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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編03
Name: よよよ◆fa770ebd ID:55d90f7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/23 23:19

凡そ一ヶ月程ミッドチルダを楽しんだ俺達は、アリシアの転移により元の世界へと戻る事となる。
でも、その一ヶ月の間にミッド式魔術の本場であるミッドチルダにて元の世界の魔術では俺が使えないだろう捕縛や回復魔術といった魔術や、在るのかすら分らない非殺傷という方法を学べたり。
金は掛かりはしたけれど、ミッド式の運用を容易にするデバイスという礼装をデバイスマイスターと呼ばれる専門の資格を持った人に作って貰えもしたし、泊まっているホテルには温水プールもあり皆で泳ぐ事も出来た。
そして、泳ぐ事となれば当然水着に着替える、その為、俺としては子供のアリシアは可愛らしくて微笑ましい感じだったが、セイバーや遠坂の水着姿には……何ていうか眩しいというか綺麗だったりとかで色々と目のやり場に困る感じだった。
そのセイバーだけど泉の精霊の加護を受けているそうで、おおよその人は出来ない水の上を歩く事は経験していても、大半の人間が経験しているだろう泳ぐという行為は初めてだったりするのは予想外といえただろう。
だけど剣の修行とか日頃からセイバーには世話になりっぱなしなんだから、こんな事で日頃の感謝を返せるのなら安いものだろうと思い一緒に泳ぎの練習をしたのだが―――なんというか、教えるとすぐに泳ぎをマスターしてしまい、今では泳ぎでも俺以上になっていたりする。
けど、そういった楽しい思い出というのは振り返れば数日前の様にすら感じられるから不思議だ。

「じゃあ、戻るけど……」

他の人達に見られないよう俺達は郊外の森に移動し、帰る準備はいいかとばかりに両手にポチを乗せているアリシアは俺達を見て口にする。

「皆、忘れ物とか無いよな?」

「衛宮君。それ、ホテルを出る時にも言ったでしょ?」

約一名と一匹を除いて他は皆大人なんだからと、何度も言う必要は無いんじゃないのという遠坂の視線を受けながらも見渡す。
そうはいっても、ここミッドチルダは並行世界の干渉という魔法が使えたとしても来るのは無理というか、それに加えて星から星へと移動する業が必要な世界、例え何か忘れていた事とかあったとしても戻ってからでは手遅れなので確認は何度も必要だと思うけどな……

「既に土産も手にしたし……無いと思うが?」

「ええ、大河や桜、ライダーへの買い物も済んでいますし特に問題は無いかと」

アサシンとセイバーもやり残しは無いと両手に提げている紙袋に目を落し確認する。
俺も師である言峰への土産を買っているから大丈夫だろうし、買いはしたけど実家に戻ったイリヤが何時冬木に戻れるのか判らないので、イリヤの分は痛みそうだったら皆の茶菓子にすればいいだろう。
霊体化しているアーチャーは解らないが、俺やセイバー、遠坂にアサシンが問題無いと視線を送るとアリシアは「うん、大丈夫そうだね」と頷き。

「無いなら行くよ」

そう口にした―――すると、俺には理解すら出来ないけどやはりもの凄く精通しているのだろう、来た時みたいに景色が歪むとかの違和感がまるで感じられず、景色が邸の庭に変わると同時にもの凄い魔力を感じ取り―――青ざめたニティの姿が目前に現れ。

「―――っ、そんな……勝手が違うとはいっても、基本的には逆召喚と同じなのに失敗しただなんて!?」

などと口にして何だか慌てた様子でいた。

「ニティちゃん。ただいま、今戻ったよ」

「ニティ、貴女に感謝を。
おかげで私達は、ミッドチルダという所を楽しむ事が出来ました」

「ありがとな、ニティ」

アリシアとセイバーの声につられ俺も礼を言うと、ニティは「え?」とした表情になり俺達を見渡し始める。

「ニティだったか、君のおかげで色々と楽しめた礼をいう」

「次元空間航行とか向こうの世界も凄かったけど、やっぱり根源から来ただけあってアンタ達の方が反則な感じよ」

そんなニティにアサシンは礼を述べ、遠坂はミッドチルダの文明も結構なモノだったけど、活動資金を得るためにカジノで確率を操ったりとか、こちらの世界から別の世界の更に別の星へと転移させる神の座の方が滅茶苦茶だと言いたいのだろう。

