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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編14
Name: よよよ◆fa770ebd ID:ff745662 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/27 19:32

「なんでさ―――なんで、こんな所にガジェットドローンなんかがいるのさ?」

俺の声が漏れるのにやや遅れ。

「あれがガジェット?」

「そう……みたい」

「……なんであんなのがここにいるんだい?」

「ここって……街中のはずよね?」

なのはの声にフェイトは多分そうなんだろう肯定し、アルフとプレシアさんも俺と同様なんでこんな所にガジェットがいるのか予想外すぎて唖然としていた。

「仲間とはぐれちゃって、迷子になったのかもしれないよ」

「流石にそれはないと思う、どちらかと言うのなら召喚魔法で呼ばれてきた可能性の方が―――」

アリシアは、呟くようなアルフとプレシアさんの声を耳にして独自の推論を口にするのだけど、すぐにユーノによって打ち消され、もっとあり得そうなケースを語るユーノにしても話している途中で気付いたらしい。

「ならば、この奥にはガジェットを操る主犯格が居るかもしれない訳ですね」

「ガジェットを使い巷を騒がす賊か、退屈しのぎにはなり得そうよな」

不可視の剣を手にし鎧姿へと変わるセイバーとは対照的に、アサシンは使い慣れた長刀ではなく鈍らを取り出す。
まあ、見た目はいつもの着物姿だけど俺や遠坂とかと同じでバリアジャケットは透明にして展開しているのだと思う。
防護服を展開したセイバーにならい、俺も黒い胴鎧に赤い聖骸布で作られた外套を投影した上で展開する、見れば他の皆もそれぞれバリアジャケットの姿に変わっていて。
なのはは白い防護服にフェイトは黒色の防護服、ユーノは薄緑の防護服といった感じだ。
アリシアの防護服は神を模倣したモノではなく、動きやすい体操服姿となっていて大人形態だと目の毒に感じてしまうものの今は子供姿なので助っている、が。
アルフは人型でバリアジャケットを展開するとお腹や太股が露わになるし、プレシアさんの姿は黒いワンピースなんだろうけど、胸元や腰の辺りが大きく露出しているのでなんていうか目の毒だったりする。

「……でもさ、こんな地下に連中が集めてるようなロストロギアなんかがあるのかい?」

「こちらが思ってなくても、向こうはそう思ってないだけでしょ」

防護服に変わったアルフは僅かにプレシアさんへと視線を向けながら訊ねるが、プレシアさんは手にする鞭のようなデバイスを伸ばすよう感覚で杖へと変形させながらアルフの疑問に一つの見解を話す。

「万一を考え、アルフとユーノはなのは達が集中して撃てるようお願いします」

「まかせな」

「はい」

ミッドチルダ式という魔術は基本的に中遠距離向けである為か、セイバーはアルフとユーノに攻撃が及んだ時には壁役となって欲しいと頼み、特にユーノは自身が防御を主体とした使い手だと認識しているのでアルフ共々快く引き受けた。
そんななか―――

「確か、ガジェットにはAMF(アンチマギリングフィールド)って魔法防御があるんだったよね」

「うん、AAAランクだって」

「でも、様子見で一回は試してみた方がいいかもしれないね」

「そうだね、クロノは魔力弾の単体の射出は特殊な技術が必要だって言ってたけれど、確認はした方がいいと思う」

俺達がバリアジャケットを展開したのを機に二機のガジェットは向かって来ていて、なのはとフェイトはその二機に対し「シュートッ!」、「ファイアッ!」と杖を振り下ろし、二人から弧を描いて飛んだり高速飛翔する射出魔法が一発づつ放たれる。
俺は魔法弾に関しては基本的に双剣で切り払っていたから感じなかったが、なんでも二人が放つ射出魔法、ディバィンシューターとフォトンランサーは、持ち前の魔力量からかそれだけで並みの魔導師なら防御を貫いて倒しかねない威力があるとかいう話だ。
でも、ガジェットにはAMFという魔法防御かある為、その二つの魔法弾は触れる前にAMFの効果範囲に入り波紋のような揺らぎだけを残し形が崩れてしまう。
しかも、お返しとばかりに撃ち込まれたガジェットのうち一機のカメラだと思っていた箇所、胴体中央付近から光線が放たれてしまう。
しかし、放たれた光線は刹那に反応したセイバーに切り払われ俺達にまで届かず、そのまま魔力放出によるものなのか、相変わらずの人外としかいいようのない踏み込み速さで放った方のガジェットへと間合いを詰め「はぁぁぁっ!」と気迫と共に不可視の剣が振り下ろし。
もう一機のガジェットにしても、アサシンのデバイス鈍らの柄から瞬時に伸びた漆黒の刃により斬り捨てられていて、機体が分断されるような形で床に転がった二機のガジェットは、再び動き出す事はなかった。

