いている事でしょう。
故に、私の聖剣によってゆりかごの内部へと続く道を作らなければ勝機を失うかもしれない。

だが、余力を残して放てるのは残り一度きり―――もはや失敗はできない!!!

無意識に剣を握る手に力が加わりグッと音が零れる。
そんな時―――

『皆も一緒に戦いたいんだって言うけど駄目かな?』

などというアリシアからの念話が届くが、

『っ、それは出来ない』

即座に却下した。
そもそも、その事は地上部隊の局員達に協力を申し込んだ時に済んでいる話だからだ。
私達が協力を申し込んだ時、他の人達もまた協力を申し出たのはいいとして、彼や彼女達が使うデバイスが高枝切鋏みの形をしてたり、雑草除去のバーナーやノコギリ、包丁やらバットなどの形状をしていたのもあって一抹の不安を抱いたのもあるが。
AMF発生装置にてAMF影響下での戦いが出来るかどうか試したところ、やはりというかAMFの影響下では魔法が上手く使えなくなってしまったのが最大の理由だ。
一応、アリシアが組上げた術式、CAMF(カウンターアンチマギリングフィールド)があるとはいえ、万一の事も考え戦力として加えなかった経緯がある。

『その話は戦いが始まる前に伝えたはず』

今更、それを蒸し返されては堪らない、が―――今の状況を鑑みれば地上部隊の何人かは交代できるのならしたいのが現状か……
しかし、仮にストライクアーツなどの競技が広まっている事で、個人の技量は地上部隊の局員よりも勝っていたとしても集団での戦いは違う。
そもそも、個人レベルの戦いで済むのなら戦争で部隊を編成する必要は無い、ストライクアーツという格闘技にしても基本は個人の技量を競う競技、技量が優れるという事は自信をもたらせますが、そこに油断と驕りがあればかつての騎士達と同じく突出してしまい助けに向うものならこちらの陣形が乱れ戦線が崩壊しかねない。
私が経験したかつての戦いでも若い騎士達が功を焦った結果、前線に突出し過ぎて孤立してしまい、救援に向った騎士や兵士達も包囲され散って行く様を幾度も見いる。
これはシロウやアーチャーにも当て嵌まりそうですが、周囲を巻き込んでしまう固有結界を使わざる得ない状況で突出するのと、驕り昂った状態で突出するのとでは訳が違う。
今の状況下では幾ら戦力的に優れた者でも集団での戦いが出来ない者は必要ないと言った方がいい。
それに加え、万が一にもアリシアのCAMFの影響を上回るほどのガジェットが襲来すれば混乱に陥りかねない危険性もあるのだから。

『うん、だから皆はここから応援する事にしたよ』

『………応援……ですか?』

『そう、皆も応援して迷惑なゆりかごをやっつけちゃうの』

なる程、アリシアは別に単純に戦力としてではなく別の方法で支援しようという事か、確かに声援という守るべきものからの声かけがあれば心が挫けかけた者も立ち直れる切欠になり得るかもしれない。

『どうやら、セイバーが砲撃を放つ映像が流れたようだな』

『そのようだ。しかし、応援は純粋に戦力とは呼べませんが守るものを認められるのなら奮い立つ者もいる筈です』

避難する人達のなかにジャーナリストなどの報道関係者がいたのか、施設の設備なのかは判断しかねますが空間モニターが現れ、そこには公民館内にて避難する人々が映されると「よくやってくれた姉ちゃん!」とか「ゆりかごなんて墜してやって!!」とか「スカリエッティをぶっ飛ばしてくれ!!」などというスカリエッティにより日常を壊された人々の声が伝えられて来た。

『アリシア。貴方に感謝を、これで士気が保てる』

「うん。皆でゆりかごをやっつけちゃおうよ!」

新たに現れた空間モニターには、四つのジュエルシード改を浮かばせ自身を中心に漂わせているアリシアの姿が映され。
避難する人々が不安にならないようアリシアなりに励ましているのでしょう、加え周りの人々も幼いアリシアが頑張っている故に不安や恐れを顕にするのはできないでいる。
このような時は、恐慌に陥り錯乱してしまうのが一番怖い―――どうやら、避難所の安全の為とはいえアリシアをなかに置いてきたのは別の意味でも正解だったようだ。