「………では、ミッドチルダに―――っ、忘れてたわ。
マスターなら戻る時、向こうに移動した時間に転移して来れても不思議じゃないもの」

転送というか、逆召喚という転移魔法に失敗したのかと思っていたニティはほっと胸を撫で下ろし。

「一瞬でも消えたなら推測出来たけど、わずかな間も覚らせないなんて……流石マスターとしか言えません」

一応、世界の精霊であるニティにこうも言わしめるアリシアの転移は、相変わらず滅茶苦茶なんだなと再認識しつつ、並行世界とか異世界とか時間とか空間を超越したトンでも魔法の業にニティ本人は敬意を払っているのだろうアリシアに力強い視線を送っている。

「私もニティちゃんに褒められると嬉しいよ」

「……私には今の台詞、アンタが出鱈目なだけって聞こえたけど」

褒められたと思い、明るい笑顔で喜んでいるアリシアに遠坂は憮然とした表情を向けた後、俺に視線を変え。

「何ていうか、衛宮君やセイバーも色々と大変なのね……」

そう片手で顔を覆うようにして口にする。
こと魔術に関し、俺なんかとは比較にならない程長けている遠坂だからだろう、多種多様な魔法を操れるアリシアの滅茶苦茶さに舌を巻いているのだろうな。

「いえ、シロウやセイバーだけじゃないわ。
神の次元でも、マスターを危険視する声はありますから」

「………」

「それでも、世界レベルで調和を乱すような真似をしない限り神がそれを許可する事はないでしょうけど」

ニティはアリシアが根源ですら危険視されていると語り、その事に絶句している遠坂だけど、確か古きモノであるプリエールがイリヤの実家に行ったのも万が一を考えての事だったし。

「悪い事なんかしてないのに」

「成る程な―――いつの世も力を持つモノとは敬われ畏れられる、か」

「しかし、相手を知らずただ闇雲に疑念を強めるのはよくない事だ」

ぷうと頬を膨らませるアリシアの横で、アサシンとセイバーは口にする。
セイバーの言う通り、危険だからと腫れ物に触れるような感じでいたら何時までもアリシアを理解するなどは出来ず、下手をすればそれが原因で悪い方向に向ってしまうかもしれない。
とはいえ、俺はアリシアの保護者なんだから傲慢な感じとか無闇に力を振るうような悪い方向に行かないように注意しないといけないのは確かだろう。

「何はともあれ、無事ミッドチルダに行けたのなら私の役割は終りです―――では、私は神の次元に戻りますのでこれで」

「いや、ニティには送ってくれた礼もあるし中でお茶でも如何だ?」

「それには及ばないわシロウ、お茶なら先ほど頂いたばかりだし」

「あれ……そうだっけか?」

このまま帰らせるのも悪いと思い、一礼して逆召喚をしようとするニティを引き留めた俺だけど、ミッドチルダにて過ごした一ヶ月の月日はこちらの世界では一秒にも満たず、そしてミッドチルダへと向った日の記憶は既に朧気になっている。
何ていうか、経過した時間が合わないっていうのは変な感じとしか言いようが無い。