「ふむ、魔力による刃というものは思いの外伸びるものだな」

「でも、使った後はメンテナンスしないと危ないからね」

「刀も手入れは必要だが、精密機械はそれ以上に手間がかかるという訳か―――そうそう上手くはいかないものだ」

残骸と化したガジェットに注意を払うセイバーをよそに、アサシンは振るった鈍らの感触を口にするが、製作者であるアリシアは擬似魔術回路という技術が使われている鈍らには使用後の整備は欠かせないものだから注意してほしいと語っていて、使い手のアサシンはそうそう都合良くはいかないものだと肩を竦めてしまう。

「あれが魔法効果を打ち消すって事なんだ」

「クロノが言ってたようにAMFには特殊な技術が必要なんだね」

放たれた弾体が脆くも崩れ去ったのを見て、なのはとフェイトはやはりガジェットには普通の魔力弾は通用しないのだと頷きあい。

「フェイトやなのはの魔力弾が通用しないとなると私のも難しいか……」

「僕も牽制程度にシュートバレットが使えるけど、なのはので通用しないのなら無理っぽいかな………」

「安心しなさい、要は使い方次第よ二人共。
直接的な威力は駄目だとしても、発生した効果、もしくは効果による影響―――そうね、例えばここなら天井に向け放てば崩れ落ちる石という効果による影響であの程度の強度なら壊せると思うわ」

アルフとユーノもまた、なのはとフェイトの魔力弾でも無効化された事から自分達のも通用しないだろうと気落ちしてしまうのだが、プレシアさんは要は使い方次第で如何にでもなると励ましていた。
でも、天井を崩すというのは飽くまでも例え話なんだと思いたい。

「しかし、問題はこのまま奥へ進むかどうかだ」

セイバーは次元世界という、俺達にとっては未知の技術で作られているガジェットを警戒している様子で、倒した二機の傍で様子を探っていたが再度動く気配がない事から振向き戻るも、その後ろには光る数個の球、探知魔術のサーチャーが代わりに奥へ向って行く。

「地上本部とやらにだが、犯人の首級を土産に趣けば歓迎されるのではないか?」

「……首級って、殺しちゃ不味いだろ?」

「シロウの言う通りだ。
死人は何も語らない、他にも仲間が居た場合やガジェットの種類に量などを吐かせるには生かしたままの方が都合がいい」

「なるほど、デバイスに非殺傷という機能があるのはその為か」

歩いて来るセイバーに、アサシンは犯人の首を手土産にすれば管理局側の印象が良くなるんじゃないかとかトンでも発言をするけど、法治国家で人殺しをすれば殺人罪にしかならないから俺達がこの世界の管理局に追われてしまうだけだ。
俺とセイバーに止められたアサシンは今更ながらに感心している様だが、アサシンの言動を聞いていたアルフとユーノは「首って……もしかして、第九十七管理外世界って結構危ない所だったのかね」とか「う~ん、なのはの周辺は僕から見ても違和感はなかったから地方の風習とかいうヤツじゃ……」とか囁き合っている、でもアサシンの言動は生前というか、アサシンの居た時代ではそれが常識だったと思うし、詳しく説明するとなれば聖杯戦争の話からしなければならなくなってしまうから、このまま誤解させたままにするしかない、か。
とはいえ、この地下通路はブロック毎に分れていて幾つもの道が交差しているから、この先にガジェットが居るとなると何処に犯人が居るのか見極めるのは難しい、だけど誰もが通りそうな地下通路にガジェットなんかがいるのは危険極まりない状況だ。
俺は念の為と投影していた双剣を消し、弓の他に射出用に幾つかの剣を待機させたまま奥にジッと視線を向けるが、直線なら兎も角、横道にそれてしまうと如何しようもない、やはり捜すならセイバーが行なった様にサーチャーを展開しながら探す方が効率が良さそうだ。

「ここからは俺とセイバーで行く、なのは達は危ないからそこで待っててくれないか?」

俺はセイバーに視線を向け、セイバーが軽く頷きを返すと後ろを振向いた。
なのは、フェイト、ユーノの三人はまだまだ子供だ、アリシアにしたってアヴァターでは大人形態であったのと総力戦的な状況から争いというか戦争にまで参加させてしまったけれど、ここミッドチルダは戦わなければ生き残れないような所じゃないんだ、小さい子供を戦いに巻き込むわけにはいかない。
そう思って俺は口にしたのだけど―――

「でも、今の時点ではガジェットの数だって判ってないんですよ。
もし二人で向ったとして、囲まれてしまうような状況に陥ってしまったら大変だと思うんです、もしもに備えるなら私達も居た方がいいと思うんですが?」

