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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編04
Name: よよよ◆fa770ebd ID:55d90f7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/24 00:02

次元に干渉する力を秘める青い宝石の礼装、それが暴走していたらその危険性は計り知れない。
誰かが止めなければ、何れ途轍もない……それこそ、十年前の冬木市で起きたような大災害がこの海鳴市に起きてしまうかもしれない。
例えそれが俺達とは関係のない並行世界だからといって、知ってしまった以上無視する事なんて出来る筈もない。
だからこそ俺達はこの世界に来て調査を始め、夕刻に突如現れた魔力を辿りながら、ここ海鳴臨海公園までやって来た。
宝石の危険性もある事から、万一を考え先行してもっらたセイバーに追いついたと思えた、その時―――

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ、詳しい事情を聞かせて貰おうか」

声と同時に空に現れる複数の影―――俺達は気が付けば予想外の勢力である組織、時空管理局の魔導師達に囲まれていた。
俺は背負っていたアリシアを降ろすと、アリシアは抱えていたポチを地面に下ろし、時空管理局の魔道師達や虚空に漂う青い宝石、何処と無くデバイスみたいな感じがするのだけど、杖だか槍だか斧にも見える礼装を持った白と黒の服を纏った少女達を見回しながら状況を把握しようとした。

「ここでの戦闘行動は危険すぎる―――まずは武器を引くんだ」

クロノと名乗った黒衣の少年はそう口にしながら、白と黒の少女二人とセイバー続いてアーチャーへと視線を向ける。
口調は大人みたいだけど、他の魔導師達よりも若いというか、少女達二人とそう年齢は変わらないように見える事から如何やら魔導師見習いのようだし、執務官という肩書きから事務係だと思えるのでデスクワークを主にする子供まで繰り出す以上、時空管理局の方もあの宝石を相当危険な代物だと判断したみたいだな。

「ならば問おう魔導師。何故、この件に時空管理局が絡んでくるのかを」

上を取られ囲まれているが、不可視の剣を下段に構えるセイバーに焦りは無く、およそ何が起ころうとも対処出来る様にしている。

「そうね、確か地球は管理外世界とかいう区分になっていた筈だし」

「でも、時空管理局って宇宙警察みたいなものだろ、協力して貰えるのならその方が良いんじゃないのか?」

「うん、お兄ちゃんの言う通りだよ」

俺の言葉に頷くアリシアだけど、そんな俺とアリシアを遠坂は呆れたような目つきで見詰め。

「あんた達ね……確かに時空管理局はそんな感じの組織みたいだけど。
それは自国内、いえ、管理世界ではの話で管理外世界での活動は知らないんだからセイバーが警戒するのは当然でしょ?」

ミッドチルダで見た時空管理局という組織は、俺達の世界の魔術協会とか言峰から教えて貰った聖堂協会の実情とかと比べればとても善良な組織に思えたんだけど………遠坂にそう言われてみると確かに警戒する必要はありそうだ。

「まて、セイバー。
もしかすると、こちらでは時空管理局との国交があるのやもしれんぞ」

「む、そう言われてみれば」

柳の様な柔かい感じの自然体で佇むアサシンは、長刀を手にセイバー同様焦りや油断等感じさせず、時空管理局の魔導師達を見渡し口にすると言われたセイバーは眉を顰める。
そんな最中、空中に留まっている白い少女は「え、ええっ?」と俺達と時空管理局の魔導師達を戸惑いながら見回し、アリシアに似ている黒い少女からは緊張が漂っていた。
後、下から見上げるからこそ分るのだけど、何だか狼にも見える茜色の魔獣がこっそり魔道師達よりも更に上へと移動しているのが気になる処だな。

「取敢えず、このままだと危ないみたいだから宝石は私が預かっとくよ」

そんな緊張が走るなか、宝石をそのままにして置くと危険だと判断したのだろう、アリシアが空間転移で宝石を自身の前に移動させ―――時空管理局の魔導師達の注意がアリシアに向った時。

「今だ、フェイト撤退するよ!」

「―――っ」

その隙を突いた魔獣の周囲に光の球が複数現れると、矢か槍のようになった光弾が放たれ続けフェイトと呼ばれた少女は青い宝石に何かしらの執着があるのか、アリシアの手にある宝石を一瞥し歯噛むものの魔獣と共に上空を飛びながら離れて行った。
幸い、魔獣が放った光弾は盾のような魔術で防がれたので魔道師達にけが人は出てはいない。
しかし、今の光弾はなんとなくフォトンランサーに似ていた……もしかしたらあの娘も魔導師なのかもしれないな。
―――けど、魔術師らしい女の子と魔獣がいなくなったものの緊張は以前と変わり無く。