「じゃあ、口に合うか分らないけどニティちゃんの分と、協力してくれた元救世主さん達にお土産があるから持って行ってもらっていい?」

アリシアが言うと同時にニティの足元に沢山の紙袋が現れ。

「それと―――残ったお金も返すね」

ミッドチルダで結構使ったとはいえ、まだ半分以上はあるだろう鞄を取り出し渡そうとする―――けど。

「そんな、口に合わないなんて事はありません。
マスターが私を想って買われたモノを如何して嫌がりますか」

そう口にしながら、足元に現れた沢山の紙袋を一瞥するとニティは視線をアリシアに戻す。

「ですが、お土産は兎も角として、お金はマスターがまたミッドチルダに行く事があった時の為に持っていてください」

「そうなの?
うん、分ったよ、ニティちゃんがそう言うならまたミッドチルダに行った時に使わせて貰うね」

ニティの好意を受け、アリシアは鞄をまた空間転移で倉庫に使っている空間に移動させる。

「本当にいいのか?」

「ええ、構わないわ。
もしも、ミッドチルダに関与しなけれなならない事が出来たとしても、その時にまた用意すれば事足りるから」

そういえば、あのお金も数日間で用意してくれたものだし、そもそもお金なんて神やニティ達からすればそれほど重要じゃないのかもしれない。

「ではシロウ、セイバー。
それとアサシンだったわねマスターをお願い―――それから遠坂凛、次は大聖杯の件で来るからその時は案内をお願いするわ」

「ああ」、「そのつもりです」、「無論」と俺にセイバー、アサシンが答え遠坂も「ええ、元々そういう契約だし」とニティを見詰め返し、アリシアの「ニティちゃんまたね~」という声と共にニティは逆召喚を使い、ミッドチルダの売店で買い占めた銘菓の紙袋と共に神の座、根源へと転移していった。
そして、ニティを見送った俺達は真夏の熱い太陽光が降り注ぐ庭は辛いので、邸に入り荷物を置くと冷たい飲み物を出して一息入れる。
暑いだろうからかき氷を出そうと、ぐるぐるとかき氷機を回していると居間では遠坂とアリシア、セイバーにアサシンが寛ぎ雑談し始めていた。
何はともあれ、ミッドチルダに行って皆が楽しめたのは良かったし、俺個人にしても向こうで勉強を続けていたから、このままの調子なら夏休み明けの授業にもついて行けるだろう―――などと頭を巡らせていると。

「一応確認しとくけど、アリシアは並行世界の観測とか出来るの?」

シャリシャリとかき氷を食べていた遠坂は魔法の事だからだろう、わずかに思案する様子を見せた後アリシアに声をかける。

「うん、出来るよ。えと……ね………あれ?」

遠坂同様シャリシャリとかき氷を口にしていたアリシアは何故か唇を尖らし「……もう、危ないな」と伸ばした片腕が虚空に消えるが、一呼吸すると何事も無かったかの様子で現れる。

「如何したのですアリシア?」

「何か握っているみたいだが?」

かき氷の増産が間に合わず、今か今かとかき氷を待っているセイバーとアサシンは、先ほどアリシアの片手が消えるという行動を訝しむ。

「うん、凛さんに言われて先ほどまでいたミッドチルダの並行世界を視ようとしたら―――地球の方で次元震があったんだ、危ないから視てみたら宝石が暴走してたんだよ」

そう言いながら握っていた手を開くと―――アリシアの小さな手の平のなかに青い宝石が一つ現れる。
その宝石はアリシアの母プレシア・テスタロッサの遺品の宝石と同じ―――って!?

「―――まさか、その宝石が暴走してたのか!?」

「っ、ではその地球は如何なってしまっているのです!」

俺同様、事態の深刻さに気が付いたセイバーの表情は険しい。
それもそうだろう、聖杯戦争の時はあの宝石一つでサーヴァントへの魔力供給が十二分に賄え、アヴァターでは九個だったけど地表と宇宙をつなげたり、余波である次元震ですら強力で一瞬にして数千ものモンスター達が物言わない肉塊に変わったのだから。

「その宝石ってそんなに危険なモノなの?」

「……ええ、その通りです凛。
その宝石は対界宝具の域にある礼装、一つではどれ程のものかは分りませんが九個使った時は次元と次元をつなげられる程のモノでした。
それ程の礼装が暴走しているとなれば、周辺の被害は相当のものでしょう……」

もう随分昔の出来事に感じるけどアヴァターでの事を思い出しているのだろう、アリシアの持つ青い宝石へと注ぐセイバーの視線は厳しいものがあった。

「―――っ!?
対界宝具って、なによその出鱈目さ………それに次元と次元をつなぐ事が出来る礼装ですって―――滅茶苦茶にも程があるでしょう?」

「およそ、その様な石が宝具とは思うまい―――成る程、知らずに使ってしまった輩がいたか」

セイバーの言葉で深刻さが解ったのだろう、一瞬ぽかんとした遠坂だけどアサシンの視線と共にアリシアの持つ青い宝石へと向けられる。

「アリシア、聞くけど……その宝石一つが暴走したとして………そのな、被害はどれくらいのものなんだ」

「ん~、そうだね……この冬木市で例えるなら、最悪の場合だと半分近くが消し飛ぶ感じかな」

質問した俺の問いにアリシアは、最悪の場合は街の半分が消し飛ぶと洒落にもならない答えを口にした。

「でも……そんな滅茶苦茶な代物ならそうそう無い筈………せいぜい一つだけでしょ?」

「そうでもないよ、私は九個持ってるし―――この宝石があった世界は、私が住んでた世界の並行世界なんだからまだあるかもしれないよ」

対界宝具レベルの礼装が暴走するという出来事に遠坂もゴクリ固唾を飲み込む。
しかし、アリシアは同じ礼装の使い手であり、一見して普通の宝石にしか見えないモノだけど、秘めている魔力は凄まじいものだったのは今までの経験から判っている―――それが、制御出来ずに暴走したとなれば周囲の被害は洒落にならないだろう。
だけど―――