「それに、人数が多ければペアに分かれるなり出来るから、その場での対応も出来やすくなると思う」

「む……」

俺の言葉はなのはとフェイトの二人に論破されてしまう。
なのはの言う通り、集団で行動していれば仮にガジェットが多方向から来たとしても対応は楽になるし、フェイトの言う通り幾つかルートがあったとしたらペアで動けば見つけやすいのは確かだから。

「どうやらシロウの負けのようですね」

「負けもなにも、子供達を危険に曝すのはよくないだろ、出来るのならここはアサシンに任せて俺とセイバーでガジェットに向いたかったんだけど……」

「しかし、幼いながらもなのはとフェイトには戦士としての自覚が十分にある―――子供達を危険に曝させたくないというシロウの考えは判りますが、それは彼女達を侮辱する行いだ」

「そいうものなのか………」

俺としては幾ら魔導師として優秀だとしても、実際の戦いは雄叫びと悲鳴が飛び交い、血や肉が飛び散る悲惨なものだから子供達にはそんな事に関わらせたくないんだが……

「でも、貴方の言うのは正しいと思うわ。
情報屋の彼が見つかればよかったのだけど、そう上手くは行かないみたいだから今日はこの辺で戻りましょう」

子供達を連れて行くべきか行かないべきか迷っていたら、プレシアさんは俺の言い分も正しいと認めた上で今日の処はこれで終わりにしようと言ってくる。
でも―――

「このままガジェットを放って置くのも問題だぞ」

「大丈夫よ。
巡回の警邏隊が異常な反応を見つけてる頃でしょうから、むしろこの辺が騒がしくなる前に私達も退散するべきね」

「要は公務の邪魔をするなという事か」

「ええ。それに、余計な真似をして管理局に目をつけられたくはないもの」

ガジェットを放置するのは危険という俺に、プレシアさんは巡回している警邏がいるから心配する必要はないと返し、それを聞いていたアサシンは俺達がこのまま奥に行けば局員達の仕事を邪魔になると判断したらしくプレシアさんも同意を示す。
そうか、警邏というのが局員なのかパトロールをしている警備員なのかは判らないが、例え警備員だとしても管理局に通報されている筈だ。
それなのに俺達がガジェットと戦っていたりすれば、管理局の人達から見れば現場に横槍を入れる邪魔者に感じられるだろう―――っ、ここは俺達の世界よりも文明が進んだミッドチルダなんだ、何らかの異常があればすぐに判る筈だし、俺なんかが余計な事をすれば現場を混乱させてしまうだけなのかもしれないな。

「……解った、そういう事ならこれ以上は不味いか」

「うん。近くのお店に行っておやつにしよう―――と、その前に」

俺が自分の考えのなさを痛感していると、アリシアは近くの喫茶店か何処かで一息つこうと提案するものの、途中で何かに気付いたのかガジェットの残骸を見やると二機のガジェットの残骸が消え。

「ガジェットの残骸なんかどうするんだ」

「これって、沢山作られてるみたいだから生産性とかも良いみたいだし、使える技術とかも多そうだから向こうの世界に戻ったらマリーさんに調べてもらおうと思うんだよ」

「そうね、十年もの歳月が経っている世界だから新しい技術が組み込まれていても不思議じゃないわ」

アリシアが倉庫にしてる空間だかに転移したみたいなので聞いてみたら、アリシアは向こうの世界のマリーさんへの土産にするつもりらしい、それに研究者でもあるプレシアさんも賛成しているようだし、この世界に現れたって事は向こうの世界でも十年後にはガジェットは現れるだろうから今のうちに調べられるのなら持って行った方がいいのは確かか。
これはテレビでの情報でしかないけど、ガジェットには三つのタイプがあるそうで、先程の円筒形の二機はⅠ型と呼ばれるタイプ、他にも飛行機のような形をしたⅡ型に、大人の倍はあるだろう大きさをした丸いⅢ型があるという話だ。
最近、頻繁に現れるのは主にⅠ型らしいけれど、海上ではⅡ型も何度か現れたらしいし、Ⅲ型にしてもその巨体からして運用し辛いのか滅多に現れる事はないそうだけど性能はⅠ型よりも高いそうだから注意しなければならない。

「では、巻き込まれないうちに我々も引き上げましょ―――っ!?」

セイバーの言葉に俺達はそれぞれ返すなり頷くなりするのだけど、言い終える前に後ろを振向くセイバーの表情は引き締まっていて。

「先程のと同じタイプのガジェットが三機来ます」

少し前に奥の様子を探りに向わせたサーチャーからの情報なのか、セイバーは奥に視線を向け少し経ってから三機のガジェットが姿を現す。
しかし―――

「丁度良いわ。よく見ておきなさい、これが魔法の効果というものよ」

言うが速いかプレシアさんの向ける杖の先からは紫電が迸り、通路一杯に広がった雷による衝撃と轟音が収ってみれば三機のガジェットは壁に埋もれるような状態で動かなくなっていた。