「あの、貴方達は一体……そのジュエルシードは遺跡から発掘して、移送する途中で事故がありこの世界に落してしまった物なんです」

「っ、イタチが喋った!?」

イタチに似た小動物が近寄って来るなり人語を話したので俺が驚いていると。

「それ白い娘の使い魔よ」

「いや、僕は使い魔って訳じゃないんだけれど……」

遠坂の言葉にイタチは答える。
動物なので表情から感情は読み取れないものの、困った口ぶりからそんな風に言われたのは初めてなんだろう。
何処と無く困惑しているイタチを余所に遠坂は「……まあいいわ」と髪をかき上げると。

「で、私達の事だけど。
私達は魔術師、地球にも魔術っていう魔力を扱う術があるのよ―――アリシア、あの雑誌出してくれる」

「は~い」

遠坂に言われたアリシアはコンビニで買った雑誌を転移させ渡す。

「それで、こんな記事が大々的に書かれたんなら、私達の所なら魔術の秘匿性から執行者が派遣されて殺されてたわよ―――アンタ達」

渡された雑誌を開いた遠坂は、突如、謎の樹木が現れた怪奇現象やら、夜の住宅街に黒い獣が現れ道路を壊したとかいう都市伝説について書かれた記事を見せつける。

「そんな。もう、こんな記事になってたなんて……」

「もっとも、それは私達が居た所の話で、ここだと魔術を扱う人間が居るのか判らないけどね……」

遠坂に言われ、余程驚いていたんだろうイタチは目を点にし、白い女の子の方も顔を俯かせていた。
しかし、この世界からしたら並行世界である俺達の世界と、この世界を『所』と『ここ』で誤魔化すのは流石と言えるかもしれない。

「でも、あの宝石は次元に干渉する力を持つ危険なモノ―――俺達もこんな街中で暴走なんかしたら大変な事になるから止めに来たんだ」

恐らく時空管理局が管理する世界の一つに、人間並みに知能が発達したイタチ達の群れが遺跡に住み着いたら、あの青い宝石があって、イタチ達も危険だと判断して時空管理局に移送する段取りになったんだろうと想像しながらイタチに視線を向ける。
すると―――

「……君達の方も発生を捉えてたのか、だけど例え管理外世界といえども次元震の発生は見過ごせない」

責任感が強いのだろう、子供なのに強い意志を感じさせる口調でクロノは言うと、一旦区切り、今度は息をはいて力を抜くようにして続ける。

「でも、この世界に魔法文明が存在していたなんて、今までの調査でも分からないでいた―――如何やら僕達の方は調査不足を認めるしか無いようだ」

そう語りながら黒衣の防護服を纏うクロノはゆっくり俺達の前に降立った。

「ふむ、そういう事か。
此方でも確認出来たのだ、時空管理局という看板に偽りが無いのなら、次元の揺れである次元震を捉えられるのも道理と言える」

「確かに、ソレならば時空管理局が管理外世界に関与する理由にはなりますが……」

アサシンの意見に頷くセイバーだけど、油断はせず二人共手にした得物はそのままだ。

「初めは違法魔導師かとばかり思ってたけど、この世界の魔法技術を操る―――魔術師か、まいったな……正直、予想外の出来事だ」

僅かに逡巡するクロノだったが、通信しているのか顔の横に画面の様なモノが現れ「エイミィ、艦長を頼む」、そう口にすると横に同じ様な画面が現れる。
何ていうか、ミッドチルダでは一般的な通信技術なんだろうけど……俺達の世界の魔術師や魔術使いからしたら幻術とか色々な魔術を組み合わせないと出来そうに無い凄い技術なんだろうな。

「クロノ執務官、お疲れ様」

「すみません、関係者らしき魔導師と使い魔を逃がしてしまいました」

「ううん、あの状況じゃ仕方ないわ。
でも、詳しい事情を聞きたいから、そちらの方達をアースラまでご案内してね」

「了解です、すぐに戻ります」

空中に映し出される画面を消すと、クロノは俺達に視線を戻し。

「すまないが、こちらも事情が知りたいアースラまで来てくれないか?」

「いいでしょう、情報が欲しいのは我々も同じ―――む?」

先程のやり取りで敵意は感じられないと判断したのだろう、セイバーの手から不可視の剣が消えるのだが……そこに白い防護服を着た女の子が舞い降りて来た。

「―――あの、少しいいですか」

「構わない、君にも色々と事情を聞きたいからね」

「私、高町なのは。私立聖祥付属小学校三年生です」

「高町なのは、か。先程も名乗ったけど、僕はクロノ・ハラオウン、時空管理局執務官だ」

そう言いながらクロノは、俺達となのはに証明書みたいなものを投影する感じで見せる。
とはいっても、時空管理局の資格とか証明書を見せてもらっても俺達には全然分らないんだが……