「駄目だそんなの!
何も知らない人達が突然暴走に巻き込まれて傷付くなんて……行って止めよう―――その世界に」

「シロウの言う通りだ、他の宝石が暴走してからでは遅い。
それに、あの宝石の危険性を知っているのは私達だけだ」

「そりゃあね……幾ら並行世界でも、そんな話を聞かされたら放って置けないでしょ」

「古来より、義を見てせざるは勇無きなりと言う私も力を貸すぞ士郎」

思わず口にした俺の声にセイバーだけじゃなく、遠坂やアサシンも協力を申し出てくれ心強い限りだ。

「うん、なら早速支度して行こうよ」

こうしてミッドチルダから帰って来たのも束の間、俺達はアリシアの転移により並行世界の地球へと向う事となった。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第03話


ミッドチルダとよばれる世界から元の世界に戻ったのも早々、私達は並行世界の地球へと向う。
並行世界への干渉等は魔術や科学ですら実現不可能な奇跡。
即ち魔法の領域だ―――それを、アリシアは無造作に行い私達は海の見える公園と思われる所に現われた。
転移すると同時にこの世界の基本的な情報が頭の中に流れて込んで来る、それによればここ海鳴市と呼ばれる場所がある世界は元の世界とほとんど差はない様子だ。
この世界の記録から情報を得られる業は、アリシアから聞く限りサーヴァントシステムを参考にしたものらしいですが―――ミッド式魔術が使えるようになった今ですら理解の及ばないモノである事だけは解る。

「これで二度目だけど……もの凄く便利ねコレ」

「確かに。一口に転移というが……あの女狐ですらこうも違和感無く出来るかどうか。
それに、転移と同時にその土地の習わしが解るのも好い―――流石は魔法使いと呼ばれるだけはある、か」

私同様、その業に言葉や文字等を把握しやすいように理解させてくれる業に凛は感嘆の声を漏らしアサシンも付け加え頷く。
しかし、気になるのは情報の中に魔術関係や、神を祀る聖堂教会等の情報が含まれていない事か………いや、送り込まれる情報が多過ぎればミッドチルダに赴いた時同様、頭を痛める事となるなるでしょうからこれはこれで仕方が無い。

「しかし―――暴走があったのはここでは無いようだ」

「それもそうか……あんな、対界宝具クラスのモノが暴走したらこんなに綺麗な訳無いもんな」

凛にアサシンはミッドチルダでの経験から、私やシロウは更にアヴァターでも経験しているので、既に世界の情報を受けるのに抵抗は無い感じだ。
だからこそ、私とシロウは世界の記録からの情報を把握すると同時に、ここ海鳴臨海公園と呼ばれている海を見渡せ、のんびりとした雰囲気の公園内を見回すとこの場が宝石が暴走した現場でない事に気が付く。

「うん、宝石が暴走してたのは街中のほう」

そう言いながらアリシアはビル群が立ち並んでいる街へと指し示し。

「でも、そこは宝石の暴走で何人か集まってたから、それに、他の宝石が無いか探すには明かりの無い夜よりも明るい日のある方が良いと思うんだよ―――あと魔術は秘匿しないといけないもの、だから人気の無いここにしたんだ」

えっへんと胸を張るアリシアの足元ではペットのポチがくるくると回りながらアリシアに懐いている、念話を使えばポチとも話せるのですがこうして見ているだけでは理解は難しい。