「今のは電撃の電流と電圧でもって倒したの。
電圧の衝撃に許容量を超えた電流はガジェットのような機械にとって大敵、例え外側は無傷に見えたとしても内部の部品は機能を失ってしまうわ」

「凄いや母さん」

「ちゃんとAMFにも魔法は通じるんですね」

アリシアが「ガジェット三機追加」と口にしながら壊れたガジェットを倉庫にしている空間に送るなか、プレシアさんはAMFにもつけ入る隙は十分あると語っていて、聞いていたフェイトとなのはは素直に感心している。

「あのAMFをああも簡単に攻略するなんて、流石に大魔導師って言われるだけはあるよ」

「そりゃあね、なにせフェイトの母親だし」

AMFの穴を容易に看破してしまったプレシアにユーノは賞賛を送り、それを耳にしたアルフは自分の事のように喜んでいた。

「しかし、外部を壊すのではなく内側を焼いて壊すか―――魔法というのは随分器用な真似が出来るものよ」

「ええ、それに見たところガジェットには電化製品にはついている筈のアース線もないようですから過度の電流には特に弱いのでしょう」

雷撃による内部破壊に興味を示すアサシンにセイバーは新都の電気店で見たのか、電化製品なら過電流を逃がすアース線とかがあるが、見たところガジェットにはそれらしい部分はないので過度の電流が流れた場合に回線は焼き切れてしてしまうのを見抜いたプレシアさんの慧眼を賞賛している。

「じゃあ、これ以上はここにいる意味もないから戻りましょう」

「そうしましょう。しかし、魔法を無効化するAMFを相手に、その欠点を突くとは……やはりミッド式というのは奥が深い」

そう口にし来た道を戻るプレシアさんにアリシアやフェイト、なのは達は「は~い」と答えながら続き、セイバーも先程の雷撃の魔術を目の当たりにしたは感想を漏らす。
とはいえ、俺の場合はそのミッド式にしても魔力量の問題や集束させるのも結構大変だったりするから……多分、ガジェットに相手にミッド式だけ挑めば勝ち目は薄い。
対人戦闘ではミッド式の非殺傷の業は魅力的だけど、やはり……俺にはアーチャーの言う通り剣製を使いこなす必要があるようだ。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第14話


このホテルに泊まる際、四人部屋二つと三人部屋一つに宿泊した私達は四人部屋の一室に集まり私やセイバーさん、なのはさんにフェイトさん等の女性陣は柔かいベッドを椅子の代わりにして座っていて、ポチは私の膝の上に、お兄ちゃんやクロノさん、アサシンさんにユーノさんは椅子を持ってきて座っている。
凛さんとクロノさん、アーチャーさんの三人が戻って来たのは、喫茶店で一休みした私達がホテルに戻って少しした頃の事で、戻るなり私達をこの部屋に集めた凛さんとクロノさんは、この世界のフェイトさんの居場所を見つけたと教えてくれた。

「機動六課?」

「ああ。正確には古代遺物管理部機動六課という名称だが、この世界のフェイトは現在その部隊に出向している」

「それから、衛宮君のところのアリシアと同じく養子縁組でリンディさんの養子になっているから悪いようにはなってないでしょうね」

アーチャーさんが淹れた紅茶を飲みながら聞き返す私に、クロノさんと凛さんはこの世界のフェイトさんの消息について話してくれていて。

「そう……この世界のフェイトが辛い目にあってなくてよかったわ」

「でも、リンディさんの養子か」

「事件で母を失った子供を放ってはおけないのは、リンディ提督らしいといえます」

話を聞き入っていたお母さんは胸をホッと撫で下ろし、お兄ちゃんはとセイバーさんは養子縁組をしたリンディさんについて話す。

「―――て、事は。この世界だとクロノがフェイトの家族になるのかい?」

「少し気恥ずかしいかな……」

「………いや、それはこの世界での出来事で君達にはちゃんと母親がいるだろう?」

リンディさんの養子になるという意外な話しに、アルフさんとフェイトさんは目を丸くしている様子、けれど言われたクロノさんからはなんていうかげんなりした空気が漂っていた。