「俺は衛宮士郎。よろしくな高町、ハラオウン」

「えと、私の事はなのはでいいです」

「僕もハラオウンよりも、クロノって呼ばれる方がしっくり来る」

「分った。改めてよろしくな、なのは、クロノ」

なのはとクロノは「はい」、「ああ」と返事を返し。

「遠坂凛よ」

「私は穂群原小学校一年生アリシア・T・衛宮、この子はポチだよお姉ちゃん」

「アサシン、佐々木小次郎」

「っ―――私の事はセイバーと呼んでいただきたい」

名乗られた手前、名乗らないのも礼を欠く事なので、それぞれ名乗る俺達だけどセイバーだけは自らの名を名乗れずにいた。
まあ、本当の名前を口にしたらしたで、弱点とかいう前に、何でこんな所に伝説のアーサー王が居るのさって話になるかもしれないから言わないのは正解だと思う。

「僕はユーノ・スクライア。遺跡発掘を生業とする一族―――あれ、あの赤い人は?」

ユーノと名乗るイタチは周囲を見渡し、赤い人―――遠坂はいるからアーチャーの事なんだろう、その姿を捜していた。
小動物がキョロキョロと見渡している姿は何ていうか……見ていて和むというか可愛いものだと密かに思っていると、遠坂はそんなユーノに「魔力の無駄だし、アーチャーなら霊体化させたわよ」と素っ気無く答え。

「え~と、霊体化っていう事は………その、幽霊なんですかアーチャーさん?」

「少し違うけど……概ねそんな感じよ」

「………」

「この世界は、まだまだ僕達の知らない事が多いんだね……」

「そうだね、ユーノ君」

時空管理局を警戒しているのか、遠坂はなのはとユーノにアーチャーは幽霊の遥か上位、精霊の域に達した英霊であると説明する気は無いのか、必要最小限の情報しか教えていないのだけど、当のなのはとユーノは幽霊と聞き困惑の表情を浮べていた。

「そうなんだ、この宝石は君のなんだね」

アリシアはユーノの前までとてとてと近寄るとしゃがみ込み。

「これ、この世界で手に入れたジュエルシードだから返すね」

「え、二つ―――って、このシリアルは!あの時の手は君のだったの!?」

手にしている宝石の他に倉庫にしている空間からも取り出したのだろう、青い宝石の礼装、ジュエルシード二つ差し出した。

「うん。観測していたら次元震を見つけたの。
それで、暴走すると危ないから私が預かっていたんだよ」

「……そうなんだ。
あの時は突然手が現れたと思ったら、ジェルシードを掴んで消えてしまったから僕もなのはも驚いたよ」

「そうだね、フェイトちゃんもジュエルシードを捕まえようとしてたけれど先に消えちゃったし」

アリシアがユーノと仲良くしているのを快く思わないのか、それとも反対に気に入られたからなのかポチがユーノを押し込むような感じでじゃれつき、後ろ足で立ったままのユーノはポチとまるで相撲をしているかの様にして組み合う姿となっている。

「と―――そ、それじゃあなのは」

「そ、そうだね。レイジングハートお願い」

ユーノからしてみれば迷惑極まりない状況なのだが、こうして傍目からみる感じではユーノが丸いボールか何かで遊んでいるようにしか見えないのは何故なんだろうな……
だからだろう、なのははレイジングハートと呼ぶ杖を二つのジェルシードに向けると、青い宝石は杖に先に付いている赤い宝石へと吸い込まれるかのようにして格納されるが、ユーノを見るその表情は柔らかげだ。

「霊体化……アーチャーという男は、僕達の世界でいう処のいわゆる思念体の一種か」

一方、クロノは時空管理局での仕事で幽霊に近いモノと出合った経験でもあるのか、何だか一人で納得しているし。
そんなクロノの元に空で囲んでいた魔導師の一人が降立ち。

「クロノ執務官、転送の準備が整いました」

「分った、武装隊は先にアースラに帰還し待機していてくれ」

魔導師達の隊長らしいのか、「了解です」と答えると上空から俺達を取り囲んでいた魔道師達と同じ魔法陣が足元に現れ姿を消した。

「今は色々と聞きたい事はあると思うけど、詳しい話はアースラで話そう」

ミッドチルダでの経験から、多分、アースラとか呼ばれているのは次元航行艦の事なのだろう。
クロノは俺達やなのはとユーノに向いそう告げ、なのはは「……はぁい」と少し残念そうな感じでアリシアに視線を向ける。
もしかしたら、先程までいたアリシアに似た女の子と何か関係があるのか聞きたいのかもしれない。