「それもそうか、そんな人目のある所に転移したら魔術とか魔法とかって判るかもしれないからな」

「ええ、そうなれば宝石の探索処の話では無くなります」

突如宝石が暴走した現場ならば、その被害から人が集まっていても不思議ではない……納得するシロウに続き私もアリシアの判断に間違いは無いと頷き答える。

「ならば早速参るとしよう」

目だけを動かしてビルが立ち並ぶ街に視線を向るアサシンの言葉に、私達は頷き街中で暴走した宝石があった場所へと向う。
しかし―――

「―――っ。何なのよ、秘匿とかまったく考えないで撒き散らされている魔力は……」

「遠坂の言う通りだ、なんかいたる所で魔力の痕跡が感じられるぞ」

私達が居た世界は神秘の秘匿という、魔術、延いては魔力そのものを隠蔽する技術が高い、しかし、それは逆に考えれば僅かな魔力でも見つけ出す術も高いともいえる。
だからだろう、街を歩いているだけで魔術師である凛やシロウには色々と感知出来るものがあのだろう。

「剣士である私には魔力を感知する事は出来ませんが……それほど異常なのですかこの街は?」

凛とシロウの口ぶりからすれば相当の魔力が残留しているらしいのだが、少々ミッド式魔術が使えるようになっとはいえ、元々魔術師ではない私には魔術や魔力の感知は難しく、アサシンに視線を向けるものの静かに首を横に振られ、そんな様子を見ていた凛が口を開いた。

「そうね……多分、何らかの結界が張られていたんだと思うけど、解いた後も結構な量の魔力が残っているからこの街で何かあったのは確かみたい」

「でも、魔力の痕跡を消せない程の強力な結界があったからこそ街の方に被害が無いんじゃないのか?」

「そうだと思うけど、魔力の痕跡がこんなにあれば既にこの土地の管理者が動いている筈―――でも、気になるのはこの世界に魔術協会みたいな組織が在るかどうかね……」

シロウと凛が話しつつも街中を見回す限りでは街に被害らしき所は見当たらないようだ―――そういえば、あの宝石は次元震という衝撃波を発したそうだが、次元震の規模自体が小さいものだと仮定すれば結界が在れば被害は無いのかもしれない。
その直感は的を得ていたようで、宝石が暴走した現場に着き調べても魔力の痕跡以外はとくに被害らしきモノは無い感じだった。
念の為周辺も調査してみたが、やはりそれらしい被害は見つからず、しかし、魔力の痕跡はある事からこの件に魔術師が関与しているのは間違いなさそうだと凛は告げる。
その凛は自販機で買った飲み物を口にしながら、お釣りの小銭を「……ふ~ん」と硬貨の裏や表を何やら見詰め。

「ちょっと、そこのコンビニまで来てくれる」

そう私達に告げると、近くにあるコンビニへと足を向ける。

「一体如何したんだ遠坂の奴?」

「凛さん、お腹が空いたのかな?」

「確かにアリシアの言う通り、そろそろお腹が空いてきても変では無い時間ではある―――しかし、凛のあの様子は何か違う感じがします」

訝しむシロウにアリシアは意見を述べるのだが、凛のあの様子は何か考えが纏まった感じだと直感が告げていた。

「なに、どの道行ってみれば分る事だろう」

「……それもそうか」

私同様何かを感じ取ったのかアサシンは凛の姿を視線で追い、シロウもここで考えてても仕方がないかとの結論に達したのでしょう。
そうして、私達はコンビニの前に来ると凛は「これからそこのコンビニで立ち読みしながら、この街で何か異常が起きてないか調べるわよ」と口にする。

「成る程な、魔術絡みの奇怪な出来事があるのなら新聞や雑誌が放って置く訳が無いという事か」

「そう言う事。それに、アレだけの魔力を消さないのは―――消すだけの術が無いか、そもそも気が付かないかのどちらかだから、多分、何かしらの痕跡が残っていると思うわ」

逸早く凛が何をしたいのかを理解したアサシンは頷き凛は更に付加える。
それによってシロウとアリシアにも状況が解り「そういうことか」、「そうなんだ」と口にし、直感で感じてはいたものの私も成る程と思い「了解です」と答えた。
そもそも、アリシアが言うにはこの世界は時空管理局が存在する世界、それは私達がいた世界とは別の理により構成されている、ならば―――私達の世界とは違い魔術協会という組織そのものが存在しない可能性も否定出来ない。
そう仮定した場合、シロウと凛が街のいたる所で感じたという魔力の痕跡がそのまま放置されている理由の一つにはなる。
とはいえ、これは憶測の域を超えていない仮定の話、今は頭の片隅に留めて置く位にしとくとしましょう。
シロウや凛にしても其々この世界に思う処があるでしょうが取敢えず私達はコンビニに入り雑誌の立ち読みを始めた。
一概に立ち読みといっても、始めの目次を見ればおおよそ判るので雑誌の選定はすぐに終り、凛がその雑誌の支払いを済ませると話は魔術絡みなので人気の無い場所に移る。
まだ早朝なので海寄りの公園へと戻った私達は互いに購入した雑誌を読み―――そして、それらの雑誌には街の真ん中で突如巨大な樹が現れ、何処からともなく飛来した光線が当たると現れた時のように突如消えてしまった怪奇現象や、夜の住宅街に黒い獣が現れ道路を壊したとかいう都市伝説について書かれていてたりや。
その雑誌には偶々その時に居合わせた人物が持っていたのだろう、携帯で撮影されていた写真が幾つか載せられていた。