「そうだね、この世界のフェイトちゃんとアリシアちゃんはお母さんを亡くしちゃったんだよね」

「聞く限りは刃物を手にした男の犯行という話だが―――言峰神父からは捕まえたという話は聞いていない、な」

「ええ、セカンドオーナーとして協会の方にも確認しているけど、あの時に派遣された執行者はバゼット・フラガ・マクレミッツただ一人。
でも、そもそも彼女は女性だし……あの頃は重症を負ってたって話しだから無理があるわ。
(地上本部で見た映像を見る限りプレシア・テスタロッサを殺せるとしたら余程の執行者か埋葬機関、もしくは死徒二十七祖位じゃないと難しい感じだし。
しかも、殺された方のプレシアは魔法に至った魔導師ときた………そいつが何者かは知らないけれど、魔法使いすら殺せた男を殺すとなれば神霊級のアリシアが始末したと考える方が辻褄が合うのよね)」

悲しそうな目をして口にするなのはさんの言葉に、アサシンさんはかつて聖杯戦争を円滑に行なわせようとしていた監督役の神父さんも情報を掴めていないと語り、冬木の管理者である凛さんにしても犯人の目星はついていないと話す。
実は男の人の名は当真大河といって、ある神の座にやって来た救世主なんだけれど、お兄ちゃんと初めて会った時の話し方が悪かったのか殺人事件の犯人にされてしまったんだ。
それを利用した私にも責任はあるし、悪い事をしたなとは思うけど、一度嘘をついたのならつき通さないといけないもの。
捜索には魔術協会と聖堂教会が協力してくれるとはいえ、当真大河がいるのは別の枝の神の座だから見つけられない筈だし、例え嘘だとしてもつき通すしかない。

「それはそうと、君達も何処かに出かけていたみたいだが何所に行ってたんだ?」

「よくわかるな」

「そりゃあね。思ったよりも遅くなりそうだったから連絡を入れたら、フロントに出かけてるって告げられたんだもの」

「本来ならもう少し早く戻れたのだが、生憎とガジェットが現れた事でレールウェイが止まってしまってな」

暗い話になるので話の流れを変えようとしたのかクロノさんは私達の方を見渡し口にすると、質問を聞いたお兄ちゃんが驚くというよりは感心したような様子で舌を巻くなか、その理由を凛さんは告げアーチャーさんが付加える。

「まったくだ。よりにもよって街の中に現れるなんて、ミッドチルダの治安は一体どうなっているんだ」

アーチャーさんの言葉に顔を顰めるクロノさんはテレビをつけ、映された画面のなかではマイクを手にしたアナウンサーが街中に突如あらわれたガジェットについて語っていた。

「やっぱりというか、大事になってるみたいだね」

「そうだね」

映し出される映像を見つめるアルフさんは、地下通路に現れたガジェットを思い出しているか呟き、なのはさんも相槌を打つ。

「そうだ。気になって調べてみたら、あの地下通路は何年か前に改修工事が予定されていて、それまであった色々なテナントは一時的に別の場所へ移転したそうだけど、その後に起きた空港火災の影響で財政難に陥ったからそのままにされているそうだよ」

「それで人影がなかったんだ」

「成る程、シャッターの閉まった商店街程人気がない所はないでしょう……」

あの地下通路に人気がなかったのを訝しんだユーノさんは、いつの間に調べたのか街中の地下だというのに人気がなかった理由を語るとフェイトさんとセイバーさんはそうだったんだといった納得の表情を見せた。

「―――っ、まってくれ」

けど、何か引っ掛るような事でもあったのかクロノさんは難しい顔つきになり。

「今、人影がないとか人気がないとか言ったが―――まさかアレは君達の仕業って事はないだろうな?」

「まあ、確かに現場にいはいたけど……」

「仕業というより、襲われたというのが正しいわ」

私達を見回すクロノさんにユーノさんとお母さんは何処か歯切れの悪い口調で返事を返す。

「よもや現場にいたとはな」

「実はプレシアが知る情報屋がいるかもしれないという話で、あの現場まで足を踏み入れたのですが……」

「人っ子一人として見かけなかったものよ」

呆れるように漏らすアーチャーさんの言葉に、セイバーさんが訳を話し、アサシンさんは結果だけを述べる。

「情報屋か。まあ、この世界は僕達の世界から十年は経っている世界だから足を洗うなり、別の場所に移るなりしたのだろうけど、それはこの世界のフェイトの情報を手にする為か?」

「そうよ、この世界のフェイトについて手掛かりになればと思って」

「何もしないよりはマシかなとも思ったしね」

「君達は……」

相変わらず難しい顔をするクロノさんに、お母さんとアルフさんが返すとクロノさんは手で額を押さえだす。

「そうだ、壊れてるけど幾つかガジェットを拾ったんだよ」

「本当か!?」

「ふふん、実は襲ってきたガジェットの他にも、ポチに頼んで壊れた残骸を集めるように頼んでおいたから十分な量があると思うよ」

「………いや、そういうのは捜査の妨害になるから止めてくれないか」

ガジェットについて興味があった私は回収した事を告げると、クロノさんは目を見開くものの局員さん達の迷惑になるから止めるよう言われてしまった。
どうせ壊れてるから要らないと思って、ポチには見つからないようこっそり集めてもらったんだけど、頭を抱えてるクロノさんを見る限りそういった事は良くないみたいだから、次からは近くの局員さんに声をかけてから拾う事にしよう。