「それはそうと、アレはあのままでいいの?」

「確かにあのままでは不味かろう、な」

クロノは次元震の事を深刻に考えているのだろうアースラへと促すのだけど、遠坂は青い宝石、こっちの世界だとジュエルシードって名だったな。
それの影響を受けたのだろう、折れた樹木と荒れた公園内を見やり、アサシンもその現状に同意する。
遠坂やアサシンの言う通り、あのままだと色々と不味いのは確かだ。
だからか―――

「ポチお願いできる?」

アリシアがポチにお願いすると、了解したとばかりに回転を増したポチは地面に潜り、荒れた公園内を整地すると、周囲に撒かれた魔力の残滓を取り込んだり。
アリシアの誘導の元、先ずは折れた樹木の根の部分を元にあっただろう場所に植えなおすと、次は上の部分をはめ込み、その後アリシアの治療魔術が使われると折れた筈の樹木は違和感を感じない状態で復元される。
それ程時間は掛からなかったけど、ポチとアリシアの魔術を見たなのはやユーノ、クロノは「凄い、折れた樹が直った」とか、「これが魔術師……」とか「確かに結界で認識させないだけだと戻った時に違和感は否めない、か」とそれぞれ口にしていた。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第04話


色々と荒れていた公園の現状を戻すと、私達はクロノ執務官の案内でなのはさんやユーノさんと一緒に停船しているのか次元空間で動きを止めている船―――アースラに転送される。
でも、時々なのはさんが私に視線を投げかけて来るのは何故なんだろう?
そんな疑問を持つものの、初めて乗った次元航行艦と呼ばれる船は火災対策なのか通路には装飾とか無い簡素な感じで続いていて、そんな通路を歩いている私達が動物園のパンダみたいに珍しいのか、所々に仕掛けられているカメラからの視線が注がれている。
この船からの視線は、魔力の反応が出ていた公園に張られていた結界の内へと入った時から感じていたけど……

「次元航行船の中ってこうなっているんだ」

「次元航行船?」

そうなると、もう一つ感じた船みたいなのも中はこんな感じなんだろうと想像していたら、なのはさんはきょとんとした感じで小首をかしげて来る。

「なのは知らないだろうけど、この世界には数々の次元世界があって、その次元の狭間を移動するのに必要なのが次元航行船なんだ」

「は、はぁ……」

私の代わりにイタチのユーノさんがなのはお姉ちゃんの疑問に答えてくれるのはいいのだけど……

『……結局来ちゃったけれど、セイバーはこれでいいと思う?』

『時空管理局の船舶内となれば、私達でいう処の工房に相当すると凛は言いたいのですね―――しかし、それは杞憂だ』

冷たい金属製の壁に囲まれた通路は魔術師である凛さんには落ち着かないみたい、それでミッドチルダで会得した魔法、念話でセイバーさんに話し掛けていた。

『時空管理局の管轄外であるこの世界では彼らに我々をどうこうする権限はないでしょう、反対にミッドチルダの魔法技術と思しき魔術が使われていたのです、クロノ達があの場に居た我々に捜査の協力を求めるのは自然な流れだと思いますが?』

『そういや、魔導師って私達の世界でいう処の魔術使いなのよね………魔術師の感覚じゃないんだっけ』

念話で話しているセイバーさんと凛さんだけど、話していると凛さんは何処か「あっ」って感じの表情になる。
でも、凛さんの言う魔術師の感覚って、封印指定の人達みたいに拉致監禁とかホルマリン漬けとかなのかな………

『セイバーの言う通りだ遠坂。
クロノ達はただ話を聞きたいだけなんだろ、危険とか無いと思うぞ?』

『衛宮君……アンタはもう少し疑り深くなった方が身の為よ』

英霊エミヤの記録から封印指定ってモノを知っていた私は、あの世界も何だかんだで荒んでるなぁとか考えていると。
多分、安心させようとしていたんだと思うけど、念話で話しかけたお兄ちゃんは反対に凛さんに心配されてしまったみたい。
おまけに、凛さんの後ろで霊体化しているアーチャーさんまで溜息をついている感じだし。

『だが、凛の言う通りだとしたのなら―――その時は相応の代償を払って貰うだけだ』

『それこそ、杞憂というものだセイバー、彼奴等に我らを害する意思は感じられん』

応接室とか呼ばれる部屋へと向う途中、僅かにセイバーさんの気迫が上がる、けど袖の中で『鈍ら』に触れていたのかアサシンさんも念話に参加しセイバーさんを窘める。
そんな内緒話をしている途中で、不意にクロノさんは振り返るのでドッキとしたけど、クロノさんは「なのは、バリアジャケットは解除して」と不要な魔力の消費を抑える為なのかは口にして私達の内緒話はばれていなさそう。
なのはさんは「あ、はい」と答えながら防護服である白いバリアジャケットが解除されると杖も赤い宝石みたいなモノに変わり。