「ちょっとした思い付きだったけど……まさか、こんなに世間に知れ渡ってるなんて…………私達の世界からしらたら当の昔に封印指定の執行者が送られていても不思議じゃないわよコレ」

凛の言う通り、これは魔術師ではない私から見ても酷い、甘いとかではなく初めから魔術の秘匿等考えない状況だ、当然、魔術師である凛は怒りからだろうムッと表情を強張らせている。

「では、この世界には魔術協会は存在していない、と?」

「………かもしれないわね。
でも、痕跡のあった魔力からいって魔術に関する何かしらの組織はある筈なんだけど」

情報が少ない現状では私の質問に明確な答えを出せず、それでも何かないかと凛は口元に手をあて考え始め。

「だったら、図書館に行かないか?
図書館ならこの事件があった新聞とか残ってると思うし」

「確かに、新聞からなら当日の状況も書かれているだろう。
それに、この感じ他にも何かしら痕跡があっても不思議ではない」

「そうね、兎に角今は情報は多いい方がいいもの……」

シロウの意見にアサシンは頷き、凛は新聞で情報が得られるのは良いとして、神秘の秘匿を旨とする魔術師からすれば複雑な気分なのでしょう……

「じゃあ、図書館が開くまで少し時間があるから皆でご飯にしてから行こう」

「ええ、アリシアの言う通りだ。
この世界では早朝でも、私達の感覚からすれば今はお昼過ぎ―――食事を怠り、力の出ない状況でこの世界の魔術組織と出会わせでもしたら状況次第では危うい」

アリシアの言う事ももっともだ、もしこの世界に魔術組織が在り鉢合わせした場合、似て異なる世界である以上私達の常識では測れない何かがあっても不思議では無い、故に敗北に繋がる要素は出来うる限り少なくした方がよいという私の意見なのだが―――

「朝はちゃんと食べて来たのに、昼を抜いただけで力が出なくなるって……」

「そもそも……仮にも英霊であるサーヴァントに勝てそうな人間ってどんなヤツよ」

「む、私は飽く迄万が一を心配しての事。
そもそも、ここは私達の知っている世界とはやや違う世界ですから油断は出来ない筈です」

シロウと凛は何だか苦笑いしながら私に視線を向ける、まったく、私は敗北に繋がるだろう要素は一つでも無くそうとしているだけだというのに。
少々不満はありますが、その後私達は二十四時間営業している店に入り食事を済まし、途中のコンビニでこの辺の地図を買うと図書館に向う。
早朝にも関わらず海鳴市の図書館は開館前から集まった人々で列をなし、その列の中でもやや早めであったため私達はやや大きめの机の確保に成功する―――しかし、並んでいた男女のほとんどがシロウや凛と同じくらいの年齢なのですが、何故彼等や彼女等は学校には行っていないのか不思議な処です。
それに図書館では子供の姿だからでしょう、周りから浮いているアリシアを見た人達は私とシロウに視線を向け何やら頷いている。
そんな図書館での作業に当たり、机という橋頭堡を確保した私達は早速ここ数週間の新聞を調べ魔術絡みと思える内容を見つけると購入した地図に印を書き込む。
すると、何故か異常と思われる内容は海鳴市付近に集中し、あの青い宝石により引き起こされただろう異変がこの街を中心にして起こっている事を示していた。