「そういえば、ポチが言うには残骸を集めていたら地面の中を移動する人がいたって話しだよ」

「地面の中を移動する……そんなのもミッド式にあるのか?」

「この世界は僕達の世界と比べ十年もの差があるから何ともいえないが、もしかすると魔法じゃなくレアスキルの一種なのかもしれない。
そして、それが犯人達使った手口だとすれば現れたガジェットは召喚魔法や転移魔法じゃなくその技術で街中まで来た可能性が高いな」

ガジェットを集めてたポチが言うには「何か人型のモノが、同じようなナニカと一緒に何機かのガジェットと共に泳いで行った」とかいう話を思い出したので話してみたら、お兄ちゃんも魔法にはポチみたいに地中を移動する術があるのかと訊ねたものの、クロノさんは十年間の間にそういった魔法が作られたか特殊技能の一つかもしれないと口にする。

「でも、地面の中を移動するなんて相手の意表を突けるかもしれないけど、移動速度は速いとは思えないから手段としての効率はお世辞にもいいとはいえないわね」

「そうね。手口さえ解っていれば対処法も幾つかあるでしょうから何度も使える手じゃないのは確か―――でも、問題なのはその奇策ともいえる手がいつ来るのか予想がつかない事ね」

「成る程、強襲と奇襲とでは状況が異なりますから」

凛さんはアーチャーさんが淹れてくれた紅茶を口にしながら、地中移動に関しての難点を告げ、お母さんも肯定するものの、地中にいる相手を捕捉出来なければ結局は不意を突かれてしまうと語り、セイバーさんも相手が近くに居るのを知る状況と知らない状況では対応に違いが出て来ると言う。

「だけど、一番の厄介なのはその犯人が召喚魔法を扱える術者を連れていれば、移動しながら召喚を繰り返せられるから位置を絞らせずにガジェットを召喚し続けられるという事か………危険だな」

「地面のなかだと管理局のセンサーでも捕らえられないんですか?」

「難しいな、魔力反応を辿る事が出来れば捕捉出来るだろうけど、その辺は犯人も解ってるだろうから何かしらの対策をしていても不思議じゃない」

クロノさんは地中移動の能力を持つ人が、召喚魔法を使える術者と一緒になれば大変だと語るなか、なのはさんは何らかの反応で見つけられないかと質問するものの、クロノさんは犯人側もそれは知っているだろうから難しいと返す。

「試した事はないけど、地表付近ならエリアサーチで見つけられそう、でも地中深くまで潜られたら難しいかな」

「遺跡の調査みたいに、地道に音とかを頼りに対応するのはどうかな?」

「そりゃあ、管理局だって反応がなければ対処のしよがないから何らかの手を打つだろうけど四六時中ってのはどうだか……」

「それもそうか……」

「それでも何とかしなければならないのが僕達の役割だ」

フェイトさんはジュエルシードを捜索する際に使っていた探知魔法をあげるけど限界はあると口にし、ユーノさんは遺跡調査の経験から有効そうな方法を提案する。
けど、アルフさんが人材不足が悩みの管理局では、一日中地面の音を聞いているのは無理があるだろうって指摘するとユーノさんも納得してしまい、有効な対策が思いつかないなか治安を守る公務員の辛さか、クロノさんはそれでも何らかの手立てを講じなければならないと難しそうな顔をしながら口にした。
ん~、この世界のフェイトさんは管理局に勤めてるから私も何か協力したいけど、ポチに頼んだとしてもクラナガン全域を対象にするのは無理があるし、かといって私の本体で監視するのも何か間違っていると思う。
まあ、それでも―――

「フェイトさんの居場所が判ってよかったよ」

安心した私の言葉にお兄ちゃんとセイバーさんは「そうだな」、「ええ」と微笑み。

「後は会って話すだけだね」

私と同じく、安堵の表情を浮べるフェイトさんがそう口にした時―――

「それは少し待った方がいいわ」

突然、凛さんに待ったをかけられた。

「何でだ遠坂?」

「機動六課という組織の成り立ちが妙に引っ掛るのよ」

「どういう事?」

この世界のフェイトさんに会うのを止める凛さんにお兄ちゃんは聞き返し、凛さんが機動六課には何かあると告げるとお母さんも表情を曇らせる。

「先ず地上の治安を守る地上部隊に喧嘩でも売ってんじゃないかって構成なの」

「各部隊には、保有出来る魔導師を均等に配置させる為にランクの総計規模が定められているんだ。
でも、この機動六課という部隊は部隊長、分隊長及び副隊長にまで能力限定リミッターが設定されて魔力の出力が抑えられている―――どう考えてもいわくありげな部隊にしか見えない」