「そっちの君もだ」

「いいでしょう」

クロノさんの視線を向けられたセイバーさんは、仕方ないといった感じで鎧姿から青いドレス姿へと変わる。
バリアジャケットとは違うものの、同じ様に魔力で編まれている着物と羽織を纏うアサシンさんは、別段防護服とは思われていないようだから、見た目から社会に浮いた姿だからなのか、もしくは、内包する魔力が高いせいなのかは判断が厳しい処だ。
次にクロノは「君もそっちが本来の姿じゃないんだろ」と言われたユーノさんが「ああ、そう言えば」と元の姿を忘れていたのか答えると人の姿に変わる。
そんな、ユーノさんの姿になのはさんは「ユーノ君って普通の男の子だっただ!」とか驚いていたり、セイバーさんは「っ、イタチでは無かったのですか」とか呟き少し残念がっている感じもしたけれど、それ以外は特に問題も無く案内された部屋へと辿り着く。
その応接室と呼ばれている部屋は、中に桜の木が生えピンク色の花びらが舞っていたり、小川を模しているのか水が流れる段々や、時代劇でお馴染みのししおどしに水が溜まりコンと上下しながら居心地のよい響きを紡ぎだしている、まるで日本庭園を意識した造りの部屋だった。
そんな部屋に正座したおばさんが一人座っていて―――

「初めまして、時空管理局提督リンディ・ハラオウンです」

と、にこりと微笑みながら私達に視線を向ける。
着物じゃなくて時空管理局の制服姿で座るリンディさんに違和感を覚えたのか、部屋の内装が変なのかよく分からないけど、お兄ちゃんや遠坂さんは僅かに表情を顰め、なのはさんも何やら困惑している感じ……だね。

「茶の席か。田舎者故に作法など心得ていないが……さて、如何したものか」

「ええ、私もまさか時空管理局との話し合いがこの様な形で行われるとは予想していませんでした」

紙製のパラソルみたいな傘の下で、正座しているリンディさんの姿にアサシンさんとセイバーさんも僅かながら戸惑っている様子だった。
そんな私達にクロノさんは如何したんだとばかりに「どうぞ」と促してくるので、取敢えず赤色の敷物へと座りそれぞれの挨拶から始めた。

「高町なのはさんとユーノ・スクライア君。
そちらは衛宮士郎君にセイバーさん、遠坂凛さん、アサシンさんにアリシア・T・衛宮さんね―――別に難しい作法とかは気にしないから楽にしていて結構よ」

「クロノから聞いての通り、私達は次元世界の司法機関である時空管理局」にこやかに微笑むリンディさんは一旦区切ると私達を見回す。

「本来なら―――魔法や次元世界の認識の無い世界は私達の管轄外なのだけど、その世界でも私達の魔法や異世界産の品物が使用された場合は、無用な混乱や被害を出さない為にも速やかに事体の収拾に当たる必要があるの。
次元輸送船の事故でこの世界に落ちた、今回のロストロギアの件も早々に回収任務に出来れば次元震を発生させる事も無かったのでしょうけど……」

何かと苦労があるのかリンディさんは「ふう」と溜息を零す。

「先程言った理由もあって、管理外世界での捜索や探査には余程確実な証拠か危険性が無いと動けないの。
その時点での私達に出来たのは近くの次元世界を哨戒しつつ、出来る範囲での現地観測―――事件になってからしか動けなかったのごめんなさい」

「いわゆる組織病というヤツね」

「……そう言われても仕方ないでしょうね」

次元の司法機関である管理局は、その規則故に動けなかった事にリンディさんも思う処があったみたいだけど、凛さんは組織病とかいう一言で片付けてしまう。

「いえ、僕がいけないんです。
僕がもっと先行調査を上手く出来ていたのなら、管理局の方だってもっとスムーズに動けた筈なのに……
魔法の腕だって少しは自信があったのに……なのに、急いでいたから事前に現地魔力素との適合検査をしていなくて、だから適合不良で動けなくなってしまって、あの時、なのはが来てくれなかったら今頃僕は如何なっていたか見当もつきません………」