「………こうして調べて思うけど、よく地元の警察とか動いてないわね」

「そうだな、動物病院が荒らされたりとか……その近くの道路が壊されてたりとかあるし」

「街中に現れた謎の巨大樹の事といい、マスコミには格好の話題の筈だが―――やはり、怪談の如きは夏ではないと流行らんのか?」

各社の新聞を調べ上げ印をつけた地図に凛とシロウは半ばあきれ返り、魔術師でないアサシンすら異常だと口にする。

「でも、色々と変な事が起こってるから街の人達も漠然とだけど不安に思ってるんじゃないかな」

「恐らくそうでしょう」

「なら、決まりね。
午後はこの地図で印を入れた所を探ってみましょう」

アリシアなりにこの海鳴市の人々の事を思っているのでしょう、日常とはかけ離れた現象が起きている街を心配しているようだ。
そんなアリシアに私は同意し、凛もこれ以上宝石の影響で害を被る人々や魔術が公になるのを防ごうとしている。
凛の提案により、午後からは印を入れた場所を見回っていた私達だが、印を入れた場所に魔力の痕跡はあったものの、これという手掛かりになるようなものは見つからない。
しかし、街を一望しようと登った神社ですら魔力の痕跡があった処を考えると、この街で行われている何かは既に人々の生活に忍びより何れ脅威になる事でしょう。
神社で街を一望し街並みを確認した私達は、明日に備え調べていた時に見つけた銭湯に寄り汗を流そうとした夕刻。

「―――っ!?」

「この魔力って」

「うん、近くだね」

私は感じ取れないがシロウや凛、アリシアは感じ取れたらしく海よりの公園へと向いた。
アリシアからキャンピングカーを出して貰い、急いで海よりの公園の近くまで走らせると私ですら魔力を感じ取れる。

「っ、これは!先に行きますシロウ!!」

「分った、頼むセイバー!」

アサシンがいる以上、この世界の魔術組織が現れたとしても遅れを取る事は無い、故に迷う事無く私は車から降りるなり告げると魔力放出を使い、シロウや凛よりも一足先に魔力の発生元に向かい移動する。
魔術に疎い私ですら感じ取れる魔力の発生源、それはこの公園内であり私達がいた場所のすぐ近くだ、魔力を辿った私は数秒と掛からずその場に辿り着く。
そこには樹の姿を模した怪異が蠢き、そのすぐ傍にはアリシアよりも年齢は上でしょうが、杖のような礼装を手にした小学校低学年位の少女が魔力を感じさせている事からバリアジャケットとも思える白い防護服を纏いたたずみ。
少女の後ろでは、イタチの様な生き物が周囲にミッド式魔術に似た魔法陣を現せると、魔力の流れが周囲を包み込み何かしらの結界を発動させたのが判る。
―――成る程。
魔術師も幼く、かつ本人では無く使い魔が張ったのなら結界の後始末が荒いのも否めない、シロウや凛が街で感じ取った痕跡はこの結界とあの怪異から発する魔力の残滓でしたか。

「―――えっ!?あ、あの……」

「今は互いの名乗りは後にしましよう魔術師、まずはあの怪異を如何にかしないとならない」

「は、はい!」

私に気が付いた少女が戸惑いを見せるが、恐らくあの怪異は青い宝石と関係がある筈―――ならば放って置くのは不味い。
少女から樹の怪異に視線を戻した時、数発の光弾と矢が樹の怪異へと降り注ぐものの障壁が張られ防がれる。

「アーチャー」

「フェイトちゃん」

私と少女は互いに矢と光弾が放たれた方に視線を向け放った者を確認する、あの怪異はそれ程危険とは感じないがアーチャーの援護があるのなら心強い。
しかし、以前、別のシロウに呼ばれた時の事は忘れてはいない―――かつての聖杯戦争ではアーチャーは私ごとバーサーカーを屠ろうとした事を。
だが、それは聖杯戦争という状況ならではの事であり、現状で私ごとこの世界の魔術師達を屠ろうとは思わないでしょうが……
そして、少女の視線の先にはフェイトと呼ばれる彼女と同じくらいの少女が黒い防護服を纏い、狼に似た魔獣らしき獣と一緒に立っていた。
そのフェイトと呼ばれた少女の容姿はアリシアに酷似し、少女がフェイトと呼ばなければ違和感を感じたとしても、アリシアは年齢や体型を変えられる事からアリシア本人と間違えてしまう可能性も否めない。