「じゃあ、やるよ―――」

「やるって何を?」

空間モニターに映るアリシアは何かしようとしているようだが、凛は何をするの解らずきょとんとしてしまう。

「なに、応援というのだから太鼓や声援で激を飛ばすのだろうよ」

「ん、違うよ。皆の応援はセイバーさんに力を与え、セイバーさんは皆の願いを一つにするの」

訝しむ凛にアサシンは、ミッドチルダに来る前に見ていた高校野球の応援を連想したようだがアリシアは違うと答え。

「私に力を………どういう意味ですアリシア?」

「セイバーさんが手にする剣はそれを可能にするんだよ」

「っ!?」

「セイバーさんが手にする聖剣は、人々の願いから星が鍛えた剣。
願いから生まれた剣なら、皆の―――幾多の願いを一つにまとめ力にする事だって出来るんだから」

聞き返す私に、これがただの応援ではないのをアリシアは告げ、

「だから、この放送を聞いた皆も願いでゆりかごをやっつけちゃおう!!」

ここが高台だからこそクラナガンの街並みが見渡せるのだが、空間モニターからアリシアの声が響くと同時に避難所があるのだろう各所から淡い光が立ち昇って行くさまが目に入り、光は集まり帯となって輝きを増しながら私の持つ剣へと注がれ始める。
すると、どうだろう聖剣は輝きを増し始め、私が魔力を注いでもないというのに真名を解放するのに十分な状態になって行く。
クラナガンの空が淡い輝きに染まり、見上げるアルフは呆然と言葉を失い、なのはやフェイトが「綺麗……」とか「まるで、オーロラみたい……」とか口にするなか、

「っ、まさかミッドチルダの人々の願いを魔力に変えてるのか!?」

「そんな事が!?」

「………これも不可能領域の魔法なのかな?」

クロノとプレシアの二人は魔法に対して深い造詣あるからか驚きを隠せずにいて、ユーノは呆れ半分で空間モニターのアリシアと空の輝きに視線を向けていた。
しかも、恐らく今の会話はクラナガンどころかミッドチルダの各所にまで放送されたのか淡い光はいたる所から集まり、漂う光は空を染め上げながら帯となって私の剣へと注がれ続ける。
だからこそ解る、これが……これこそがミッドチルダの人々の想いなのだと。

「ゆりかごの詳しい情報はありますか?」

「は、はい。先程、地上本部から連絡がありました」

剣から伝わる想いに応える為にも倒すべき相手の情報は必要だ、しかも、ただ単に倒せばいい訳ではなく一連の騒動を起こした者達を捕らえなければならない。
剣より伝わる気持ちを抑えながら聞いた私の問いに地上本部の局員は逸早く答え、私の横に空間モニターが現れると大まかではあるがゆりかごの内部構造などの情報が表示され。
故に、何処を斬ればよいかが判った―――

「―――スカリエッティ。貴方は科学者としての不満から争いを起こした!
だが、これがミッドチルダに住む人々の答えだ!!」

間近に迫るゆりかごを見上げ、私の魔力を注ぎこみながら振り上げる聖剣からは、日常を踏み躙られた人々の想い、ゆりかごを明確に敵とみなす意思が流れ込み。

「約束された―――(エクス)」

これは直感だが。
今、振り下ろす一撃は恐らく今まで私が振るってきたものとは比べ物にならない力をもつ筈、例え、ゆりかごといえども人々の想いにより動かされる聖剣の前には―――

「勝利の剣――――!!!(カリバー)」

真名を解放され、振り下ろされる聖剣から放たれるのは収束し加速された光の刃、一撃にて城をも斬り裂き砕く力を誇るが―――此度の一撃は今までのように瞬間ではなく光の刃は放たれ続けていた。

「っ、対城宝具が……なんて反則よ」

人々の輝きが空を覆い、振り抜かれる聖剣には絶えず人々の光が注ぎ込まれ光刃を放ち続ける、そのあり得ない光景を目の当たりにする凛は唖然とし言葉を漏らす。
だが、その言葉に頷きたくもなる、私の聖剣は対城宝具、本来の瞬間的に放たれる威力でさえ驚異的な威力を誇るのだ―――それが、絶えず放たれ続ければどうなるか……
例え、ゆりかごが古代ベルカという異質文明の遺産だとしても、巨大な光の剣と化した聖剣の前では如何なる装甲も耐えられはしない。
私の振るう聖剣の光を瞬間的には耐えていたゆりかごだだったが、光の剣と化した刃は装甲の耐熱限界を易々と超え断ち切り、内部構造共々瞬時に蒸発させながら反対側の外殻まで突き破って姿を現す―――そう正に今、ゆりかごという巨大な船は私と人々の想いによって斬り裂かれていた。

「航空魔道師隊に連絡を、道は拓いた犯人の確保を願います」

一旦は振り抜いたものの、ゆりかごの全長は光の剣と化した聖剣ですら一度では断ち切れない長さを持つ。
だが、それでいい………この世界の治安を守る管理局システムは、かつて私か治めた国の法とは違う、主犯格の死罪こそ免れないでしょうが国を転覆しようとした犯人でさえも捕らえ法による裁きを行なうのが法治国家―――それを、一介の剣士でしかない私が下していい筈がないのだから。
まるで血に飢えた魔剣にでもなったかのようにゆりかごの殲滅を求める剣の想いを抑え、光の刀身を収めた私の声に地上部隊の局員は、はっと我に返った感じで「は、はい!」と答え空間モニターを開いて連絡を取り始める。

「―――それから、犯人の確保が済みましたらアレをどこで沈めるかの指示を求めるとも伝えてほしい」


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