「ユーノ君……」

俯き自身の失敗を語るユーノさんをなのはさんは心配そうに見詰めている。
更にユーノさんは語り、ジュエルシードの暴走体を見つけたものの手強く、かつ捜索や長旅での疲労、魔力の適合不要も重なり傷付き倒れ、より低い魔力で傷を癒す為に動物体に変身していたとか。
そして、管理外世界であるこの星では魔力の資質を持つ者は稀であり、再び暴走体に襲われた時に助けを呼んだとしても、そう都合良く来てくれる筈は無いと本人も判っていたけれど他に手は無くて。
ユーノさんは藁にも縋る思いで念話を使い助けを求めたら、なのはさんっていう十分過ぎる程の魔力資質を持っている人物がやって来て、デバイス『レイジングハート』の補助もあり撃退・封印出来たらしい……
その後はジュエルシードの捜索を手伝って貰い、連続する暴走体との戦いのなか才能に恵まれてはいたけれど、それ以上になのはさんは努力と鍛練を続けその実力を高めていったそう。
でも、そんななのはさんだけど、ある時からフェイト・テスタロッサさんていう魔導師が現れジュエルシードを巡り戦うのだけど、相手は一流の技を使いこなし、かつ戦い慣れしていたのでジュエルシードの幾つかは持っていかれてしまったとかいう話だった。

「成る程……あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのは貴方だったんですね」

わずかに眉を顰ませるリンディさんの後ろでは、立ったままのクロノさんが「……なんて無謀な」と指で額を押さえながら呟き、セイバーさんすら「何ていう無茶を……」と唖然としている。

「……なのはは、きついって思わなかったのか?」

「きついかきつくないかって言われたらきつかったです―――でも、何も出来ないよりはいいですから」

「そうね。知らない人からしたら、魔術っていう新しい事を覚えるのは楽しいもの―――衛宮君だってそうだったでしょ?」

「え、いや―――そうだな。正直言えば魔術の修行を楽しいと思った事はなかった。
魔術の修行も、魔術そのものも楽しいと思った事は無い。
けど、俺はまわりが幸せならそれで嬉しかったんだ、だからその、魔術を習っておけば、いつか誰かの為になれるかなって」

「私も、大体そんな感じです」

魔術や魔法の話題は解らないのかアサシンさんは静かに茶菓子を口にして見守るだけだけど、お兄ちゃんはなのはさんに質問し、そんなお兄ちゃんとなのはお姉ちゃんの話しに凛さんはアンタもそうだったでしょって感じで話していたんだけど、二人の答えを聞き次第に表情を硬くしてしまう。

「っ、じゃあなに。アンタ達、自分の為に魔術を習ったんじゃないの?」

「え……いや、自分の為じゃないのか、これって?
誰かの為になれれば俺だって嬉しいんだから」

「ジュエルシード集めも初めはユーノ君のお手伝いで始めたけれど、自分なりの精一杯じゃなく、本当の全力で自分の意思で……自分のせいで誰かに迷惑を掛けるのはとても辛いですし何も出来ずにいるのは嫌なんです。
フェイトちゃんがなんであんなに寂しそうな目をしているのか、手を伸ばして一緒に……友達になれたのなら、二人で笑いあうことができたならって。
言葉だけじゃ伝わらないのもあったのなら、その時は魔法が何かの役に立てばいいかなって……」

「なのははまだマシ、ね。
人の事ばっかりで自分に焦点があってないのは衛宮君だけか……
(たく、根源にまで至ったからアーチャーの杞憂かと思ってたけど、心配する訳ね……生前のアーチャーと何も変わってないじゃない)」

片手を口に当てた凛さんは、何だか分らないけどそのまま考え込んでしまう。

「処でその……ロストロギアっていうのは?」

ユーノさんが遺跡から発掘したりという背景から推測するに、ロストロギアってのは遺失物の事だと思うけれど、それが正しい認識なのか疑問に思ったなのはさんはおずおずリンディさんに話しかける。

「そうね、ロストロギアって言っても分らないわよね」

なのはお姉ちゃんに尋ねられたリンディさんは苦笑すると視線をなのはお姉ちゃんに戻し。

「次元空間の中には幾つもの世界があるっていうのは知ってるわね。
その中には良くない形で進化しすぎてしまう世界がある、進化しすぎた技術や科学が自分達の世界を滅ぼしてしまって、その後に取り残された危険な遺産」

「それらを総称してロストロギアと呼ぶ」

「そう、私達管理局や保護組織が正しく管理していなければならない品物。
貴女達が捜しているジュエルシード、あれは次元干渉型のエネルギー結晶体、流し込まれた魔力を媒体として次元震を引き起こす危険物」

「君と黒いあの子がぶつかった際の振動と爆発―――アレが次元震だよ」

「っ!?」

「たった一つのジェルシードでもアレだけの威力があるんだ、複数個集まって動かした時の影響は計り知れない」

「大規模次元震やその上の災害、次元断層が起これば世界の一つや二つ簡単に消滅してしまうわ、そんな事体は防がなきゃ」

リンディさんの話しにクロノさんが補足を加え語り、初めて聞いたなのはさんは驚きを隠せていないけれど、私が見つけた次元震は恐らくその時のモノなんだろうなと予想する。
そんなリンディさん達の話しに、お兄ちゃんや霊体化しているアーチャーさんは何だか話しそのものよりも、お茶に砂糖やミルクを加えているのが気になるのか何か言いたげな様子だ。