凛さんの話しをクロノさんは補足して。

「それに、地上はランクが高い局員は少ないのにも関わらず、わざわざ魔力を制限してまで構成してるから地上部隊からしてみればいい感じはしないでしょうし。
ましてや、自分達の縄張りに突然現れたのにも関わらず、この遺失物はお前達には手に余る代物だから私達に任せるようにって言われたら、入念に根回しとかしてないと地上部隊からは総すかんを食らうでしょうね」

「局員とて人間だ。自分達が守ってきた所に突然現れ、本来ならする必要が無い魔力まで抑えているとなれば厭味にも感じるだろうよ」

「まあ、そういう事で地上本部からも目をつけられているだろうから、せめて公開意見陳述会が終った後にした方がいい。
終れば、この世界の母さんの居場所は判っているから連絡を取るつもりだ」

話を続ける凛さんの言葉にアーチャーさんも地上部隊員達がどう思うのか付加え、クロノさんは何をするとしても公開意見陳述会の後にした方が無難だろうと告げた。

「そう………下手に私達が動けば、この世界のフェイトや同僚の人達にも迷惑がかかるのは解ったわ」

「折角見つかったっていうのに、そういう話なら仕方ないか……」

凛さんとクロノさん、アーチャーさんの話しにお母さんとアルフさんはもどかしい感じを受けつつも納得したみたいだ。

「因みに、その機動六課にはこの世界のなのはも居るわ」

「え―――っ!?」

凛さんの話はまだ続きがあって、機動六課にこの世界のなのはさんが居ると告げると当然の如くなのはさんは目を丸くする。

「それも、エース・オブ・エースとか言われてるトンでもだったし」

「本局武装隊。しかも、航空戦技教導隊という超一流の魔導師の一人になっている」

「まだ私はどうしようか迷うけど、この世界の私は魔導師になるのを選んだんだ」

「なのはなら管理局の魔導師になっても大成するだろうとは予想してたけれど、まさか戦技教導隊にまでなんて思わなかったよ」

紅茶を口にしつつ唇を操る凛さんの言葉にクロノさんは何処の所属かを加え、それを聞いたなのはさんはやや照れるようにはにかみ、ユーノさんはなのはさんの予想外の力量に驚いているよう。
話は次第に移り変わって雑談となり始めた頃、部屋の電話が鳴りホテルから食事の用意が出来たと告げられたので話を止めた私達は食堂へと向う。
今日泊まっているこのホテルは、レストランが併設されているような大きい造りのホテルではないので食事は予めホテルに注文するようになっている。
というのも、この世界ではお金を増やせそうな仕事を得るのは難しいし、頼りとするお金には限りがあるんだ、だからこそ、この世界のフェイトさんが見つかるまで出来るだけ節約しようという考えになって小規模のホテルに泊まるようにしていた。
アルトセイム地方で泊まったホテルは新鮮な山や川の幸がよかったけれど、このホテルは海側に近いこともあってか主に海の幸の料理がとても美味しい。
でも、店員さんの話を聞く限り本来なら今のシーズンは海水浴客で賑わうそうだけど、ガジェットによる騒動の影響で海水浴目当てに来る旅行客の客足は悪化していて厳しいみたいだ。

「ところで、なのは。
公開意見陳述会まで一ヶ月近いけど、もし、寂しいようなら元の世界に送るようにするけどどうする?」

そんななか、お兄ちゃんは公開意見陳述会まで一ヶ月程もある事から、なのはさんが元の世界や家族を恋しくないか訊ねるのだけど。

「大丈夫です。折角、この世界のフェイトちゃんが見つかったんです、迷惑じゃなければ一緒にいさせて下さい」

なのはさんは「それに」と区切り。

「私にとっての魔法についても考えたいし、この世界の私がどんな考えなのかも興味がありますから」

照れているのか、頬をやや紅く染めながら笑みを浮べる。

「そうか、それならいいんだ。
まあ、実際に送るのはアリシアだけど、もし戻りたくなったら言ってくれ、俺からもアリシアに頼むから」

「でも、聞く限りアリシアの多元世界を移動する魔法って、元の世界とこの世界の時間の流れを共有させてない魔法だから、この世界なら幾ら練習に時間を割いたとしても元の世界に戻れば時間は経過していないような感じなんでしょ?」