「おお、生意気にバリアなんて張るのかい?」

「今までよりも強いね―――それに、あの娘もいる」

「それよりもフェイト、あの蒼いのと紅いのは何だかやばい感じがするよ」

「でも―――渡すわけにはいかないよアルフ」

「そりゃそうだけどさ……」

フェイトはアルフという茜色をした狼にも似た使い魔と静かに話しつつも、樹の怪異に私や樹の上に立つアーチャー、白い防護服を纏った少女を油断無く見回す。
その様子から、当初、彼女達はこの地を管理する魔術師だと思いましたがどうやら彼女達は一枚岩では無いようだ。
唸り声を上げた樹の怪異は私達を敵とみなしたらしく、私や彼女達に自らの根を武器とし振るって来る。

「ユーノ君は逃げて。
飛んでレイジングハート、もっと高く―――えっ!?」

白い防護服を纏う少女は蠢く根を危険と判断したのでしょう、足から羽の様なモノを生やすと空へと舞上がり、使い魔であろうイタチには草むらに逃げ込むよう指示した。
私は、向かって来る根を斬り伏せると逆に間合いを詰め振るうのだが障壁に阻まれる―――しかし、この程度の障壁ならば後数合も打ち込めば壊せる。
そう手応えを感じ取った時、アーチャーが放った矢は障壁を難なく貫くと、本体である樹を貫き地面に突き刺さった。
障壁を操る怪異となりし樹を、幹ごとくの字にへし折った矢は赤く―――っ、まさか……あれは、矢として放つ為に大分形を変えているが『破魔の紅薔薇』(ゲイ・ジャルグ)!?
間違いない、四次の聖杯戦争で相対したランサー、二つの魔槍の遣い手であるディルムッド・オディナが自在に操った彼の魔槍の一つ、あらゆる魔法の護りを打ち破るといわれる深紅の魔槍、ならば樹の怪異が操る障壁如き何の意味もなさないのも道理か。
そして、矢として改造された深紅の魔槍が消え行くなか、倒れ伏した樹の怪異からは青い宝石が浮かび上がると同時に二人の少女の手にする杖が形を変え。

「ジュエルシードシリアルⅦ」

「封印」

一瞬の閃光が走り、青い宝石からの魔力が感じられなくなる。
だが―――

「ジュエルシードには衝撃を与えたらいけないみたい」

「うん。昨夜みたいな事になったら、私のレイジングハートもフェイトちゃんのバルデッシュも可哀想だもんね……」

「だけど、譲れないから」

「私はフェイトちゃんと話をしたいだけだなんけど……」

フェイトという少女と、白い防護服を纏った少女は敵対関係なのか二人の少女は互いに構え見詰め合い。
更にフェイトとアルフと呼ばれる狼は私とアーチャーにも注意を向けて来た。
そんななか、白い少女の使い魔であろうイタチが草むらから現れると、私の方に走り寄り「あの、貴女達は時空―――」とイタチでばなく幻想種なのか人語を話し何かを伝えようとするのだが。
私が来た方向から複数人の足音が聞こえアリシアを背負ったシロウと凛、何かを感じているのか辺りを注意深く警戒しているアサシンの姿が現れ口を閉ざす。

「お兄ちゃん見て、宝石が浮かんでるよ」

「そうだなアリシア―――セイバー、如何いった状況なんだ?」

大人姿のアリシアは、ランサー同様の能力を持っていますが子供姿では身体能力は年齢相応だ。
だからでしょう、本人が走るよりもシロウが背負った方が速いと判断されたのは。

「随分幼いけど、あの二人がこの世界の魔術師のようね」

「そうらしい、が気をつけろ―――何やら妙な気配を感じる、如何やら他にもこちらを窺っている輩がいるようだぞ」

凛は杖を構え対峙する二人の少女に視線を向け、アサシンは恐らく魔術師でしょうが他にも覗き見ている者がいると口にする。
アサシンの慧眼は凄まじいものだ、かつて交えた並行世界のアサシンは不可視である私の剣を戦いの最中に計るという離れ業を行い、更には宝具にすら感づいた程のもの、ならば―――それは事実なのだと直感した。

「状況は見ての通りだ、二人共この世界の魔術師なのだろうが―――む?」

アサシンの助言により、周囲に気を配る私の代わりにアーチャーが答えようとすると、不意に上から魔力を感じ見上げれば、杖を手にした十数人の男女に囲まれ。

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ、詳しい事情を聞かせて貰おうか」

他の者達よりも幼い黒衣の少年がそう告げた。


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