「処で、貴方達は如何やって次元震に気が付いたのかしら?」

砂糖やミルクがたっぷり入ったお茶を一口すると、リンディさんは私達の方に視線を向けて来る。

「私達の調査では、この世界に魔法文明は確認出来なかったの、もし、よければ教えて貰えると嬉しいわ」

「それなら、アリシアが遠坂に何か言われて観測してたら次元震を見つけたんだよな」

「うん。それに、私はジュエルシードを元に改良した宝石も持っているから、あの宝石がどれだけ危険なのか知ってるもん」

今住んでいる世界では奇跡と呼ばれる魔法は魔術以上に秘匿しなくてはならない筈。
だから、お兄ちゃんに話を振られた私は並行世界への干渉という魔法と呼ばれる域の業で見ていたら見つけましたっていうのは不味いかなと思い。
私の持つ宝石の元となった世界の虚数空間に漂う宝石、恐らくなのはさんやユーノさんが捜しているジュエルシードと同様のモノだと思うけれど。
エネルギーを結晶化させるのではなく、方式を変え周囲や連なる並行世界からエネルギーを集め増幅させる機能にしている為、初めからエネルギーを内包しているよりも制御しやすいのが特徴の青い宝石九個を取り出して私の前に漂わせるると、なのはさんとユーノさんは「え、え~!?」や「なっ!?」って驚き、リンディさんとクロノさんも目を丸くしていた。

「大丈夫だよ。この宝石、取敢えずジュエルシード改って名称にしてみるけど、結晶体じゃなく機構として同じ機能を持たせているから余程変な事をしない限り暴走する危険は無いよ」

漂う宝石の一つに恐る恐る手を伸ばすユーノさんは「……本当だ、制御しやすい」って意外そうな表情をし、「本当なのか?」ってクロノさんも手にして確かめている。

「では、魔力を媒体には?」

「魔力なら収集された後、増幅されて持ち主に供給されるだけだよ」

皆から触られたりしているけど、私の前を漂う九個のジュエルシード改を目にしたリンディさんは、暴走しにくいって言ってるのに何故か私に向ける視線を強め質問し。

「そうか、起動しない限りエネルギーが無いのなら危険性は下がる―――だけど、機能が同じなら次元干渉により次元断層を引き起こす可能性は十分あるぞ」

「魔力の収集や供給、次元干渉にしても制御しやすくしてあるからそう簡単には起きないし。
それに、ジュエルシードと違って結晶化したエネルギーが一度に連鎖反応を起こして爆発する危険性とか無いよ?」

「では。もし、ジュエルシードがそうなった場合の被害は?」

「その場合だと、一個でも海鳴市の半分が消し飛んで……エネルギーにしても次元干渉するモノだから、爆心地には空間に歪みとか発生するだろし繋がる先次第では大変な事になると思うよ」

「―――たった一つでか!?」

クロノさんもこの礼装を危険だと思っているらしく色々と言って来るけど、その辺は初めに創った時から解っている事だから余程変な使い方をしない限り問題は起きない様にしてある。
寧ろ、リンディさんの疑問通りになった場合の方が危険は大きいんだ。
それを聞き表情を硬くするクロノさん以外にも、地元に住むだろうなのはさんや下宿しているユーノさんは顔を青に染め、お兄ちゃんやセイバーさん、凛さんも表情を強張らせた。

「しかし、それは飽く迄も最悪をケースとした場合であろうアリシア」

一人、静観していたアサシンさんだけが慌てずに口を開き。

「うん、そうだよ。多分、魔力を取り込んで暴走したとしても、早々内包するエネルギーが一度に反応する事は無いと思うし」

「ですが、可能性としては『ある』という事ですね」

「だったら!何の為か分らないけれど、そんな危険な代物を集めているフェイトって娘も止めないと不味い事になるぞ!!」

私がアサシンさんに答えると、セイバーさんとお兄ちゃんも私に視線を向けて来る。

「アリシアさん。聞くけど、そのジュエルシード改を作ったのは貴女のお母さんなのかしら?」

「うん、そうだよ。
お母さんはとても優秀な技術者だったから、技術開発の責任者とかしてたんだ―――でも、お仕事が忙しくて夜まで働いていたから帰りも遅くて、リニスも居たけれどお母さんと一緒じゃないから寂しい思いとかもしてたよ……」