「うん。だって、別の世界に行って戻って来た時に成長してたら学校に行くときに大変だよ」

「だったら、魔法の練習に時間が多く割けれるからなのはにとっても悪い話じゃないと思うんだ」

「考えてみれば魔法の練習をするだけならいい環境なのかも」

「そうだね、万一に備えてガジェットの対策もした方がいいみたいだし」

なのはさんの言葉に、お兄ちゃんは考え過ぎだたかなと思ったようだけど寂しいようなら私に元の世界に送らせるからと口にする。
すると、ユーノさんはこの世界で過ごした時間は元の世界と繋がりがないないのを確認して、私が答えたらユーノさんは魔法の練習するにはいいかもしれないと語り、なのはさんにフェイトさんにとっても悪い環境ではないようだと頷きを入れた。
方針が決まった私達はクラナガンの海沿いにあるこのホテルを拠点として、公開意見陳述会が終ったとしても直に会いに行くのは難しいようなので念の為に一週間程の日数を含めた期間を改めてホテル側に申し込む。
次の日の朝から、元の世界に戻った時に勉強不足にならないようお母さんや凛さんからお勉強を教わり、午後はお母さんとクロノさんからミッド式の基礎から万一ガジェットに襲われるケースを考えAMFの対策を学ぶようになる。
疲れてホテルに戻って、お風呂とご飯を食べ、疲れを残さないよう、よく眠って次の朝には回復させ再びお勉強と魔法の練習を繰り返した。
そんななか、クロノさんから擬似リンカーコアシステムの技術について向こうの世界に戻ったらレジアス中将って人と会って欲しいと言われたりや。
私とお兄ちゃんにお母さんは時間を割き、回収したガジェットⅠ型の残骸から使える部品やプログラムを解析しながら、AMFの出力やガジェットそのものの性能を調べながら一機を組上げたりしてみる。
組上げたとはいっても、襲いかかったりしないようにプログラムは書き換えているので大丈夫だと思うし、その過程でガジェットⅠ型には触手のようなケーブル状の腕があり、そのケーブル状の腕を使って他の電子機器のプログラムに侵入するなど結構器用な印象を受け。
Ⅲ型のガジェットも回収しているので調べてみたけど、変な脚がついている事や、そもそも数が少ないので部品が足りず残念ながらⅢ型は組上げるのは無理があった。
でも、大まかな性能に関しては解り、Ⅰ型よりも大きい事から近接戦闘用のベルトアームは力強く遠くまで伸び、表面を覆う装甲も厚いばかりか、搭載されている光線の威力や、なにより局員さん達を悩ませるAMFの出力はⅠ型よりも遥かに高い。
この事から、Ⅰ型は多目的に運用する概念で作られ、Ⅲ型は主に戦闘を目的とした作りなんだろうと解った。
それに、ガジェットの主力兵器になる光線にしても、放つ時には発射口のレンズに光が点ったりや、発射口を相手に固定するのに僅かながら動きが直線的になるので慣れてしまえば避けるのは難しくなさそう。
まあ、その辺は作った人も解っているのか射撃の際の隙は数で誤魔化しているみたいだね。
そんな感じに、元となるガジェットの性能が解ると対策は容易に進み、AMFにも濃度というのがあるのが判ってガジェットが密集した場合は濃度が上がってしまう。
そんな訳から、魔力変換をしない純粋魔力による攻撃は余程集束させなければ難しいのが判って変換能力を持たないなのはさんにクロノさんやユーノさんは魔力弾の弾体に膜状のバリアを追加する方法やら、威力こそ弱くなるものの高速で速射出来る砲撃魔法を教えていて。
それらの魔法を、ガジェットからAMFに関する部品だけを集め組上げた装置でAMFを貫けるか検証してみたりする。
アサシンさんのデバイス、鈍らもどうやらAMFの影響を受けるようだけど、AMFという魔力の結合を阻害するエネルギーも鈍らは吸収するようなので大した問題にはならないようだし、セイバーさんにお兄ちゃん、アーチャーさんは元々物理攻撃なのでAMFの影響はほとんどない。
凛さんの場合は、様々な変換能力を用いつつも生成したベルカ式のカートリッジをばら撒いて術式を展開し、展開された術式はそれぞれが互いに補強しあうような複合魔法であると同時に物理攻撃へと様変わりしているので影響は少ない。
私も、取りあえずAMFの構成が解ったので対AMF用の阻害魔法、CAMF(カウンターアンチマギリングフィールド)を作ってガジェットが現れたら嫌がらせをしてみようと思う。
そんな感じに、もしもの為のガジェット対策をしていたら一ヶ月近い日々なんてすぐに過ぎ去ってしまい公開意見陳述会が開かれる日となった。


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