本当は創ったのは私なのだけど、お兄ちゃんやセイバーさんにはお母さんの遺品って伝えているから今更それが嘘でしたなんて言えないもの―――あう、このままだと将来は泥棒さんなのかな私……

「名前を伺っていいかしら?」

「うん。お母さんの名前は、プレシア・テスタロッサだよ」

私が答えるとリンディさんとなのはお姉ちゃんは「テスタロッサ?」、「フェイトちゃんと同じ?」って訝しむ。

「うん、お母さん亡くなっちゃたから……
でも、今はお兄ちゃんの養子になって、藤姉さんや桜姉さん、セイバーさんにライダーさん、アサシンさんが一緒だし、イリヤお姉ちゃんとか神父さんも遊んでくれたり、買い物に行ってくれたりするから寂しくなんて無いよ」

「ご免なさい、悪いことを聞いてしまったわね」

リンディさんは私に頭を下げると、話を誤魔化すのか「でも」と続け。

「そこまで詳しいなると、これよりジュエルシードの回収は私達が担当しますとは言えなくなるわね……」

「っ、母さ―――艦長!?」

何やら考えて片手を顎に当てるリンディさんに、クロノさんは意外だったのか驚き。

「衛宮君達には手伝って貰いましょう、切り札は多い方がいいもの、ね―――クロノ執務官」

リンディさんは私の前に浮かぶ九個の宝石ジュエルシード改から視線を変え、クロノさんも内心納得いかないけれど私を見て仕方ないといった感じで黙り込む。
………もしかして、私はロストロギア不法所持とかで次元犯罪者扱いなのかな?

「ああ。分った、俺達も協力しよう」

「待って下さいシロウ。協力とは言いますが、これは事実上時空管理局の指揮下に入るという事です、ならば、いざという時の拒否権は持たないと危険だ」

「セイバーの言う通りよ衛宮君。
時空管理局とはいえ、軍事的組織であるのには変わらないもの、ただで下に付いたら大損よ。
それに、こう言っちゃなんだけど、そもそもジュエルシードなんていう物騒な代物振り撒かれて迷惑しているのはこっちなんだから」

時空管理局は司法権限を持っているとはいえ、次元世界の安寧を担う治安組織なんだけど……凛さん少し警戒し過ぎなんじゃないかなと思う。
けれど、当の凛さんは「まあ」と口にし続ける。

「幾ら次元を隔てた空間にいるとはいえ、何時までも居座られてたら、もし、万一の場合に不味くなるもの、管理局が共闘してくれるのならさっさと集めて帰って貰う方が賢明って事には賛成ね」

「左様。現状、この地球という文明は時空管理局という異星文明と付き合うには今だ未熟。
ジュエルシードの暴走により、結果として時空管理局の存在が公になる事等あれば、かつての黒船以上の騒ぎになるのは必定」

反射的に応えてしまうお兄ちゃんだけど、セイバーさんや凛さんは幾つかの想定を立て口にし、アサシンさんも凛さんの意見に賛同し静かに頷いていた。

「あの……僕達は?」

「君達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻るといい」

「―――でも!?」

恐る恐る聞いてきたユーノさんに、クロノさんは君達は元の生活に戻るように言うけれど、今までユーノさんと一緒にジュエルード集めをして来たなのはさんは納得がいかないのか声を上げる。
そんな、なのはお姉ちゃんを兄ちゃんは心配そうな視線を向け―――

「クロノの言う通りだ、なのは達はまだ子供なんだから無理する必要は無いんだぞ―――それに、クロノだって同い年なんだろ?」

「僕はこう見えても十四歳で執務官だ、関わるなという方が変に聞こえる」

「え―――そうなのか?ごめん、悪いこと言ったな。(……時空管理局では事務員ってのも色々と大変なんだな、それに、クロノも俺と同じで背丈にコンプレックスを感じてるんだろうし)」

「―――話を戻そう。
アリシアの場合は、もしも、最悪のケースとしてジュエルシードが暴走した際にジュエルシード改が何かしらの手だてになるかもしれない。
けど、そうでない君達を危険と分っている事に付き合わせる真似は出来ないんだ」

クロノさんが十四歳だというのは意外だったけれど、お兄ちゃんとクロノさんに続けざまに言われるなのはさんは、如何していいのか分らないのかしゅんとしてしまい顔を下に向けしまう。

「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう。
今夜、一晩、二人で話し合ってそれから改めてお話をしましょう」

俯いているなのはさんを可哀想に思ったのか助け舟を出すリンディさんだけど、何か嬉しいのかずっと微笑んでいたりする。
だけど、その提案により話し合いは終りを向え、私達は時空管理局のお手伝いをする事となった。
でも………私はもう眠くて仕方ないよ、皆は眠くないのかな?


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